正義を目指す竜殺し《完結》   作:山中 一

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第二話

 ジークフリート。

 ドイツの国民的叙事詩『ニーベルンゲンの歌』の主人公の名だ。

 ネーデルランドの王子であり、若くして悪竜ファフニールの討伐に成功。その際にファフニールから流れた血を浴びて如何なる刀剣をも無力化する不死身の肉体を得たという。その際に菩提樹の葉が張り付いて竜の血を浴びれなかった背中を裏切りの刃で貫かれるまで敗北はなく、多くの希望と恨みを一身に背負って戦い続けた紛うことなき大英雄。

 その伝説の英雄と同じ名を持つ青年は、ヘラス帝国の第三皇女一行を襲った異形の群れを相手にして一歩も引かず、それどころか圧倒してみせた。

 一匹も取り逃さず、その尽くを殲滅し、死すら覚悟した一行を救い出したのである。

 なるほど、それは英雄ジークフリートの名を持つに相応しい偉業ではあるまいか。これほどの圧倒的実力を持つ者に出会ったことはない。

 ヘラス帝国という魔法界の南半分を領有する広大な国の皇女に生まれたテオドラは幼いながらも聡明な頭脳の持ち主だ。

 異形の群れに襲われて涙を流すこともなく皇族としての誇りを最後まで誇示して戦おうと自ら杖を握るほどのじゃじゃ馬でもあった。

 そんな彼女は、当然ながら帝国の武勇に秀でた猛者たちと顔見知りだ。

 今は戦時中。

 そうした猛者たちは戦場に兵士として送り込まれ、ある者は武功を上げ、ある者は志半ばで倒れた。これが戦争だ。ならば、自分たち皇族もまた、ひょんなことから命を絶たれることはあろう。その可能性を考えないことはなかった。

 敵の手が入った自分の護衛兵に裏切られ、魔物の群れに襲われた際にはもはやこれまでと覚悟したものだが、それも輝ける聖剣の持ち主との出会いで杞憂に終わった。

 感謝してもしきれない夢のような出会いであった。

「なあ、ジーク。そなた、このままヘラスに来てはもらえんか?」

 要請を受けてやってきた救命艇の中で、テオドラはジークフリートに提案した。

「ヘラスとは首都のことだろう。旅の最終的な目的地に定めていたので、ありがたい申し出だが……そういうことではないのだろう?」

 単純に、ヘラスに連れて行ってくれるというわけではない。当然のことであろう。テオドラは大きく頷いた。

「もちろんじゃ。そなたにはとりあえずはヘラスまでの護衛を依頼しているところじゃが、その後の護衛も頼もうかと思っておるのじゃ」

 そのテオドラの発言を聞いて、侍女たちが再び制止しようと声を荒げた。

 その侍女たちにテオドラは反論する。

「ジークフリートの実力は見たじゃろう。現状、彼を上回る護衛役がいるのなら、妾に教えて欲しいものじゃな」

「そ、それは……しかし、どこの誰とも知れぬ方を王宮の中に連れ込むなど」

 テオドラを護衛するということは、その王宮にまで足を踏み入れることになるということだ。ならば、その身元はきちんと保証されている者でなければ勤まらない。実力だけで、王宮に踏み入っていいということにはさすがにならないのだ。

「確かにその侍女殿の言うとおり、野良犬を王宮に連れ込むわけにはいくまい。ありがたい申し出ではあるが、貴殿の身に関わることでもある。あまり滅多なことを言うべきではない」

 静かな口調でジークフリートは言った。

 テオドラはまさか拒否されるとは思っていなかったのか、意外そうな顔をした後で不満そうに頬を膨らませる。

「だ、だが、そなたの力は帝国に必要じゃ。まかり間違って国外に出られるのは国益を害しかねないし今は戦時じゃ……」

 テオドラの言いたいことも分かる。

 大規模な戦争という帝国の未曾有の危機なのだ。その中で単騎で一軍と張り合える逸材を取り逃がしたとあっては、テオドラ自身の身に危険が及びかねない。第三皇女という立場はそれだけ危ういのだ。戦争とは別の権力争いもあって、彼女はそうした失点が許されないのである。

