Fate/strange fake Prototype -Another Player- 作:縦一乙
カルキは、倒れたまま己が置かれた状況を再確認することになっていた。
度重なるイレギュラー要因に、想定外の宝具、思わぬ反撃。特に最後の一撃はカルキをして無視することはできなかった。
確かにカルキの肉体に与えたものとしては、神槍の一撃の前に霞んでしまうだろう。それでもカルキの最終英雄としてのプログラムに与えた衝撃はその比ではない。いかなる神や英雄、あるいは世界そのものを敵にして破壊するとされる最終英雄が、ただの塵芥と断じた者に想像を遙かに超えるダメージを負わせられた。
これは由々しき事態だ。
あってはならぬことだ。
動揺ともとれるカルキの内部葛藤に、予め施された自己診断スキル――システムが自動起動する。
目的。
世界の破壊と再生。但し内部時間と外部時間に著しい誤差を確認……内部時間を優先。問題なしと判断。
手段。
救世剣ミスラの完全解放。救世剣ミスラの機能チェック……無問題(オールグリーン)。
肉体機能。
肉体機能低下は甚大、平常時の一割以下。修復は不可能。戦闘機動にも問題あり。既定出力が期待できない部位は排除。その他バイパスやエミュレートを施して機能回復に努めるが戦闘出力は不可能。
スキル。
最終英雄カルキ固有スキル“粛正権限”発動を確認。同固有スキル“全能(ジ・オール)”“世界支配”“物理無視”“魔力否定”発動不可。神性の獲得に失敗。同じく基本情報の取得にも失敗。条件付き解放スキル一〇八種確認。“技能置換”スキルにより高ランクスキル“無我”“精神遮断”を低ランクスキル“物理保護”“戦闘続行”に緊急置換。
魔力。
魔力の枯渇は甚大。理想値のコンマ一パーセント以下。魔力の補填は効率面から改善不可能。魔力放出をはじめ各種魔力消費スキルの使用を控えることを推奨。現在応急処置として救世剣の備蓄魔力を反転流入。通常出力での救世剣使用限度回数、残り三。
残り時間。
最大五三二秒。ただし、救世剣の完全解放には最低四〇秒必要――
「――――」
自己診断が中断される。
カルキが大人しくしていた時間は、わずかに三秒。倒壊したビルの下敷きになり、いまだ粉塵立ち上るこの状況にあって、カルキは周囲の塵芥をはっきりと敵と認識する。
数百トンに及ぶ瓦礫にカルキの視界は完全に封殺されている。それでもカルキはこちらに秒速三〇キロメートルで近付く存在を四つ確認した。突入コースを逆算すれば、発射元は神槍と同じ。弧を描く軌道を確認する限りでは、神槍のように物理法則を無視するような機能はないと判断する。ただし、あの質量の物体があの速度でぶつかればカルキはともかく地球がただではすまない。
粛正の顕現たるカルキではあるが、絶滅させては元も子もない。
救世剣が、再度の唸りを上げた。
真上に折り重なっていたビルは音もなく光の柱の中へと消失し、高度約二〇〇〇メートルで四つの質量兵器も蒸発させる。そしてそれだけではカルキは済まさない。更に救世剣の光は大気圏外にまで伸びていき、そのまま衛星軌道上の《フリズスキャルヴ》へと直撃させる。些か無理をしたが、これで《フリズスキャルヴ》へ帰還しようと暴れる神槍が大人しくなる。
救世剣使用限度回数、残り二。
最後の全力解放を考えれば、使用できるのは残り一回だけ。それでも、神槍を抑える必要がなくなった分だけ、リスクは大幅に軽減できていた。
肉体の欠損は著しい。
精神と魂の強度を落としてでも肉体強度を保たさねば一分と保たず崩壊していたことだろう。置換したスキルでどうにかなりはしたが、既に手遅れな部分も多い。機動力を上げるため余分な肉は排除すべきであるが、どうせ捨てるのならばこれを利用しない手はなかった。
「■■■■――――」
カルキの身体が、崩れる。いや、周囲の肉を刮ぎ落とすようにして小さくなる。相変わらず神槍はその胸を貫いたままだが、周囲に撒き散らされた肉の一部はぴちぴちと魚のように跳ねている。
いや、それは魚そのものだった。
そこにいるのは魚だけではない。カルキの肉から生み出されたのは、他にも亀や猪、獅子頭人身や矮人まで合わせて四〇程産み落とされた。
宝具《九界聖体(ダシャーヴァターラ)》。
それはヴィシュヌがかつて変化してきた姿の一つ。マツヤ、クールマ、ヴィラーハ、ハラシンハ、ヴァーマナである。崩れ落ちるカルキの血肉に魔力を与えることでカルキは即席の軍隊を作り上げる。カルキ単体で周囲の塵芥を掃討するよりよほど効率的に動くことができる。
「――ほう。わざわざ自らを弱めるとは。あまりに愚かではないか?」
瞬間、この場で唯一生み出された矮人が銀の鎖に巻き付かれた。
「どうやら上位の化身になればなるほど生み出せぬようだな。ふん。逆に貴様の力も底が見えた。せっかくの出番が台なしにされると焦る必要もなかったか」
周囲は救世剣により舞台が整えられている。
