オーバーロード ー 死の女王 ー   作:溶き卵

30 / 51


 大変遅くなりました。


妖艶の宴

『いい紅葉だな』

 

『でしょ?あれはオーオバーさんが作ったの』

 

『真っ白い砂浜と美しい海が眩しい』

 

『あれはLOVE&デスさん』

 

『夕日が綺麗だ』

 

『がんばるヤンデレさん』

 

『あの日本庭園は見事だな』

 

『ギブ・ミーさんの趣味だからねぇ』

 

『満点の星空も素晴らしい』

 

『夜姉と昼姉の合作で星座はめちゃくちゃだけどね。あ、そこにUFO飛んでるんだよ?』

 

『マハラジャ・・』

 

『あ、それ私。あとマハラジャじゃなくてタージ・マハルね』

 

『もう、何処からツッ込めばいいのかわからん』

 

『えーなんでよー。これはこれでいい味出してると思うんだけど』

 

 万魔殿最上階の一角。

 来客用と自分達で騒ぐ為に作り上げた趣味と意地が入り交じるカオスな空間。

 白い砂浜に所々に植えられた楓の紅葉で優しく彩り、背後を青とオレンジ色の絶妙なコントラストを醸し出している夕陽が沈み行く海が広がる。

 両隣を見渡せば蛍の舞う夜の落ち着いた日本庭園。空を見上げると四季折々の星座が姿を見せていた。

 そして正面にはタージ・マハル。

 

『なんだよ。この統一感が全くない空間は』

 

『いやぁ、皆で作ろうとしたんだけど纏まらなくてね。誰も譲らないから結局好きに作ろうってなったの』

 

 ポジション決めはpvp。

 それも七人同時の大乱闘だ。

 万魔殿では娘達に悪影響だということで異形種も行くことのある都市の闘技場を借りて行われた。

 全員が対姉妹装備での参戦。七姉妹史上二番目にしょうもない理由で勃発した大喧嘩だ。

 ちなみに一番は伝統のあるきのこ、たけのこ戦争とだけ云っておこう。

 え、私?カントリー〇ーム派です。

 喧嘩の結果はギブ・ミーさんが一位、ヤンデレさんが二位、私が三位だったんだけど私に甘い二人が拗ねた私に決める順番を譲ってくれて今に至る。

 

『しかし、こうまで統一感がないとなぁ。てかなんでタージ・マハルなんだよ』

 

『いいじゃない、私があの手の歴史的建造物が好きなんだから。それに皆楽しんでるし』

 

 宴会は空間のど真ん中、砂浜の上に敷かれた座敷スペースにて催され、和洋中様々な料理が各お客様の座る席の前に並べられている。

 上座の座椅子には私と義兄さんが座り、娘達、夜の幼女、昼の幼女の姉妹達を侍らせて楽しそうに会話に花を咲かせていた。

 ちなみに現在義兄さんの玉の上でベルがハムハムしていて、私の膝の上にはアルーシャ、他のセブンスチャイルドも新作のドレスを着て姉達に抱かれていた。

 

「懐かしいな。昔、ムササビ達にもてなされたのを覚えている」

 

「皆には兄様の守護者もお客様なのだからしっかりもてなすようにいってありますので」

 

「精一杯おもてなししま~す!」

 

「母様!皆様の着付けが終了しました!」

 

 そこへなかなかのスピードでヌルヌルとやってきた我が長女もみじ。

 腕の中にネムを抱き抱えており、あぶないと注意しそうになったが、もみじが落とすわけないし、ネム自身楽しんでいたのでまあ、いいだろう。

 

「あら?意外と時間が掛かったわね?」

 

「あのねおかあさん。シャルティアさまが「お待たせしましたでありんす!」」

 

 ネムを遮るようにシャルティアが前に出てきた。

 姫を思わせる和装ドレス。肩が大きく出て、尚且つ膝上5センチのミニスカート。黒と金を基調とした色合いのドレスは下ろして髪飾りを身に付けた銀色の髪とマッチしており、幼くも色気のある花魁といた風貌に仕上がった。