 戦争のゴタゴタを利用して政敵を葬り去るというのはは古今東西に変わりなく存在する普遍的な政変である。

「護衛がだめならば、傭兵として雇われてはもらえぬか? 繰り返すが、強大な敵国に相対する今、そなたのような猛者は一人でも多く必要としている時期なのじゃ」

 帝国の正規兵だけでは戦線を維持できない場合には傭兵が雇われる場合もあるという。

 しかし、本来傭兵は金で武力を買うだけの存在で忠誠心は無に等しい。スパイの問題もあり、帝国はよほどの実力者でない限りは雇うことはなく、そしてよほどの実力者は正規軍の中で頭角を現すので結果的に傭兵の採用数は戦時ながらも増えてはいない。その内、国民の中から徴兵することになったのなら、傭兵の存在自体が正規兵に置き換えられることになろう。今後も増える見込みはないのだが、ジークフリートのようなこれはという人物には特例的に傭兵身分を与えることはままあるらしい。

「なるほど……傭兵か」

 正直なところ正規兵か傭兵かなど、ジークフリートにしてみれば大した違いではない。今になって名声には興味はなく金については言わずもがな。その体質から放っておいても生活していけるだけの資金は手に入る。戦場に出るということも、彼の実力ならばそうそう遅れを取ることはないだろうと言い切れる。問題は、この世界の戦争に自分が介入していいのかという点だ。

 受肉したとはいえ、元は人智を超越した英霊。単独で戦争を遂行するだけの戦闘能力を有している。そんなジークフリートが、迷い込んだだけのこの世界の戦争に参加していいのだろうか。

 これはあくまでも彼の気持ちの問題だ。

 誰が咎めるものでもない。

 だが、この世界が抱える諸問題や各国の政治的思惑も知らず、戦いの場に出ていいのだろうかという疑念は消えない。

 力ある者の責務は弱き者のためにその力を振るうことである。

 人界を離れたジークフリートが人の世の政治に関わるのは反則ではないだろうか。

「まあ、すぐにとは言わぬ。そなたの力を前に無理矢理などというのは被害が大きくなるだけだしの」

「そうか」

 とだけ、ジークフリートは答える。

 難しい問いである。

 テオドラが心からジークフリートの力を欲しているのは分かるのだ。

 だが、応えていいものか。

 サーヴァントとして魔術師に力を貸していたころと今とでは状況が違いすぎるのだ。

 請われたから助けたというだけでは、その結果の大きさが異なる。国家間の戦争と聖杯を巡る戦争とでは、その意味合いが根本的に異なるのだ。

 単なる願望機としてのあり方だけでは、無味乾燥としたかつての二の舞になろう。

 考えることに意味があると信じ、ジークフリートは首都ヘラスへの道中を思案に費やすこととなった。

 

 

 

 ■

 

 

 

 ヘラス帝国首都ヘラス。

 魔法世界南部の中で最大規模の都市であり、帝国内に於いては最も技術レベルが発達した都市でもある。

 救命艇から見下ろすビル群は、文明の発展具合を如実に表しており知識でしかこうした風景をしらないジークフリートにとっては衝撃的でもあった。

 サーヴァントとして召喚されたルーマニアも首都に行けばこのような景色が溢れていたのだろうが、生憎と主戦場となったトゥリファスはユグドミレニアの一族が魔術的に管理している特殊な都市で中世の様相を明確に残した街並だった。それすらも、五世紀ごろに活躍したジークフリートには珍しい光景であったが、光り輝くという表現が似つかわしい近代都市のビル群を前にしては人類の栄光を思わずにはいられなかった。

