駄文かもしれませんが、これでも一応頑張ったつもりです。
では、どうぞ。
「アロー<
アーチャーがそう叫ぶと共に、爆発音が<世紀末>ステージに木霊した。
「おっ…と…。
ディフェンダーは、大剣を盾にし爆発によるダメージを防ぐ。
「まぁ、当たらなければ良いか」
言いながら、ディフェンダーは腰を低く下げ、大剣を構えてから駆け出した。
アーチャーは、少しバックステップをとると、弓幹で大剣の軌道を逸らし、更に大剣の剣脊を踏み、大きく跳躍した。
その後、空中で弓に矢をつがえると、ディフェンダーの頭のてっぺんに射る。
しかしディフェンダーは、とっさのことに反応出来ず、頭を少し傾け、矢の着弾点を頭から肩にずらした。
「ぐ…」
いくら重量系といっても、痛みはあるしダメージもある。 アーチャーの弓の攻撃は、僅かにディフェンダーのHPを削った。
ディフェンダーは、肩の装甲に弾かれ落ちた矢を踏んで降りつつ、着地したアーチャーの方を向いた。
「いくらバーチャル空間の中といっても…剣を踏んで跳ぶとか、君本当に人間?」
「それは…ほめ言葉と受け取っていいかい?」
「どうぞご自由に」
そして、辺りは静寂に包まれる。
お互いは、お互いを睨みつけ、ゆっくりと近付いている。 そして――――。
「あぁぁぁぁ!」
「らぁぁぁ!」
二人が激突した。
ディフェンダーは、まるでその大剣が
ならば、と、アーチャーは一旦ディフェンダーの剣が届く範囲から一気に外に出て、矢を矢筒にしまった。
「ハァ…ハァ…あれだけ振り回したのに、一撃も当たらないって…化け物か…」
ディフェンダーは、一旦アーチャーが退避したのを確認すると、大剣を下ろし、肩を鳴らした。
「ハァ…ふぅ…まぁ、一応師匠が化け物じみてるからね」
彼女は現実世界で運動神経が高いせいか、この加速世界での機動力はあの脚のおかげもあってかなり高い。 その彼女を師匠にもつアーチャーは、まずは現実世界で身体を動かせるようにし、それから加速世界での身体の動かし方をみっちり教えられた。 その為、アーチャーは遠距離攻撃が主な攻撃方法だが、体術も優れている。
「…はは、その師匠に一度会ってみたいよ」
言いながら、ディフェンダーは大剣を構え直し、静かに必殺技を発動した。
「
と、ディフェンダーの腕の装甲が剥がれた。 そして、剥がれた腕の装甲が、大剣にくっつく。
「お…何だか、緑系アバターの長所をなくしてしまうような必殺技だね」
アーチャーが、その必殺技を見て感想を告げる。
「…やはり君も、この必殺技がただ大剣のリーチを伸ばす必殺技だと思っているようだな」
ディフェンダーはマスクの下でにやけながら、大剣を上に構えた。
「くらえっ!」
そして、一気に振り下ろす。
二人の距離を考えると、その斬撃は届かない。
何をやってるんだ、と、アーチャーが言おうとしたとき、彼は横に跳んでいた。
本能、というべきなのだろうか。 理由は分からない。 ただ、何かあのまま立っていたらいけない気がしたのだ。
そしてその理由はすぐに分かることになる。
「な…!」
轟音を立てて、アーチャーの背後にあったビルが崩れ落ちた。
「あ、外した! これゲージの消費激しいから外したくなかったんだけどな…」
言うディフェンダーの大剣からは、先程つけた腕の装甲がなくなっていた。
が、その直後、崩れたビルの残骸から、ディフェンダーに何かが吸い寄せられてきた。 それは、ディフェンダーの腕に近付くと、くっつく。
「つけた装甲を…飛ばしたのか…!」
「あぁ。 飛ばしたら武装は解除されるけど、破壊力がとんでもないからいつもすぐ使っちゃうんだよね」
大剣を肩に担ぎ、そう言う。
アーチャーは、立ち上がると、マスクの下で引きつった顔を微笑みに変えた。
「でも、それも避けたから、その破壊力も意味がないよね?」
「ま、そうだね。 これはかなり痛いよ」
悔しそうにそう言う。 だが、彼は剣を構え直すと、こう行った。
「
「な!」
再び、必殺技を唱えた。
「ゲージの消費が激しいって言っても、二回分ぐらいは溜まっちゃうけどね」
そう言って、リーチが伸びた大剣でアーチャーに切りかかった。
「く…」
アーチャーは再び弓幹で大剣を逸らす。
――! 重い…! 確実にさっきより威力が上がっている!
