ラブライブ! ─ 背中合わせの2人。─   作:またたね

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どうも!またたねサンタが甘い甘いプレゼントを持ってきたよ!!
ってなわけでどうもお久しぶりです、またたねと申します。
今回どうしても書きたくなって短編を書いてしまいました笑
いいよね!クリスマス気分を味わいたかったんだもん!泣

さて、注意書きを。
この話は番外編です。本編との関わりは一切ございません。

タイトルからわかると思いますが、主役は希です。
少ない時間で書いたので文字数は少ないですが、愛と砂糖をたっぷりと込めました。
どうぞ楽しんでいってくださいね!


【番外編短編】Venus of Purple Sp.〜Sweet Sweet Christmas.

【番外編短編】Venus of Purple Sp.〜Sweet Sweet Christmas♪

 

 

 

12月25日。今日は世間一般で言うクリスマスと呼ばれる日だ。このイベントに俺はあまり縁がなく、中学時代は凛と花陽と過ごし、高校1、2年の時は絵里と希と過ごした。

……え?それは十分満喫してるだろ、って?

何のことやら知らない知らない。

 

そして高校3年生の冬。

この年は……この年のクリスマスは俺にとって忘れられないものになった。

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

俺が高校3年生の時のクリスマスは例年とは違い、μ'sと過ごした。まぁ元々凛と花陽、絵里と希と過ごしてたクリスマスだからそれに他のメンバーが加わったって形で違和感は全くなかったけど。

楽しかった。

『ラブライブ!』本大会出場を決めた俺達は、それのお祝いということもあって盛大にパーティーをした。

今回は俺の家ではなく、真姫の家でパーティーだった。真姫の母親……先生がえらく乗り気で、とんでもない量の料理がでてきたのは今となっては笑い話だ。

 

 

 

そして話は、俺が家に帰り着いてから始まる。

 

 

 

 

 

 

「はぁー……楽しかったけど、食い過ぎた……」

 

ソファーに腰掛け、天を仰ぐ。

先生が作る料理は最高に美味かったけど、如何せん量が……他のμ'sメンバーは女の子だからって言ってみんな俺に押し付けるし……ゲプっ。

 

今年は本当に色々あった。

μ'sが出来て。廃校を阻止して。一度大きく挫折したけど皆でもう一度立ち上がって。

再び夢が始まって。絶対不可能だと言われてた、A-RISEをも超えて本大会出場も果たした。

俺と“希”の夢……俺たちの“奇跡”は、本当に奇跡を起こし続けた。

あと一歩……あと一歩で俺たちの夢が叶う。

ついにここまで来た。やることは変わらない。

精一杯、楽しくありったけをぶつけるだけ。

そのために俺が出来ることなら何だってやってやる。

 

 

──────それとは別に。

 

 

俺には一つ決意があった。

今年中にそれにカタをつけようと思っていたが……気づけば今年はもう一週間しかない。

今日が絶好の機会とは思っていたんだが……

帰り道の都合でどうしてもチャンスが来なかった。

……明日言おう。

そう決めた俺は風呂の準備を始めようとしたのだが……

 

 

 

───────ピンポーン。

 

 

 

呼び出し音が響く。こんな時間に誰だろうか。

俺はインターホンへ駆け寄り、液晶に映った来訪者の姿を確認して───────

 

「─────はい」

 

『…………ウチです』

 

「…………………………誰ですか?」

 

『もう!わかっとるやろ!?』

 

「ははは。はいはーい。少し待ってて」

 

……こんな時間にどうしたんだろう。

すぐさま玄関に行き、鍵を開ける─────

 

「……ごめんね、ゆーまっち。こんな夜遅くに」

 

「いや、別にいいんだけど……どうした?東條」

 

「うん、ちょっと、ね……」

 

「……まぁいいや。ここじゃ寒いだろ?上がりなよ」

 

「あっ……うん。お邪魔します……」

 

……なーんか返事の歯切れ悪いな、希。

少々怪訝に思いながらも俺は希をリビングへと通した。

 

 

 

 

「……ほれ」

 

「あ、ありがとう」

 