 人間は自然から独立し、世界の中心となった。

 誰かがそのようなことを言っていたような気がする。

 この景色を見れば、あながち間違いではないだろう。

 天に届かんとする高層ビルは、神話に伝わるバベルの塔のようで、ここが神代であったならば神に唾する行為としてその怒りに触れただろうに。

 喜ぶべきではあろう。

 この恩恵を人々が受けているのならば。

 一行が地上に降りた時にはすでに日が暮れていた。

 夜の闇は大都市ならではの人工の灯りに駆逐されており、昼間のように明るい街並は活気に溢れていた。

 戦時ではあるが、その影響は首都にまで及んではいないのだろう。

 大国の国力ならば、ありえる話だ。

 国力を総動員しなくても、正規軍だけで戦争が遂行できるのならば、一般人からすればテレビや新聞の中での出来事にしかならないのだから。

「姫様。よくぞご無事で」

 帝国の第三皇女が襲撃を受けるという衝撃的な事件に帝国の上層部はかなり慌しくなっていたようだ。

 スーツ姿の女性とその後ろに護衛の正規兵二〇人が、テオドラ一行を出迎えていた。

「事情は窺いました。申し訳ありません。まさか、護衛兵に裏切り者がいるなどと……あってはならぬ大失態」

「よい。こうして戻ってきたのだからな。裏切り者には然るべき処置をするべきじゃが、そなたは関わりないことであろう」

「わたしは確かに姫様の護衛ではありませんが、姫様付きの侍従長としてその身辺に気を配る義務がございます。だというのに……く、なんと口惜しい」

「大袈裟じゃのう……」

 初老を迎えた頃の女性は、名をメイリンという。

 彼女が言ったとおり、テオドラ専属の侍女や執事を束ねる侍従長の役職にあった。

「魔族の群れに内側からの裏切り。妾たちだけではどうすることもできなかったが、ジーク殿のおかげで事なきを得たぞ」

「ジーク……?」

「あの者じゃ」

 と、テオドラはジークフリートに視線を向けた。

 ローブを羽織った偉丈夫という印象の青年が、一行の最も後ろに立っている。

「ジーク殿がおらねば妾はやられていたじゃろうな。そこで、此度の働きの礼をしたいのじゃが」

「承知しました。あの方については、こちらで対応を協議します。近くの庁舎にいらしていただき、然る後王宮にご案内するよう取り計らいましょう」

「むぅ、まあ、それが妥当かのぅ……」

 叶うことならば、この足で王宮に来てもらい贅を尽くした料理などで歓迎したいところだったが、セキュリティを考えるとやはり難しいところなのだろう。

「じゃが、ジークには王宮の前までは護衛を続けてもらうぞ。妾はそういう契約をしたわけだからな」

「またそのような契約を……まあ、仕方ありません。契約を履行しないというわけにもいきませんからね。順序が逆になりましたが、姫様をお送りした後、ジーク様を庁舎にお連れしましょう」

 侍従長はそう言ってテオドラのわがままを認めた。

 ジークフリートにその旨を説明した後、馬車に乗り合わせて移動することとなった。

 綺麗に舗装された石の大通りを快調に走る馬車は、揺れも少なく乗り心地は非常にいい。荷車などとは比較にならない、などとジークフリートは場違いな感想を抱く。

 この馬車にも何らかの魔術的な守りが施されているらしい。それだけでなく、構造上の欠点を補うように振動や騒音の抑制などの効果がある魔法がかかっているようだ。実に便利に、魔法を生活の中で利用している。これが、彼の時代にあれば、豊かな国土を作り上げることも夢ではなかっただろうに。

 魔術は秘匿されるものという時代だったのだから仕方ないだろう。神代に於いても基本的な考え方は同じだった。この世界の魔法使いとは、根本的に思想が異なる。科学と魔法を同じ尺度で扱うこの世界は、科学技術以上に気軽に便利さを供給できる魔法がより発展したと見るべきだろう。その分、神秘性は大いに薄れてしまっているようだが。

