アクセル・ワールド レジェンド・ドントゥール   作:四つ葉

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 遅れました!
 駄文かもしれませんが、これでも一応頑張ったつもりです。
 では、どうぞ。


7.弾丸装甲

「アロー<(ボム)>!」

 

 アーチャーがそう叫ぶと共に、爆発音が<世紀末>ステージに木霊した。

 

「おっ…と…。 弓士(アーチャー)といっても、そんな必殺技まであるのか…」

 

 ディフェンダーは、大剣を盾にし爆発によるダメージを防ぐ。

 

「まぁ、当たらなければ良いか」

 

 言いながら、ディフェンダーは腰を低く下げ、大剣を構えてから駆け出した。

 アーチャーは、少しバックステップをとると、弓幹で大剣の軌道を逸らし、更に大剣の剣脊を踏み、大きく跳躍した。

 

 その後、空中で弓に矢をつがえると、ディフェンダーの頭のてっぺんに射る。

 しかしディフェンダーは、とっさのことに反応出来ず、頭を少し傾け、矢の着弾点を頭から肩にずらした。

 

「ぐ…」

 

 いくら重量系といっても、痛みはあるしダメージもある。 アーチャーの弓の攻撃は、僅かにディフェンダーのHPを削った。

 

 ディフェンダーは、肩の装甲に弾かれ落ちた矢を踏んで降りつつ、着地したアーチャーの方を向いた。

 

「いくらバーチャル空間の中といっても…剣を踏んで跳ぶとか、君本当に人間?」

「それは…ほめ言葉と受け取っていいかい?」

「どうぞご自由に」

 

 そして、辺りは静寂に包まれる。

 お互いは、お互いを睨みつけ、ゆっくりと近付いている。 そして――――。

 

「あぁぁぁぁ!」

「らぁぁぁ!」

 

 二人が激突した。

 ディフェンダーは、まるでその大剣が細剣(レイピア)でもあるかのように剣を振り回し、アーチャーに攻撃を当てようとする。 しかしアーチャーも負けてはおらず、素早い動きでディフェンダーの猛攻撃を時には避け、時には弓で防御をし、かいくぐると矢で装甲が薄い肘や膝などを突こうとする。 勿論、そう簡単に当たるわけではない。 大剣を振り回し、位置が定まらない肘に、大剣を避けながら的確に矢を当てるのは至難の技だ。 膝は、すねについたプロテクターが邪魔をしてうまく当てる事ができない。

 ならば、と、アーチャーは一旦ディフェンダーの剣が届く範囲から一気に外に出て、矢を矢筒にしまった。

 

「ハァ…ハァ…あれだけ振り回したのに、一撃も当たらないって…化け物か…」

 

 ディフェンダーは、一旦アーチャーが退避したのを確認すると、大剣を下ろし、肩を鳴らした。

 

「ハァ…ふぅ…まぁ、一応師匠が化け物じみてるからね」

 

 彼女は現実世界で運動神経が高いせいか、この加速世界での機動力はあの脚のおかげもあってかなり高い。 その彼女を師匠にもつアーチャーは、まずは現実世界で身体を動かせるようにし、それから加速世界での身体の動かし方をみっちり教えられた。 その為、アーチャーは遠距離攻撃が主な攻撃方法だが、体術も優れている。

「…はは、その師匠に一度会ってみたいよ」

 

 言いながら、ディフェンダーは大剣を構え直し、静かに必殺技を発動した。

 

武装(アーマメント)<(アーム)>」

 

 と、ディフェンダーの腕の装甲が剥がれた。 そして、剥がれた腕の装甲が、大剣にくっつく。

 

「お…何だか、緑系アバターの長所をなくしてしまうような必殺技だね」

 

 アーチャーが、その必殺技を見て感想を告げる。

「…やはり君も、この必殺技がただ大剣のリーチを伸ばす必殺技だと思っているようだな」

 

 ディフェンダーはマスクの下でにやけながら、大剣を上に構えた。

 

「くらえっ!」

 

 そして、一気に振り下ろす。

 二人の距離を考えると、その斬撃は届かない。

 何をやってるんだ、と、アーチャーが言おうとしたとき、彼は横に跳んでいた。

 本能、というべきなのだろうか。 理由は分からない。 ただ、何かあのまま立っていたらいけない気がしたのだ。

 そしてその理由はすぐに分かることになる。

 

「な…!」

 

 轟音を立てて、アーチャーの背後にあったビルが崩れ落ちた。

「あ、外した! これゲージの消費激しいから外したくなかったんだけどな…」

 

 言うディフェンダーの大剣からは、先程つけた腕の装甲がなくなっていた。

 が、その直後、崩れたビルの残骸から、ディフェンダーに何かが吸い寄せられてきた。 それは、ディフェンダーの腕に近付くと、くっつく。

 

「つけた装甲を…飛ばしたのか…!」

「あぁ。 飛ばしたら武装は解除されるけど、破壊力がとんでもないからいつもすぐ使っちゃうんだよね」

 

 大剣を肩に担ぎ、そう言う。

 アーチャーは、立ち上がると、マスクの下で引きつった顔を微笑みに変えた。

 

「でも、それも避けたから、その破壊力も意味がないよね?」

「ま、そうだね。 これはかなり痛いよ」

 

 悔しそうにそう言う。 だが、彼は剣を構え直すと、こう行った。

 

武装(アーマメント)<(アーム)

「な!」

 

 再び、必殺技を唱えた。

 

「ゲージの消費が激しいって言っても、二回分ぐらいは溜まっちゃうけどね」

 

 そう言って、リーチが伸びた大剣でアーチャーに切りかかった。

 

「く…」

 

 アーチャーは再び弓幹で大剣を逸らす。

 

 ――! 重い…! 確実にさっきより威力が上がっている!

