Fate/strange fake Prototype -Another Player- 作:縦一乙
ティーネ・チェルクは辱めを受けた。
その恥辱に、下着を身に着ける手がわずかに震えた。
族長としてそう遠くない将来、夫を迎え子を孕むであろうとは予想していたが、こうも早く男の手によってこの肌を露わにされようなどとは思っていなかった。男に身体を見られるのは親族を始めとして決してなくはないが、その手で触られたことは紛れもなく初めてである。
先の行為を思い返せば臓腑が熱くなる。身体の中を隅々まで調べ尽くされるのは恥辱の限りであり、そしてその魔の手は次の少女へと手を伸ばしている。
まだ年若い、聞くところによるとまだ十歳の少女。拘束から解放されたティーネであれば彼女をあの魔の手から助け出すことも可能なのだろうが、疲れ切ったその身体は鉛のように動かない。
傍らにいた銀狼がティーネを慮ったのか、擦り寄ってきてその顔を舐めてくる。その行為に多少は癒やされるが、畜生とはいえ他のマスターに心配されたことに自己嫌悪すら覚える。
しばらくして、元凶が扉を開けて中へと入ってきた。どうやら、椿ももう終りつつあるらしい。
今ここで魔術を使えれば、と何度思ったことだろうか。そう思うたびに魔術を行使しこの男を消し炭へと変えようとしているのだが、既に何度となく繰り返し試してもその効果が現れることがない。
自分が殺されかけていることに気付いているのかいないのか、フラットはのんきな言葉でティーネに声を掛けてきた。
「あれ? まだここにいたの? 椿ちゃん終わりそうだよ?」
「屈辱です……」
いろいろと言いたいことを全て呑み込んで出た言葉はどちらかと言えば自分に向けてのものだった。
のろのろとフラットの後について隣の薄暗い検査室の中へと入る。光を出しているのは壁にあるモニターとガラス越しに見える隣室の光だ。
「君の身体からは異常は見つからなかったよ。体内の毒素はほとんど中和されたようだね。あと、もう少し牛乳は飲んだ方がいいよ?」
「最後の一言は一体何に対する助言ですか?」
笑うフラットにもはや嫌悪しか覚えぬティーネではあるが、現状この場で最も頼りになるのは残念ながらこの男なのも事実だった。
二人がいるのはスノーフィールド中央病院、その集中検査室である。そんなところでフラットが何をしたかというと、各人の健康診断である。
ここが普段ティーネが見ているスノーフィールドでないことは明かである。それはフラットも同意見であり、ならばどうしてこの世界に入り込んだのかということをまずは解き明かす必要があった。そのトリガーの解明こそが、この健康診断の目的である。
フラットは極度の魔力不足、ティーネはヒュドラの毒、銀狼には銃創が見つけられた。現在それらは全て回復状況にあるのを確認しているが、これらの衰弱状態が原因なのはもはや確定的だった。
他に取り込まれた者達と違って自我を保っているのは魔術師としての防衛本能か、令呪の加護か、それとも他に何か条件があるのか、解き明かすにはもっと詳細なデータが必要となるだろう。
診察室のモニターに映し出されたのは、そうした検査によって撮られた人体の断面図とそれらを繋ぎ合わせて3Dで再構成された臓器各種。MRIによるものとのことだが、MRIを根本的に知らぬティーネがフラットに聞けば「核磁気共鳴断層撮影装置だよ!」と感嘆符付きで言われ尚更分からなくなった。原理をなにやら言っていたような気もするが、それは最初から聞いていない。
とはいえ、これによってティーネは文字通り頭の先から足のつま先まで全てをフラットに覗き込まれたことになる。
ちなみに、以前フラットはモーションを掛けてきた女性に「君が添い寝してくれたらぐっすり眠れそうだね」と答え、共にベッドに入りながら朝まで本気でぐっすり寝た男である。ティーネには悪いが、その身体に性的な興味は欠片も抱いていない。
「しかし魔術師としてはなかなかに興味深いね。魔術刻印も君にはないし、魔術回路も凄く特殊だ」
この画像の一体どこから魔術回路を読み取ったのか、食い入るようにティーネの身体(正確には各種臓器)を隅々まで覗き込むフラットにティーネはどん引きである。これならモニターの隅で全体像として全裸を晒している3Dモデルに鼻息荒くして貰った方が健全であろう。
それはともかく、フラットがティーネの身体に興味を抱くのも無理はない。ティーネの魔術回路は酷く極端で、馬鹿みたいに魔力を必要とするのに、燃料となる魔力の生成能力があまりに低すぎる。アメ車みたいだねと評されたが、それにどう答えろというのか。
「私達一族はこの地に縛られた者です。魔力は自ら生み出すものではなく、スノーフィールドから得ていくもの。だからこそ、我々はこの地を大切に敬っているのです」
「うん、まあそれは分かっているけどねぇ」
