新暦75年 ミッドチルダ沿岸部
この日、 ミッドチルダ沿岸部にある隊舎の門前と付近には数多くのメディアが集まった、彼らの目当ては先日起きたテロ事件の調査及び対処するべく集められた特務部隊だ、さらに今日の始動式にはバークリー評議長も参加することが発表されたためさらにメディアが集まることになった。
式の会場となる場所に誰より早く来ている者がいた。灰銀の髪を短くそろえた長身の若者が誰もいない会場を挙動不審に歩き回っていた。
「なぁ、グランツこの格好で大丈夫か?」
《ユリウス…、その台詞は朝から10回以上聞いています、同じ答えですが大丈夫ですよ》
ユリウスと呼ばれた若者は自分のブレスレットに話しながらも、会場内をうろうろしていた、すると会場のドアが開き4人の男女が入ってきた。その中の栗毛をサイドポニーにした少女がユリウスのそばまで駆け寄っていった。
「ユリウス君!先に行くなら先に良くって言って欲しいなぁ、もう探しちゃったよ!」
「悪いなのは!なんか昨日の夜から緊張して、朝も遅刻しないように開始前に会場入りしていないと思ってさぁ」
―スッパーン
「どあほぉ!!遅刻しないようにっていくらなんでも3時間前は早すぎやろ!!」
どこから出したか分からないハリセンで頭を叩いたのは、ショートヘアの少女で思いっきりつっこんだ所為か少し息を乱している。その後ろを金髪のロングヘアの少女と黒髪の青年が苦笑いを浮かべながら近づいててきた。
「冷静なユリウスにしては、すごい緊張ぶりだね」
「それはしょうがねぇよアリシア、今日は英雄の孫が注目部隊に配属なんだ、否が応でも注目されてるんだし、しゃぁねぇべ」
アリシアと呼ばれた少女が心配そうに言うと、黒髪の青年はニヤニヤしながら言った。
「正悟!英雄の孫って言うなっていったろ!!」
「冗談だって、そんなに怒るなよ」
ユリウスと呼ばれた青年が、正悟と呼ばれた青年に怒鳴ると、周りの少女たちからも冷たい視線を向けられた。
「正悟君、今のはないの…」
「正悟君、今のは言うたらあかんわ…」
「正悟、今のはまずいと思うよ…」
「マジで悪いって、ホントもう言わないよ」
さすがにまずいと思ったのか、本気で誤る正悟と呼ばれる青年、ユリウスと呼ばれた青年が次はないからなと答えると、もう言わないよと答える。
「それにしても、うちらの配属時期にえらいことがもうたなぁ」
「だが折角の機会なんだ、初配属の部隊での重要任務だ、任務失敗は更なるテロの脅威が市民に晒されるか」
「でもどうして新人の教導部隊をテロ対策に使うんだろうね」
「おそらくこの部隊を目立たせることによる陽動で、裏で他の部隊を目立たせないように動かすのと、この部隊には優秀な新人が多く配属されているから、その新人に経験をつませたいんだろうね」
「ユリウス君よく知ってるね?」
「まぁ、軍の上層部にはいろいろと伝があるからね、多少なりとも情報は集めないと、はやてもアコース調査官から多少なりとも聞いてるんだろ」
「そうやね、捜査官にとって情報は命やから、聞ける話しは聞いとったで」
「それと、どうやらなにやら極秘の計画をこの部隊で実施するらしい」
「そうみたいだね、お母さんも忙しいのにこの部隊のことを知っていたから何かあるんだろうね」
そうして話しているうちに時間になり、各々席に座る頃に開会の時間になった。
式が始まると、この部隊の設立の目的から、隊長陣の話しと進むと式の最後に評議長が登場した。
「我々は新暦が始まって以来、数多くの騒乱の中で発展してきた、しかし昨今は反魔法主義者やロストロギアの規制に反対する者たちの武装蜂起により、年間数千の市民が犠牲になってきている、そして先日には死の蛇を騙る武装集団が中立世界でテロを起こし武力で脅し自分たちの意見を通そうとしている!これに屈することはテロに負けるということだ!それは次元世界の安定を謳っている我々に到底受け入れることはできない!!そのために我々は断固たる決意を持ち!皆の力をひとつにして事に当たらなければならない!」
評議長が話し終わると会場は妙な熱気に包まれていた、そして誰もが思ったのは成功、それのみがこの部隊に求められていた。
side ユリウス
式が終わって昼食になったんで俺たちは同じテーブルで食事をすることにした。
「さっきの評議長の話はすごかったな」
席に座って最初に話し出したのは正悟だった、確かにさっきの評儀長の話はすごかった、今までテレビでの中継は見てきたけど生で見るとさらにすごかった。そう考えているとふと気づいた、何かが足らないと、そこで俺はヴォルケンリッターがいないのに気づいた。
「そういえばはやてヴォルケンリッターはどうしたんだ?ヴォルケンリッターははやての固有戦力でしょ?」
「あぁ、あの子達は今日、夜天の書自体のメンテ中で整備局におるで」
「そういえば父さんのムーティッヒイェーガーたちも、たまに居ない時があったな、あれはそういう意味か」
ムーティッヒイェーガーは、統制連合で外務次官を勤めている父さんの魔導書で銀の書の守護騎士だ、ただ他の書と違うのは銀の書の守護騎士は20名とかなりの大勢で、その能力はSランクの魔導師を含んだ一個中隊に匹敵する戦力だ、その代わりに書の主は魔法が一切使えなくなる難点がある。
「そういえばシグナムが、ジークさんに再戦した言って燃えとったわ」
「さっすがバトルジャンキーだねぇ、シグナムと桃子さんを抜いた高町家はバトルジャンキーで決まりだな」
「私はバトルジャンキーじゃないよ!?」
「そうだよ正悟、なのはは訓練しか趣味がないだけでバトルジャンキーじゃないよ」
「アリシアちゃん…、それはフォローじゃなくて止めさしてるで」
なのはの方を向くと、テーブルに倒れこんでいるなのはの姿が合った。
「どうせ私は普通の女の子みたいなかわいい趣味なんてないですよぉ…」
たしかになのはに趣味らしいものは訓練しか思い浮かばない、そう思うと確かに可笑しくなってきてはやてと正悟も笑いを噛殺しながらフォローしている、すると口を尖らせながらも少しはなのはの機嫌もよくなったようだ。
「よっ!新人ズ、仲良くやっているようでいいねぇ」
急に話に入ってきたのは茶髪の男性だ、その後ろにはオレンジの髪の男性と黒髪の女性の二人が苦笑いをして立っていた、俺たちはまさかの有名人登場にびっくりした、彼らは統制連合陸軍特殊強襲部隊の三銃士だ、統制連合随一のスナイパーヴァイス・グランセニック中尉、元帥を抜いての撃墜王になったアタッカーカタリナ・マルティ中尉、チームのリーダーで二丁拳銃で的確に二人をフォローし指示することで目標達成を支えてきたティーダ・ランスター大尉。まさかこの三人に声をかけてもらうとはかなりの驚きだ、周りを見るとなのはたちもかなり驚いているようだ。