温かいココアを作り、希に渡してやる。

希はソファーに座っており、俺も少しだけ距離を開けて、希の横へと腰を下ろした。

 

ふと希に目をやると、手が赤くなっているのが見えた。そこに手を伸ばして触れると、氷のように冷たかった。

 

「……っ!」

 

希が驚いたようにこちらを見ている。

 

「……あ、ごめん。手、赤いなって思って。

……凄い冷えてるじゃん。こんな寒い中どうしたんだよ」

 

「…………」

 

「……っていうか、こんな夜中に1人で歩くなんて危ないだろ?連絡してくれれば、俺の方から行ったのに」

 

「……ごめん、なさい……」

 

「……そこまで落ち込むほどじゃねぇよ。今度からはそうしてくれ。

……んで、どうした?」

 

希は俯いて何かを考え込んでいるようだ。

その考え事の中身は、俺ですら読み取れなかった。

 

しばらくすると希は顔を上げ、“東條”の笑顔で笑う。

 

「んーん、特に何もないよ♪」

 

「はァ?」

 

「ゆーまっちともう少しおしゃべりしたかっただけや。嫌やった?」

 

あくまで笑顔で希は俺に問いかける。

 

「別に嫌じゃないけど……本当にそれだけか?」

 

「うん、それだけよ?」

 

「はぁ……何だよ、凄い心配したのに」

 

「ふふふっ♪ごめんごめん……」

 

それからしばらく他愛もない会話を2人で楽しんだ。大きく盛り上がるわけでもなく、オチがあるわけでもない。単に2人で話すだけ。

でもこの時間が……無性に楽しかった。

 

そんな時間がしばらく続き、熱々だった互いのココアが冷えた頃。

 

「はぁーやっぱりゆーまっちと話すのは楽しいね」

 

「そりゃどうも」

 

「へへへっ。……ねぇ、ゆーまっち」

 

……少しだけ声色が真面目なそれに変わった。

───────本題か。

直感的にそう悟った俺は、無言で希の言葉を待つ。

 

 

 

 

 

「────“ウチ”が中1の冬に引っ越してなかったら、今頃どうなってたかな?」

 

 

 

 

…………は…?

何を、いきなり。

 

「……どうした、いきなり」

 

「……最近思うん。ウチがずっと此処に居たら、今頃どうなってたんだろう、って」

 

「……らしくねぇな、お前が“if”(もしも)の話なんて」

 

「ふふふっ。……ウチがもしずっと此処にいたら。

もっと楽しかったのかな。

もっと君と仲良くなれてたのかな。

……君はあんな思いをせずにすんだのかな。

 

……そんなことばっか、考えてしまうん」

 

「東條…………」

 

「……引っ越しという事実が変えられなかったとしても。

 

もしあの日、君にサヨナラが言えてたら。

 

やっぱり君はあんな思いをしなくて済んだんじゃないかな、って。

……こんな話ししてもしょうがないことはわかってる。

けど、どうしても考えてしまうんよ」

 

希は笑顔だ。その笑顔に宿る感情は……悲しみ?

────否。それよりも大きな、決意。

 

「……5年前のクリスマス。“私”は何も言わないでキミの前から消えた。本当にごめんなさい」

 

「……それはもう、清算しただろ…?」

 

そうか。あれからもう5年も経つのか。

中1のクリスマス、希に呼び出された俺はそこに向かったけど、彼女はそこにはいなくて。

それ以来俺の眼の前から消えていなくなって。

俺の心に傷だけ残して。

でもその過去は、高1の春に“なかったこと”にした。

……でも確かに……

 

「ううん。やっぱりダメだよ。“なかったことにする”なんて。2人で向き合わなきゃ。

どれだけ傷ついたとしても、向かいあわなきゃダメだよ」

 

「…………“希”…」

 

「私ね、あの日伝えたかったことがあったの。

それを今日……伝えたくて、ここにきた」

 

「伝えたかったこと…?」

 

そこで希は一度俺から目を逸らし──────

覚悟を決めたような目で俺を見つめ直した。

 

 

 

 

「5年前、君に伝えたかったコトと

 

 

 