大源たるマナと小源たるオドによる魔術行使は質と量からもはや別種であるとも言える。ティーネはスノーフィールドのマナを扱い魔術を行使するが、自ら生成するオドによる魔術行使はほとんどできないのだろう。
しかし、実を言えばこれは興味とは別に重要な事実を示唆している。
それはつまり、ここがスノーフィードであって、スノーフィールドでない、ということを意味している。
場所的に言えば、確かにここはスノーフィールド中心部、スノーフィールド中央病院である。そこは疑いようのない事実だというのに、ティーネの魔術は作用していない。ここはスノーフィールドではない、とティーネの魔術回路は判断しているのだ。実にシンプルな判断方法である。
もっとも、原因はハッキリしている。
現在MRIで検査を受けている椿の周囲には、黒い影であるライダーが漂っている。原因はライダー、ではなく、椿も含めた両方にある。
時系列を整理すればそれは明らかだ。
1年ほど前に椿がこの空間に閉じ込められる。カルテから椿が意識不明になった時期とも一致している。
そして数週間前にライダーを召喚。聖杯戦争開始時期とも重なる。恐らく最も初期に召喚されたのだろう。
数日前から他人がこの地に呼び込まれ始め、一昨日にフラット、昨日はティーネ、そして今日には銀狼が呼び込まれた、ということになる。もちろんその間にもどんどん人は増えている。
「だとすると、この空間を作ったのは椿、他人を取り込んだのはライダーと考えるのが妥当ですね」
「攻略すべきはライダーってことかな?」
その質問の答えは既に両者の内にある。結論は同じであることを二人は視線を交わして再確認した。
マスターたる二人にはサーヴァントであるライダーのステータスを読み取ることができる。意識の有無に拘わらず眼に入ってくるのだから仕方がないが、そのステータスはハッキリ言って極めてバランスが悪く、大いに判断に困る内容となっている。
魔力がA++。幸運がD。あとは宝具を含めて残らず測定不能というアンバランスさ。しかも狂化されているわけでもないのにマスターである椿のごく単純かつ簡単な命令しか聞きはしない。
ついでにいうと、敵である筈のフラットやティーネ達マスターを脅威として認識すらしていない。試しに小石を投げても素通りするだけで無反応だし、フラットの血を媒介に極小規模の魔術的罠に椿の協力のもとライダーをひっかけても黒い影が多少分散するだけですぐに元通り。形も不定形なら大きさも不安定。先ほどの罠を参考にティーネが試算してみると、あの罠の約八〇倍の威力でようやく全体を吹き飛ばすことが可能であるが、それによって消滅する可能性は皆無であろう。むしろ平然と元通りになるオチが簡単に予測できる。
無論、元の世界に戻して欲しいとライダーにも願い出たし、椿に依頼して命令もしてもらったが、ライダーは理解できないかのように揺らめくだけで何の反応も返さなかった。だが、仮にそれで元の世界に帰ったとしても、ライダーに因らないこの世界の主たる椿はここに残されたままだ。フラットとしてはそれは絶対に解決しておきたい問題である。
「まだ椿ちゃんの頭を切開した方が確率があるけどねぇ」
「さすがにライダーが黙ってはいないでしょう」
検査結果を見る限り、椿の脳に何かがあるのは確かだ。カルテには新種の細菌の可能性とあると書かれているが、フラットの見立てではかなり緻密な魔術回路に違いない。今現在も活発に活動していることからもその説は濃厚だろう。
「それで、どうします?」
「んー、どうするって言われてもなぁ……ティーネちゃんの意見は?」
「それを私に聞きますか」
無神経とも言えるフラットの言葉に確かな嫌悪感を覚える。フラットがこういうキャラであることは出遭って数分で理解したが、なんとも魔術師らしからぬ現状認識能力である。
今のティーネに魔術は使えない。そもそもティーネ達原住民はその由来から魔術を感覚的にしか扱ってこず、知識や成果を集積することはない。つまるところ、この魔術的現象に対して何の貢献もできないのである。
ここにアーチャー・英雄王ギルガメッシュのマスターであり、強力な魔術を軽々と行使し、数千人の一族を率いる族長などどこにもいない。ここにいるのは、無力な十二歳の少女が一人いるだけだ。
唯一の希望たる令呪は今も少女の手に存在するが、貴重な令呪を何が起こるか分からぬこの空間で安易に使うわけにもいくまい。
手近な凶器で他の全マスターを殺すことも考えてもみたが、魔術師として圧倒的上位にいるフラット、ライダーという守り手のいる椿、そして純粋に生物として敵いそうもない銀狼、真っ当にぶつからなくても到底敵いそうもない。
普段ぼけっとしているフラットでさえ、出会い頭に奇襲で襲いかかったというのに逆に気絶させられて捕まってしまう始末だ。
「手がかりがあるとすれば、彼女の家でしょう」
「基本だね。けど、たしかジャックによればもう消滅しちゃったって話だったよ?」
