風紀委員長一誠くんと幼馴染み朱乃ちゃん   作:超人類DX

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です。

今回で前回の見栄がバレてさぁ大変だ。


……………追加エピソード挿入。


授業参観日のあれこれ ※追加エピソード

 そういえばな話、願いを叶えて対価を得るという仕事を何度かした事がある。

 

 しかしながら、やはりというか何というか……当初会長さんに言われた通り俺には向いてない仕事だった。

 

 

「姫島さんと一日デートを――」

 

「あぁ、今日は急に人間の首を捩り切りてぇなオイ」

 

「……………。て、テスト対策がしたい、です……」

 

「はいよろこんでー」

 

 

 悪魔に願いを頼る時点でどうせ碌でも無いとは思ってたが、どいつもコイツも願いというよりは女悪魔を呼んでゲスな願いを叶えたがる馬鹿しかいやしねぇ。

 俺が来ると知れば露骨に嫌な顔はするし、願いを聞けば俺にじゃなく朱乃ねーちゃんやらグレモリー先輩やらに向けた願い事ばかり。

 

 

「い、一回で良いから姫島さんで脱童貞を……」

 

「あぁ、呼んできたぜ……姫島さんをな」

 

「姫島高和だ。趣味はハッテン場巡り。

座右の銘は『ノンケだろうと構わず食っちまうぜ』だ」

 

「ちょ、違う!? 俺はこんな奴じゃなくて姫島朱――」

 

「だから呼んだだろ姫島さんを?

おら良かったな、これで心置きなく脱童貞できるぜ? じゃ姫島さん、後はよろしく」

 

「任せろ、女なんて要らない事をじっくり教えてやるさ……」

 

「ま、待ておい!? 違う!? 俺は……くそ、近寄る――」

 

 

 な、アーッ!!

 

 

 そういう奴には言われた通りの奴を連れてきて、言われた通りにして適当に終わらすに限る。

 性別が違うのなんて、俺は聞いてなんかないからな……故に俺は悪くない。

 

 

 

 とまぁ、こんな具合にそつなく悪魔とやらの仕事をやってる次第なのだが、事の始まりは授業参観当日の日だった。

 

 親なんて存在してないと既に思ってる俺は、朱璃さんに見に来てもらったその瞬間、全力で口説きたくなったりもした訳なんだけど、それをしたら間違いなくバラキエルのおっさんにぶち殺されるので、必死になって我慢しながら父兄が見てる前で英語なのに何故か紙粘土細工をさせられたりとかした訳なんだけど……。

 

 

「一誠……あの……」

 

 

 もはや名前すら頭の中で浮かべるのすら嫌になってきた存在、兵藤凛があの日以降俺を避けてくれてた筈なのに、今日になって俺の前に現れやがった。

 

 

「ほらお父さん、お母さん……一誠だよ」

 

「「………」」

 

「………」

 

 

 わざわざ話を拗れさせにな。

 

 

「お前か……町で大層な事をしてるとは聞いていたけど、本当にまだ学校に通えてたんだな」

 

「確か姫島さん……だったかしら? 上がり込んでご迷惑を掛けっぱなしらしいじゃない?」

 

「…………」

 

 

 どんな顔かすらも記憶から弾いていた、何年か振りに見た気がする実の親……いや、遺伝子提供者とでもいうべきか? まあ、とにかく遺伝子上では血縁関係のあるこの中年夫婦は、俺を見るなり予想通りの嫌悪丸出しの顔をしていきなりの御挨拶をしてくれた。

 

 

「…………」

 

 

 さて困ったな。

 俺はこの遺伝子提供者に対して何を言えば良いんだ? 確か最後の会話は揃って――

 

 

『お前はウチの子じゃない、だから頼むから消えてくれ』

 

『凛と違ってどうしてお前は薄気味悪い子供なのかしら、あぁ、気持ち悪い』

 

 

 なんて俺に言ってそのまま追い出されたんだよな。

 まあ、その時は既になじみや、朱乃ねーちゃんと出会ってたから、別に困る事も無かった訳だけど、この兵藤凛ってのはマジで余計な真似しかしやしないもんだ。

 

 まさかこの目の前の大人と話し合ってでもして和解しろとほざきたいのか? だとしたら俺は更に貴女に対する評価を変えなきゃならんよ? 糞薄情役立たずにプラスαして無能ってな。

 

 

「聞いてるのか? 返事も出来ないのかお前は……」

 

「凛やアーシアちゃん達から聞いたわ。皆が仲良くやってきた部活の部長さんに何か言ってバラバラにしたんだって」

 

「!? お母さん! それは違うって何回も――」

 

「そうですけど、それが何か?」

 

「っ!? い、一誠……?」

 

 

 やっぱり何もネタが無い……と思ったけどわざわざ向こうからネタの提供をしてくれて割りと助かったよ。

 くく、この分じゃ奴等の中でも俺はどんなクズ野郎なんだか……ま、クズなのは否定せんがね。

 

 

「そうか、昔から薄気味悪い子供だと思っていたが、そこまで陰険になっていたのか」

 

「やっぱりアナタは私達の子供じゃないわ。そうでしょう?」

 

「当たり前ですね兵藤さん。

くく、兵藤なんて苗字は日本探しゃ何処にでも存在するでしょうし、俺達は偶々名字が一緒だっただけ……ですからね?」

 

「そ、そんな……どうしてこうなるの……?」

 

 