 馬車の窓から見える景色は、やはり異国情緒に溢れたもので、しかしどこにでもある普通の光景だった。

 母親に手を引かれて歩く子どもがいて、酔っ払いの喧嘩を止めようとしている仲間がいて、恋人と腕を組んで歩いている者たちもいる。仕事帰りなのか疲れたような表情の男や、家族連れで外食にでもいくのだろうか、談笑しながら歩いている一家がいる。

 どこにでもある日常の風景だが、知識でしか知らないジークフリートにとってはこれすらも物珍しい。

 五世紀のネーデルランドにも、二十一世紀のトゥリファスでも見れなかった光景なのは間違いない。

「とても、戦時中とは思えんな」

「グレートブリッジを落とした今、我が国は王手を打ったに等しい状況ですから」

 と、馬車の向かいに座るメイリンは言った。

 何でもグレートブリッジはメセンブリーナ連合の盟主たるメガロメセンブリアの喉元に当たる巨大要塞だという。三国志に言う虎牢関のような破られると一気に戦線が瓦解するという重要な軍事拠点なのだ。そこを、帝国を奪ったのだという。現状を見れば、帝国の勝利は目前であり、連合の旗色はかなり悪い。ヘラス帝国の首都が、このように活気があるのも、戦局を優勢に運んでいるからであろう。

「俺は南の田舎の育ちで国政には疎い。この戦争というのも詳しい事情は知らないのだが、この際教えてもらえると助かる」

「……なんと、そなたそれも知らんのか?」

 テオドラがさすがに驚いたという風に目を見開いた。

 当然であろう。

 戦争というのは国家の一大事だ。テレビもあれば新聞もある今の時代、帝国は必死になって戦争の正当性をアピールしており、戦況を「我が国有利」と喧伝している。そのような時代にあって、まさか戦争について何も知らないとは驚く以上に呆れてしまう。

「ずいぶんと田舎なのですね。あなたの出身地は」

「面目ない。何分、山野を駆ける生活をしていたものだからな。近くに集落がありはしたが、そこに定住するということもなかった」

「どんな生活ですか、それは。帝国の臣民として、少し問題があるようですね。いえ、それ以上にそのような生活をしている者を把握していなかった行政の怠慢ですか」

 頭を抱えるような仕草をするメイリン。

 所在不明な民がいるとなれば、税収にも影響しよう。ジークフリートの存在は戸籍ですら確認できないのではないか。となれば、彼の氏素性は、彼の言葉でのみ確認できるということになってしまう。

「まあ、戦災孤児の問題もありますし、戸籍については課題が多そうですね」

 もちろん、侍従長が出張るような問題でもないのだが、国家の内部に多少なりとも関わる身としては行く末が心配である。たとえ勝利したとしても、やるべきことが山積することに変わりはない。

 ため息をついたメイリンは、それでも面倒くさがらずにジークフリートに概略を話してくれた。

 始めは些細な辺境での諍いだった。

 それが、徐々に悪化して武力衝突に繋がった。戦争が大規模化したのはヘラス帝国のアルギュレー・シルチス亜大陸侵攻からではあるが、それ以前のぶつかり合いについては帝国と連合のどちらが先に手を出したのか判然とせず、互いに相手が先に仕掛けてきたと言い分をぶつけ合っているのだそうだ。

 ヘラス帝国の目的はすべての文明の発祥地とされる聖地オスティアの奪還。亜人間(デミヒューマン)の夢である聖地を取り戻すための聖戦と位置づけられているのが、この戦争なのだという。

「ずいぶんと、話が飛躍していると思えるが……」

「飛躍? どこがです。帝国民の夢こそがオスティアの奪還ですのに」

「だが、当初は小さな諍いだったのだろう」

 そこでなんらかの手を打てば戦争などには至らなかっただろう。

 聖戦を初めから想定していたわけではなく、戦線を拡大する目的で設定した後付のようにも聞こえたのだ。もっとも、戦争するからには大きな目的や大義がいるのも事実。政治的に耳に心地よい目的を設定するのも為政者の役目とも言える。