フラットが語るジャックとはサーヴァントのことだろうかと脳内にメモしながら、フラットの話を否定する。
「ここは彼女が作り出した空間です。となれば、この空間にあるのは一年前のスノーフィールド。手がかりは残っている筈です」
すでにこの空間の異常性は十二分に理解しているが、真に恐るべきは作り出した本人でさえ理解・把握していない箇所すらもこの空間は現実に即して補っていることである。
本人が普段使っていたとしても意識していない階段の数。本人の知らない部屋の中身。仕組みさえ理解していないのに実際に使える高度な医療器具。例を挙げて行けば枚挙に暇がないが、重要なのはその例の中には椿本人へ行われた処置に関する資料も含まれていることである。
「決まりだね。調べれば住所も分かるだろうし」
「その心配には及びません。この地の魔術師の居場所はすでに把握しています」
外来の魔術師こそ全て把握はできないが、この地に長年留まるような魔術師については既に調査済みだし記憶もしている。特に霊脈を抑える程の家ともなれば、要注意人物としてティーネの耳には優先事項として入ってくる。
と、結論が出てきたところで、検査室から検査着を脱ぎながら椿が診察室へと入ってくる。ショーツ一枚の実に開放的な姿である。長らく人と会っていなかったせいか、羞恥心などはないらしい。
「椿、男の人の前でそのような姿になってはいけません」
将来に期待だねーと娘を見守る父親のような笑顔から椿の姿をティーネは隠す。無力な少女と彼女は自虐的に言っていたが、彼女の保護者としての役割はあるようである。まずは彼女にブラジャーを身につけさせようとティーネは思った。
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その戦闘の報告は事態が収束してわずか数分の後にまとめられていた。
戦闘直前における詳細はほぼ不明。ただし、現場に《二十八人の怪物(クラン・カラティン)》が配置についた段階で既に二体のサーヴァントが戦闘の最中にあり、そして決着がつく直前であった。
場所は東部湖沼地帯。両サーヴァントの実力は拮抗しており、決着のきっかけは湖沼地帯ならではの泥濘である。足を取られた一方がもう一方の一撃を捌ききれずその身を貫かれ、我が身を囮として足を取られた方も一撃を喰らわせる。
両者ともほぼ相打ち。ただ、急所を抉られたサーヴァントは崩れ光となったのに比べ、もう一方は膝を付くのに留まっていた。
この絶好の機会を、《二十八人の怪物(クラン・カラティン)》は逃すことはなかった。
都合良く両者の決闘は湖沼地帯の真ん中。この時点で草木に隠れるように隊員八名がツーマンセルで周囲を包囲していた。宝具の展開も完了し、あとはゴーサインを残すのみであった。
遠方観測で周辺状況のクリーニングが確認され、かなりの余裕を持ってゴーサインは出された。
この時使用されたのは英霊にも効くとされるバチカン直輸入の法儀礼済み水銀弾頭。用意された火器はM240機関銃。毎分900発近く発射される秒速900メートルの7.62ミリ弾が全方向から負傷したサーヴァントへ何の意外性もなく、ただ漫然と襲いかかる。
耐えたのは、1秒か2秒か。3秒を超える頃には既に原型はなく、5秒を超えたときには標的が何かすら分からない。事前に決められた合図によって射撃を止めたときには、既にサーヴァントだったものが粒子となって消えていく瞬間だった。
レベル2宝具の実戦証明。これ以上ない結果に終わったが、報告結果はそんなものを意に介することのできない事実を浮き彫りに晒していた。
戦っていた二体のサーヴァントの正体はクラスすら結局分からずじまい。だが反応からしてサーヴァントであることは間違いなく、そこに疑う余地はない。
が、
「これではサーヴァントの数が合わないではないか……!」
《二十八人の怪物(クラン・カラティン)》本部、中央に位置する署長の叫びを聞き逃した者はこの場には誰一人としていなかった。
サーヴァント戦直後なだけにある程度の情報共有は必須である。会議というわけではないが、どういった顛末があり、どういった報告があったのかは自然と耳を傾けるようになっている。そして、その署長の言葉には全ての作業を中断してでも傾聴する必要があるとこの場にいた全員が判断した。
「あの場にいたサーヴァントはアーチャー、ランサー、キャスターのいずれでもありません。そして、我々が確認している正体不明のサーヴァントとも一致しません」
現場指揮官、そして戦域指揮官からの報告にも今なお信じられぬとばかりに署長は提出された資料を何度も捲りながら確認する。
「残るクラスはライダーのみ……だとしてもこれでは英霊が七体になる……!」
この偽りの聖杯戦争において、七体目のサーヴァントは致命的だ。存在してしまった段階で計画は根底から覆る可能性すらある。
この聖杯戦争で召喚されるサーヴァントは六体だけ。本来の七体よりも減らすことでイレギュラーを減らし、サーヴァントや令呪のシステムの安定を図る。