ビルの瓦礫はすり鉢状に抉られ、古代の闘技場を彷彿とさせていた。唯一異なるのは、闘技場の中心と観客席とで陣営が分けられている点か。
そのまま、矮人は鎖に潰され首と胴が離れて落ちる。
《王の軍勢(アイオニオン・ヘタイロイ)》が、二度現れる。
魔力が尽き脱落した者もいるために数は減ったが、それでもまだ一〇〇を超える歴戦の魔術師が宝具を手にカルキと《九界聖体(ダシャーヴァターラ)》を包囲していた。この歴然とした実力差でありながら、それに屈した者は誰もいない。彼等をこの場に立たせる理由は我欲に違いないが、それより彼等の背後に王が佇んでいることが大きかった。
アーチャーが居る限り、彼等の戦意は揺らぐことはない。
乖離剣は、まだ出さない。その代わりこれ以上にない程多くの宝具を宙へと浮かび上がらせる。
カルキも先のように無視する真似はしない。力任せに突撃する真似もせず、相手の動きを読んでいる。
戦術をカルキは解していた。逆に言えば、それは戦術を解さねばならぬ程カルキが窮地に陥っている証左でもある。
「――貴様らは周囲の雑魚を相手にせよ」
張り上げ宣言するアーチャーの声にヘタイロイはただ一言をもって答える。もう戦端はいつ開かれてもおかしくはないが、まだだ。
まだ、役者が出そろってはいない。
「ついでにお前にも言っておこう。我の邪魔だけはしてくれるなよ?」
それは誰に言ったものなのか。
アーチャーの声に応じるように、四つの影が轟音と共に空を縦横無尽に駆け巡っていた。
カルキも異形の巨人であったが、彼等もそれに負けず劣らず異形の巨人であり、そして鋼鉄の巨人でもあった。
全高五メートルもある超巨大パワードスーツ。
《フリズスキャルヴ》のオプション兵装、無人機《エインヘリヤル》の試作機。
先の質量兵器は実をいえばこの試作機を地上へ運ぶための突入殻でしかない。武装も未完成で実証試験も行っていないため最初から搭載していないが、それを補う手段は地上で用意してあった。
『おっと、招待状も貰ってないのによく気付けたな?』
「ふん。一度は俺を謀り嵌めたのだ。露払い程度には役に立つのが当然であろう」
アーチャーの声に応じ、パワードスーツの外部スピーカーから劇作家の声が出力される。だがその中にキャスターの気配はない。
当のキャスターは、未だ地の底でスノーホワイトを前にしている筈だった。
アーチャーの頭の中には基地の図面が叩き込まれている。基地の被害は“偽りの聖杯”の頭上と地上部のみ。“スノーホワイト”が設置されている場所はほとんど無傷の筈。キャスターの動きこそ知りはしないが、戦闘能力のないキャスターが役に立つためにはスノーホワイトに行くしかない。
最初から、アーチャーはキャスターが生きていることを前提として動いていた。どこかで何かを仕掛けるとは思っていたが、こんな玩具を用意しているとはさすがのアーチャーも予想していなかった。
「それで、使えるんだろうな、その木偶の坊は」
『愚問だな。試作機ではあるが、機動性に問題はねえよ。対ライダー戦で蓄積されたデータも適用済みだ。
それに、こいつもある』
四機のパワードスーツはその手に闇色の剣を持っている。
形は違えど、その剣にアーチャーは見覚えがある。
あの南方砂漠で異形の生物を閉じ込めていた時間の匣。
《方舟断片(ノア)》。時間停止の拒絶結界。
モード“剣”。
『間違っても触れないように気をつけておけ。三次元空間にあってこれに触れて斬れないものはないぜ?』
時間制御を行う《方舟断片(ノア)》に必要なのは魔力などではなく、それを制御するために必要とする計算式の入力である。
モード“檻”のように形に留めておくだけなら空間座標を固定するだけで放置もできる。が、剣のように絶え間なく振るおうとするならば、その動きに合わせて空間座標をリアルタイム演算をし続けなければならない。
本来ならば持ち主がそれを自力で行うしかない。だが、それをスノーホワイトが代理演算を行うことで、四機のパワードスーツは最強の矛と最強の盾までも自由に扱うことが許される。
カルキにとって予想しようもないことだが、最初の一撃でスノーホワイトか通信設備のいずれかが破壊されていればこんな手段を取ることは不可能だった。おかげでキャスターはスノーホワイト制御室に閉じ込められることになったが、そんなことは些事に過ぎない。
今ここで、最終決戦に参戦できる。この一点だけが、重要なのである。
英霊として、この地に立った。
ならば、キャスターとしてここで役に立たねば意味がない。
「さて。もうここで名乗りを上げぬと言うのなら、それはそれで構わないが――お前が役立つ場面は他にはないと思うのだが?」
再度、アーチャーは周囲に問いかける。
その顔は厳しくもありながら愉快そうに笑っている。
呼びかけられた人物はアーチャーから隠れている――わけではない。何せ彼は当のアーチャーがヘタイロイと共に連れてきたのだ。今更隠れる必要などどこにもない。ただ、ホテルの高級スイートルームに薄汚く汚れたホームレスが迷いこんだように、場違いな雰囲気に出てくるのを躊躇っていただけ。