“少しだけ成長した”、“ウチ”の気持ちと

 

 

“5年前から何も変わらない”、“私”の気持ち

 

 

 

怖いけど 伝えるね」

 

 

 

 

希から目が離せない

 

緊張したように震える唇

紅潮させた頬

少しの涙で揺れる瞳

 

全てが魅力的で、俺の視線を掴んで離さない

 

 

 

 

「私」

 

 

それ以上は────────

 

 

「優真くんのこと────────」

 

 

───────言わせない

 

 

 

 

 

「やめろ」

 

「っ…………」

 

希の声に、少しだけ声を強くして被せる。

そして一瞬希から視線を逸らす。

するとその視線を戻した先には──────

 

─────涙を流す希がいた。

 

 

 

「そう……だよね………今更、だよね…………」

 

 

 

 

涙と共に、笑顔を浮かべる希。

その笑顔からは悲しみしか感じない。

──────やばい、絶対勘違いさせた…!

 

「ちょ、待て、希っ」

 

「ごめん、帰るね、お邪魔しました」

 

希は立ち上がり、本当に玄関へと歩き出した。

 

 

 

 

 

 

ああ畜生

 

自分の不器用さに腹が立つ

 

もっと言い方あっただろ?

 

でも後悔する暇があるなら───────

 

 

 

 

──────大切な人を、引き留めろ

 

 

 

 

「希っ」

 

俺は希に駆け寄り、その腕を掴んでこちらを向かせると────────

 

 

そのまま正面から、優しく抱きしめた。

 

 

「──────!?優真……くんっ…?」

 

希が驚いたような声を上げた。

 

 

 

───────それ以上は、言わせない。

 

 

 

 

 

 

 

 

───────そこから先は、俺が言うから。

 

 

 

 

「──────好きだ、希」

 

 

 

 

「───────え……?」

 

「俺の口から言いたかった、希よりも先に。

だからさっき止めた。勘違いさせてごめん」

 

「…………嘘……」

 

「嘘じゃない。俺も同じ気持ちだよ。

5年前からずっと、君のことが好きだった。

 

高1の時、君への想いを諦めた。

……でも、無理だった。

君と過ごしていくうちにどんどん意識するようになって……気づいた。

諦め切れてなんかなかったんだ、って。

……気づくのにこんなに時間かかったけど…

伝えるのにもこんなに時間がかかったけど。

 

────────俺は希が大好きだ」

 

希はしばらく俺の腕の中で涙を流していたが、

ややあって口を開いた。

 

「今度はちゃんと…………言わせてね…………?」

 

涙声で俺にそういう希の頭を、優しく撫でる。

 

「……あぁ。聞かせてくれ」

 

 

 

 

「……ウチは……私は…………

 

 

 

優真くんが好き、大好き…………」

 

 

 

「……ありがとう」

 

 

俺の決意────“希に想いを伝える”という決意は

やっと叶った。

 

しばらくの間、泣き続ける希を優しく抱きしめ続けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「なぁ、希」

 

「ん、何?」

 

 

今俺たちはソファーに2人で、手をつないで座っている。

 

 

 

「……今日、泊まっていったら?」

 

「───────ええぇ!?」

 

希が顔を真っ赤にしながら声を上げた。

 

「ととと泊まるっ!?」

 

「……もう夜遅いし、どうせなら、ほら……

 

もう少し、一緒にいたいし……」

 

俺が少し照れながらそう言うと、希は顔をますます真っ赤にして俯いた。そして返事をする。

 

「う、うん……わ、私も…優真くんといたい……」

 

「……へ、変なことはしないから…」

 

 

 

「───────してくれへんの?」

 

 

 

「──────え?」

 

「あ、今変な想像…いや、妄想したやろ?」

 

「なっ…ば、馬鹿っ、今のは……!」

 

「あー顔真っ赤やーん♪ゆーまっちのヘンターイ♪」

 

「お、お前っ……!」

 

希にしてやられて、一気に顔が真っ赤になる。

そしてそれが恥ずかしくて俺は顔を希から背けた。

 

「……ねぇ、優真くんっ」

 