そういう計画であった筈なのだ。
「……いや、違うな」
最悪の事態を想定し、手を打とうと考えるが、その考えを改める。
署長の手にある令呪の輝きは今もって健在だ。キャスターとの繋がりは今も感じるし、急に魔力を過剰供給することもない。少なくとも今すぐに暴走する危険性はない。
見かけの上では、システムそのものに問題はない。署長達が知らなかっただけで、サーヴァントは既に規定数を超えていたのだから、異常が発覚するとしたらもっと以前からでなければ理屈としておかしなことになる。
話が違うと“上”に掛け合うのも手だが、子供じゃあるまいし、盤上の駒が何を言おうと取り合う筈がない。むしろ、“上”はその事実を知っていて放置していたと考えた方が打倒だ。
念のために、と受話器を外し、外線ボタンを押す。スピーカーから聞こえてきたのは、すでに何度か聞き覚えのあるデジタル秘匿回線の電子リレーのノイズ音だった。
『どーしたってんだ。こちとら忙しいんだが』
挨拶もなしに乱暴な言葉で応対するのはもちろん署長のサーヴァントである。背後で流れる頭の痛くなるようなジャパニメーションのバックミュージックは我慢する。それでもこちらの予想以上の早さで電話に出たことは評価に値した。ものすごくくだらないところではあるが。
「お前の身体に変わった様子はあるか」
『ん? なんでお前が知っているんだ?』
「何かあるんだな?」
『最近ちょっと尿の切れが……ああ、いや、待て。冗談だ。てか一体なんの連絡だ?』
受話器越しに署長の怒気を感じ取ったか、慌ててキャスターがテレビのボリュームも落として取り繕う。そこは停止か電源を切れよと言いたいが暖簾に腕押し、糠に釘、キャスターに説教である。無駄な時間をわざわざ費やす必要はない。
既にキャスターのサーヴァントとしての役割はほとんど終わっており、昇華作業よりも既存の宝具のメンテナンス作業を優先させている。もし何らかの異常がキャスターに起こっているのだとしたら、その作業を見直す必要が出てくる。
「一応、無理をさせていないかの確認だ。先ほど例の宝具を実戦に投入してみた。余裕があれば確認を頼む」
『あの宝具をか? 余裕があっても確認作業だけでどれくらいかかると思ってやがる?』
「簡単でいい。制作者として確認作業だけしてくれ。後で資料は送っておく」
強引に話を終わらせると、返事を待たずにそのまま受話器を置いて待機状態の《二十八人の怪物(クラン・カラティン)》全員を見渡す。今の会話はありのままこの場にいる全員に聞こえている。
「キャスターの様子におかしな点はない。が、奴に渡す資料には七体目のサーヴァントについては上手く伏せておけ。システムはA-01から再チェック、情報部は過去の資料を総浚いしろ」
了解しましたと、各々作業を開始すべくある者は机につき、ある者は会議室へと向かい、ある者は受話器を片手に作業を開始する。しかし、的確とはいえ署長の指示内容はあまりに簡潔で、そして作業は膨大だ。
「確か、予備部隊と手空きの人間が十数人はいたな? 警邏に回している人間もこちらに回せ。全て、だ」
フェイズ5に入った以上、警邏活動の優先順位はかなり高くなっている。部隊を迅速に展開することを重視しているためだ。それを割くということはそうしたメリットを犠牲にするということだが、そうしたリスクを承知の上でも早急に手を打っておく必要がある。
「分かりました、上級隊員を四名、下級隊員を七名大至急呼び戻します」
「……待て。七名だと?」
隣で指示を出す秘書官が確認のための報告を読み上げるのを、署長は遮った。
「私の記憶では十一名の筈だが、何があった」
単純に署長の記憶違いとも考えられるが、そんなわけがない。四名の欠員を署長は把握していない。ひったくるように秘書官から資料を奪い取ると、確かに四名の欠員がそこに記されている。
理由は――病欠。
「申しわけありません。医師の診断もあり、魔術を使っての治癒も薦められなかったため私が受理いたしました」
秘書官の言葉に署長は黙る。
処置として、これは何の問題もない。上級隊員ならともかく下級隊員の欠員までいちいち確認してはトップとして忙しすぎる。秘書官の行動もなんら権限違反しているわけでもない。
「……この四人の名前には見覚えがあるな。確か何らかの任務を言い渡していた記憶がある」
「はい。繰丘夫妻の調査を担当しておりました。書類は以前に提出しております」
「その資料は見ている。が、担当した者全員が病気というのは偶然か?」
「儀式場を構築したのが病院ですし、今市内では風邪が流行っているようです。珍しいことではないかと思われますが」