バーサーカー。
この場の誰よりも弱い彼は、アーチャーの後方からしぶしぶ出てきた。
「私に何をさせようと言うのだね? 今の私はキャスターよりもひ弱だぞ」
「なら舞台くらいは整えろ。それぐらいしかできぬのであろう?」
ぼやくバーサーカーに有無を言わせぬ口調でアーチャーは命じる。
本性を暴かれ変身能力を失った今、バーサーカーに残されたのはひ弱な魔術師としての肉体と、唯一残された宝具《暗黒霧都(ザ・ミスト)》のみ。
バーサーカーとて、理解している。
カルキを相手取る上で一番やっかいなのは、ここでカルキに逃げられることだ。どこまで通用するのかは怪しい限りだが、この状態のバーサーカーであっても役立てる可能性がそこにあるなら、やらない選択肢はない。
バーサーカーにとって重要なのは、カルキの目を誤魔化すことなのだ。
「いいだろう。私は結界の形成と維持に専念する。余波だけで死にかねぬから、十分気をつけてくれ」
キャスターとは真逆のことを言いながら、バーサーカーは黒い霧を周囲に生み出して結界を構築し始めた。
「三分だ。それまでに結界を完成させる。それまで死ぬな」
「誰にものを言っている?」
『時間稼ぎは良いが――別に、アレを倒してしまっても構わんのだろう?』
得意げに言ってみせるキャスターをアーチャーとバーサーカーは無視することにした。ここで突っ込みを入れている猶予などありはしない。
ここに至って、ようやくカルキも焦れたように動き始めた。
カルキがこちらの時間稼ぎに付き合ったのは、生み出した《九界聖体(ダシャーヴァターラ)》がその身体に魔力が定着し自由に動けるまでの時間を稼ぎたかったからに過ぎない。そしてそれは十分に果たされた。
もはやカルキにこちらに付き合う理由はなかった。
「■■■■■■――――ッ!!!」
戦叫(ウォークライ)。
それが意味するのは鼓舞か、威嚇か。
何であれ、カルキの攻撃意志や敵意が向けられたことは喜ばしいことだ。
アーチャーは、キャスターは、バーサーカーは、ヘタイロイは、ここでようやく敵と認識されたことに安堵する。
背に冷や汗が伝い、心拍数が上がってくる。
戦端は、開かれた。
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一番槍は、キャスターだった。
アーチャーが放つ宝具の群れと同速に、四機のパワードスーツは低空を疾駆する。
味気ない機体番号しか付けられていないのでキャスターは彼等をアトス、ボルトス、 アラミス、ダルタニアンと名付けていた。どれも三銃士に出てくる騎士の名である。
三銃士の背面に備え付けられているスラスターが爆音を上げる。機体の各所は試作機でありながら設計限界を超えた出力を得ていた。機体の全システムをスノーホワイトが掌握しているのだ。人間には真似できぬマイクロ単位の精度で機体はコントロールされている。
カルキを称して巨人と言わしめたが、カルキが《九界聖体(ダシャーヴァターラ)》を生み出し小さくなったこともあり、三銃士の巨大パワードスーツと同じ程度の大きさでしかなくなった。これなら、対人戦闘プログラムも有効に作用することができる。
三銃士は二機ずつに分かれ、カルキの左右から挟撃する。
申しわけ程度に装備されていた火器はカルキには通用せぬと判断し、最初から投棄している。故に装備は《方舟断片(ノア)》の“剣”のみ。これが通用するかは試してみない限りキャスターにも分からない。
両者の距離を縮めるのに一秒もかかりはしない。
その間にも暴風雨が如き数と勢いで宝具が叩きつけられながら、カルキは先と異なり無傷のまま耐え続けている。小さくなったのは《九界聖体(ダシャーヴァターラ)》を生み出しただけではなく、その密度を高め防御力を上げるためであった。あの英雄王の攻撃も、短時間では目眩まし程度にしか機能していない。
だがそれだけで十分すぎる。
カルキは、この《方舟断片(ノア)》の“剣”の威力を知らないのだ。
だから振るわれるアトスの刃を、カルキは避けることもせずに救世剣で迎え入れる。
ここまで魔術の粋を凝らしたものになってくると、既に概念と概念の戦いだ。互いの秩序はどちらも神域。救世剣は解放することで破壊と再生を行い、対してこちらは時間の固定化を常時行っている。
真っ正面から打ち合う場合、意表を突ける分だけ有利である。
機械の巨人と、異形の巨人がぶつかり合った。
それだけで、空間が、振動した。
三次元を斬り割く四次元の刃に理論上斬り裂けぬ存在はない。分子間結合がいかに強かろうと、時間という存在をその刃は強制的に止めるのだ。時の流れに差違が生まれればそこには断層が生まれる。その摂理に抗うのは世界を壊すことよりも難しい。
そんな一撃を、救世剣は見事受け止めていた。
用意できる宝具の中では随一であった一撃だけに、キャスターはこの事実を忌々しく思うが、どちらかといえば驚愕したのはカルキの方。
