オーバーロード ー 死の女王 ー   作:溶き卵

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すみません遅くなりました。


ナザリックの闇(笑)

 時間の停止した私。

 視線の先には可愛らしいダークエルフ。

 義兄さんはいったい何を言っているのだろうか。

 男?こんな可愛らしい子が?

 いやいや、そんなわけないでしょう。

 

『義兄さん。この子、男みたいにごつくないよ?』

 

『これでも守護者No.2見た目は女の子。だが男だ』

 

『髪もさらさらしてるよ?』

 

『ついでに顔つきも女の子みたいだが。だが男だ』

 

『あからさまに女の子の服きてるよ?』

 

『ウチのギルメンだった、ぶくぶく茶釜さんの趣味で女の子の服をきている。だが男だ』

 

『とても男の子にみえないんだけど?』

 

『“男の娘”だからな。文字通り男だ』

 

 こんなバカな掛け合いをやってる私達を他所に本人はいたって真面目にリィリィと仕事の打ち合わせをしている。

 けど、所々に見られる仕草は女の子のそれ。

 正直、私より女の子っぽいと思う。

 本人はなんの違和感もなしに女の子の服をきていて、それが当たり前だと思っているのだろう。

 私はぶくぶく茶釜さんにはお会いしたことないけどどんなひとなんだろうかと想像を膨らませる。

 

『ペロロンチーノさんは知っているよな?』

 

『ペロロンチーノさん?昔、ウチのギルドを助けてくれた義兄さんのとこのギルドメンバーだよね。お礼に即席キャバクラでもてなしてあげたら一番はしゃいでキレたたっちさんにボコボコにされてたから良く覚えてるよ?』

 

『まぁ、うん。アレはアレで楽しかったな。ウチの男衆がたっちさんを除いてアレだったが』

 

 義兄さんのギルドのギルドメンバーはそれはなかなか濃いメンバーだった。

 エロ禁止のゲームなのにエロを公言するペロロンチーノさんは我がギルドの痴女、LOVE&デスさんと波長が合ったのか良く話していた。しかし、その後はリミッターの外れた姉貴分にドン引きしていたが。

 

『その時、テラスの隅になんか変な肉塊があっただろ?』

 

『うん。やまいこさんたちの隣にあったアレだよね?』

 

 当時の拠点であり、即席キャバクラの会場だった海辺のコテージにあったテラス。

 バフ効果のある飲み物や食べ物。音楽再生クリスタルで彩られた会場の片隅にそれはあった。

 肉塊というかぶっちゃけ男の人のアレだったよね?

 私も小学生だった頃に義兄さんの見たことあるし。

 それはいいとしてなんでこんなのがここに?

 最初は姉貴分のLOVE&デスさんがどこからか買ってきたアンティークだと思ってた。

 しかし、もてなしが終わって片付けを始めた際にそれは消えていた。他の姉貴分に聞いてもそのアンティークの存在は気付いていたが誰も買ってきたり、持ってきたりしてないそうだ。LOVE&デスさんも何も知らないと言った。

 その後、私達は必死になってその肉塊を探した。ホラー好きのがんばるヤンデレさんも怖い怖い言いながら必死になって探したがとうとうその肉塊は見つからなかった。

 

『それで怖くなったからあのコテージを引き払ったの。もともと一度バレた拠点だったから場所は移すつもりだったし』

 

『その肉塊がぶくぶく茶釜さんだ。ウチのガード担当。ペロロンチーノさんの姉だよ』

 

『はあぁ!?どういうことよ!プレイヤーのアイコン出てなかったのよ!?てか一言もお礼いえてなかったんだけど!?』

 

 衝撃の新事実。アレがぶくぶく茶釜さんでマーレの母親?

