最初に現れた天使《歌姫》は『白』と『黒』だった。
平穏だった世界に災厄をもたらす悪魔《ノイズ》。
二人の天使は悪魔を駆逐するために戦う。
『白』が戦い、『黒』が歌う。
『黒』が戦い、『白』が歌う。
天使は世界を救う希望だと、誰もがそう思っていた。
しかし‥‥‥。
ある日、世界は二つの希望《天使》に悲劇を見る‥‥。
『白』の天使が『黒』の天使を殺したのだ‥‥‥。
それは誰かの怒りのように、雷が轟き──
それは誰かの嘆き悲しむ涙のように、雨が降り注ぎ──
『白』の天使《歌姫》が持つ一丁の銃が、『黒』の天使《歌姫》を撃ち抜いた‥‥。
誰も真相を知らない‥‥。
誰も『白』の天使《歌姫》の真意を知らない‥‥。
その日から、誰もが『白』の天使《歌姫》を希望だとは思わなくなった。
その日から、誰もが『白』の天使《歌姫》を悪魔《ノイズ》と同じ、災厄だと思うようになった。
だが、世界からどう思われようと、かつて希望だった『白』の天使《歌姫》は何も言わなかった‥‥。
やがて、『白』の天使《歌姫》は人々の前から姿を消した‥‥。
誰も、その理由を知らない。
誰も、その理由を知ろうともしなかった。
悲劇は後に、『裏切りの悪魔《歌姫》』と呼ばれるようになる‥‥。
悲劇・『裏切りの悪魔《歌姫》』から数年の月日が流れ、一人の少年が唄を歌い始めた。
少年にはかつて、大切な人《家族》が居た。
しかし、今はもう居ない‥‥。
『白』の天使《歌姫》が殺した『黒』の天使《歌姫》こそ、少年の大切な人《家族》だったのだ‥‥。
だから──
少年は『否定するための唄』を歌った。
世界を脅かす悪魔《ノイズ》を否定するために歌う‥‥。
悪魔《ノイズ》と戦う今の天使《歌姫》達を否定するために歌う‥‥。
自分の大切な人を奪った『白』の天使《歌姫》を否定するために歌う‥‥。
そして何より‥‥‥‥。
否定するための唄を歌う『自分を否定するため』に少年は歌った‥‥。
少年の唄には涙が流れている‥‥。
少年の唄には悲しみが込められている‥‥。
それでも不思議と、少年の唄は人々の心を惹き付けた。
少年は歌う、『否定するための唄』を。
誰かに想いを伝えたいというわけではない。
少年は否定できればそれで良かった。
悪魔《ノイズ》を否定できればそれで良い。
自分の大切な存在を助けてくれなかった悪魔《歌姫》を、同じ力を持つ天使《歌姫》達を否定できればそれで良い。
少年の唄は否定するために紡がれる唄‥‥。
少年の唄は復讐のために紡がれる唄‥‥。
少年の唄は自分の心を傷つけて紡がれる唄‥‥。
少年はこの先も、否定するために唄を歌い続けるのだろうか‥‥?
‥‥願わくば。いつの日か少年・黒先 星夏(くろさき せな)の復讐を終わらせ、その心を救う天使《歌姫》が現れんことを‥‥‥。
出来の方は、良いかもしれないし‥‥‥悪いかもしれない!