《二十八人の怪物(クラン・カラティン)》としても病院への患者数は魔力吸収等の事件の可能性から注視している。確かに現在病院への患者数は急激に右肩上がりではあるが、ギリギリではあるが予測の範囲内であり、また状況からしてサーヴァントが介入しているにしては遠大過ぎることから、これを放置していた。資料としても作成しているが、重要度が低く、署長が見ていない可能性はかなり高い。
「事前の健康診断でのワクチン接種は義務だった筈だが」
「全員クリアしています。免疫機能の低下、と症状にありますからハードワークであった可能性も否定しきれません」
秘書官の言い分はもっともではあるが、この状況でこれは偶然か疑わしく思えるのも確か。自らが疑心暗鬼に陥っているのを自覚しながらも……無視することはできなかった。
「呼び戻す下級隊員には全員市内の電気・病院・交通・経済、あらゆることを調べさせろ。軽微な変化も見逃すな」
「既に市役所を通して実施していますが?」
「役人に任せるな。足で実際に稼げ、と伝えておけ」
この聖杯戦争で一番忙しくなると想定される瞬間にそうした命令は異常とも言えたが、どうにも署長はその不安を払拭しきれない。
一気に噴出してくる課題に胃だけでなく頭も痛くなってくる。それでいて、これから更に頭の痛くなることをしなくてはならない……。
「署長、どちらへ?」
「ことがことだ。これから“上”へ直接出向いて報告に行ってくる」
上着を羽織り、出かける準備をしながら署長は自然と口が重たくなるのを感じていた。
現状出された報告書は簡易版ではあるが、詳細が煮詰まってから動き出したのでは遅すぎる。そして今後の対策を考え動くためにはやっかいなことに腰の重い“上”を説得しなければならない。
なるべくなら“上”の中でも全体を俯瞰できる幹部クラスの人間に会いたいところだが、それは無理だろう。署長が会うことができるのはせいぜいが中間管理職程度。目先の利益に飛びつかずにはいられない無能共である。
例の宝具に2ポイント使用分を上乗せするのでも相当ごねた連中だ。それをようやく呑ませた直後だというのに、それ以上の要望を結果も出していないこの状況で陳情するのだ。
フェイズ5の判断を署長は間違っているとは思わない。だが計画の根幹が揺るいだ以上、彼等は責任転嫁をするべく署長の判断ミスとして責め、幹部連中に自らが有利となるよう報告することだろう。
既に計画の微調整で事が済むとは思えない。これが発覚すれば確実に横槍が入ってくる。しかも、その横槍は幹部連中が糸を引いている可能性がある。
このシナリオが“上”の想定通りである可能性が一番怖い。その場合、署長は何もできずにその席を退くことになる。後に残った《二十八人の怪物(クラン・カラティン)》がどうなるか、想像に難くない。
机の中から忘れぬようビンごと胃薬をカバンの中に突っ込んだ。念のため胃の中にも突っ込んでおく。
「では私も同行させて――すみません、少々お待ちください」
共に動こうとする秘書官の手が耳のインカムへと動く。秘書官を通しての急な外線……秘書官の視線と動きから誰からかかってきたものか想像はつく。居留守――を使っても無駄だろう。出かけた後であれば多少は時間稼ぎができたかもしれないが。
「署長、二番外線に」
「分かった」
秘書官の言葉を最後まで聞くことなく受話器を取る。胃薬を先に飲んでおいて良かったなとこの場で唯一の救いに感謝する。
「代わりま――」
『初めましてだな。署長?』
覚悟して声を出した署長を遮ってきたのは、予想していた人物ではなかった。確かに秘書官から具体的な名前を聞いてはいないが、あの様子は間違いなく“上”からのもの。回線を確認しても、連絡してきたのは間違いなく“上”の一人。幹部連中とのパイプ役として虎の威を借ることに夢中である小物である。
しかし、この声には聞き覚えがなかった。
「……どちら様かな?」
ペンで手近な紙に『逆探』と殴り書きして指示を出す。直前に電話を受け取っていた秘書官は一瞬不思議そうな顔をするが、すぐさま電話の逆探知を部下に指示し実行する。
電話の逆探知に時間がかかったのは大昔の話である。全ての回線がデジタルで管理された現在、即座に探知することが可能だ。元が秘匿回線なだけに処理が複雑になってはいるが、逆探知は即座に完了した。しかし、発信先はやはり変わらない。
『落ち着いてるじゃないか。ああ、大丈夫。君が心配している人間には簡単な暗示をかけただけだ。色々と喋ってもらったが殺しちゃいないし傷つけてもいない』
今後の生活には多少支障が出るかも知れないがね、とからかうように嘯くが、それを相手にしてはいられない。
「何者かと聞いているのだが?」
自然と受話器を握る手に力が篭もる。捜査員をすぐさま派遣することも可能だが、恐らくこの相手はそれも織り込み済み。何分で到着するか測ることでこちらの網の目を推測することだろう。
通常の工作員などであればそこから騙し合いへと突入していくのだろうが、相手は恐らく一級の魔術師。いかにこちらがそうした手合いに長けていようとも、逆に返り討ちになる可能性は非常に高い。