 しかしクズだろうが、無能のカスよりはマシだという自負だけはある。

 散々ひっかき回した挙げ句、グレモリー先輩を完璧に裏切る様な馬鹿共にしちまったそこのカスに比べたら、まだ俺のクズっぷりの方がかわいいくらいだぜ。

 

 

「あら、ここに居たのね一誠くん?」

 

「探しちゃったわよ……まったく」

 

「んぁ、朱璃さんに朱乃ねーちゃん?」

 

 

 そんなクズを否定しない、生きる糧になってくれる人達もちゃんと居る。

 だから俺は、罵られようがそれでも生きてやれるのさ。

 

 

「お久しぶりですね姫島さん……」

 

「これはこれは兵藤さん。一誠くんの件以来でしたわねぇ」

 

「ええ……あの時はお世話になりまして」

 

「いえいえ、もうこの子はウチの子ですから……ふふふ」

 

 

 ふ、流石朱璃さんよ。

 遺伝子提供者の嫌悪な目も余裕でスルーのニコニコ顔だぜ。

 

 

「ではこの辺で……」

 

「それじゃあね兵藤さん。ほら行こ一誠くん」

 

「はーい!」

 

「「「…………」」」

 

 

 まったく、風紀委員としてもアレ等は助けたくねーな。

 

 

 

 時は昼休みの時刻。

 普段だけでも生徒によって騒がしくなる学園内だが、今日は父兄も加わり余計に騒がしかった。

 

 

「まさか今日この場で遺伝子提供者に会うとは思わなかったなー……」

 

「どうしてあんな事に?」

 

「あぁ、兵藤凛が急に二人を引っ提げて登場したんだよ俺の前にな。

で、見るなり薄気味悪いって言われちまったぜ」

 

「……………。悪い意味で全然変わらないわね、あの方々は。

一誠くんを引き取る話をした時も、何の遠慮も無く『薄気味悪いから早く引き取れ』って言ってたのを思い出しちゃったわ」

 

 

 お昼ご飯は父兄と共にという決まりというか流れになったので、一誠の実親――じゃなくて朱璃と朱乃の共にご飯を食べる為に人避けの仕掛けを施しておいてやった屋上へと来て、三人でパクパクと食べていたのだが、やはり会話の内容はネガティブ気味になってしまう。

 

 しかし一誠としてはあんな連中の話なんか何時までもしたって仕方ないと考えており、気を取り直すという意味で内容をソフトに逸らそうと、今目の前に居る母と娘に足りないもう一人について話をし始めた。

 

 

「んな事より、授業参観だからてっきりバラキエルのおっさんが来ると思ってたんだけど……」

 

「………」

 

 

 遺伝子提供者よりも朱璃やバラキエルの方が寧ろ親に感じる一誠だからこそ、普段は朱璃に対してアレな事ばっかり言ってるのと同時に、朱乃とバラキエルの未だ拗れてる関係をどうにかしたいとチョロチョロ動いてたりする。

 だがそんな一誠のコソコソした動きとは裏腹に、バラキエルの名前を出した瞬間、昼飯を食べていた朱乃の端の動きがピタリと止まる。

 

 

「今日はお仕事で来られないって残念がってたわ」

 

「あ、そうなんすか?」

 

「言ったんだお母さん……あの人に授業参観の事」

 

 

 朱璃から伝えられては居たらしく、一応は知ってるらしいのだが生憎の仕事で来られないと知った一誠は内心『嘘だなあのヘタレおっさんめ……』と毒づきつつ朱璃に対して理解のあるように頷いておく。

 だがその横で、朱乃が露骨に嫌そうな顔をして朱璃を睨み、授業参観の日を教えた事について責めている。

 

 

「別に良いじゃない、アナタのお父さんなんだから」

 

「あんな人……!」

 

 

 しかしそこは流石の朱璃。

 そんな娘の怒りにも飄々と対応して父親だからと言うものの、朱乃の表情は嫌悪に歪んでいる。

 

 

「そこまで嫌う要素が俺にはわからねぇな。

つーかこの前も会ったしな」

 

「!? また会ったんだ……」

 

「おう、二重の弱体化でちょっと笑われちまったっけ?」

 

「……理由も知らないのに」

 

「いや知ってる知ってる。つーか寧ろ笑えよと言ったのは俺だしね」

 

 

 不穏なオーラを出す朱乃を見て、すかさず一誠がフォローをいれる。

 あの日……馬鹿な堕天使が一度朱璃と幼い朱乃を殺したあの日以降完全に拗れてしまった父と娘の関係。

 

 その前までは実に仲良くやってたのに、たった一度の……くだらない理由でひっかき回した馬鹿共のせいで拗れてしまったこの関係。

 

 全ての現実を逃避させる事で母と娘の命は殺されなかった事にして何とかなったものの、あの時抱いた憎悪と尋常では無い殺意が……

 

 

 げげげ、これで儂としての個が完全に確立された。

 

 無意識に宿った言彦を復活させた。

 

 全てはあの日に起きてしまった事。

 そしてあの日を境にバラキエルは己を責め、自分の流れる半分の血を含めた堕天使血を嫌悪する様になった娘に対して何も言えず避けてしまった。

 

 

「……。私の事は何も言ってないの?」

 

「普通に朱璃さん共々心配してたぜ? スケベ小僧に育っちまった俺に牽制しまくりよ」

 

「………。大きなお世話よ、何もしなかった癖に……」

 

「そういう事を言ってる訳じゃ…………あ、すいません朱璃さん、フォローの方ミスっちまった」

 