カルキの膂力と救世剣であれば、力技だけで壊せぬものなどそうそうあるものではない。神槍グングニル、創生槍ティアマトと立て続けに遭遇したというのに、まだその次が用意されている。
しかも、そんな“剣”が四つもある。
「■■■■■■――――ッ!!!」
惜しむらくは、その“剣”の襲撃にタイムラグがあったことが、カルキを仕留めるチャンスを無為にした。タイミングをずらすことで避けにくくする魂胆だったが、それが裏目に出た瞬間である。
火花を散らしながらカルキは救世剣を無理矢理に引き戻し、その巨体を俊敏に動かして神速でボルトスの一本を迎撃する。
これまで力押ししかしなかったカルキが、この瞬間から剣技を使用してみせる。救世剣と自らを一体とみなし、重心移動をもって回避と迎撃を同時に実行する。アラミスの“剣”が軽く擦るが、致命傷には至らない。これで三本までどうにかなったが、四本目はどうあっても逃れられはしない。
方法は他にない。
魔力放出により攻撃と離脱を同時にカルキは行うが、ここまでくればその手は読まれている。ダルタニアンは攻撃を諦め、スラスターを噴かせて大きく跳躍することで凶悪な魔力放出から難を逃れる。
「たわけ、仕留め損なったか」
『すまんっ』
距離を取るカルキに反撃の隙を与えぬよう、アーチャーは執拗に宝具で爆撃しながらキャスターを罵る。
キャスターは前衛として立派に機能することは分かったが、いかんせん、カルキに危機感を抱かせてしまった。ただでさえ巨人の力を持つ敵でありながら、それ上に剣技まで習得されてはより一層やっかいになる。
『だが、このまま封じることはできそうにないが、奴の身体に《方舟断片(ノア)》の“剣”は有効だ。あのやっかいな救世剣を抑えて数で押し切れば、奴を倒せる』
キャスターの言葉は希望であると同時に楽観論だ。
アーチャーが言うのもおかしな話であるが、アーチャー達はカルキの傲慢さを利用して何とか戦っているに過ぎない。カルキが己の目的を何もかも放棄してしまえば、自分達など一瞬で蹴散らされてしまう。
カルキの対応能力は常軌を逸している。
スノーホワイトが一体どれ程のものかアーチャーは理解していないが、それでもカルキ相手に人形では力不足。一度見せた技は通用せぬばかりか、逆に利用されかねない。動きを解析し、技や連携のバリエーションを豊富に揃えようとも、カルキはその神髄を一目で見破りかねない。
アーチャーが先ほどから積極的に戦闘に参加せず、距離を取って単調に宝具の投射をし続ける理由がそこにある。カルキにとって目眩まし程度の威力に敢えて抑えたままでいるのも、その程度の宝具しか投射しないからだ。
仕掛けるのなら、一気呵成に仕掛ける必要がある。
機が満ちた瞬間こそ出し惜しみはしない。宝具の全力投射で串刺しにし、乖離剣で仕留めなければ、この英雄に勝てはしない。
宙を飛び交いカルキを翻弄する三銃士。並のサーヴァントを圧倒する能力を秘めているのは分かるが、それでもまだ足りていない。人間の創造物では神の創造物に迫ることはできても及ぶことはできない。
「ちっ」
我知らず、アーチャーは舌打ちした。
あの中に入って戦闘に参加できるほどにアーチャーは白兵戦を得意としない。参加したところでスノーホワイトによって計算尽くで動く三銃士に混ざれば、要らぬ計算を強要しキャスターの足手纏いになるのは確実だった。
結局、アーチャーにできることは状況を俯瞰し適宜援護をするだけ。ただ機が満ちるまで時間を稼ぐより他はないのだ。
だから。
「大人しくしていろ」
と、振り返ることもなく背後に佇む少女に告げる。
「我の背後に不用意に立てばどうなるか、知らぬお前ではあるまい」
「お願いです――どうか、私を行かせてください!」
「ならん」
アーチャーの背後で嘆願をしたのはティーネ・チェルク、アーチャーのマスターである少女。
会うのはあの南部砂漠地帯以来か。
令呪によって意志をねじ曲げられ強制転移させられたことに言いたいことはあったが、彼女の心を思えばそれも致し方なかった。それによって彼女はアーチャーに貸しを作ったわけだが、そんな彼女を前に、アーチャーはその願いを一蹴した。
ティーネが何をしようというのか、アーチャーにはよく分かる。
カルキは本来、勝敗を競えるような低位の存在ではない。アレは敬い畏まるものであって、相対するのに必要なのは剣や矛などではない。神殿を前に武器を鳴らし土足で押し入るのは夜盗の所行である。
英雄の格が違う。
存在の核から違う。
アーチャーですらそれを実感しているのだ。ましてや民草であれば尚更であろう。
だからこそ、彼等はカルキを畏れ敬い祀り奉る。
万一に備え、怒りを静め慰撫するために、彼等は一億の祈りに勝る一の供物を造り上げた。尊き血脈を造り上げ、淀みない誠心を持つ存在を気が遠くなる年月をかけて仕立て上げる。
ティーネ・チェルクの存在意義(レゾン・デートル)。
それを、今やらずしていつやるのか。