近場に二名、一〇分以内に現場に急行可能です、と殴り書きにしては丁寧な字で秘書官がメモ用紙を差し出してくる。ならば顔だけでも押さえることは可能であろう。現場ではなく近場のビルで監視、間に合わないだろうが、対サーヴァント部隊も現場に急行させるよう指示を出す。
『私の名前などどうでもいいではないか。まずは話し合いをしよう』
「話し合いだと?」
『そろそろこの聖杯戦争にイレギュラーが交じっていることに気付いたのではないかね?』
「……何のことだ?」
我ながら下手だなと思いながらも話を長引かせるべく署長はとぼけてみせる。しかし、いくらなんでもこの話題はタイミングが良すぎる。
『東部の検問は少々ハデ過ぎじゃないのか? 何があったのかはバレバレだ』
「テロリストが潜伏しているという情報が入った。当然の措置だろう」
対外的常套句を用いるが、これにしても情報が早い。
検問は消滅した二体のサーヴァントのマスターを確保するために事前に敷いたものだ。元々期待していたものではないだけに、《二十八人の怪物(クラン・カラティン)》をそこに投入してはいない。しかし、マスターとしてはかなり動きづらくなった筈だ。今は捕まえずとも後で逃走ルートを割り出せば行動予測も立てやすい。
『一応言っておくと、湖畔の別荘近くに上半身のない焼死体がある』
「情報提供には感謝しよう。だがその程度で私に何をさせたいのかな?」
『“偽りの聖杯”、どこにある?』
受話器の向こうでクハハハハと笑う声がした。
リスク管理の観点から“上”の幹部以外に詳細情報は敢えて知らされていないことも多い。特に“偽りの聖杯”に関しては存在はともかくとして具体的な場所を知る者は少ない。そして、その全体像を知っている者も。
「知らんな。何の話だ?」
『土産話くらい渡すつもりだぞ? 例えば――七番目のサーヴァントとかなぁ』
即答してみせはしたものの、提示された条件はこの聖杯戦争とは別個に署長が今最も欲する情報でもあった。後々の、この戦争終了時に処理されないための、情報。
だからといって、おいそれと喋っていい内容ではない。
「知らないと言っている」
『では私が勝手に話すことにしよう。詳細はそちらで確認でもなんでもしてくれ』
会話のペースを完全に相手に握られている。
向こうとしては署長が何を言おうとこの筋書きを最初から通すつもりだったのだろう。それを強制的に遮断するには受話器を置けば済むだけの話だが、それはリスクの高い行動だ。こうして連絡してきているということは、受話器越しのこの魔術師は《二十八人の怪物(クラン・カラティン)》、そして“上”についても詳細を掴んでいるに違いなかった。その情報を他勢力へ受け渡せば《二十八人の怪物(クラン・カラティン)》は一気に窮地に立たされるし、この戦争の根幹すらも今以上に揺らいでしまう。
『まず、君らが危惧しているであろう七番目のサーヴァントだが、安心したまえ。あれは君達の用意した“偽りの聖杯”によるものではない。霊脈に多大な負荷をかけることだろうが、大した問題になることはあるまいよ』
「随分と詳しいじゃないか」
『ただの観察だ。特にヒュドラの召喚は致命的だったな。ひとつ尋ねるが、君はあのヒュドラが簡単に人間の召喚に応じる存在だと思うか? そもそも英霊というカテゴリにすら入らぬ化け物だぞ?』
「否定はしないが、事実としてヒュドラは召喚されている。そもそも我々の及ばぬところでイレギュラーが発生することは珍しいことではない」
これは事実。実際、署長の経歴はどちらかというとイレギュラーな事態に対しての功績が大きい。“上”にしても、そうした経験を重視して配置したのは明白だ。
『なら、もうひとつ尋ねようじゃないか。署長、君はあのヒュドラがコントロールの利く英霊だと思うかね?』
「それは――」
おそらくは、無理だろう。
あの巨体にあの魔力、獰猛な性格に撒き散らされる毒。制御しなければならぬ点は多いというのに人としてのコミュニケーションは不可能。残った手段は令呪だが、一体どんな命令をすればコントロールできるのか皆目見当もつかない。よしんばコントロールできたとしても、たった三画の令呪では到底足りはしないだろう。
『故に、だ。あのヒュドラはそもそもコントロールを受け付けるシステムを実装していないことになる』
「馬鹿な。それでは一体何のための召喚だ」
相手の言葉を一笑する。コントロールできなかったが故に失敗したのが冬木の第一次聖杯戦争であり、そのために用意されたのが令呪のシステムだ。元より英霊という高位の存在を召喚するのだから、召喚者の目的に沿った行動をとってもらわないと根本的に召喚する意味がない。
『もっと分かり易く言おうか。この聖杯戦争で召喚された六体のサーヴァント以外は、全員コントロール不可能な英霊だ。この“偽りの聖杯”戦争を荒らすために用意された盤上外の駒なのさ』
「外部からの妨害工作とでもいいたいのか?」
