なんどもなんども書いてたのですがギャグが書けなくて
急きょ路線変更。
かっこいい伯父様にならって
甥っ子にはかっこいいお義兄さま路線を走っていただく事に決めました。
モモンガさまの羞恥を期待していた方はごめんなさい!!
「・・・息子?」
宴会場の空気が凍った。
義兄さんの口から出たのは思いもよらない単語。
息子(むすこ)。
それは男性の子供、即ち本人の1親等直系卑属のうち男性である者を指す言葉
義兄さんに子供なんていたの?
私、知らないよ?
結婚してないって言ってたよね?
あれは嘘だったの?
なんて、現実だった頃の私なら思ったかもしれない。
けどここは現実ではあるが私達兄妹がいた現実ではない。
義兄さんに奥さんはいない。
ならば息子とは誰なのか。
落ち着け私。義兄さんは結婚していない。分かりきったことではないか。
とりあえず《伝言・メッセージ》で詳しいことを・・・。
『おい、いったい何処で仕込んできたこの天然スケコマシ』
あ、やっぱり無理かも。
『仕込んで「モモンガ様!いったい何処の人骨ですか!?」』
アウラが義兄さんに詰め寄り、背後ではシャルティアが灰になって、マーレは一人離れて素振りを始めていた。
うん、腰の入ったいいスイングだ。
「も、モモンガ・・様?」
その時地の底から響くような声が聞こえた。
視線を向ければそこには血の涙を滝のように流している守護者統括。
食い縛る口から伝う一筋の血となんとも言えない表情をみて、思わず頬がひきつった私は悪くない。
「アルベド!落ち着いてください!」
そんな暴走一歩手前の彼女を取り押さえている我が娘もみじ。アナコンダのように縛り上げている彼女の額からは冷や汗が浮かび、必死の表情を浮かべていることが分かる。
というかもみじが全力を出さないと取り押さえられないってどんだけなのよ。
思わず呆然とする私を他所に義兄さんに真意を聞きに出た娘がいた。
「あの、おじさまは結婚してるの?」
昼姉と夜姉の長女、エリザだ。
いつもは男装してる彼女は踊り子の衣装のまま、義兄さんの袖を摘まんで見上げている。
私だったら思わず抱き締めているところだが。
「いや、私はだな・・・」
「正直にいってくれないとベルのおやつが変わるよ?」
可愛らしい顔でえげつない脅し文句を突き付けた。
義兄さんのお腹の中からシャキーンと小さく鳴り響いた音は聞かなかった事にしたい。
ベルが歯を鳴らした音だとは思いたくない。
「伯父さま。怒らないから、本当のこと教えて・・・ね?」
追随するように正面から義兄さんの顔を覗き込むリィリィ。
同じく踊り子の衣装なので目のやり場にこまるかもしれないが義兄さんはリィリィの目から視線を外せない。
なぜなら見事にハイライトを消してらっしゃるからだ。
「落ち着け!アルベドも何を勘違いしている!私に妻や愛人、傍女はいない!息子とは私が創造した宝物殿のパンドラズ・アクターの事だ!」
母親とそっくりな濁りきった目を向けられ堪らず義兄さんが叫んだ。
同時に固まる私達。
巻き付かれているアルベドに皆が視線を向けた。
「・・・もみじ。私をこのまま絞め殺して」
この後、自殺を図ろうとしたアルベドを止めるのに三十分程時間を費やした事をお伝えしよう。
「さて、兄様の潔白が証明されたところでパンドラズ・アクターという者についてお聞きしたいのですが」
暴れたアルベドを再びもみじが拘束した後に私は問い掛けた。
私と義兄さんの前には娘達と義兄さんの守護者が正座して静かに耳を傾けている。
「パンドラズ・アクターは私が創造した唯一の存在でナザリックの秘宝が眠る宝物殿の領域守護者だ。ムササビの娘が彼女達のように、私もアイツを息子として紹介しようと思ったのだが」
「・・・・ということは妾の甥っ子になるのですか?」
「まぁ、そうだな」
ここで私の目がキラキラと輝きだした。
ギルド、地獄の七姉妹が掲げる方針上、私達は男の子を作る事はない。
万魔殿は妖艶の魔窟であり、女の園。
姉大好き、娘大好きな私だが密かに甥っ子とか弟にも憧れていたりする。
「なぜ、妾に教えてくださらなかったのですか?事前に教えていただけたのなら喜んで招きましたのに」
「あー、アイツはなかなかにクセのある奴でな姪達に会わせて困惑させてしまわないかと思ったのだ」
「姉様達を見てきた娘達はその程度で動揺しませんよ?」
末の妹として言っていて悲しかったりするがはそれはもうクセというか灰汁のある姉だったと思う。