「良いのよ、あの人もあの人で度胸が無いから何時までもこうなってるのだしね」

 

 

 朱璃と一誠がフォローし続けたお陰で嫌悪通り越した憎悪とまではいかないものの、朱乃のこの態度とバラキエルのヘタレ具合を見る限りじゃあ、まだまだ先の事になりそうだ。

 

 普段はチャランポランな一誠もこの時ばかりは真面目に大きなため息を吐きながら、雲も何も無い空を見上げるのであった。

 

 

 

 何をしても全て上手くいかない。

 凛は最早八方塞がりに近い状況へと追い込まれていた。

 

 

「…………」

 

「聞きましたよ凛先輩。

ご両親をあの人と会わせたみたいですね?」

 

「う、うん……」

 

「その様子だと失敗したのかい?」

 

「そうなるかな……」

 

「弟さんが何かまた?」

 

「そうじゃないけど……」

 

 

 一誠は既にもう他人に近いものへと昇華している。

 その現実が絶望を凛に与える訳だが、周囲の人達の反応は寧ろその方が望ましいといった反応ばかりだ。

 親然り、小猫達然り……。

 

 

「あ……」

 

「どうしたんだい兵藤さん……むっ」

 

「あれは、リアス元部長と朱乃先輩と……兵藤一誠さんですね」

 

「誰かとお話してるみたいですけど……誰なんでしょうか?」

 

 

 そんな凛達はご飯を一緒に……というかもうあの日以降ずっとくっついて行動している訳で、今日もまた残りの昼休みを4人で行動し、なるべくリアス達と鉢合わせしないようにと凛が動いていた時だった。

 

 

「や、やぁ……その、話は娘から聞いたよ」

 

「抜けた眷属の穴埋めをソーナちゃんの共々アナタがして頂いてるみたいで……」

 

「あ? ………………すいません、どなたですか?」

 

「「!?」」

 

「わ、私の両親よ……! ほ、ほらイッセーが冥界に乗り込んで来た時に………」

 

「あぁ、はいはい……思い出した思い出した。

ハッ、てっきりテメーの娘が眷属失ったのを恥と感じて文句でも言いに来たかと思ったけど、その様子だとちと違うってか?」

 

「……」

 

「………」

 

 

 

「あの人達、リアス元部長の両親ですよ……」

 

「何で兵藤君なんかに低姿勢なんだろね……」

 

「まさかまた何かしたとか……」

 

「………」

 

 

 リアスの両親相手にかなり横柄な態度で話してる一誠に、もう無関係な筈の三人が眉をつり上げてるのを凛は小さくため息を吐きながらも黙って覗き見ていると、リアスの両親の背後から別の二人組が現れた。

 

 

「その辺で勘弁して貰えないかな一誠くん。

父と母も色々あれから考え直してるつもりなんだからさ」

 

「お、お兄様!?」

 

「チッ、出やがったな魔王……とそのメイドめ」

 

「暫く振りですねリアスお嬢様、それにイッセー様」

 

 

 リアスの兄夫婦の出現に、リアスは狼狽え、一誠は物凄く露骨に嫌な顔をする。

 転生悪魔に無理矢理なった今でも、どうやら一誠に頭を垂れるという習性は無いらしい。

 

 

「なるほどね、確かに今のキミの中には二人の悪魔の力が宿った駒が何個も入ってるね。

けど、皮肉にもそのせいで今のキミは大分力を落としてる様だ」

 

「だから何すか? 悪魔の大群でも送って俺を殺すのかい?」

 

「それこそまさかだよ。

いくら弱体化したと言ったって、それでもキミは並の悪魔を蹴散らせる程の力が残ってるし、何よりキミの持つ『アレ』がある以上、キミはまたそこから成長を続けるんだ。

一部の馬鹿でも無い限りそんな真似はしないさ……ふふん」

 

「チッ、余裕こきやがって。銀髪ボインのメイド侍らして嫌味のつもりかい……クソッタレが」

 

「はは、本当に彼女の言った通り、僕って相当キミに嫌われてるみたいだ。

まあ、身に覚えがある以上、僕としては許して欲しいものだけどね」

 

「…………。グレモリー先輩の元婚約者ってのはどうなったんすか?」

 

「ライザー・フェニックス様なら、あの式の日に映像として残したアナタ様の力を見せた瞬間、完全に引っ込んでしまいましたわ」

 

「僕が『花嫁を守れる男じゃないとリアスとの結婚は少し考え直さないといけないかなー……?』って言っておいたからね。

今のキミだろうと彼程度じゃ無理だよ」

 

「だ、そうだ。良かったなグレモリー先輩。元婚約者は逃げ腰でアンタを奪いには来ないらしいぜ? この魔王が言った事が本当ならな」

 

「う、うん……」

 

 

 

「態度が大きいですねあの人……」

 

「一応、本当に元部長の婚約話は壊したんだね」

 

「でもどうやってなんでしょうか?」

 

「………」

 

 

 原作とは違って気性がかなり荒いせいか、一誠はある意味で自立した精神を確立している。

 しかしそれでもその精神が敵を多く作ってしまうのもまた事実なのか、凛から見たリアスの両親が一誠を見るその目は、腫れ物を見るようなソレに思えてしまう。

 そう、一誠の両親と同じ様な……化け物を見るような。

 

 

 

 

 

 

「そんな事より、グレモリー先輩を呆気なく見捨ててテメー等だけで生きてる役立たずの能無し共についてはどうなるんですか?」

 