そんなティーネの必死の訴えを、アーチャーは聞く耳を持たない。
最初からアーチャーはティーネを犠牲にするつもりなどない。
自らのマスターを差し出し許しを請うような真似を、英雄王ギルガメッシュの名にかけてさせるわけにはいかない。そんな負け犬のような幕引きなど決して許容できよう筈がない。
「アレは我が倒す。お前の出る幕はない」
「倒せるのですか!? いかに底が見えたとしても、アレに勝てる存在はいません! そう仕組まれた存在なのですよ!?」
普段の理知的な行動からは考えられぬほどの剣幕でティーネはアーチャーに詰め寄る。傍らに控えていたヘタイロイがそんなティーネを二人がかりで押さえつける。少女にしては、よく暴れたといえよう。
ただの少女にしては。
「奉納すべき贄にも格が必要なのです! 私が行かねば、更なる犠牲が増えるだけです!」
「その通りだ。だから、ティーネ・チェルク。お前は不要だ」
ティーネの言葉を、アーチャーは肯定する。
肯定するからこそ、ティーネはこの場に必要なかった。
アーチャーの言葉に、ティーネは滂沱と涙を流して崩れ落ちた。
奉納するモノにはなんであれ、必要なモノがある。王としてこの世のありとあらゆる財を進んで捧げられたこともあるアーチャーだ。その中には人身御供として捧げられた者もいる。高位の神官が王の行く末を祈って死に、純真無垢な乙女が王を讃えて泉に身を落とし、ある時など雫を滴らせ脈打つ心臓をそのまま差し出されたこともある。
それをアーチャーは良しとする。
無駄なものなどどこにもない当時にあって、必要なものを無為に散らせるからこそ、王は王としてその心を満たすことができるのだ。肝心なのは、捧げられる側が満足するかである。汚れた罪人をいくら捧げられても王の不敬を買うだけなのだ。
だから、ティーネにその価値はないと、断言できた。
彼女自身も気付いている筈だ。
原住民の役割は聖櫃を守り、未来へと繋げること。
四〇万年程その月日が早まりはしたが、彼等の役割は見事に達成させられた。そして達成してしまった以上、それより先に彼等が必要とされることはない。
つい少し前まで彼女がその身に宿していた莫大な魔力は霧散していた。彼女はスノーフィールド屈指の魔術使いなどではなく、今や年相応のただの少女だ。“偽りの聖杯”の奴隷ではなく、解放され自由となった人間でしかない。
既にアーチャーとティーネの間に契約はない。魔力を供給できぬ彼女ではサーヴァントのマスターはこなせない。今アーチャーがこの場に現界しているのは、アーチャーとしての単独行動スキルに因るものでしかない。
「それでも! ここで命を懸けねば、捧げねば、私を頼み散っていった仲間達に申しわけが立ちません!」
「それが不敬だと言っている。捧げるならば、真に願って身を捧げろ。仲間のためにではなく、敬うべき者のためにその身を散らせ」
「……――ッ」
気丈にも、目尻から零れた涙を乱暴に拭い、ティーネはその場ですっくと立ち上がる。拘束の必要性を確認すべく二人のヘタイロイが視線で問うてくるのに、アーチャーは無言で頷いた。
アーチャーが南部砂漠地帯で令呪を使ったことに何も言わないのは、ティーネがアーチャーを真に思って取った行動だったからだ。そこにどんな下心があろうと、アーチャーはそれを無碍にはしない。
今度は、アーチャーがティーネを思って返す番だ。
「貴様には、生きて貰わねばならん」
それは、サーヴァントが元マスターを思っての言葉ではない。
英雄王ギルガメッシュが、原住民の長ティーネ・チェルクを思っての言葉だ。
「生きて、民をまとめ、この地を癒やし、反映をこの手で掴め。それまで死ぬことは許されないと肝に銘じるが良い」
それがお前の次の役目だ。
その言葉を聞き届け、ティーネはこの場を静かに立ち去った。
もはや何も言うことはない。返す言葉もない。
アーチャーはついに背後を振り返ることはなかった。
ティーネもアーチャーの後ろ姿を振り返って見ることはしなかった。
二人が会うことは、二度と訪れなかった。
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振り返れば、あれだけの激闘が嘘のようにその場は静まりかえっていた。
広すぎる第九層に、ファルデウスは一人、取り残されていた。
戦場が地上へと移ったことで、あれだけ数がいたヘタイロイもアーチャーの宝具に連れられて消えていった。バーサーカーとフラットもいなくなっているので、一緒に連れて行ったらしい。
どうにか交渉すれば共に地上に出られたかも知れないが、ファルデウスは移動するヘタイロイを横目に何もしはしなかった。
頭上を見上げれば、天まで見通せる大穴。
中央にあった聖櫃もその残骸が周囲に散らばっているだけで、もはや神秘どころか魔力の欠片すら感じ取ることはできない。
ここは終わった場所だ。二度とこの場所が必要とされることはない。
一人朽ち果てるには、これ以上に相応しい場所はない。
思い、手にした拳銃を手に取った。