 

 軽く衝撃を受けながら、大剣の猛攻を避けていく。 だが、彼は大剣のリーチが変わった事を忘れていた。

 大剣の横払い。 アーチャーはバックステップをして大剣を交わそうとする。 が、大剣の武装された部分がアーチャーの腹を斬った。

 

「あがっ!」

 

 しっかりと存在するその痛みに呻くも、すぐに意識を敵に向ける。 やはり、彼もバーストリンカーなのだ。 このぐらいのことで隙を見せていられない。

 

「はぁ、ようやく削れた」

 ディフェンダーが、アーチャーのHPを確認し、溜め息を吐きつつ言った。

 

 ――あの斬撃で二割ちょっと削れたな…もう当たらないようにしないと。

 

 アーチャーも自らのHPを確認する。 残り七割とちょっとだ。 対してディフェンダーは九割。

 

 ――腕を狙えば、この差も埋められる!

 

 弓に矢を一気に二本つがえると、まずは彼の右腕を狙う。

 

「そんな真正面から射るのか…」

 

 ディフェンダーは、左側に回避し、尚且つ矢を弾いた。

 

「弓っていうのも大変だね。 銃みたいに攻撃が速くないし、おまけに一度の攻撃のたび――――あれ?」

 ディフェンダーが剣を下ろしたとき、既にアーチャーはそこに居なかった。

 

「でも、銃と違って近接攻撃がしやすいよ?」

「な…」

 

 その機動力を生かし、ディフェンダーの懐に潜り込んだアーチャーは、右腕の関節に矢を突き刺した。

 

「うぐぁっ…」

 

 ディフェンダーは、右腕に駆けた痛みによろめく。

 アーチャーはこの隙を見逃さない。 矢を腕に突き刺したまま、ディフェンダーの胴体を蹴り、自分との距離を取った。 そして、もう一本矢を取り出すと、一気に駆け出し今度は右手首に矢を突き刺した。

 

「がぁぁ!」

 

 切断とまではいかない。 しかし、二度と渡る右腕の激痛によって、武器を持つことはほぼ不可能だろう。

 アーチャーの予想通り、ディフェンダーの右手から、大剣がこぼれ落ちた。 地面に転がる大剣。

 アーチャーは、弓に矢をつがえるとゆっくりと近付いた。

 

「…はぁ…はぁ…。 もう疲れた…」

 

 現在、二人のHPは、アーチャーが変わらず七割とちょっと、ディフェンダーが七割弱だった。

 矢尻をディフェンダーの頭に向ける。

 腕と違い、頭には装甲があるが、必殺技を使えば、割とどうにでもなるはずだ。

 

 とどめ、とまではいかない。 だが、この攻撃がディフェンダーにとって致命的になることは間違いないだろう。

 

 そう確信し、アーチャーは口を開いた。

「アロー<レー――――」

「あぁぁぁぁ!」

 

 しかし。 目の前にいるその者は、アーチャーの声を雄叫びで遮った。

 そして、驚きで硬直したアーチャーをよそに、ディフェンダーは左手で、落ちた大剣を拾うと、大きく横払いをした。

 そのとき、ようやくアーチャーの硬直が解けた。 普段のアーチャーならば、この時点でギリギリだが攻撃を交わせたはず。 しかし、疲れきったアーチャーは、反応が遅れた。

 彼が気付いた時には、弓を握っていた左腕は宙に舞い、激痛が走った。

 

「ぐぁぁぁ!!」

 

 アーチャーが左腕を見ると、そこには何もなかった。 肩からなくなっている、と察すると、アーチャーは左腕と弓のもとへ走った。

 ディフェンダーに背を向けて。

 

「いけぇ!」

 

 アーチャーが自分に背を向け、無防備になったことを確認すると、ディフェンダーは大剣を振り上げた。 すると、大剣についていた装甲が外れ、高威力な弾丸となって、アーチャーを襲う。

 

「あがっ!」

 

 アーチャーの背中に装甲は直撃し、彼は膝から崩れた。 残りHPは一割をきっている。

 

「お…」

 

 ディフェンダーが、大剣を突き立て崩れ落ちた彼のもとへ走る。

 

「わ…」

 

 アーチャーが、それから逃げようと、よろよろと立ち上がった。

 

「り…」

 

 だが、その時にはもう遅かった。

 

「だぁぁぁぁ!」

 

 ディフェンダーの大剣が、アーチャーの背中を貫いた。

 同時に、アーチャーのHPは、0となった――――。




 アーチャーが化け物みたいな中学生になってしまった…。
 こんなはずではなかったのに…。
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