「え? あぁ……まあ、リアスから聞いてはいるけど、何というかわざわざ安心院さんの手を煩わせた感じみたいなんだけど、リアスがもうそっとしてやりたいと言ってるから僕も父も母も逢えて黙ってるつもりだよ。ね?」

 

「正直文句は言ってやりたい気はするが、もうリアスの眷属では無いのでな……」

 

「それにアナタが代わりに勤めてくれるのであれば私はもう……」

 

「だ、そうだぜ? 良かったじゃん、くだらねぇ説教も無さそうだぜ先輩?」

 

「お父様、お母様……」

 

「うむ、話の内容からしてお前は寧ろを割りを食わされただけだからな……仕方なかろう」

 

「それにしても、何て薄情な者達だったのでしょう。

今もこの学校に通ってるのですよね?」

 

「え、えぇ……ですが、こればかりは私の器があまりにも足りずに居たから招いた結果ですので、彼等はそっとしておいてあげて欲しいのです」

 

 

 凛達に見られてる……てのは既に勘づいていたりする一誠達の話も終わり、びくつくリアスの両親に対して軽く舌打ちをしてから別れた一誠。

 妙に態度が悪い訳だが、その理由は単純にリアスとソーナ以外の悪魔を基本的に信用してないからだ。

 

 サーゼクスとグレイフィアに関しても、なじみと同じ存在であることだけは納得してるが、悪魔としてはまるで信じてないという持論を持ってるので、態度もそれなりに最低なものだった。

 

 

「アンタの両親、俺が無理矢理アンタの眷属になったのが嫌みたいだな」

 

「…………そうみたいね」

 

 

 敢えて朱乃と朱璃を二人きりにさせ、自分の元へとフラフラやって来た一誠が両親的には受けが無かった。

 先程の会話からそれを見抜いたリアスは落胆を隠せずに、一誠の言葉にコクンと頷く。

 

 

「まあ、あくまで俺は代行だしね。

その内ちゃんと見つかりゃあ、俺が眷属であることも無くなるからそれまでは精々我慢して頂くしか無いっすね」

 

「あ……そうね……代行だものね」

 

 

 加えて一誠はあくまでも代理だと主張している。

 故にリアスの気分は微妙に晴れないでいた。

 

 

「今度は薄情じゃない奴を仲間に出来ると良いっすねー?」

 

「ええ……」

 

 

 薄情じゃなくて、裏切らない眷属に相応しいのなら、今自分の目の前に居る気がするのだけど……。

 何気に二人っきり状態で校内を風紀委員の仕事である巡回ついでにフラフラしている一誠の横に付き従いながら思うリアス。

 

 正直、人数不足なのは否めないかもしれないけど、戦力とか裏切りらないとかを考えたら、一誠がこのまま眷属のままで居てくれた方がリアス的には――いや今この場に居ないソーナからしても安心だったりする。

 

 そりゃあ口も悪いし、さっきみたいに両親や兄達に対しての態度も褒められるものじゃないのは分かってる。

 

 だけど裏切らないという点に措いては、朱乃や椿姫を見れば分かる通りに絶対的な信頼を寄せられる。

 

 安心院なじみの『一度でも一誠に情を持たれたら、多分死ぬまでその相手に対して献身的になる』……その言葉通りに……。

 

 

「そろそろ朱乃ねーちゃんと合流します?」

 

「ええ、そうした方が良いかも……あら?」

 

 

 そんなリアスの密かなる考えを知らない一誠はといえば、そろそろ朱乃と朱璃と合流しないかとリアスに提案しており、リアスも反対する理由も無いのでそれに応じて二人の元へと進路を向けて歩き始めたその時だった。

 

 

 わーわー きゃーきゃー

 

 

「何かしら? 向こうで人だかりが……」

 

「んぁ? あれ、本当っすね」

 

 

 ちょうど中庭を通って行こうとした時にリアスが見つけた人だかりに一誠も目を細めてみると、何やらわーわーきゃーきゃーと男子がかなり騒いでいる様に見える。

 

 

「チッ、愚民共が、余計な仕事をくれたみたいだな」

 

 

 昼休みだからというのもあって一瞬見逃そうとした一誠だったが、先々代の『群れた草食動物』という口癖を何となく思い出してしまったので、かなり面倒だと思ったものの、騒ぎ方が普段の数倍五月蝿かったのと、父兄参観の日なのに落ち着きくらい持てよという個人的感情で、風紀委員として仕事をするに決意し、ぴょこぴょこと付いてくるリアスと共に、中庭のど真ん中に群がる男子だらけの集団へと近づいていく。

 

 

「おい」

 

「うぉぉぉっ!!」

 

「おーい」

 

「ひゃはー!!」

 

「……………」

 

 

 そして風紀委員が来たぞーとソフト気味に声を掛けてみるが、全員して人だかりの先にある何かを前に全然気づいちゃいない。

 だから仕方なく……

 

 

「ぐべぇ!?」

 

『!?』

 

 

 手頃な男子生徒の後頭部をがっしりと片手で掴み、そのままグイッと軽々と持ち上げてやる。

 当然いきなりの事と、頭を万力で潰される様な激痛にその男子は悲鳴をあげ、その声を耳にした近くの男子達もまた、つるし上げにされている男子と、それを行うこの学園の男子の大敵である風紀委員長の姿に一気にお祭りムードが消し飛ばされてしまった。

 

 

「が、がが……!?」

 

「ひょ、兵藤……」

 

 