弾丸は、一発だけ残っている。
「てっきり戦場で死ぬと思っていましたが、存外つまらない最期になりましたね……」
一人、ファルデウスは自嘲気味に呟く。
ここに助けが来る可能性は低い。よしんば助かってもこの状況を生んだファルデウスを米国が許すわけがない。指示をしたアインツベルンも表だって助けようとはしないだろう。
拳銃の筒先を咥えて口内へ。
後は引き金を搾るだけで全てが終わる。
右手全体を握り込むようにして絞った引き金により、吐き出された弾丸は違うことなく標的へと吸い込まれていった。
ファルデウスの、背から横腹へと、弾丸は貫いた。
背後からの銃撃に、ファルデウスの身体はダンスのようにクルリと回る。引き金に指をかけていたことも災いして、口内から銃口が抜け出た瞬間に最後の弾丸は明後日の方向へと射出されていった。
かつて祭壇であった場所にファルデウスは倒れた。
「勝手に死んで貰っては困るな。悪党ってのは今際のきわに全てを吐露して死んでいくモンだ」
「……――それはどこのドラマの話ですか?」
横腹の痛みを耐えながらファルデウスはなんとか仰向けになる。撃たれた方向に目をやれば、頭上からの光を避けるように暗闇に佇む男の姿がある。よくよく見れば、近くには垂れ下がった紐らしきものも見える。上階からファルデウスに気付かれぬようラペリングして降りてきたらしい。
撃たずとも聞かれれば話しますよ、とファルデウスは動かぬ身体に代わって笑顔で彼を出迎えた。
「ご無沙汰しています、署長」
「ファルデウス。こうして面と向かって話をするのは初めてだな」
銃を構えながら署長はファルデウスへと油断なく身を低くしながらゆっくりと近付いてきた。
「息災なようで何よりです」
「お陰様でな。部下をあれだけ殺しておきながら生き残ってしまった」
言いながら、署長は銃口をファルデウスの右手に向け、撃った。指が吹き飛んだだけで致命傷ではないが、これでファルデウスはナイフを使うことはできない。
ファルデウスは呻き声すら上げなかった。
「……それで、お前は一体何がしたかったんだ?」
「それを聞くために、わざわざここに降りてきたんですか?」
「当然だ。生き残った者の義務として、それを聞いておく必要がある」
「ハハッ……――この期に及んで生き残った者、ですか」
小馬鹿にしたようなファルデウスの言葉に、署長は今度は左手に狙いを定める。
耳を澄ませば、上方から剣戟の鳴り響く音がする。どんな状況なのかは分からないが、戦闘は未だに続いている。その一方がカルキであるのは間違いない。
世界は終わっていないだけで、終わりつつある。ここで生き残りを語るには少々早過ぎだろう。
「いいや。私は生き残った。
――お前が、生き残らさせた。違うか?」
「それは過大評価ですよ……」
困ったように笑いながらも、ファルデウスはそれを否定しない。
ファルデウスの目的は世界を終わらせることであるのならば、それにしては計画がいささか甘い。
アーチャーに急かされたとはいえ、カルキ解放のタイミングは狙い澄ましたかのように最悪だった。ファルデウスがその気になれば、アーチャーやバーサーカー到着前にカルキを解放することもできた筈だ。単に世界を終わらせるだけならもっとやり方は他にある。
「……署長。あなたは、あの東洋人が何者か御存知ですか?」
唐突な質問。だが、話は変わってはいないと署長は感じた。
「アインツベルンが鋳造したホムンクルス――そう、私は睨んでいる」
しらばっくれても無駄と思い、正直なところを署長は話す。
東洋人曰く、自分は冬木から来た旅行者であり、途中でアインツベルンの者と思しき者に出逢い、令呪を授かりこの地に来たと言う。
だが、話をすればするほど東洋人の言葉は曖昧となる。聖杯戦争を調べるために元となった冬木の地を調べたこともある署長である。その記憶と照らし合わせても東洋人の言葉は一致しない。時間は足りなかったがスノーホワイトのログを辿っても、東洋人が冬木に住んでいた記録はない。かつて犯した罪を悔いているようなことを言っていたが、それらしき事件の記録も見当たらない。ただ唯一、そんな根拠のない噂が冬木で流れていたということだけは確認している。
確証こそ持てなかったが、アインツベルンらしき存在がちらついたことでむしろこのスノーフィールドの状況に納得すらしていた。
「ああ、そこまで推察はできていましたか。ですが、それでは半分だけです」
「半分?」
「彼等の正体は、確かにホムンクルスです。正確にはアインツベルンの小聖杯を兼ねたホムンクルスです」
「――あれが、小聖杯だと?」
「大量生産の粗悪品――本来ならば廃棄され見向きもされぬような代物ですがね。
彼等に託された目的はスノーフィールドに召喚されたサーヴァントを倒し、自らに蓄えることです。仕組みは単純で、大聖杯を用いないだけで冬木のシステムをそのまま踏襲しているとか」