ギブ・ミー姉様にしろ、やんでれ姉様にしろ、我ながらよくあの姉達を纏めていたものだ。
「ムササビも充分クセのある妹だと思うが・・・。まぁ、パンドラズ・アクターはお前達とはまた違った奴でな」
「それは会うのが楽しみですね。ちなみにいつ御創造なさったのですか?」
「お前達が万魔殿を拠点とする前だな」
「ということは私達の兄貴様分となるのですか!?」
割り込むように声を上げたのはギブ・ミー姉様の長女、蟲女王のクロア。
「まぁ、そうなるのか?皆がアイツを兄貴分と思うのは自由だが」
「ナザリックの秘宝を守る領域守護者を任されておられるなんて素晴らしいです!」
きゃいきゃいと騒ぎだした娘達。
へー、宝物殿の領域守護者なんだ。
うちにも宝物庫はあるけど領域守護者は置いていない。
そこまで侵入させない自信もあったし、入るには専用のアイテムで転移する必要があるしね。
「アルベド達はパンドラズ・アクターついて知っているのか?」
この問いをした瞬間彼女達はまるで石像のように固まった。
そしてだらだらと汗を流している。
彼女達の表情と先程の会話と上位ギルドの常識から私の思考はある答えを導きだした。
「ナザリックの宝物殿は特殊なアイテムがないと入る事はできなかったりしますか?」
「・・・はい」
「では兄様、ここへ直通できるこのアイテムをお預けしますのでーー」
10分で私の甥を連れてきなさい。
「紹介しよう。ナザリック地下大墳墓、宝物殿の領域守護者、パンドラズ・アクターだ」
きっちり10分。
俺は万魔殿からパンドラズ・アクターを連れてきた。
ナザリックに帰った時にデミウルゴス等が慌てていたが時間もなかったので放置して宝物殿へ直行、数ヶ月ぶりに我が息子と対面。
訳を説明して連れてきた。
『へぇー、この子ドイツ軍人をモチーフにしてるんだ。種族は見た感じ、グレータードッペルゲンガーなんだね』
義妹はパンドラズ・アクターの周りを両手を後ろに組みながらくるくる回っているのだが、ネム以外全員の姪は桜の木陰に隠れて顔だけを出している。
しかしもみじよ、いくら義妹の真似をして一緒にくるくる回っているネムが可愛らしいからといって尻尾をバンバン振っていては全然隠れれてないぞ。というか身体が長すぎる。
「ムササビ、そろそろ・・」
「あ、失礼しました。はじめましてだな、我が甥パンドラズ・アクターよ。妾はムササビ。兄、モモンガの妹でそなたの叔母だ」
柔らかい笑みを浮かべる義妹。
傍ではネムがキラキラと目を輝かせて一応(?)兄貴分であるパンドラズ・アクターを見上げている。
パッと見た印象、人間にとってこいつは不気味な容姿をしているはずだがどうやらネムのお気に召したようだ。
「・・・・オ、ォ」
そう思った矢先、パンドラズ・アクターの口から小さく篭った声が溢れた。
その声に首を傾げる二人。
俺はこれから繰り広げられる悲劇を阻止するために声を掛けようとしたが
「ォ、ォォォオオッ!!」
それは始まってしまった。
ウチのバカが雄叫びを上げる。それを目の前で聞いた二人はビクリと肩を震わせたが構わず続ける。
「私は今日、この日を、我が主、我が創造主、我が神に感謝致します!!」
まるで有名劇団の主役のような身振り、片手を額に当てて仰け反り、くるくる回る。
「御初に御目にかかります!ムササビさ、まッ!!あぁ、美しい!。まるで宵闇のような美しい髪、我が主と同じくして死を体現したオウゥラッ!」
そして義妹の前に片膝をついて手を取り。
「私は御身にお会いする事を一日千秋の思いでお待ちしておりました」
これまたかっこよく頭を下げた。
「ちょぉっとこっちに来ようかぁ!?」
出遅れた俺は堪らずパンドラズ・アクターを連れて皆から離れ、息子の肩に腕を回した後に小さい声で語り掛ける。
「俺は確かに言ったよな!?妹はまだしも姪達は男に慣れてないって!お前を創造したのは俺だからやるなとは言わないがもう少しテンションを下げないか!?」
「も、申し訳ありません。お話に聞いていましたムササビ様にお会いできた喜びに思わず・・・」
そういえば、と俺はこいつにいろいろと義妹のことを話していたことを思い出した。
妹がユグドラシルで女性最強ギルドの一角、地獄の七姉妹のギルドマスターをしていること、たった七人でワールドエネミーを討伐したこと。昔は一緒に冒険したこと、自分にはもったいないくらいできた妹だということなど。