 ジタバタと苦しみにもがく男子生徒が白目を剥き、段々ともがく力を失ってダラーンとし始める姿に戦慄した他の生徒達が、無表情でそれを執行している風紀委員長を見て一気に恐怖に駆られる。

 後ろにリアスが居て、状況からして二人きりで居たと容易に予想できたのだが、既に先日の一誠のヤバさが広まってしまっているせいか、誰もその事に文句をつける輩が居ない。

 

 

「か……かか……」

 

「い、イッセー……離してあげないと死んじゃうから」

 

「あ、そっすね」

 

 

 幸いそのリアスのお陰で、ミシミシと嫌な音を頭から奏でてつるし上げにされていた男子生徒は泡を吹きながらそのまま解放されて崩れ落ちるだけに留まったが、片手で成人に近づいている男性を持ち上げてこんな状況を作り上げた一誠の異常さに恐怖心が襲って声が出ない。

 

 

「何の騒ぎ?」

 

「っ!? ……い、いや……」

 

 

 先代のモンスターロリと呼ばれた風紀委員長の地獄の扱きに完全に耐えきり、見事後継者になった男・兵藤一誠のこういった側面に対して今更になって怖がる様になってしまった男子達は、一誠の静かな問いに言葉を詰まらせてしまう。

 

 

「んー? どうしたのかな皆~☆」

 

 

 が、そんな中を実にキャピキャピした声が響き渡り、男子生徒達は一瞬にしてハッとなる。

 

 

「こ、この声ってまさか……」

 

 

 そしてリアスも今の声に聞き覚えがあったのか、顔をひきつらせ始める。

 

 

「?」

 

 

 だが一誠は声に覚えが無く、女の声? と帰来の女に対するだらしなさも手伝ってか、ちょっとばかしの興味本意で男子共の山を掻き分けてみると、そこに居たのは……。

 

 

「んー? キミは誰かな? サインから順番にするからちゃんと並ぶんだよ?☆」

「……………………」

 

 

 THEが付くほどのコテコテというか、寧ろきわどいというべきか。

 男子共が喚くに納得できる衣装を着た黒髪の女性がそこには居た。

 

 

「…………だれ?」

 

 

 これがコスプレ会場なら多分一誠もヒャッハーしていたかもしれない。

 しかしここは学校であり、ましてや本日は父兄参観日である。

 にも関わらず、まるでどっかのアニメにでも出てきそうなコスプレに身を包んだ女が、きっちりキャラまで守ってちゃんと並べとまで言ってきたのだ。

 

 

「あー! リアスちゃんみーっけ☆」

 

「は?」

 

「お、お久しぶりです……セラフォルー様」

 

 

 リアスがひきつった表情でその畏まり口調で挨拶しなければ、この女が悪魔である事なんて正直見抜きたくもなかった。と、一誠にしては珍しく割りとまともな感性を抱いていたのだという。

 

 

「………おい、愚民共。取敢えず今すぐ散れ。そうしたら見逃してやる」

 

『!』

 

 

 それを聞いた一誠はすかさず一般人である男子生徒達に散れと命じる。

 若干威圧感が増した状態だったので、さしものハングリー精神が無駄に旺盛な男子達も蟻の様に散ったのだが、誰も聞いてたり盗見見てない事を確認するや否や、一誠はリアスの後ろに回って耳打ちをする。

 

 

「誰っすかこの人?」

 

「えっと、四大魔王のお一人、セラフォルー・レヴィアタン様よ」

 

「はぁ!?」

 

 

 誰だ、質問する一誠にリアスがちょっとだけ言いにくそうに魔王の一人と答える。

 すると一誠にとっても意外だったのか、かなりオーバーに驚きの声が出てしまった。

 

 

「ま、魔王? アンタの兄貴と一緒の?」

 

「え、えぇ……嘘じゃないわ」

 

 

 マジかよ。一誠は素直に目の前でめちゃくちゃきわどい格好の女を見て、悪魔という種族がますますわからなくなった。

 何せコスプレにしか思えない女が魔王なのだ……正直これを魔王と認める悪魔の価値観がよくわからんのだ。

 

「む、むむむー? あれれ? リアスちゃんの傍に居るキミってもしかしてイッセーって子?」

 

「!? ……何で知ってる……んですか?」

 

 

 そんな一誠の懐疑的な視線を知ってか知らずか、セラフォルーという女魔王は一誠の姿を目にするや、思い出したかの様に訪ねてきた。

 これには一誠も、例え女だったとしても警戒心を先にセラフォルーなる魔王を睨み返す。

 

 

「冥界じゃあ寧ろ有名だよキミは? 何せサーゼクスちゃんに喧嘩を売って、そのままリアスちゃんを浚うし、何より――」

 

 

 一誠の態度に気を悪くする様子も無く、質問に答えようとするセラフォルーなる魔王。

 だが最後を待たずしてその言葉は別の所からやって来た少女の声に上書きされてしまう。

 

 

「騒ぎを聞いて来てみれば……な、何でアナタが此処に……!?」

 

 

 そう、眼鏡の少女……ソーナによってだ。

 

 

「あ、会長さんに椿姫ちゃ――」

 

 

 別の主の出現に一誠が反応し、声を掛けようとしたその時だった。

 

 

「ソーナちゃんみーっけ!!!」

 

 

 それよりも早く、セラフォルーなる魔王が一誠を押し退ける勢いで飛び出し、ソーナに向かって飛び掛かったのだ。

 

 

「!?」

 

 