 後でこっそりネムが教えてくれたのだが。シャルティアが服を脱ぐのに必死の抵抗をしたらしい。あー、見た感じ何枚も仕込んでたしねぇ。

 

「どうだ?妾としてはなかなかの仕上がりなのだか?」

 

「素晴らしいでありんす。我が君、いかがでござんしょう」

 

「よく似合っている。見違えたぞ」

 

 気に入ってもらえたようでなによりだ。

 義兄さんの言葉をきいて感動に震えている彼女の後ろにアルベドが歩み寄ってきた。

 彼女のドレスは露出を控え目にしてみた。白を基調としているのだが。水色の布と交互に重ねたドレス。

 清楚な雰囲気を際立たせる為に装飾も控え目なワンピースドレスにした。

 

「ムササビ様。この度は本当にありがとうございます。私までお招きいただいたばかりかドレスまで」

 

「よい。そなただけ仲間はずれなのもあれなのでな」

 

 私としては何時ものパターン以外のドレスの練習になったので問題ない。

 

「マーレとアウラはどうした?」

 

「確かエンリとキャサリンがお連れするはずなのですが」

 

 そういえば二人の姿が見えない。

 今回のドレス製作に当たってある意味一番気合いを入れた二人。

 もみじによれば着付けが終わったらエンリが連れてくる手筈になっているそうだ。

 

「お待たせしましたモモンガ様。ムササビ様」

 

 ちょうどそこへやってきたのは黄色いドレスを着たマーレ。

 リボンとフリフリをふんだんに使ったゴスロリドレスだ。流石私、目に狂いはなかった!

 

「お、おう。これはまた、スゴいのを作ったな」

 

「フリフリとリボンは妾の得意分野ですし、素材も良かったので」

 

 正直ここまで似合うとは。

 

『ねぇ、マーレって本当に男だよね?』

 

『あぁ、下手な女よりも女の子にみえる。だが男だ』

 

 お決まりのやり取りを《伝言・メッセージ》でやりとりしつつ。

 彼女(?)の姉を待つ。

 

「ささ、アウラ様」

 

 そこへ、エンリがアウラの手を引きやってきた。

 私と義兄さんはやっときたかと彼女の方を見た瞬間。

 

「「・・・・」」

 

 顎が落ちた。

 アウラの為に作ったドレスはリボンは少な目、フリフリを大量に使ったピンクのフリフリミニスカドレス。

 肩回りも露出させて、両手首にはピンクのシュシュ。

 頭には小さなリボンを添えている。

 靴にもピンクのフリフリをあしらったサンダルを履かせて、右太ももにシュシュを巻かせた。

 恥ずかしそうに頬を染め、涙目な彼女の健康的な褐色肌と相まって、いけないことをさせてしまっている背徳感が凄まじい。

 ようするに似合いすぎているのだ。

 

「あ、あの・・・あたし、変ですか?」

 

「「ふぅ・・・」」

 

 ダメだ私達。はやくなんとかしないと。

 同時に沈静化が発動した私達。それを他所にシャルティア達が彼女に絡みだした。

 

「チビスケ。今夜わたしの閨にこないでありんす?」

 

「ふざけたこと言ってるとぶっ殺すわよ偽乳」

 

「いいじゃない。何事も経験よ?」

 

「アルベドはなんでこんな時に限ってこいつと仲がいいのよ!?」

 

「お前達そこまでにしておけ」

 

「「「も、申し訳ありません」」」

 

 少しばかり喧嘩腰になった三人を席に座らせて、キャサリンの音頭と共に宴が始まった。

 飲み食いできる義兄さんの守護者にそれぞれ数人の娘を付けてもてなす。いうなればキャバクラみたいな方法だ。

 義兄さんも姪達の質問に答え、武勇伝を嬉しそうに語っている。

 

「あ、あの私達までありがとうございます」

 

 アルベドが私の横まで来て小さく耳打ちをする。どうやら落ち着かないらしい。

 

「うむ、そなた等も皆客人なのだから当然。ゆっくり楽しむがよいホレ、兄様を楽しませないと膝の上のベルにかかりっきりになってしまうぞ」

 

