オーバーロード ー 死の女王 ー   作:溶き卵

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 本編より先にこっちが仕上がってしまいました。

 予告詐欺をしてすみません!


お風呂

「あ~、ナザリックのもいいですけど。こちらも素晴らしいですねぇ・・・」

 

 湯気に包まれる室内に響くゆったりと息を吐き出したようなこえが響く。

 ここは地獄の万魔殿においてある意味一番手の込んだ場所。

 

「だろ?ここはアタシの母さん、長女オーオバーが中心となって作ったんだ」

 

 それは御風呂。

 様々な室内風呂と露天風呂を配置した温泉郷。和風大浴場だ。

 

「あぁ・・・きもちいい」

 

「あはは、とろけきってるなぁ。まぁ、気持ちはわかるさ。アタシは水に濡れるのは嫌いだけど、ここの風呂は別だ。ゆっくり浸かってたくなる」

 

 檜風呂で仲良く肩を並べてふやけているのはピューレとアウラだ。

 甥っ子紹介の後、私達は皆で御風呂に入る事にした。

 あ、もちろん男性は別。

 ただ、我が家には男湯はないので脱衣場に仕切りを作って別の風呂に行ってもらっているのだ。

 ちなみに私はというと。

 

「マァ!マァア!」

 

「レヴィ・・・あんまり暴れないで、上手く洗えない。義母さまには、後で一緒に御風呂・・入ってもらえばいい」

 

「♪♪♪♪」

 

「姉、鳴宮(なるみや)よ。笑いながら無言で姉、リィリィの胸を揉むのはやめないか?反応を示さない姉が見ていて恐い」

 

「ヴィヴィ、あんまり擦りすぎないでね。肌が赤くなっちゃうから」

 

「お、お義母さん!私はいいからゆっくり御風呂に浸かっててよ!」

 

「いいからいいから♪リィリィのお願いの皆で御風呂なんだし」

 

 ヤンデレシスターズと背中流しっこしてます。

 がんばるヤンデレ姉様の娘。

 五女、ヴィヴィの背中を私が洗って。

 四女、カナの背中をヴィヴィが洗って。

 三女、エスの背中をカナが洗って。

 次女、鳴宮の背中をエスが洗って。

 長女、リィリィの胸を鳴宮が背後から揉んで。

 末のレヴィをリィリィが抱きながら洗ってあげている。

 ヴィヴィは恥ずかしがっているがこれは以前約束したリィリィへの“姉妹と一緒に御風呂に入る”というご褒美の一環。

 娘達全員一緒となってしまったが代わりに背中を流しっこに参加している。

 他の娘達は各々好きな御風呂に行っていて近くにある森林浴ができる檜風呂では先程も言ったがピューレとアウラが寛いでいる。

 

「はい、それじゃお湯をかけるわよ」

 

「ありがとうお義母さん」

 

「義母さま、どの御風呂。行く?」

 

「うーん。順番に行きましょうか?地獄めぐりっぽく、なんてね?」

 

 体にタオルを巻き、リィリィからレヴィを受け取った後に皆を引き連れて歩き出す。

 まず向かったのは白濁の温泉。

 岩に囲まれた真っ白い温泉は中心からお湯が涌き出ている。

 

「エリザはわたしと同じ真祖でありんすよね?何故にそれほどまでに見事なものが?」

 

「おかあさん達がが真祖だから成長しないのは可愛そうだからって言ってた。ルェフ、気持ちいい?」

 

「ーーーー」

 

「そういえばお袋達もそうだけど姉妹達でもセブンスチャイルドとネム以外小さいのいないな」

 

 そこでは目尻に涙を浮かべているシャルティア。

 ルェフを抱いてお湯に浸かっているエリザ。

 顎に手をあててそういえばと物思いにふけているよもぎがいた。

 

「なになに?なんの話?」

 

 私も混ぜて貰おうとレヴィと一緒に御風呂に入り、ヤンデレシスターズもそれに続く。

 

「おかあさん。わたし、シャルティアと同じぐらいの年齢なんだけどなんでわたしのは大きいの?」

 

「いや、なんの話?」

 

「胸だよ胸。うちにシャルティアレベルの年長者なんていないだろ?」

 

「グフッ!?よ、よもぎは容赦ないでありんす」

 

 あぁ、なるほど。

 シャルティアは真祖だし肉体的成長は見込めないからエリザが羨ましいのか。

 

「エリザを産んだのは昼姉様と夜姉様なんだが。基本的に童顔な娘を作る二人は女としてのコンプレックスを少なくするためにせめて胸はとつくってるのだ」

 

 自分達も童顔幼女のクセにちゃっかり立派なモノを付けてるしね。

 

「ちなみに万魔殿で一番小さいのは妾だったりする」

 

「「「「うそぉ!?」」」」

 

 皆が驚愕し、わたしの右胸を見る。

 こらこら、そんなにガン見しない。

 私は寄せて上げてもギリギリDに届かないC。

 娘達も普段はそんなところ見てないから驚いたらしい。

 というかエリザ。ルェフが沈んでる沈んでる。

 