 その勢いたるや、リアスの時は雲泥の差であり、さしもの一誠も若干身体を硬直させる程であった。

 

 

「いたい!?」

 

 

 そしてセラフォルーなる魔王がソーナへと飛びかかった訳だが、間一髪の所でソーナがひょいと身をかわしたせいで、セラフォルーなる魔王は思いきり前のめりに地面へと激突してしまう。

 

 

「いったぁい……な、何で避けるのさソーナちゃーん?」

 

「寧ろいきなり飛びかかられて避けない方が変ですわ……」

 

「あ? あ??」

 

 

 擦りむいた鼻を擦りながら涙目になるセラフォルーなる魔王に、ソーナが心底嫌そうに答えるを見て一誠は関係性が不明すぎて困惑してしまう。

 

 

「くすん、お姉ちゃんは悲しいよソーたん」

 

「その呼び方は恥ずかしいのでやめてください……お姉様」

 

 

 だが、二人が互いに口にした言葉でその関係性は直ぐに明らかになり、一誠は正直にただただ驚いた。

 

 

「姉? え、アレが会長さんの前に言ってた姉?」

 

「え、えぇ……セラフォルー・レヴィアタン様。ソーナの実姉よ」

 

「はー……」

 

 

 恥ずかしそうな表情で姉を責め立てるソーナと、それを受けても軽くスルーしてソーナにベタベタしようとするセラフォルーなる魔王を見比べると、確かに姉妹の面影が無きにしもあらずな気はすると一誠は暫く見つめていたのだが……。

 

 

「あ? おいちょっと待て」

 

「「へ?」」

 

 

 一誠は気づき、前にソーナから姉の存在についてを聞いた事を思い出し、セラフォルーとソーナ両方に声を掛けて言い争いに聞こえてそうでない会話に水を刺し始める。

 

 

「一誠?」

 

「どうしたのかな?」

 

 急に呼び止められた姉妹も、目を鋭くさせる一誠に首を傾げる中、一誠は言った。

 

 

「ちょっとそこに並んで」

 

「え? それは何で――」

 

「良いから黙って並べ」

 

「は、はい……」

 

 

 有無も言わさない、魔王ですら従ってしまうほどの迫力で二人を目の前に並ばせる一誠にリアスも何事かとその行動を見ているだけしかできない。

 

 

「………」

 

「あのー……なんなの?」

 

「何かしました……?」

 

 

 ソーナは忘れてしまっているが、一誠はちゃんと覚えていた。

 

『姉は私より胸は無い』

 

 という言葉を。

 

 だが実際どうだ? 変な格好はしてるものの、その胸はきちんと谷間もあるしたわわに実っている姉……。

 

 

「……………」

 

「え、あの……」

 

 

 眼球スカウターで測定をするまでも無い程の差を確定させた一誠は、静かに……そして妙に優しげな顔でソーナの目の前まで近寄る。

 

 ソーナもソーナで何を勘違いしたのか、どぎまぎした顔で動揺するのだが……。

 

 

「はへ?」

 

「おい、無いって言ったよなアンタ? 嘘じゃねーか? あ?」

 

「はひ?」

 

 

 一誠はソーナの両頬を軽く摘まみ、言葉が上手く出せないソーナに向かってこの前の話について出すと。

 

 

「アンタのねーちゃんボインじゃねーかゴラ! なぁにが『私より胸は無い』だ! しっかりちゃんとあるじゃねーか! アンタと違ってなぁ!!」

 

「いひゃい!?!?」

 

「ソ、ソーナちゃん!?」

 

「怒る理由がそこなの!?」

 

 

 思いきり……けれど傷にならない程度の加減で涙目になるソーナの両頬をつねりながら激怒し始めた。

 

 

「ふざけんなよ! 確かにぶっちゃけこんなのは俺のタイプじゃねーけど、おっぱいの有無の嘘だけはつかれたくなかったぜ!」

 

「ひゃめてぇ!」

 

 

 その激昂たるや、相当なものであり、リアスやセラフォルーが本気になって止めるまでソーナの両頬は蹂躙されまくった。

 

 

「チッ、直ぐバレるようなしょうもねー嘘かましやがって」

 

 

 止められる事で漸く解放した一誠だが、正直その言葉はブーメランである。

 だがそれについて突っ込む者は居らず、つねられてる途中で遂には泣いてしまったソーナが泣きながら自分の主張をし始める。

 

 

「ら、らって……私よりあるって言ったら、ますます扱いが雑になると思ったからぁ……!」

 

「知らねーよ! 元々誰に対しても俺は雑だっつーの!」

 

 

 ソーナらしからぬ舌足らずな声に、セラフォルーがハァハァし始めてるのを横に、一誠の態度は厳しい。

 

 

「がっかりだぜアンタにゃあ……ふん、後は勝手にしろ」

 

「!?」

 

 

 これが朱乃であれば五秒もしないで逆に謝り倒すが、ソーナが相手なのか一誠の対応は依然として厳しいままであり、遂にはお前なんか知らんとその場をプンスカしながら去ろうと背を向け始めた。

 

 それを見るや否や、ソーナは今までの性格も何もかもを捨て、必死になって一誠に飛び付いた。

 

 

「ごめんなさいぃ……! 嘘ついてごめんなしゃいぃぃ……! 見捨てちゃやらぁ……!!」

 

「うるせー! しがみ付くんじゃねーっ!」

 

 