ギルメンには恥ずかしかったからあまり自慢していなかったがこいつにはけっこう自慢していた記憶がある。
「・・・そうか」
一応息子であるこいつからしたら自分よりも叔母に愛情を向けていることに不満を持ってもおかしくないのに、ずっと会いたかったと云う。まるでムササビの娘たちのように。
「ドイツ語も敬礼もやめろとは言わん、だがあいつらの兄貴分として恥ずかしくないようにな」
「Wenn es meines Gottes Wille(我が神のお望みとあらば)」
「よし、ではいくぞ」
だから、こいつの設定に入れた、伊達男のような振る舞いも、ドイツ語も、敬礼もやめろとは言わない。作った俺が恥ずかしいからといってやめさせない。義妹が娘たちを作ったように俺もカッコいいからそう作ったのだ。
誰かが面白おかしく笑っても俺はコイツの親なのだから。
「驚かせてすまない。コイツはこういう「フフッ・・・」」
二人して小さく気合いを入れ、改めて声を掛けようとしたとき義妹の口から小さな笑い声が溢れた。
「フフフッ、アハハ。あはははっ」
まるで堪えきれないと言ったばかりに空いている口許を抑えて笑いだした。
「あはははっ、お前は面白い子ね。うんうん、よろしく」
自分の娘たちに向けるような笑みを見せる彼女の表情を見て俺は安堵の息を漏らす。
義妹が上位者としての振る舞いをやめて、ほとんど素の対応を見せた。
それはこいつを完全に自分の身内だと認識したことを意味する。
姉達である七姉妹。
兄である俺。
創造した娘達。
新しく迎えたエンリとネム。
そして甥にパンドラズ・アクターを家族として認めたのだ。
「ネムです!よろしくおねがいいたします!パンおにいちゃん!」
そんな母親の対応に安心したらしく、ネムも笑顔をパンドラズ・アクターに向けて元気よく挨拶をする。
「パンドラズ・アクター、その子は人間ではあるがムササビの娘。云うなればお前の妹分だ。仲良くしてやってくれ」
「Schön, dass Sie nette Schwester zu treffen(はじめまして可愛い妹よ)私はパンドラズ・アクター。頼りない兄貴分ではありますがよろしくお願いします」
ネムの目線に近くなるようにしゃがんだ後に伊達男よろしく礼をする。
それに目を輝かせた彼女はハラハラと見守っている姉たちを他所に文字通りお兄ちゃんになついている妹のように兄貴分の手をとる。
それがきっかけとなったらしくパンドラズ・アクターへと歩み寄って自己紹介を始める姪達。
皆がお義兄さま、お義兄さまと俺が作ったNPCに自分を覚えてもらおうと詰め寄っている光景を眺めながら小さく喜びを感じているところに義妹が歩み寄ってきた。
しかし、ベルよ。お前はいつになったら私のお腹の中からでるのかな?
『ふふ、嬉しそうだね』
『そうみえるか?』
『うん』
『まぁ、当時は黒歴史の塊。他のギルメンから笑われるのを怖れてなるべく目立たない宝物殿の領域守護者にしたんだ』
『勿体ない。私だったら胸をはって皆に紹介するけど』
『あぁ、今となっては少し後悔してるよ』
ギルメンの皆に俺が、ギルドマスターモモンガが唯一創造したNPCを自慢する。
ぶくぶく茶釜さんや、ペロロンチーノさんも己の欲望を注ぎ込んだアウラやマーレ、シャルティアを作っているのに何を怖れていたのか。俺も胸をはって自慢すればよかったのだ。
俺の考えたかっこいい存在。
アインズ・ウール・ゴウンの力を誇示することのできる変幻自在の道化師。
それがパンドラズ・アクターなのだ。
「おじさまおじさま!パンおにいちゃんも変身できるの!?」
「あぁ、私を含めたアインズ・ウール・ゴウンのメンバー41人に変身できるぞ。そういえば変身ストックはまだ1つほど空いていたな。どれ、パンドラズ・アクターに自分に変身してくれと頼んでみてはどうだ?私の名前を出せばやってくれるはずだ」
「うん!」
さて、後でアイツにリング・オブ・アインズ・ウール・ゴウンを渡さないとな。
宝物殿の領域守護者の役割は変わらないがたまには外に出るように言ってやろう。
その為に部下を付けて、と息子のために俺は思考を回転させてプランの構築を始めるのだった。
「おかあさん見てー!ピオーネおねえさまとパンおにいちゃんとわたしで三つ子!」
「「ぶふぉっ!?」」
次から本編に戻る予定です。
思った通りの文章もかけなくてけっこうぐだぐだになりつつありますが今後もよろしくおねがいいたします!