魔法が無いので剣や素手で異世界謳歌   作:α+#

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《Ⅴ話》 ギルドといえば冒険者

 俺達は今、ギルドの中にいた。

俺より図体が一回りデカい冒険者ばかりいる。

別に緊張しているわけではないが前にも言った通り俺の容姿はこの世界では珍しいのかじっと見つめてくる者、チラチラと様子を伺う人達が居てはどうも落ち着かない。

そんな中マリィはと言うと、別にガクガク震えている訳でもなく、オドオドしている訳でもない。マリィは俺の腕にしっかり抱き着いて幸せそうな笑顔を浮かべて付き添っているだけである。

 よくよく考えれば俺は腕に胸が、むにゅと柔らかい感触を伝えているが実際女子の胸に触れるのはマリィが初めてだ。

 俺は何があってもあまり動揺するタイプではないがこういう時にはちゃんとしておきたいものだと考えている。

 そしてカウンターにつき、シャキッとギルドの制服を身に纏っている綺麗なギルド嬢の女性に声を掛けた。

 

「あの……」

「はい、今日はどういった用件で」

「あ、昨日ここの検問を通る時にバウスさんって人から身分証明カードを……」

「あ、それでしたら少々お待ちを」

 

 そう言うとカウンター奥の扉へと急ぎ足で向かっていった。

 邪魔になるので片隅に移動して、待つこと数分。

 先程のカウンターにいた女性ともう一人布地の少ない戦闘服の様な服を着ているクールな女性が俺達の目の前にわざわざ来てくれた。

 

「こちらはギルド用証明カードを作る為に試験員をやっていらっしゃるエリーナ=ベス・オフィーリアさんです。」

「挨拶はいらん。さっさと行くぞガキ」

「それじゃ、お二人共付いて行けばいいので頑張ってくださいね」

「は、はあ……」

 

なんか大雑把だけど、試験員ってことはそういうことでいいのかな……

 

 そして他の冒険者をもろともせずに堂々と歩いて行くエリーナさんに「ついていこっ」とマリィが言ったので、後ろに並んだ。

 カウンターの女性はニコニコと手を振り俺達を見送ってくれた。

 今思えばエリーナさん俺より小さい(笑)

 そんなことを察したのかエリーナさんがこちらに向き「シャキッとしないと死ぬことになるぞ」と言ったので少し気を引き締めた。

 「死ぬことになるぞ」と言うからに、戦うのが主な試験なのだろうと察しがつく。

 それから、この街の門に着くやエリーナさんは顔パスで通され一言「後ろのはあれだ」と言い俺達も通された。

 今回の門番はバウスさんではなく他の人がやっていたので俺とマリィは挨拶だけしておいた。

 それから俺は少しエリーナさんに質問することにした。

 

「えっと、今からどこに行くんですか……?」

「付いて来れば分かる」

「あ、はい……」

「アントこの人素っ気無いね。」

「あ、あははは」

「聞こえておるぞ! 何かしら厄介な冒険者のようだな」

「厄介ってなんだ、厄介って」

「ふん、まぁいい。今向かっているのは『敗者の森』付近の危険度Bランク指定されている草原だ。」

 

 そういうと少し先の緑豊かな草原へ、人差し指を向けた。

 そこには少々だがモンスターの影が見える。

 

「それで、そこに行って何するの?」

「むっ、」

 

 俺が敬語ではなくなったことにむすっとしたが説明を続ける。

 

「簡単な事だ。モンスターを倒せばいい」

「あ、それだけでいいのか……」

「甘く見ていると殺

られるぞ」

 

てかもうすでに何百とのモンスターを狩ってんだけどな……

 

 徐々に近づいていくに連れてモンスターの容姿もはっきりと見えるようになった。

 翼が生えて、緑色の鱗で全身を覆われ、鋭い爪を剥き出しにしている3mほどの小さな―俺にとって―ドラゴン

 

 地面に生えている草をむしゃむしゃと頬張っている4m位のムカデみたいなモンスター。

 それの付近に高速で羽を羽ばたかせている大きい蚊みたいなモンスターやらとその他もいるがまぁいいだろう。

 俺もまだ未確認のモンスターなので正直強さがわからない。

 だが倒せないという言葉が出ない限り倒せるのであろう。

 そしてそこに着くと、ちらほらと見える冒険者もいた。

 

「よし、それでは私が指名したモンスターを倒し見事合格したらギルドへ戻り手続きをする。本来は国の人間としてのカードも作れるのだが、大抵のよそ者はこちらのカードを作成することになっている。」