 一誠の腰辺りに後ろから思いきりしがみつき、まるで幼子の様にすがり付くソーナの姿たるや、お前は一体一誠に何をされたんだ? と聞いてみたくなる程の取り乱しっぷりだ。

 

 

「チッ……しつこい奴だ。わかったよ、別に見捨てるとかしねーから離れてくださいよ。ほら……!」

 

「ほんとうにみすてない?」

 

「はい、見捨てない見捨てない」

 

「ほんと?」

 

「ホントホント」

「ほんとにほんと?」

 

「だから本当だっつってんだろーが……ほら」

 

 

 しかしそこは一誠。どうであれ女の子に泣かれてしまった事に対して段々と変な罪悪感が沸いてしまい、口は悪いものの、何度も何度も涙目で確認してくるソーナに頷きながら許してやるから離れろと促す。

 

 

「えへへ……ありがとう一誠……」

 

「はいはい……って、スリスリすんなよ、犬かアンタは?」

 

「えへへ……」

 

 

 が、どこかズレてるのもまた一誠という男なので、泣きすぎて精神退行したソーナに涙目のまんま笑顔でスリスリと犬みたいに懐かれても、その表情はめちゃくちゃ面倒そうなソレだったとか。

 

 

「ねぇリアスちゃん。あの子ってソーナちゃんに何したの?」

「い、いえ別に特には……ただ、彼なりにソーナに対して気を使っている事は確かといいますか……」

 

「ふーん? 私の目にはソーナちゃんがあの子に調教とかされてる様に見えるんだけどー? というか、ソーナちゃんに懐かれてるのに、何であんなめんどくさそうなのかなー?」

 

「それは……こ、好みじゃないって言ってたからかと……」

「へー? 好みじゃないんだー? それはそれで気に入らないなー?」

 

 

 そんな一誠をセラフォルーはジェラシーを感じたりしたらしいが、本人からしたら良い迷惑であった。

 

 ちなみに……。

 

 

「そうやって、痴女まがいの格好で男を誘いたかったら学校の外でやってください。

それか、デリヘル嬢にでも転職したら良いと思いますよ?」

「う……」

 

「え、あのイッセー? 女性に対しての態度と違くない?」

 

「へ、悪魔の時点でどうでも良いって前に言ったでしょ? アンタとソーナ以外の悪魔なんて、人間がライオンの顔が同じように見えるのと一緒っすよ」

 

 

 セラフォルーは一誠的に『無い』らしい。

 

 少なくとも『今』は。

 

 

 

おわり

 

 

 

 

 

 

追加エピソード……『思い出す』

 

 

 

 と、まぁセラフォルーなる魔王に一誠はボロクソ言った訳だが……。

 

 

「………………。セラフォルー・レヴィアタン。

セラフォルー……レヴィアタン……?」

 

 

 一誠はふと最近まで色々と忙しくて記憶の隅に追いやっていた秘密の趣味についてが頭の中を過った。

 

 そう、セラフォルー・レヴィアタンという名前でだ。

 

 

「…………………………」

 

「な、なによ?」

 

「いっしぇー……?」

 

 

 いや、まさかんな訳がない。

 あれは所謂特撮系の奴で、こんな本物の悪魔な訳がない。

 あれはあくまで設定であって、本物な訳が……。

 

 一誠は徐々に……そう徐々に徐々に、最近忙しくてチェックを怠っていた秘密のサイトについての記憶を呼び覚まし、ダラダラと途端に汗が止まらなくなった。

 

 

「あ、あのぅ……」

 

 

 いきなり腰の低い態度でセラフォルーに話し掛け出した一誠は、まさかんな訳はねーだろと、現実を思いきり否定したい気分全開で、まだ犬っぽくなってるソーナや、急に態度が急変して戸惑ってるリアスや椿姫を前に、こんな事を目の前の魔王に対して質問した。

 

 

「魔王☆少女レヴィアたんって言葉に聞き覚えとか実はあるとか……無いよな?」

 

「へ?」

 

 

 それは否定してくれと。

 頼むから何ソレ? と言って欲しいといった願望を全開にしての質問であった。

 だって、そうだったとしたら一誠は先程セラフォルーに対してメタクソに暴言を吐いてしまったのだから……。

 

 

「? 何で知ってるの? それって冥界で放映させてるのとは別の、私が自分のサイトにのみ配信してる奴なのに……」

 

「!?」

 

 

 だが現実は、セラフォルーがその魔王少女でしたと。

 偶々ネットサーフィンして発見したシークレットサイトで配信されている自作ドラマの主演のレヴィアたんだったと。

 

 ファンレター送ったらBlu-rayセットと等身大抱き枕と返事をくれた、あのレヴィアたん本人だったと……。

 

 

「あ、あぁ……あわわわわ……!!」

 

「な、なに……!? どうしたの急に?」

 

 

 やっちまった。やってしまった。死んでしまえ。

 最近イライラする種が多すぎて、忙しいのも相まっすっかりチェックするのを怠り続けて忘れてしまった一つの楽しみの元……魔王☆少女レヴィアたんが目の前のモノホンの魔王でしたというオチに、一誠は尋常じゃない痙攣をしながら……。

 

 

「こ、コイツがレヴィアたん……!?」

 

 

 盛大に狼狽え、そして絶望した。

 

 

「え、あ、あの……?」

 

「よ、よく見たらあれは、撲殺ステッキ……! お、おいアンタ、レヴィアたん通信ってサイトに身に覚えはあるか?」

 

「へ? 何で人間界に居るキミがそれを知ってるの? それって何重にもフェイクバナーを踏んでからじゃないと人間界からはアクセスなんて出来ないのに……」

 