「この戦争も終戦間際です。先ほど申し上げたとおり、グレートブリッジはすでに陥落しています。オスティアの奪還作戦こそ失敗に終わりましたが、勝利すれば手に入ります」

「勝ち戦、というわけだな」

「はい。わたしは戦争には疎いので厳密なことは申せませんが、公の情報では負けるとは思えません」

「なるほど」

 では、この戦争も近いうちに終わるのだろう。

 犠牲者が少ないことを願うばかりだ。

 実際の戦場を見たわけでもないので、判断は付かない。が、戦争が佳境に突入しているのならば、ジークフリートが介入することもなく終わるだろう。それが、最もよい終わり方だ。

 どこかしら納得できない部分を抱えながらも、そう自分を納得させようとしたときであった。やおら立ち上がる魔力の気配にジークフリートの戦士の勘が気付いた。

 殺意にも似た魔力が馬車の直下で湧き上がる。その瞬間、ジークフリートは迷うことなく横に腰掛けるテオドラと正面のメイリンを引き寄せて外に飛び出した。

 超越者に相応しい体技だからこその奇跡。

 ジークフリートが車外に出たのと時を同じくして、馬車が下方からの突き上げを食らったかのように宙を舞い、炎の中で燃え落ちた。

「なぁ……!?」 

 テオドラが目を白黒させ、メイリンは理解が追いつかないとばかりに呆然としている。馬車を引いていた馬は地面に転がり、荒く唸っている。命は助かったらしいが、これでは安楽死を選ぶほかあるまい。いや、この世界の魔法技術ならばまだ救いようはあるか。それよりも――――、

「怪我はないか、二人とも」

「え、あ、はい。何とか、ひ、姫様」

「無事じゃ。また、ジークには助けられたの」

 ふぅ、と気を抜いたのかテオドラは吐息を漏らす。

 周囲に喧騒が戻ってきた。

 突然の爆発により、道路は陥没し燃える馬車の残骸が転がっている惨状に、周囲にいた民間人は恐れ戦いた表情を浮かべている。

「姫様!」

「ご無事ですか!?」

「御者はどこにいった!? 探せ!!」

 前後を走っていた警備用の馬車につめていた正規兵たちがぞろぞろと出てきた。

「御者がいないな」

 ジークフリートは周囲に視線を走らせる。

 馬車の外に飛び出た時にはすでにいなかった。爆破魔法に巻き込まれないようにするために、馬車を離れたのは疑いようがなかった。

「何者か知らんが、テオドラ姫を狙う輩は執拗だな。魔族の襲撃を生きて帰ってきた場合を想定していたらしい」

「そんな……彼は、長年皇家に仕えてきた御者です、何かの間違いです」

「それは俺には分からん。捕らえてみないことにはな」

 すでに正規兵たちが、慌しく各所に連絡を入れている。

 帝都での第三皇女を狙った爆破テロだ。大々的に報じられるだろうし、警備も一層厳重になるだろう。

 戦争、という言葉を思い起こさない者はいない。

 勝ち戦のはずなのに、と社会不安が増大する懸念がある。

「テオドラ姫が無事なのが不幸中の幸いだったな」

 ジークフリートは呟いた。

 これで、テオドラに何かあっては、連合憎しの声が高まり激烈な報復戦に墜ちていった可能性がある。恨みや復讐は戦争の原動力ではあるが破滅の要因でもある。それは、ジークフリートだからこそ実感を持って断言できることだった。

 しかし、テオドラが無事だったということは、そういう意味で救いなのだ。

 死者は取り戻せないからこそ、死の原因に向けられる憎悪は巨大化する。生きてさえいれば、憎悪の成長は抑制されるのだから。 

 


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