姉になりたいセインさん   作:青色好き

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次話投稿上手くいったでしょうか…? 凄く不安…


第二話 本探し

 ミルクのように白い雲と太陽が絵具のような水色の空に浮いている晴天の中、セインは仕事を終えて休憩していた。少し古びた鉄製の椅子に腰かけて座っていた。今頃オットーはカリムの世話を、ディードは陛下のお友達の特訓に付き合っている頃だろう。シャンテは… どこかでサボってるかも。シスターシャッハに怒られるな。そう考えてた。

 そしてセインは思考を転換して、姉の事を考え始めた。休憩時間は十分にあるから問題ない… はずである。

 

 あたしになくてチンク姉たちにある物は何だろう? セインはそう考え始めた。姉らしい事とは何かという答えを導くためにまずその事を思考することにした。あたしより上の姉は5人いる。彼女たちが持つ姉らしい要素を幾つか思い浮かべた。

 

 5番目の姉のチンク。高い戦闘能力と… 眼帯だろうか。何だかかっこいいように見えるんだよねぇ。でも何か違うような気がするようなしないような…

 

 4番目の姉のクアットロ。巧みな策謀。うん、私の頭じゃ無理だね。でも作戦を考えるならウー姉の方かも。

 

 3番目の姉のトーレ。チンクよりも高く、ナンバーズの中で最も高い戦闘能力。そして高速移動。あたしもトーレ姉みたいに戦ったらかっこよく見えるかな?ナイフでズバっと切る。でも姉らしさとは違うなぁ…

 

 2番目の姉のドゥーエ。会ったことないから分からないけど、確か変装能力と鋭い爪の武装だったはず。姉らしいというよりちょっと怖いかも… でも一度会ってみたかったなぁ。

 

 1番上の姉のウーノ。通信や情報管理・秘書。あたしの頭で理解するのは難しそうだ。

 

 う~ん、姉らしいような要素あったかな?それっぽいけど違うような気がする。結局セインには姉らしさが分からなかった。正面を見ると壁の上部に古そうな茶色い時計が架けられていた。長針を見ると大分傾いていて、時間はそろそろ休憩が終わる頃だった。

 

「おわっ、そろそろ仕事に戻らなくちゃ。シスターシャッハに怒られちゃうよ!」

 

 セインは少し速足の様子で歩いて行き、仕事場へ戻った。外はやはり光り輝く太陽が光を地上に送っているいつもの光景だった。結局セインは姉らしさが分からず、明日考えることにした。

 

 

ー     -     -     -

 

 

「沢山人がいるなぁ。迷子になりそうだよ。」

 

翌日、セインは休みをとってクラナガンの中心地に来ていた。山に負けない程高くそびえるビルが軒並み建っており、人も沢山行き来していた。建物の窓に光が反射し建物が白く見えた。なぜセインが街の中心部に来たのかと言うとある目的のためである。

 

「ええと、確かこの辺りに… お、あった! ここだここだ!」

 

 セインがたどり着いたのは本屋である。縦幅・横幅・高さもそれなりに大きく、店の壁にはポスターが多く張り出されていることから、繁盛しているであろう店舗である。

 

「これだけ大きければお目当ての本の一冊や二冊ぐらいあるはず!」

 

 セインがここに来たのは、簡単に言うと本を探すためである。といっても買うのは特定の本ではなく、姉に関する内容が書かれてる本を探すためである。セインは姉らしさを知ろうとすべく本を買おうとしていた。

 

「うひゃ~、中々広いね~ 探すのも一苦労しそうだよ…」

 

 中に入ってみると人が、本が、本棚が、沢山存在した。本を立ち読みする人、本を持つ人、袋を持つ人(本を買ったのだろうか?)、様々な人がごったがいしてた。何十列も本棚が並んでおり、1つの本棚には何段にも仕切り板が取り付けられており、その中に本が静かに整列していた。中には空きスペースがあったが、おそらく誰かが購入したのだろう。

 セインは人や本の多さに驚いていた。聖王教会に人が多く来ることがあるものの、その二倍ほどの多さではないかと思っていた。本についてもほぼ同様である。ここに勝るほど本を持つ場所は話に聞く無限書庫くらいであろう。