「へぇ……ってことはマリィは持ってんのか?」

「あ、一応持ってるけど……あんまりそのことについては詳しくない……かな?」

「そうなんだ」

「まぁいい、それではすぐに合格しすぐに帰るぞ。オーバーキルした場合はそのまま放置する。」

「え、なにそれ怖い」

「ふん。なら倒すことだな」

 

 そういうとエリーナさんは周りを見回し、「あれだ」と一匹のドラゴンを指差した。

 そのドラゴンはさっき俺が見た3mほどのより一回り大きい5m程のであった。

 だがしかし別に怖くはない。なぜならば2倍程はある大きさのを何百と倒してきたからである。

 無理矢理な特訓のおかげで少しは強くなれたであろうと思い、俺自身はドラゴンへ向き直った。

 

「あれを……倒せばいいのか……?」

「ふっ。そうだ」

 

 なぜか無理だろうなという顔をしているエリーナは俺の本当の実力を知らずに俺へ少しばかりうざい目線を送ってきたので少し驚かすことにした。

 マリィを腕から離し。

そして

 

「それじゃ行ってく――――」

 

――ドバアアアアアアアアアン!!!

 

 一瞬のことであった。

 俺が『る』を言い終わる前にそのドラゴンは跡形もなく消失していた。

 そこに残るのは俺が一瞬で『物質保存鞄』から取り出した鉄剣による大きなクレーターだけである。

 今何が起こったか分からない二人は驚愕に唖然としていた。

 マリィは驚愕というより目を輝かせ、手を胸辺りで握りしめてこちらを見ていた。

 俺は再び鉄剣を戻した。

 

「い……今、何が……起こった……のだ…?」

「少しばかりナメられていたから仕返しに少し力を込めた」

「い、いや……今のは……少しだけでは検討もつかない次元に……」

「まぁそれはいいけど、合格かな? それか次のモンスターもいるの?」

「も、もういい。合格だ。さっさと戻ろう……」

 

それより俺って驚くくらいなことしたかなぁ……。まぁナメられないならそれでいいけど

 

 そしてまだ驚き終わっていないエリーナは全身をかくかくにしながら歩いていた。

 そんな様子を見て俺は一声かけてみたら「ひゃ、ひゃい!?」と可愛い声を漏らした。

 俺はどうすればいいか分からず取り合えず隣に引っ付いているマリィの方を見た。

 マリィの様子もどうも変で、頬辺りをほわ〜んと赤く染めていた。

 こちらも対応が分からないので取り合えずギルドへ着くまで俺は何も出来ずにエリーナについていくだけであった。

 

「あ、お戻りになられましたね。それでどうでしたか?」

「あ、まぁ頑張ってきました」

「ふ、ふはははは……。取り合えずこいつは余裕で合格ラインに到達したのでもう構わん……」

 

 そういうとカウンターの奥の部屋へとエリーナは入っていった。

 そんな様子を怪訝に思ったのかギルド嬢の女性が聞いてきた。

 

「な、何かあったんですか……?」

「い、いや別にそんな野暮なことはしてませんよ。ただ倒せばいいって言われたものですから……」

「そ、そうなんですか……。あのエリーナ様をあんだけにするのは相当なんですね……」

「エリーナさんってそんなに凄い方なんですか……?」

 

 なにかありそうなので一応こちらからもエリーナさんの事を聞いた。

 

「エリーナさんはあれでも、ギルド制定ランクS8級の持ち主でして」

 

 それから少しの間話を聞いた。

 それによるとギルドのランク内情はこういうふうに設定されているらしい。

 

 

ランクF−1級〜3級

    ⇓

ランクE−1級〜3級

    ⇓

ランクD−1級〜3級

    ⇓

ランクC−1級〜3級

    ⇓

ランクB−1級〜8級

    ⇓

ランクA−1級〜15級

    ⇓

ランクS−1級〜20級

    ⇓

ランクSS−1級〜3級

 

 

となっている。

 S級に到達出来る人は余りいないためが故に貴重視されているのだとか。

 だがその上のSS級に到達できた者はこの世界に十数人余りしかいないため会おうと思えば困難な道をゆくのだろう。

 ランクアップの条件が、この世界に5つある転移門で空中ダンジョンへ行き、上がれた階層分がランクアップ対象になる。

 そして5つの転移門はそれぞれ繋がるダンジョン内が変わるという。

なかなかに面倒臭い場所だ。

 そんなこんなで俺に『галк《F》Ⅰ』と表示されている特殊な素材で作られた用紙を失くさぬように言われ手渡された。俺は物質保存鞄にそれをしまいギルドの新たな一員となった。

 

「よかったね、アント」

「あぁ」

 

 それから俺達は宿屋へ向かい、明日何をするのかを話し合った。

 だが、意見は一つしか出なかった。

 正直マリィは行けるか分からないが……

 

――ダンジョンへ行ってみよう

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