軽く衝撃を受けながら、大剣の猛攻を避けていく。 だが、彼は大剣のリーチが変わった事を忘れていた。
大剣の横払い。 アーチャーはバックステップをして大剣を交わそうとする。 が、大剣の武装された部分がアーチャーの腹を斬った。
「あがっ!」
しっかりと存在するその痛みに呻くも、すぐに意識を敵に向ける。 やはり、彼もバーストリンカーなのだ。 このぐらいのことで隙を見せていられない。
「はぁ、ようやく削れた」
ディフェンダーが、アーチャーのHPを確認し、溜め息を吐きつつ言った。
――あの斬撃で二割ちょっと削れたな…もう当たらないようにしないと。
アーチャーも自らのHPを確認する。 残り七割とちょっとだ。 対してディフェンダーは九割。
――腕を狙えば、この差も埋められる!
弓に矢を一気に二本つがえると、まずは彼の右腕を狙う。
「そんな真正面から射るのか…」
ディフェンダーは、左側に回避し、尚且つ矢を弾いた。
「弓っていうのも大変だね。 銃みたいに攻撃が速くないし、おまけに一度の攻撃のたび――――あれ?」
ディフェンダーが剣を下ろしたとき、既にアーチャーはそこに居なかった。
「でも、銃と違って近接攻撃がしやすいよ?」
「な…」
その機動力を生かし、ディフェンダーの懐に潜り込んだアーチャーは、右腕の関節に矢を突き刺した。
「うぐぁっ…」
ディフェンダーは、右腕に駆けた痛みによろめく。
アーチャーはこの隙を見逃さない。 矢を腕に突き刺したまま、ディフェンダーの胴体を蹴り、自分との距離を取った。 そして、もう一本矢を取り出すと、一気に駆け出し今度は右手首に矢を突き刺した。
「がぁぁ!」
切断とまではいかない。 しかし、二度と渡る右腕の激痛によって、武器を持つことはほぼ不可能だろう。
アーチャーの予想通り、ディフェンダーの右手から、大剣がこぼれ落ちた。 地面に転がる大剣。
アーチャーは、弓に矢をつがえるとゆっくりと近付いた。
「…はぁ…はぁ…。 もう疲れた…」
現在、二人のHPは、アーチャーが変わらず七割とちょっと、ディフェンダーが七割弱だった。
矢尻をディフェンダーの頭に向ける。
腕と違い、頭には装甲があるが、必殺技を使えば、割とどうにでもなるはずだ。
とどめ、とまではいかない。 だが、この攻撃がディフェンダーにとって致命的になることは間違いないだろう。
そう確信し、アーチャーは口を開いた。
「アロー<レー――――」
「あぁぁぁぁ!」
しかし。 目の前にいるその者は、アーチャーの声を雄叫びで遮った。
そして、驚きで硬直したアーチャーをよそに、ディフェンダーは左手で、落ちた大剣を拾うと、大きく横払いをした。
そのとき、ようやくアーチャーの硬直が解けた。 普段のアーチャーならば、この時点でギリギリだが攻撃を交わせたはず。 しかし、疲れきったアーチャーは、反応が遅れた。
彼が気付いた時には、弓を握っていた左腕は宙に舞い、激痛が走った。
「ぐぁぁぁ!!」
アーチャーが左腕を見ると、そこには何もなかった。 肩からなくなっている、と察すると、アーチャーは左腕と弓のもとへ走った。
ディフェンダーに背を向けて。
「いけぇ!」
アーチャーが自分に背を向け、無防備になったことを確認すると、ディフェンダーは大剣を振り上げた。 すると、大剣についていた装甲が外れ、高威力な弾丸となって、アーチャーを襲う。
「あがっ!」
アーチャーの背中に装甲は直撃し、彼は膝から崩れた。 残りHPは一割をきっている。
「お…」
ディフェンダーが、大剣を突き立て崩れ落ちた彼のもとへ走る。
「わ…」
アーチャーが、それから逃げようと、よろよろと立ち上がった。
「り…」
だが、その時にはもう遅かった。
「だぁぁぁぁ!」
ディフェンダーの大剣が、アーチャーの背中を貫いた。
同時に、アーチャーのHPは、0となった――――。
アーチャーが化け物みたいな中学生になってしまった…。
こんなはずではなかったのに…。