「妾は別に胸に不満を持ってないし、女の美はそこで図れるモノではないからな。美に関してはLOVE姉様から太鼓判を頂いている。姉様曰く、調和が大事だそうだ」

 

 容姿、肌、腕の太さ、胸、腰回り、足の太さ、長さの調和に美しさの秘訣があると七姉妹合同美的講習会の講師であるLOVE&デス教授の教え。

 

「姉様の教えからシャルティアの調和を見るにそなたも創造主が時間を掛けて創ったのが分かる。アルベドとは方向性は違うが、そなたも美しく色香があると思うぞ?」

 

 私のフォローを聞いて嬉しそうに涙を浮かべながらお礼を言ってきたシャルティア。

 そんな彼女の頭を軽く撫でた後、三人に別れを告げて別のお風呂を目指す。

 

「あのお風呂はぬるめだったから今度はちょっと熱いお風呂に浸かりたいわねぇ」

 

「母よ。ならば釜風呂などどうだ?」

 

「あら、いいわね。あそこなら水風呂も隣接してるから調度いいわ」

 

 エスの提案で釜風呂があるエリアを目指す。

 

 そこは川を模した水風呂であるプールの側に屋根付きの釜風呂を設置したエリア。

 釜風呂の温度は調整可能だったりする。

 

 のだが。

 

 

「もみじお義姉ちゃん・・・熱くないの?」

 

 ゴポゴポと沸騰している釜の中で寛いでいる我が娘を私達は呆然とした表情で見つめている。

 ヴィヴィが云うように見た目からしてかなり熱そうな熱湯風呂だ。

 

「はい~。他の御風呂も気持ちいいですけど姉達はこれぐらいが一番調度いいのです。ね~、アルーシャ?」

 

「あぃ~」

 

 よく見れば腕の中にはまったりとしているアルーシャがいた。

 よくもまぁ、こんな風呂の中でまったりとできるものだ。

 インフェルノナーガと最上級の竜人なら大丈夫なのだろうが。見ているこちら側としてはなんというかコメントに困る光景。

 というか、このお風呂そこまで温度が上がっただろうか?

 

「もみじ、自分のスキルで無理矢理、温度上げてる」

 

「あはは、蛇と蜥蜴の煮込みだね」

 

 うまいこと云ったカナは我関せずに空いている釜に入って寛ぐ。

 私もこのまま煮込めばイラブー汁でもできるのではないかと思いつつカナの入っている釜に便乗。

 横目で釜に収まりきっていないもみじの胴体の先っちょである尻尾が心地良さそうに真っ赤になっている釜の縁をポンポン叩いている様子を見ながらそういえば、エンリとネムはどこだろうか?と思考を巡らす。

 

 その時。

 

「わーい!!」

 

 目の前をちっちゃな影が横切って水風呂である川のプールに飛び込んだ。

 フフッ、一人目発見。

 あらあらと、釜の縁に寄りかかりたった今川に飛び込んだ娘の方を見る。

 

「ネムさん水着水着!」

 

「遊ぶのは構いませんが水着は来てください!」

 

 丁度そこへ空からバスタオル姿で降りてきた二人のハルピュイア。

 白い方がピース

 黒い方がオルタ

 二人ともピューレの妹で、我がギルドの救護部隊であるダークマリアのメンバーだ。

 そんな二人の表情は慌てているが笑顔で手のかかる妹の面倒を見るのが楽しくて仕方ないといった感じ。

 川の中に隠れた妹を海鳥のように水中に飛び込んで捕獲。

 川の真ん中にある岩場まで運んだ後に引き上げて甲斐甲斐しく水着を着せてあげている光景を見て頬を緩める。

 というかその水着どこから持ってきた。

 

「あっ、おかあさ~ん!おねえちゃ~ん!!」

 

「「はいは~い」」

 

 手を大きく振り呼ばれた私ともみじは釜の中から手を振り返す。

 こっちに来ようと岩場から飛び降りたネムはすかさずキャッチしたピースに運ばれて私の前にまでやってきて。

 

「・・・おねえちゃんあつくないの?」

 

 奇怪なモノを見る表情で姉に問いかけたのだった。

 

 

 

 その頃。

 

「はぁ・・・気持ちいいです」

 

「ほんと、うちにはない娯楽だわぁ」

 

「でしょう?・・・流石お姉ちゃん達だよぉ」

 

 私は姉さんとアルベド様の二人と一緒に“えすてさろん”というのを体験中。

 マッサージ(整体)は私もお父さんにやってあげていた事もあって知っているがこのえすてというのは初体験。

 聞けばこれは美容と健康にいいマッサージの一種というが最初は半信半疑だった。

 私が知っているマッサージは人によってはかなり痛いモノ。

 けど、今受けているのはかなり気持ちいい。

 

「エンリに気に入ってもらってよかったわ」

 

 私を担当してくれている天宮御姉様が小さく笑う。

 最初は畏れ多くて緊張していたけどいまではふやけきってます。

 

「私たち七女忠もぉ、たまには腕を奮わないとねぇ♪」

 