 娘達と話している義兄さんの膝の上にはベルが陣取り、義兄さんから食べ物を食べさせてもらったり愛玩動物ばりに可愛がられている。

 もてなす側が逆ではないのか?と思うが義兄さんは義兄さんで楽しんでいるみたいでなによりだ。

 

「本日はムササビ様がご用意してくださった場ですし、モモンガ様はベル様を気に入っておいでですから」

 

「まぁ、子供相手にむきになるのもな」

 

「あ、ママ。これから催し物を始めるよ」

 

 そこへやってきた我が守護者統括。

 今日の催しのスケジュールを任せていて何をするのか聞いていない。だからちょっと楽しみだったりする。

 

「ほう、催し物か。ベル、姉達がなにかするようだぞ?食べてばかりではなくちゃんと見ようか」

 

「あーい!」

 

「ではでは、先ずは私達姉妹きっての音楽家である双子の姉妹。ギブ・ミー御母様の三女と四女、リーフお姉ちゃんとリースお姉ちゃんの楽曲をお楽しみください」

 

「ルーキ、こっちにいらっしゃい。アルーシャと一緒にお姉ちゃんを応援しましょ」

 

「「ネェー!」」

 

 妹の声援を受けて手を小さく振りながら前に出てきたのは双子のドライアド。

 お揃いの緑色のワンピースドレスを身に纏った二人の手には和楽器である琴のような大きな弦楽器。

 普通の琴の三倍はある大きなそれを置いて一礼した後に正座して手を添え、ゆっくりと奏でだした。

 

「ほぅ・・・」

 

 義兄さんの口から感嘆の声が溢れた。

 この宴会場の日本庭園にぴったりのゆったりとした風情ある音色が響き渡る。時にはリースが、時にはリーフが、ひとつの楽器を二人で奏でる。

 エンリとネムの二人を見てみればうっとりとした表情で、膝の上の二人を見てみると子守唄を聴いているかのように船をこぎだしていた。ベルは眠りそうになるのを必死にこらえて義兄さんの言い付けを守っている。ちなみにルェフは既に夢の中だ。

 あらあら、アルーシャとルーキったらこのまま寝ちゃうのかしら?と思った直後。

 

「「!!!」」

 

 曲の調べが変わった。

 ゆったりとしたモノから激しい調べに変わり、膝の上の二人はビクリと肩を震わせて飛び起きた。

 激しい音楽を奏でる二人の動きは凄かった。

 いうなればピアノの連弾。

 一節一節交互ではなく、一打一打、互いの間を縫うように弾いているのだ。

 これが双子の成せる業なのか。いや、双子でも無理だ。

 殆ど同時に弾いているのに不協和音を出すこともなく奏でている。

 母親としてもここまで凄いモノを見せてもらえて感激だ。

 義兄さんも他の姉妹達も自分達の妹が、姉がとんでもない神業を見せた事に驚き目を輝かせたのだった。

 

 それからは二人の伴奏に合わせてよもぎを初めとする武闘派の娘が演舞を披露したり、次女で構成される七女忠が美しい舞を踊った。

 

「それでは最後に登場するのはクロアお姉ちゃん、エリザお姉ちゃん、リィリィお姉ちゃん、ピューレお姉ちゃん、ディーネお姉ちゃん、そしてもみじお姉ちゃんです。・・・リィリィお姉ちゃん、私なにするか聞いてないんだけど?え?リーフお姉ちゃんは聞いてるの?」

 

 最後に出てきたのは私達七姉妹がそれぞれ一番最初に産んだ長女達。

 多分リィリィが計画してたんだろう。

 長女達が前に出るのに合わせて二人で弦楽器を弾いていた双子のひとり、リースが立ち上がると何処からともなく大きな笛を取り出して構える。更に、側には複数の太鼓みたいな楽器があり、背中から体の一部である蔦を出して太鼓に添えた。

 同じくリーフも背中から時分の体の一部である蔦を複数出してリースの穴を埋めるようにスタンバイ。

 まさかの更なる神業を見せるのかと皆が驚きの声をあげるなか私は長女達を見ていた。

 正確に言えば彼女達が着ている衣装だ。

 

『あんなの作ってあげたっけ?』

 