仕組みは単純であろうが、英霊という破格の存在を内部に蓄えるには当然上限がある。小聖杯が蓄えられるのは、サーヴァントの格にもよるが、せいぜい一体か二体が限度。それでも大した量ではあるが、音に聞くアインツベルンの聖杯に対して到底足りる量とは思えない。何より大聖杯もないスノーフィールドで願望機と呼べる程の機能を実現させることは不可能だ。
いや、その前に一体や二体程度のサーヴァントを倒し蓄えてどうしようというのか。
「……それに、何の意味があるというのだ」
「彼等には、ある過去をやり直したいという共通した願いがあるのは御存知ですよね。彼等は小聖杯として器が満ちた時、自然とその願いを叶えるようセットされています」
サーヴァントを二体も倒せば死んでしまうなど、彼等は知らないでしょうね、と嘯くファルデウス。
ついでに言えば、機密保持のために令呪を五回使いきると彼等は死ぬようにプログラムされている。何のダメージも受けていないというのに、エレベーターの上で東洋人が事切れている理由がそこにある。
「過去改変……そんなことが可能だというつもりか?」
正気を問う署長の言葉にファルデウスも同意した。
「まず無理でしょう。ですが、万能を求めずとも、できる範囲で似たようなことは行えます。アインツベルンは小聖杯を用いて過去へメッセージを伝えるためだけに、彼等を送り込んでいるんです」
「……――俄には信じられんな」
ファルデウスの告白に、署長は嘘だと判じた。
過去改変など、どんなに小さくとも早々簡単にできるものではない。確かに倒したサーヴァントを触媒にして言葉通りにメッセージを送り届けることは可能かも知れないが、それで一体どれ程のメッセージを過去に送れるというのか。
送ったところで、時間遡航による抵抗でデータが欠損してしまう可能性も遙かに高い。成功率を考えれば、到底許容できるリターンではない。
「およそ――八億回、だそうですよ」
「……何の数字だ?」
「この“偽りの聖杯戦争”が繰り返された回数です」
「何を言っている?」
確かにこの“偽りの聖杯戦争”は理論上冬木よりも遙かに短期スパンで何度だって繰り返すことができる。だが、システムが確立したのは今回が初めてで、そして“偽りの聖杯”を失ったことで二度目は有り得ない。
それが――八億回?
「平行世界というやつですよ。
どこか別の世界のアインツベルンもこの“偽りの聖杯戦争”に参戦していたようです。しかし聖杯もないこの戦争で願いが叶う筈もない。アインツベルンにできることは、せめて“何度でも繰り返せる”という特性を持つこの戦争を利用し、聖杯が確実に降臨する冬木の聖杯戦争をやり直させることだったのですよ」
この“偽りの聖杯戦争”で実現可能な範囲の奇跡を、アインツベルンは時間遡航によるメッセージ伝達にあると結論づけた。
一度メッセージの伝達に成功すれば、それだけでも世界は改変される。
二度メッセージの伝達に成功すれば、更に少しだけ世界は改変される。
これを、八億回、アインツベルンは繰り返したという。
「気が遠くなるような作業だな」
「繰り返し実現させるのは平行世界の自分なのですから、時間の感覚はここでは問題ではありません。問題は、例え成功しても恩恵を受けるのが現在のアインツベルンではなく、過去の、しかも平行世界のアインツベルンだという点ですか」
普通であれば、それは許容できることではない。いかに無意味を知る魔術師といえど、このやり方ではハイリスクノーリターンだ。実行する価値を見いだす方が難しい。
「けれど、アインツベルンはそれを許容したんです。
最初こそ気まぐれだったのかも知れませんが、いつの日か確実に蓄積されていくメッセージにアインツベルンは確固とした意志と目的を持って取り組み始めました。そしてより効率よく、過去にメッセージを送る手段を確立させました」
「それがあの東洋人というわけ、か」
選んだ手段は「参加」ではなく「介入」。
マスターとして直接参戦するよりも、はるかに安価かつ安全。数を揃えて投入することで確率も上がる。与えられた五つの令呪も、そう考えると同士討ちを狙っていたとも考えられる。
その通り、とファルデウスは頷きながら、苦しげに息を吸った。
小口径ではあるが、横腹に撃ち込まれ、右手の指を吹き飛ばされている。止血もしていないのだから、そろそろ目が霞んできているに違いない。
「――ですが、もはやその東洋人もあなた方が保護しているのが最後の一人。その上、ここに来て脱落したサーヴァントは皆無。
……これは奇跡なんですよ、署長。恐らく今まで一度として最終局面まで脱落者のいなかった戦争はありません。召喚された六体のサーヴァントが揃い、しかもカルキという本来の目的に向かって団結している。あの最終英雄を倒せる千載一遇のチャンスが、来たんですよ」
先の話で、小聖杯に注ぐことができるサーヴァントは一体か二体と言う話だった。元凶であるカルキであっても、倒すことができれば小聖杯にその魂は注がれるのだろう。一瞬で壊れることだろうが、その一瞬には十二分な価値がある。