 

 そしてセラフォルーもセラフォルーで『レヴィアたん通信』という言葉を受けて、その言葉が気分で作った自サイトの名前であり、何重にもサイトを経由しなければ、人間界でのアクセスはほぼ不可能なのに何故知っているんだろう? と疑問に思いつつ、ふと最近まではかかさずファンレターやらサイトに応援の言葉を書き込んでくれていたとある唯一の人間界からのファンが居たことを思い出した……。

 そう、確かその名前は……

 

 

「まさか、ギルバ?」

 

「!?」

 

 人間界からのアクセスする唯一の存在だからこそ、記憶に根付くその名前を口に出してみた瞬間、一誠は今度こそ本物だと理解してしまう。

 

 

「や、やっぱそうだ……! 本物、だとぉ!?」

 

 

 ドンピシャ大当たり。

 自分が適当に考えたネット上のネームをピタリと言い当てた時点で最早疑いようも無くなってしまった一誠は――

 

 

 

「……」

 

「あーやっぱりそうなんだー☆ 人間界からアクセスしてくれるのってギルバちゃんだけ……というか、冥界でもマイナーだったから、余計に直ぐわかったよー☆ そっか、キミがギルバちゃんだったのかー☆」

「………」

 

 

 セラフォルーも相手が少し前まで更新の度に熱いコメントやらファンレターをくれる相手だと知り、少しだけ態度を改めて両膝を地面に付けて上の空状態の一誠に近寄って肩でも軽く触れようと手を伸ばしたのだが……。

 

 

「あ……」

 

「………」

 

 

 その手は一誠の肩に届くことは無く、叩かれてしまった。他ならぬ一誠によって。

 

 

「嘘だ……」

 

 

 そしてゆっくりと一誠が立ち上がった後、手を叩かれて少し面食らってるセラフォルーに対し……。

 

 

「う、嘘だ! 嘘だ嘘だ嘘だ!! アンタみたいなのが、俺の好きなレヴィアたんな訳がない!! 確かに顔とか体型とか衣装のチョイスは思い返せば同じだけど、お前なんか真っ赤な偽物だ!!!」

 

「なっ……!」

 

 

 泣きながら……かなりマジで泣きながら、唖然としてしまうセラフォルーにお前は偽物だと喚きだした。

 まるで夢を大人に壊されてしまい、それを否定したがる子供の様に……。

 

 

「俺の知ってるレヴィアたんは痴女じゃねーもん! 強くて可愛い魔王少女だもん!! オメーみてーな単なるコスプレ女じゃねーもん!!」

 

「なっ……ななっ!? ほ、本物だよ!!」

 

「うるせー!! ファンレターに返事してくれたのも、Blu-rayセットと等身大抱き枕を送ってくれたものテメーじゃなくて魔王少女のレヴィアたんだ!!!ふざけるな! この似非コスプレイヤーめが!!」

 

「し、失礼ね! ギルバって名前を知ってる時点で嘘じゃないくらいわかる――」

 

「うるせーうるせーうるせぇぇぇ!!!! 俺は認めないかんな! 魔王少女レヴィアたんはもっと可愛いんだよ! このコスプレ勘違いブス!!」

 

「ぶっ!?」

 

 

 泣きじゃくりながら、遂にはブスと罵倒し始めた一誠に、流石のセラフォルーもかなり頭にくる。

 

 

「わ、私だってキミがギルバだって認めないもん! め、冥界でも全然アクセスして貰えないサイトに唯一ギルバちゃんがアクセスしてくれて、毎回応援してくれたり、ファンレターくれたりしたのがキミだなんて絶対に思わない! 何度も励ましてくれたギルバで、最近音沙汰が無くて寂しいと思ってたのに、そんなギルバがキミだなんて絶対にね!!」

 

「へっ! 上等だこの勘違いバカが! どうせギルバってネームも本物をパクる為にテメーが不正アクセスして解析して知ったんだろ? ばーか! ばーーか!!」

 

 

まるでガキの喧嘩。

 大人前の男が泣きながら喚き、良い歳した女がそれにムキになる。

 

 精神年齢が微妙に近いせいなのか……それはまるで子供同士の言い争いにしか聞こえなかった。

 

 

「………。聞いてみるに、セラフォルー様の趣味のファンだったんだイッセーって……」

 

「そういえば前に携帯の待ち受けが見覚えのある女性でしたが……ま、まさかレヴィアタン様だったとは」

 

「やっぱり一誠はお姉様の方がタイプなんだ。私なんて捨てられちゃうんだ……ぐすん」

 

 

 一誠、本物魔王少女に会うが、意地でも認めたくない模様。

 

 

終わり

 




補足

ほーらこれこそ洗脳よ!

激怒し、相手を不安にさせてから飴を与えてしまえばもう勝ち確定!

然り気無くソーナさんが擬似的わんわん化したし、やったね一誠!


※全部自覚無し。


その2

見た目はともかく、あんまり信用してない悪魔という時点で最初からソーナさんが嘘言ってなくても、どうでも良い感じだったりする。

それ程までに、フェニックスの件の根は深い。









最後。

一誠君、ふと思い出したは良いけど、意地でも認めたくない模様。

魔王少女は清くて可愛いくて強い。似非コスプレで男に騒がれてるのが本物な訳がない……らしい。

ぶっちゃけ意味不明。


 ちなみにギルバってネームは……まあ、わかる人にはわかるネームですね。
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