 彼女達が着ているのはまさに踊り子といった衣装で色ちがいの御揃いだ。

 私達七姉妹は誕生日にはドレスを作って贈っていたけど、それぞれの個性が出て、お揃いというものはない。

 しかし、あの子達が着ているのはお揃いの衣装た。

 

『あれ?どこかで見たことあるような』

 

 そう思っているうちにリースの叩く太鼓の音に合わせて彼女達は動き出した。

 

『・・・思い出した』

 

 ゆったりながらもキレのある動き、色気のある妖艶な腰塚い。

 それは大昔のからある踊り、ボリウッドダンス。

 私達が初めて七人で参加イベント。ユグドラシルダンスコンテストに録画して出展した踊りだ。

 結果はLOVE&デスさんがデザインした衣装により、さんざんだったがとても楽しかった。

 記念に同じ衣装を作って当時、一人娘だった長女達にあげたのだ。

 

『観客役として見てもらってたけど、その時に覚えてくれたんだ』

 

 振り付けも完璧。

 きっと彼女達は私達の練習を余所見もせずずっと見ていてくれたんだろう。

 

『懐かしいな。あれ、昔に応募したヤツだろ?』

 

『・・・義兄さんしってるの?』

 

『募集作品は公開されてたからな。まぁ、お前達のは半日で運営に消されたけど』

 

『まぁ、あの衣装じゃあねぇ』

 

『・・・踊ってくれないか?』

 

『え?』

 

『映像でしか見たことないんだよ』

 

『見たい?』

 

『見たいな』

 

 少し恥ずかしいけど義兄さんが見たいなら仕方ない。

 アルーシャとルーキを降ろして立ち上がった私。

 長女以外の娘達は首を傾げたが長女達は踊りながらもその笑みに一層の輝きを見せた。とくにもみじは尻尾の振る速度はバンバン加速している

 あぁ、クロアの羽叩いちゃって。後で怒られるわよ?

 

「《展開:登録外装十番》」

 

 光に包まれた後に私の装備が変わった。

 もみじと同じ赤を基調とした踊り子の衣装。

 久しぶりに纏ったその衣装を着て私は長女達の輪に加わる。

 途端に音楽が激しくなり、それに合わせて私達の動きもはげしくなる。

 姉達と同じ踊りを踊る私に周りから驚きの声が上がった。

 あぁ、楽しい。

 この子達と一緒に遊べるなんてあの時は思いもしなかった。

 

 けど、できればもう一度姉様達と踊りたかったな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お姉ちゃん!私それしらないよ!?というかなんでママも踊れるの!?」

 

「ん?これは私達しか、おどれないよ?義母さま達の長女しか、見たことないから・・・」

 

「貴女さっきから痛いのよその尻尾!」

 

「母様!母親!もう一度やりましょう!!」

 

「今度ね?今日は兄様達をもてなさないといけないから」

 

 義妹が娘達に囲まれている様子を俺はベルの頭を撫でながら眺める。

 笑う彼女の表情はとても楽しそうだ。

 俺はその光景を少し、羨ましく感じた。

 自分を心から慕ってくれている娘達。

 血の繋がりはないが本当の家族のように思えた。

 以前、七姉妹はNPCを創造する際に強い親子の関係を設定付けると言っていた。

 俺達アインズ・ウール・ゴウンでは考えもしなかったことだ。

 けれど、それがこの暖かい空気を作っている。

 今は有事ではない場合、俺も配下達を義理の子供達として見ているようにしているが。義妹の想いには負けるだろう。

 

「いかがでしたか兄様?」

 

「あぁ、素晴らしい。流石我が妹だ」

 

 どうすればコイツのようにもっと暖かい気持ちになれるだろう。

 

 

 

「ムササビ。会わせたい奴がいる」

 

 気付けば俺は彼女に云っていた。

 

「?・・・だれですか?」

 

 恐らく会わせれば俺は悶え苦しむ事になるだろう。

 それでも会わせたいと思った。

 俺がアイツと向き合う為に。

 

 

「・・・・私の」

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーー 息子だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 あぁ・・・、後悔しないといいなぁ。

 

 

 





 もう、いい加減出さないとね!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。