「英雄としての最高純度を誇るカルキです。その量からすると確実に器から溢れるでしょうが、それ以上に質が高い。カルキ一体で英霊数千、あるいは数万人分が賄えるとなれば、これを試さないわけにはいかないでしょう」
それが世界を破壊する可能性が高くとも、アインツベルンはそれを試さずにはいられない。
巫山戯たことにこの男は、六柱の英霊が最終英雄を倒すプランを模索していた。
「正気か」
「正気のままで、魔道を修めることはできないということでしょう」
それで話は終わりとばかりに、ファルデウスは大きく息を吸った。
血は流れ続けている。
あと数分もすれば、ファルデウスは失血死する。
あと数分しなければ、死ぬことはできない。
「最後に、一つ質問だ。答えるなら、今すぐ殺してやる」
「……それは魅力的な取引です。何でしょう?」
「何故、お前はアインツベルンに従った?」
ファルデウスの運命は、カルキを解放した時に決まっていた。
協会を裏切り、そして米国も裏切った以上、彼に待っているのは確実な死だ。最後に従ったアインツベルンにしても、巨大組織と一国家を相手にしてまでファルデウスを匿おうとするわけがない。
組織の大きさや方向性を考えれば、少なくとも排他的なアインツベルンに付くという選択肢はないが、それを彼は敢えて選択している。一体何が彼をアインツベルンに従わせたというのか。
「……――ああ。そんなことですか」
署長の問いにファルデウスは模範解答を試すように出してみせる。
「最初からアインツベルンの間諜だと言えば、信じますか?」
「意外性のない答えだな」
「驚愕の事実を提示できなくて申しわけない限りです」
それがどこまで本当なのか確認する術を署長は持たない。
だが、戦後処理部隊の隊長という立場は間諜としては最適だ。情報も集めやすく、意図して操作するのも容易い。それにアインツベルンが関与した形跡を消すのも難しくはないだろう。
この作戦にあたって入念な身元調査が行われた筈だが、いくらでも抜け道はあったということだ。もしくは、それを突破できる程にアインツベルンはこの国に浸透している、ということか。
大統領の側にもアインツベルンが居ると告げられても、署長は驚きはしない。
「済まなかった。時間を取らせた」
「いえいえ。こんな与太話で申しわけないくらいです」
ファルデウスは青ざめた顔で笑ってみせるが、そこに力はない。
銃口を署長はファルデウスの頭部へと向けた。
引き金を三回引く。ハンマーが三回撃鉄され、三発の弾丸を吐き出した。
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粛正権限。
カルキ固有スキル。狂化みたく粛清しようとする限り全てのパラメーターが大幅上方するものと考えてください。
“全能(ジ・オール)”“世界支配”“物理無視”“魔力否定”。
最強のスキルを妄想すれば、こんな感じになるに違いない。パワーバランスがおかしくなるので結局使わせないが。
質量兵器。
スターウォーズ計画かどうかは知らないが、アメリカ空軍が現在開発中とされている「神の杖」とかいう宇宙兵器を想定している。よくわからないので作中ではあまり触れていない。
しかしカルキが迎撃しなければどうするつもりだったのだろうか?
無人機《エインヘリヤル》の試作機。
ところどころでこれについて触れていたりするのだが、お気づきだろうか。
これを出したのは著者がスパロボ大好きだからでもあるのだが、一番の理由はこうでもしないと最終決戦にキャスターが参入できないからである。
力を失ったバーサーカー。
上記のように最終決戦にキャスターを参戦させるためにスパロボを持ち出したりもしたのだが、残念ながらバーサーカーにはそれがない。うっかり無力化してしまったがためにここにきて最も頭を悩ませていたりする。
別に、アレを倒してしまっても構わんのだろう?
見事な死亡フラグ。キャスターは一体どこでこのネタを仕入れたのだろうか。
本当はもっと死亡フラグを撒き散らしたかったのだが、いい加減カルキ戦が長くなってしまうのでやめておいた。
原住民の役割。
実は某インスマスに棲む奉仕種族をイメージしている。さすがにああした姿にはできなかったが。
拳銃自殺。
よくこめかみに銃をあてる描写があるが、あれだと生き残ってしまう可能性がある。浦沢直樹作画の「マスターキートン」でそれについて講釈を垂れるシーンがあり、それが印象的だった。本当はそうしたやりとりをさせようかと思っていたのだが、やはりくどくなるのでやめておいた。
ラペリング。
署長が降りてくるのに宝具ラプンツェルというものがあったりなかったり。
ファルデウスの告白。
いろいろとファルデウスの告白にツッコミ所があると思うが、これはファルデウスが勝手に言っていることなので真実かどうかは定かでない。極端な話、これが全部嘘だという可能性もある。
「うみねこのなくころに散」をプレイして「これだ!」と思ったのは内緒。