アクセル・ワールド レジェンド・ドントゥール   作:四つ葉

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アクセル・ワールドが好きで書いてみました。
でも原作知識はそんなないので、間違っているところもあるかもです。
そんな所があったら是非指摘してください。


0.プロローグ

 少年は、孤独だった。

 

 

 兄弟が居ない。 友達が居ない。 家では親のサンドバックになり、学校ではいじめの的。 少年に、逃げ道などなかった。

 

 あのゲームに出会うまでは――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 2043年 10月9日。

 そろそろ寒くなり始めた季節に、少年は1人で歩いていた。

 彼は 加地峯(カチミネ) 光馬(コウマ) 。 小学六年生ながら、既に“孤独”であった。

△▼△▼△

 

 光馬は、人を不快にさせる目を持っていた。

 小学四年生の時、クラスメイトから目つきが気持ち悪い、という理由で仲間外れにされた。 やがて、一年経ち“仲間外れ”は“いじめ”へと変わり、毎日痣を作って家に帰るようになった。

 

 …しかし、家も地獄だった。

 父親は仕事をせず、いつも何かにイラついてるようだった。 そのイラつきを、毎晩暴力として母親にぶつけ、時には光馬にもぶつかることがあった。

 

 そんな中で、光馬の唯一の希望は、母親だった。

 母親は、父親の暴力を受けながらも、いつも笑顔だった。 決して微笑みを崩さず、絶望の闇に墜ちた光馬を、いつも照らし温めてくれていた。

 でも、そんな母親にも限界はあった。

 ある日、起きたら、置き手紙と共に母親の荷物が消え去っていた。

 

 “もう耐えられません。 子供も預かって下さい”

 

 簡潔に、それだけしか書かれていない手紙だったが、光馬に強い衝撃を与えた。

 自分は母親に見捨てられた、と…。

 

 

 

 その後、父親はすぐにまた別の女を作り、毎日毎日息子そっちのけで遊んでいた。

 

 必然的に光馬は、自分で買い物をし、ご飯を食べたりしていた。 お金は、親が月に一回くれる一万円だけ。 それだけで何とかやりくりしていた。 そのせいで学校の移動教室にも、校外学習にも行けなかったが、そんなことは気にしていなかった。 今は、生きる方が大切だから――――。

△▼△▼△

 

 そんな生活がもう既に、一年経っていた。

 

 光馬は、自宅であるマンションの一室に着くと、鍵をあけて中に入る。 いつも通り親は居ない。 多分女とまたどこかに行っているんだろう。

 

 ランドセルを下ろし、手を洗う。 そのまま素早く宿題を終わらせると、夕飯の準備に取りかかった。

 ご飯が足りなくなってきたため、食パンを取り出す。 卵を茹で、ゆで卵にしたあと、それとマヨネーズ、辛子を混ぜてパンに挟む。

 簡易的な卵サンドの完成だ。 資金である一万円が貰えるまであと3日。 それまでこれで食い凌いでいかないといけない。

 

 夕飯の卵サンドを食べ終わり、布団に寝転がった。 ニューロリンカーはあるが、授業の時以外使っていない。 というか、ネットにダイブするときに唱える言葉を忘れてしまっていた。

 確か、だ、ダイ…何とかだった気がする。

 

 そんな今となってはどうでもいい事を考えながら、光馬は眠りの世界へと墜ちた――――。

 

△▼△▼△

 

 翌日、教室には見慣れない人が居た。

 

「えー、今日から5日間、職場体験で来てもらいました。 それじゃ、自己紹介お願いします」

「はい」

 

 その人は、いかにも優しそうな目をしていて、イケメンだった。

 

治篠(チシノ) 真治(シンジ) です。 皆、宜しくね」

 クラスの女子が、一斉に拍手をした。 やっぱり女子から見ても顔が良いってことだろう。 男子からは…あまりないようだ。

 やはり、女子から好かれるイケメンというのは、同性から見たらただイラつくだけなんだろう。

 

 

 そんなこんなで、職場体験生の真治を加えた、光馬の1日が始まった。

 

△▼△▼△

 

 業間休み。

 皆が集まって遊んでいるなか、光馬だけは飼育小屋に居た。

 今、光馬の唯一の楽しみは、動物と遊ぶことだった。

 

 

 ――――動物は良い。 嘘をつかない。 嫌なことは嫌だとか、嬉しいときは嬉しい、と、行動で表してくれる。

 純粋な動物が、今、光馬にとっての心の寄りどころだった。

 

 

 

 

 と、そんな光馬を後ろから見てニヤニヤしている男子達が居た。 彼等の中の一人が、ソフトボールを持って出てきて、投球のフォームを取る。

 この時代、現実で野球をするのは珍しい。 つまりこれは、明らかに光馬を狙った投球ということだ。

 