 

『多分、アイテムやらなんやら使ってたんじゃないのか?言っとくが気持ち悪そうにするなよ?たっちさんの次にお前達を守る為に奮闘したんだ。本人からは口止めされてたけど』

 

 別に嫌悪感なんて感じていない。ユグドラシルの異形種なのだからそういった外見のアバターなのだと理解できる。私達七姉妹も異形種だが全員がわざわざ容姿を弄って醜い姿から美人にしているのだ。本当なら私は義兄さんと同じ骸骨である。

 

『本人は俺の妹だったら私達の妹も同然と言ってたな。それに便乗して、るし☆ふぁーさんやウルベルトさんたちも参戦したんだぞ?』

 

『・・・お礼はできずじまいか』

 

 私はギルドの危機を救ってくれた立役者に何もお礼をできてないことに頭を悩ませる。ギルド長として。七姉妹の末妹として感謝してもしたりないのに向ける対象が・・・いた。

 

『だったら親の恩は子に返してもいいよね?』

 

『?・・・まぁ、筋は通るな』

 

 いたよ。いましたよ。ぶくぶく茶釜さんの子供が。

 たしかぶくぶく茶釜さんは男の娘趣味があるんだよね?

 だったらお礼としてマーレにフリフリドレスを着せてあげてもいいよね?

 

『・・・義兄さん。ぶくぶく茶釜さんには他に子供いる?』

 

『マーレの双子の姉でアウラがいるな。同じ守護者だが、弟と対照的にあっちは男装だな』

 

 その言葉により脳内では次々とドレスのデザインが組上がっていく。いい、いいよ。すばらしいよぶくぶく茶釜さん。こんな素敵な姉妹(笑)を産んでくれてありがとう。貴女から受けた恩は全力全開で娘達に返します。

 

『義兄さん。今度ウチに来るとき二人を連れてきて。約束、絶対、必ず』

 

『お、おう。なんとなく予想はできるが。まぁ、了解した』

 

「ところでモモンガ様。ムササビ様」

 

 脳内決議により。二人のドレスアップ計画が可決された直後。打ち合わせが終わったらしく、マーレとリィリィが首を傾げながら声を掛けてきた。

 

「さ、さっきから気になっていたのですが。お二方は何故そのような格好を?」

 

「義母さまも、その帽子は普段被らない。似合ってる、けど」

 

 気分転換で外に出たかったから。配下達に注目されたくないから。だというのは義兄さんの口からは言えないだろう。純粋に視察だと言えればいいのだけどそれじゃ、上位者としてなんか違うような気もするし。さてなんと答えればいいか。

 

「簡単よ、マーレ」

 

 そこへ降り立ったのは美しい黒髪のサキュバス。月の青白い光が彼女の全身を輝かせている。

 

「御二人が変装し、先程まで名前を偽られていたのは、仕事の邪魔をしないようにというお考えからよ」

 

 ナザリック地下大墳墓、守護者統括アルベド。

 ナザリックの実質No.2の彼女は私達に一礼の後にマーレへと視線を向ける。そして、その背後にはデミウルゴス。姿を見ないと思ったらアルベドと合流していたようだ。

 

「御二人がいらっしゃれば、全ての者は手を止め、服従を示すのは当然。しかし、それを御二人はお望みではない。故にダークウォリアー、ダークウィッチと偽り、敬意を示して手を止めさせないように御配慮なさったの」

 

 ですよね。と続ける彼女に凄く気まずそうに視線をずらして頷く義兄さん。カラカラと音をたてて何度も頷いている。

 

「さ、流石アルベド。私の真意を見抜くとは」

 

「守護者統括として当然。いえ、統括の地位にいなくとも私であれば、モモンガ様のお心の洞察にムササビ様ほどではございませんが自信がございます」

 

『沙織、今なに考えてるか分かるか?』

 

『逃げたい、引きこもりたい、ホントなんなのこの高評価』

 

『・・・・せいかいッ!』

 

 

 アルベドの説明に感心しているマーレと娘に視線を向けようとした私達は一瞬、目を疑う光景をみた。

 アルベドの綺麗な瞳が一瞬だげ零れ落ちそうな大きさになると、ゆっくりと舐め回すような動きでマーレの左手の薬指に向けられた。

 

「あ、あるべ「なにかございましたか?」」

 

 義兄さんが言い切るよりも早く、アルベドの顔は元へともどっていた。先程のあの表情が嘘だったかのように。

 

「い、いや。なんでもない。よし、マーレ、リィリィ。邪魔したな。無理をせずに休憩しながら作業してくれ」

 

「は、はい。では失礼します」

 

「伯父さま・・・またね」

 