実際に教会と協会に喧嘩を売っている以上、そうした手勢は少なくない。だが、もし英霊を別枠として召喚できる手段があるとするならば、こんな回りくどいやり方などしない筈だ。
聖杯戦争としての規模は冬木のオリジナルに劣るが、極論、街一つ潰す理由にはなり得る。ヒュドラクラスの化け物を数体街に放置するだけでスノーフィールドは壊滅することになるだろう。
『外部かどうかは定かではないがね。少なくとも、ヒュドラを召喚した当事者にそうした意図や危機感はなかっただろうよ。背後で操っているのが誰かは分からないが、目的は“妨害”ではなく“横取り”というところだろう』
声の質に嘲笑う影がある。まるで見当違いなことをしている黒幕を滑稽だと腹を抱えて笑っている。
対して署長は笑えない。電話の主の言うことは恐らく間違いない。ヒュドラの情報を切って捨てた署長に対して、子細に観察し出された結論は至極納得いくものだ。そしてそれだけにこの人物が持ち得る情報はあまりに危険すぎる。
「貴様、どこまで知っている?」
『このシステムについてはおおよそ予測できているつもりだ。ただ、それを影で操る人間がいるとなると、全容がどうにも掴めなくてなぁ』
実にあっさりとした告白ではあるが、署長の顔色は見る間に青く変わっていく。詐欺師の詐欺を暴かれたレベルではない。策士の策が敵に筒抜けになっているようなものだ。
咄嗟に《二十八人の怪物(クラン・カラティン)》で秘匿しているシステムの裏コマンドや報告していない宝具、イレギュラーな事態に対するマニュアルなどを思い浮かべる。反乱を企てられていると思われても仕方のない裏切り行為であるが、今ここで必要なのは“上”に知られていない保険の数々だ。
「では、貴様は全サーヴァントを把握しているということか」
『ひっかけるにしたってもっとマシな手を考えな。そもそも、サーヴァントを把握する必要があるのはお前達だけだろう? 互いに戦い合う必要なんてどこにもないのになぁ?』
署長のかまかけにもひっかからない。相手の手の内をさらけ出させただけ十分だが、今の手札で交渉するにはあまりに危険が大きすぎる。
『まあいい。そろそろ君の手駒も来る頃合い……おっと。これはしまったな。この距離で抵抗できないとは思わなかったんだ』
隣で秘書官が派遣された隊員がシグナルロストしたことを報告した。必死に応答を求めるが、機械は正直だ。状況から通信機だけが破壊されただけとも思えない。
『すぐに手当をすれば何とかなるかもしれんな』
「お前は一体何がしたい!?」
『最初に言っただろう? “偽りの聖杯”はどこにあるのか、と。他にもやりたいことは沢山あって私としても困っているが、……』
署長の怒声に優雅にすら答える声に沈黙が交じる。ここに来て、はじめて声の主は沈思している。
『署長に悪いようにするつもりはない。ちょっと“上”に黙ってもらうくらいのことはするがね』
「それで恩を売っているつもりか」
『まさか。しかしこれで三日間は君の自由にできるのではないかな?』
期限付きの自由。
確かにあらゆる宝具を扱う《二十八人の怪物(クラン・カラティン)》においても余りに強力であるために“上”の幹部クラスにまで許可を必要とする宝具は存在する。そこには現場の意向を無視した政治的思惑もあり、“上”にとって《二十八人の怪物(クラン・カラティン)》の命は想像以上に軽いことを意味していた。
その楔を、三日間とはいえこの男は解き放つという。
『“上”が機能を取り戻してからは私の知ったことではないが、それまでに決着を付ければ問題はあるまい?』
先のランサー戦を思い起こす。あの戦いをきっかけに勝率は大きく下がったため仕方なく署長はフェイズ5への移行を断行した。これ以上のフェイズ移行は署長の権限にないためできないが、“上”が機能不全に陥ればフェイズ6で使用可能となるレベル3の特殊宝具の開帳すら無理矢理ではあるが可能となるだろう。
逆に言えば、これで成果を出さねば“上”は即刻署長を――《二十八人の怪物(クラン・カラティン)》そのものを処断することとなる。
ハイリスク・ハイリターン。いや、傍観というローリスク・ノーリターンという手もないこともない。だが後者をとるような人間ならば、最初から聖杯戦争に参加するわけもない。
『また改めて連絡をしようじゃないか。何、今すぐに返事は期待しておらんよ。確認するぐらいの余裕は与えようじゃないか、署長』
署長の言葉を欠片も待つこともなく、通話は終了する。暗躍する何者かは、どうあっても署長に動いてもらいたいらしい。
ここで署長があらゆる制限を外し自由に動けば、この戦争での勝利は間違いない。その代わり、この聖杯戦争のシステムが外部に露見する可能性は極めて高くなる。三日間という制約が積極攻勢を選ばざるを得ないからだ。
「いかが……いたしますか?」