 フォームを取った男子は、経験者なのか、それなりに速い球を光馬に向かって投げる。

 直撃したら激痛は免れないだろう。

 

 だがしかし、何故か光馬が振り向いた。 そして球を視界の中央にとらえると、手で球をキャッチした。

 

 長い間、男子達の拳を受けていた光馬の反射神経は、かなり高くなっていた。 いまや、これぐらいの球速は、取るに足らない速度だった。

 

 

「ちょ、君達、何やってるの?」

 

 と、ここで、騒ぎを見ていた真治がやってきた。

 男子達は、「いや~、ちょっと球がそれちゃって」などと言いながら、教室に戻っていった。

 

「…。 …君は大丈夫?」

 

 真治は、男子達が帰ったのを見届けると、光馬のもとへ来た。

 

「…あ、はい。 大丈夫です。 これ、返してきといて下さい」

 

 光馬は、球を真治に渡すと、再び動物達と戯れ始めた。

 

 球を受け取り、暫く光馬を見てから、教室に戻る真治。 しかしその視線は、未だ光馬の方を向いていた――――。

 

△▼△▼△

 昼休み。

 教室を出ようとする光馬を見つけると、真治はそれを引き止めた。

 

「…? 何ですか?」

「ちょっと、ついてきてくれないかな?」

 

 微笑みながらそう言うと、真治は光馬を、校庭の隅まで連れて行った。

 

 

 

 

「ふぅ…。 とりあえずは誰にも見られないかな」

 

 真治は周囲を見て、誰も居ないことを確認すると、口を開いた。

 

「ねぇ、一個聞きたいんだけど、そのニューロリンカーって、生まれたときからつけてた?」

「…え? いや、分からないですけど…。 物心ついたときには既に…」

「そうか…。 なら、これつけてくれない?」

 そう言って、真治は一つのケーブルを差し出した。

 それを見て、はっとする光馬。

 

 

 

 それは、“有線直結通信”のケーブル。

 ニューロリンカーの個人情報を守るセキュリティを、9割無効化するケーブル。 そのため、家族や恋人などの、信頼のある人間にしかしない行為なのだ。

 

 この人は、会って間もない自分に、何故これをさせようとするのだろう。 別に僕は男色ではない。

 

 光馬は瞬時にそう思った。 しかし、何故かそうしないといけないような気がして、ケーブルをとり、それをニューロリンカーに差し込んだ。

 

『あー、あー。 聞こえるかな? えーと…』

『加地峯です。 聞こえてます』

『あ、そうそう加地峰君だったね』

 

 別に名前を忘れられるのは慣れている。 いや、そもそもこの人には自己紹介すらしていない。

 

 それよりも光馬は、直結での脳内の会話で、自らの言葉がしっかり伝えられた事に驚いた。 光馬は父親が女と直結しているのを見ただけで、やったことはない。 最近の技術は凄いな、と、改めて感心する。

 

『で、わざわざ直結した理由なんだけど…』

 

 真治が続け、はっとした光馬は、意識を脳に集中させる。

 

『君は、ゲームは好きかい?』

 

 予想外の言葉が脳にとんできて、少し驚く光馬。

 

『まぁ…好きか嫌いかって言ったら…好きですね』

 

 小さい頃、母親が買ってくれたゲームにはまったことがある。 母親が家を出たときからやっていないが。

 

『そうか、良かった。 格闘ゲームなんだけどね、君にインストールしてもらおうと思って』

『はぁ…。 でも何で僕に?』

『そのゲームはちょっと特殊でね。 特定の人じゃないとインストール出来ないんだ』

『へぇ…』

『は、反応が薄いみたいだね…。 でも、きっとはまってくれると思うんだ』

『そうですか…。 そんなに言うなら、やって…みます』

 

 そう言うと、真治は嬉しそうに微笑んだ。

『良かった! それじゃ、データを送るよ』

 

 真治は、空中で指を滑らせた。

 と、同時に光馬の方にも表示が出る。

 

“BB2039exe.を実行しますか?”

 そして“YES”と“NO”の文字。

 

 光馬は、躊躇わずに“YES”の文字を押した。

 すると。

 

「うわぁぁ!」

 突然、どこからともなく焔が現れた。 周りに木があるため、火が燃え移らないか気にする。

 しかしすぐに気がついた。 この焔に、温度が感じられない、と。

 疑問に思っていると、次に“BURAIN BURST”というゲームのロゴ。

 

 燃え盛るロゴの裏で、ゲームのダウンロードが進むなか、表情には出さないが、光馬は密かに期待していた。 この地獄のような生活に、このゲームが一筋の希望の光を差し込んでくれそうな、そんな根拠もない直感を感じていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 この先、何が待っているか分からない。 今まで通りか、はたまたこの地獄から抜け出させてくれるのか。

 これは、後に“神獣使い(ドントゥール)”と呼ばれる、一人のバーストリンカーの物語である。

 

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