 二人を見送った私達。

 義兄さんは改めてアルベドに向き直った。

 

「それで、どうしたアルベド」

 

「はい。御二人がこちらにいらっしゃるとキャサリン達から聞きましたので、御挨拶にと。こんな汚れた格好で申し訳なくおもってます」

 

 言われてアルベドの着ている服を見てみるが特に、そうとは思えなかった。よくよく見ればほんの少しだけホコリがついてるかな?といった程度である。

 

「そのような事はない。女である妾からみてもそなたの美しさはその程度で霞むものではないよ」

 

「確かにアルベドのような清廉な美女を走り回らせるのは悪いと思っているが、今少し頼むぞ」

 

「兄様。いくらアルベドが美しいからってどさくさに妹の前で口説かれるのは如何なものかと」

 

「く、くど・・・!?」

 

「茶化すなムササビ。アルベド、その忠義に感謝を」

 

「モモンガ様の為とあらばこの程度なんら問題はございません!」

 

「アルベド。お前にも渡しておこう」

 

 義兄さんはアルベドに一つの指輪を渡した。

 マーレに渡したモノと同じリング・オブ・アインズ・ウール・ゴウンてある。

 

「守護者統括であるアルベドに必要なアイテムですね」

 

「・・・・感謝いたします」

 

 受け取った彼女は私から見ても正直アレだった。

 口元は痙攣して、表情が崩れるのを耐えていた。

 黒い翼がビクビクいっていた。

 指輪を受け取ったその手は震えていた。

 女としての視点から感激にうちひしがれているのは分かる。

 多分彼女は義兄さんに恋心を抱いているのだろう。

 私としては義兄さんには早く腰を落ち着かせて欲しい気持ちと私を置いていってほしくないといった妹特有の感情が入り交じっているたりする。女としては他人の恋愛に口を出すつもりはないが。妹としては盗れるものならどうぞと言ったところか。

 

「では、すべきことも済んだ。わたしは叱られないうちに九階層に戻るとしよう。ムササビ」

 

「ハイ兄様。・・・・・・あ、後で家族会議をしましょう」

 

「え?」

 

 義兄さんに軽く抱き付き私達は指輪の力で転移した。

 視界が切り替わる刹那。“よっしゃああぁ!!”というアルベドの声が聞こえたがそれは乙女の名誉の為に聞かなかったことにしておこう。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「ふう。ただいま」

 

 地獄の万魔殿の七姉妹居住階層七美宮に私はアイテムの整理の為に一端戻ってきた。

 あの後、義兄さんを問い詰め、吐かせて知ったのはアルベドの設定の改竄。

 最後の“ちなみにビッチである”を“モモンガを愛している”に書き換えたらしい。

 私はその事について義兄さんを説教した。なに人様の娘を傷物にしているのかと。

 振るにしろ振らないにしろ責任はきっちり取れと言い聞かせた。

 それに対して義兄さんはちゃんと考えると言ったので私は手持ちのアイテムの整理と娘達の様子を見に一端万魔殿へと戻ってきた。

 

 第一階層のクロアも第六階層守護者のディーネも元気そうで顔を出したら笑顔で迎えてくれた。

 けど、もみじが第ニ階層にいなかった。どこに行ったんだろうと《伝言・メッセージ》で呼び掛けても反応がない。

 

「あー、もう。どこいったのよ私の可愛い娘は。妹達はちゃんといたのに」

 

 見つからない娘を心配しつつも私はベットに腰掛けた。

 直後気付いた不自然な膨らみ。

 

「あ、そう言えばこの部屋それぞれの娘なら立ち入りできたわね」

 

 ということはこの膨らみはもみじだ。私が産んだ娘達の中でも特に寂しがりやな彼女は寂しくなったら布団に潜り込んで来るって設定を付けたのを思い出す。

 

「寂しくさせてごめんなさいね。母様が帰って来ましたーーーー」

 

 そんな事を考えながら掛け布団を捲った私は直後思考が停止した。

 

 なんせ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 全裸の娘がベッドで悶えてたのだから




 すみません。体調が悪くて感想などが遅くなります。
 とりあえず今日の更新です。

 感想お待ちしてます。
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