さすがの万能秘書官も事態の困惑を隠せない。《二十八人の怪物(クラン・カラティン)》の中には“上”からの監視として入っている者もいるが、この部屋の中にそうした間者は排除してある。つまり、相手の口車に乗るのも、ありのままをそのまま報告することもできる。
時間はあまりない。それでなくとも忙しいのだ。これ以上時間をかけることはできない。
「……まずは裏をとる。現場に部隊はもうすぐ到着するな?」
「あと一分です。それと倒された下級隊員もかけつけた他の隊員により心肺蘇生措置がとられています」
本来であれば心肺蘇生よりも先に任務を優先させるところだが、一人で行わせても碌な結果にはなるまい。秘書官の判断は至極真っ当だ。
「スノーホワイトの使用率を既定値から五ポイントだけ上げて周辺クリーニングを開始。足取りを追えるようなら追尾し潜伏先を特定しろ」
「五ポイント……ですか。周辺クリーニングでしたら二ポイントの底上げで十分かと思いますが」
《二十八人の怪物(クラン・カラティン)》にはその性質上この宝具の優先使用権が認められている。とはいえ、既定値を超えた分に関しては厳密な報告義務があり、同時に見返りにあった成果も求められる。署長が魔術師として表に出ず穴熊にならざるを得ない理由の一つがこの下らぬ報告書の作成のためである。
「虎穴に入らずんば、だよ。これなら言いわけとしてギリギリ通る範囲だ。これで“上”の反応を見る。ついでに余剰ポイントでシステムの洗い出しをしてくれ。これでキャスターにチェックさせる時間の短縮もできる筈だ」
「了解しました」
「私はこれから他の“上”の様子を見てくる」
先の一件から元より個別に乗り込むつもりであったが、交渉ではなく暗示の類を確認するだけであれば二、三人会っただけでは意味がない。面倒ではあるが、これから“上”の数人と連続して訪問しなくてはならない。場合によっては、このスノーフィールドを一時的とはいえ離れる必要もある。
「しばしお待ちを。私も共に参ります」
「必要ない。私の留守の間は君が指揮を執れ」
現状での指揮権は実を言えば副官である“上”の息のかかった者に委譲されるのだが、それをすると署長の行動は筒抜けになってしまう。秘書官が共に動くとなると有事の際に《二十八人の怪物(クラン・カラティン)》は群体としての機能を失うことになる。
「オフェンスとして護衛班が数人いればいい。私の宝具ならディフェンスは必要ないだろう」
「ここで手の内を明かすような真似はして頂きたくありませんが」
苦言を呈し少しでも考えを改めてもらおうと秘書官が動くが、それを是とする署長ではない。
無理にでも共に行動したいところだが、指揮権を委譲されたとなるとさすがに秘書官としても無闇に動くわけにもいくまい。次善策として代理として秘書官が出向くことも検討するが、それでは組織としての在り方が分からなくなる。
「……地下に車を用意させました」
「では、行ってくる」
深々と礼をして見送る秘書官を後ろに署長は本拠地としているビルを後にする。
この聖杯戦争始まって最初の外出である。様子を見るとは言ったが、おそらくは既に数人は暗示にかかっていることだろう。問題は暗示にかかっていない“上”の連中だが、その時は腹をくくるしかあるまい。秘書官のサポートなしであの連中を相手取るのは骨だが、なんとかなるだろう。
ともあれこれで事態はまた一つ動くこととなる。このスノーフィールドにいる“上”は一人、確実に減った。いずれは仕掛けようと考えてはいたが、手間が一つ省けたことになる。
署長が乗ったドイツ製の大型車両は当然ながら特注品。防弾なのは無論のこと、防音としても完璧である。運転席とも仕切られているこの後部座席は完全に署長のプライベート空間だった。
戦争開始以前から常に誰かと居たためにゆっくりと休めなかったが、今この場だけは別である。ここでは何を言っても許される。
「これで……書類仕事ともおさらばだな」
その後の交渉の成果を思えば、署長の言葉はまごう事なき本心だった。
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ティーネ陵辱。
フェイトゼロで切嗣が体温変化で魔術回路をある程度見破っていたので子細に観察することは可能なはず、という理屈でティーネをひんむいてみた。色々と理由はつけたがとりあえずティーネを辱めたかっただけ。序章での予告回収。
“上”のパイプ役。
あっさりとジェスターに無力化され退場していった人。一番最初に考えていたルートではこの人が黒幕となって色々と動く予定だったのだが、そのフラグはこうして折られたりする。SNでギル様があっさり退場したような展開だと思ってください。
ヒュドラのコントロール。
アポクリファで赤のバーサーカーの行動を止めるのに令呪二画分が必要(うろ覚え)とあった。それを参考にヒュドラをコントロールするには令呪全部使っても無理、という判断をしてもらった。
ちなみにこの章を読んで「おや?」と気付けた方は凄い。