「……あぁん?なんだ」

 

 

 

 

 

なんだよ、と紡ごうとした言葉は振り向きざまに途中で遮られる

 

 

 

 

 

ふと俺の唇に訪れた、優しくて甘い果実によって

 

 

 

 

 

 

時間にして、数秒。

俺には永遠のように感じられた、幸福な時間。

 

そしてしばらくしてからその感触は俺から離れていき、希は頬を染めて恥ずかしそうに言う。

 

「────の、希サンタからのプレゼントっ……

 

 

 

大切にしてね……?来年も…あげるから……」

 

 

……どこで考えてきたのだろうか、そんな恥ずかしいセリフを。でも俺はそれ以上に希が可愛くて……

 

 

 

今度は自分から唇を重ねた。

 

 

 

触れるだけの、優しいキス。

今はこれで十分。互いの気持ちなんて痛いほどに伝わってるから。

 

満足いくまで堪能してから、顔を離す。

希の顔は幸せそうで……それでいてどこか名残惜しそうで。

そんな希の頭を優しく撫でながら、俺は言う。

 

 

「─────うん。来年も…その次の年も。

 

ずっとずっと毎年楽しみにしてる。

 

これからずっと、よろしくな」

 

すると希はまた泣き出した。

それでも笑顔を浮かべて────────

 

 

 

 

「─────うん、大好き、ありがとう」

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

「優真くーん?」

 

俺を呼ぶ声で目が覚めた。

もう“何年も前になる今日”(高3のクリスマス)のことを思い返していたら、

いつの間にか眠っていたらしい。

 

「こんなところで寝てたら風邪ひくよ?」

 

「あぁ、ごめんな希。心配してくれてありがとう」

 

「んーん。どういたしまして♪」

 

「……なぁ、希」

 

「? どうしたの?」

 

 

 

 

「もし……俺たちが中学の時出会ってなかったら

 

今頃どうなってたと思う?」

 

 

 

 

ふとよぎった疑問を、彼女にぶつけた。

すると彼女はしばらく考え込む様子を見せていたが─────にこりと笑った。

 

 

「わかんないよ、そんなこと」

 

「……そうだよな」

 

「うん。実際そうなってみないと、どうなるかなんてわかんないよ。

 

……でもね」

 

 

希はそこで一度言葉を止めて───────

俺の頭に、優しく手を乗せた。

いつも俺がやるように。

 

 

 

「いつかきっと私はキミに出会って

 

同じようにキミに恋をしたと思うな。

 

だって私の隣にいるのは

 

──────キミ以外考えられないもん」

 

 

 

そして希は笑う。

それは中学の頃惚れたあの頃と変わらない笑顔のような…高校の頃惚れ直したあの頃の笑顔のような。

 

どちらにせよ。

 

俺が大好きなその笑顔で。

 

 

「……ありがとう」

 

 

俺は笑顔で彼女を抱き寄せた。

 

 

そしてどちらからともなく、唇を重ねる。

 

 

もう何度も重ねた唇も、今日だけは特別な意味を持つ。

 

それは“大切な人”(サンタクロース)から初めてプレゼントをもらったあの時と変わらない、甘い恋の味がした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




もしかして自分は希推しなんじゃと思い出した自分がいます。
さて、またたねサンタからのプレゼントはいかがでしたか?
皆様の糖分が補給できたのならば幸いです。

そして、更新してない間にも新たに評価をいただきました!
宵闇 鶴氏さん、イラストレーター水卵さん、上条シズクさん、HDtamagoさんありがとうございました!
縫流さん、再評価&貴重なご意見ありがとうございました!
今後の参考にしていこうと思いますので応援よろしくお願いします!

それと皆様のおかげで、どうやら評価バーが赤Maxになったようで…!
本当にありがとうございます!!
これからも頑張っていきますのでどうぞよろしくです!

さて、次回更新は未定です。
おそらく早くても2月ごろになるかと……
残りのラストスパート、頑張っていこうと思うので応援よろしくお願いします!
それでは今回もありがとうございました!
感想評価アドバイスお気に入り等お待ちしております!

良いお年を〜(*^^*)

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