 

「あ、驚いてる場合じゃないか。早速ありそうな場所に行って探してみるか!」

 

 セインの本の探索が始まった。

 

 

 

「う~ん、この辺りか?」

 

 探索を始めてから約30分ほど経った。人の数はさほど変わっておらず、相変わらずごったがいしている。本棚と本棚の間を通ると人が多くいるため時折ぶつかりそうになる。 何とか避けているものの、内心はぶつかるんじゃないかと思った。そんなことがありながらも、お目当ての本が見つかりそうな場所に辿り着いたのだ。

 

「虱潰しに探してみるか…」

 

 セインはまず本棚の最下段を見た。顔を右から左の方向に動かして本の背を見て、本の題名を読む。そして姉の事が書かれてそうな本を見つけるのだ。10秒程見渡すが、関係無さそうな本しかなかった。

 

「う~ん、この辺りには無いのかな? よし、上の段を見てみよう!」

 

 最下段の一つ上の段を見ることにした。同じ方法で探すが無かった。そこで、さらに一つ上の段を見ることにした。ここにあるかな~と心の中で呟く。

 

「お、これかな?」

 

 セインは遂に姉の事が書かれてそうな本を見つけた。その本の題名は…

 

『姉になりたきゃ 金をくれ』

 

「…… うん、違うな。なら隣の本は…」

 

 本のタイトルを見て0.5秒、違うと確信して視線を隣にある本の背に移した。その本のタイトルは

 

『少年よ、姉になれ』

 

「… どういうことだよ… 女装みたいなんだけど…」

 

 これも違うと確信して、隣にある本の背に目を向けた。その本の背には

 

『私の姉は ジャスミンの香り』

 

「… もう意味不明だ… 香水のつけすぎか?」

 

 ここには無いのか?と内心で呟く。あきれさせるような本の名前になんだかやる気を下げられているように感じた。だが、それぐらいではセインは諦めない。あたしは姉になるんだ! と考えてやる気を起こさせる。それから1分ほど経過したであろう頃、ある本の背を見かけた。 

 

『姉になるための心得』

 

「おお、これかな?」

 

 やっとまともそうな本を見つけた。それを引き出し、本の表紙・裏表紙を見る。どうやらまともな内容が書かれているようだ。実際少しばかり本を開けて読んでみると、それらしいことが書かれている。

 

 「よし、これを買うか! 」

 

 セインは意気込んでこれを購入することに決めた。セインの顔は自信と姉になれる喜びで満たされていた。そして会計に向かう。セインの喜ぶ顔は少々目立ったようで、数人程セインを見る人がいた。(彼女はそれに気づいていない。)

 

 

 -     -     -     -

 

 

 美しい二つの月が空の中に浮かぶ夜、森も地面も山もは完全に黒色となり静寂な世界が形成されていた。聖王教会のシスターたちが全員寝ていて、自室の部屋の明かりを消していた。部屋が外の夜と同じく真っ暗となっているが、セインの自室だけは僅かに明るかった。

 

「ふむふむ、成程、相手が喜びそうなことをさりげなくする か…」

 

 セインの自室が僅かに明るい理由は至極単純だ。本を読んでいるからだ。今日買った本を隅から隅まで読んでいる。一字たりとも見逃す気は無かった。とはいえ明日は早いためある程度読み終えたら寝ることにしている。

 

「よし、明日から実行してみるか! これでチンク姉みたいに姉として見てくれるぞ!」

 

 セインはそう言って本を近くの棚にいれて扉を閉め、明かりを消してベッドの上で就寝した。部屋に暗黒と静寂が訪れた。




変な本のタイトルの元ネタ…
「姉になりたきゃ 金をくれ」 … ドラマ「○無き○」の有名な台詞。
「少年よ 姉にあれ」 … 曲「○酷な○使の○ー○」の一説のパロディ。
「私の姉は ジャスミンの香り」 … 漫画「○レ○ンし○○ゃ○」単行本二十二巻の○原○ろ○の台詞のパロディ。

分かった人はいるだろうか…?
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