 アルベド様を担当してらっしゃるLOVE&デス御母様の次女、水宮(みずみや)御姉様がクスクス笑いながらその色めかしい肌を丹念に揉みほぐしている。

 ただ、タオルも巻かずにアルベド様をマッサージしている御姉様の鼻息がだんだん荒くなっているのが恐い。

 

「キャサリン寝てていいよ?終わったら起こすから」

 

「うん。おやすみ~」 

 

 七女忠でも容姿の幼い二人の御姉様の一人。昼の幼女の次女、日宮(ひみや)御姉様が優しく姉さんを寝かしつける。

 本来七女忠は御母様達のお部屋の守護と専属の御世話係なのだそうですが今は御母様の計らいで彼女達の赴くままに姉妹と御母様を御世話するようにさせてもらっているとか。

 

「ねぇ?水宮の鼻息がだんだん荒くなってるのだけど?あと手つきがだんだん危なくなっているのだけど?」

 

「安心してアルベド。抵抗すると余計喜んで危なくなるから」

 

「全然安心できないのだけど!?」

 

「うふふっ、このまま私なしじゃダメなからだにしてあげるからぁ」

 

 なにやら大変な事が起きそうになっているが起きたら私も巻き込まれそうなので姉さんを見習って私も少し眠るとしましょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それじゃぁこれからエンリちゃんの近衛選定会議を始めまーす!はい拍手~」

 

 万魔殿自慢の温泉郷にある一番大きな露天風呂にキャサリンの声が響く。

 これから始まるのはエンリの近衛を決める会議。

 別にお風呂場でやらなくてもと思うのだが彼女曰く、姉妹全員が揃っている今が一番いいらしい。

 

「本日の選定にあたりましてゲストが来ています。シャルティア、アルベドとアウラでーす」

 

「ナザリック地下大墳墓、第一から第三階層守護者のシャルティアでありんす」

 

「ナザリック地下大墳墓、守護者統括のアルベドです」

 

「第六階層守護者、アウラです。ところでなんでそんなに疲れてるのよアルベド」

 

 どこかのテレビ番組みたいに始まった選定会議。

 アルベドをゲストにしたのは今このメンバーでキャサリンに近い頭脳の持ち主はアルベドだけだからなのだろう。

 よくもまぁ軍事機密を同盟とはいえ、他のギルドの者の前で議論しようとしたものだ。

 まぁ、二人が此方に弓を引くような真似をするとは思わないが。

 

「最終決定はママお願いするね~」

 

「基本的に口は出さないけど大事な妹の近衛なんだからちゃんと話し合うように。ネム、痒いとこない?」

 

「だいじょうぶ♪」

 

 ちなみに私は湯船の外。身体を洗う場所でネムを洗ってあげている。

 散々プールで遊んだ後にリーフとリースが寛いでいた砂風呂へ特攻。

 姉二人の上にお城を作る暴挙に出た。

 姉二人は妹がせっかく作ったお城を壊さない為にさっきまで笑顔で耐えていたところにネムの様子を見に来た私が参上。

 このままではお姉ちゃん達が土に返ってしまうので一緒にお姉ちゃん達を救出。

 今二人は隣で身体を洗っています。

 

「まずはゲストから選定のアドバイスをいただきましょう!」

 

「姫の近衛なのでありんすから。やはり美しさは必要だと思いんす」

 

「あとやっぱり強いシモベがいいわよね?容姿が良くて強いシモベ。エンリの近衛なんだし最低でもネムの親衛隊隊長のジョンよりも強くないと」

 

 シャルティアとアウラのアドバイスを受けて娘達は各々に考え始めた。

 私もネムを洗いながらついでにと思考を回転させる。

 エンリの近衛か。

 人数はそんなに多くなくていいわよねぇ。

 すでにジョン君もいるし、あんまり多かったら生活しずらいでしょうしねぇ。

 

「それじゃ私(わたくし)から」

 

「お、早いねぇクロアお姉ちゃん」

 

 湯船に脚を入れた状態で身体の火照りを冷ましながら会議に参加していたギブ・ミー姉様の長女、クロアが挙手をした。

 

「私(わたくし)の親衛隊長をエンリにあげるわ」

 

 この時、ほとんどの娘が思ったことだろう。

 この姉、妹に問題児(馬)を押し付けるつもりかと。

 

「どう?あの子上位のケンタウロスだし、容姿もそれなり、躾がいもあるわよ?」

 

 ひらりと宙に舞ったクロアはエンリの側に降りると寄りかかり押し売りを始めた。

 エンリは目尻に涙を浮かべながら必死に他の姉達へと助けを求めている。

 まぁ、トラブルの塊かもしれないあのケンタウロスを近衛に付けられたらたまったものじゃないわよねぇ。

 

「クロア!エンリの姉として異議を申し立てます!なに妹に駄馬を押し付けようとしているのですか!?」

 

 反対からエンリを守るように抱きついて威嚇を始めたもみじ。

 酷いことしている姉妹に異議を唱えている彼女だが貴女も駄馬なんて何気に酷いこと言ってるからね?

 ところで姉二人の立派なモノに挟まれてるエンリが苦しそうだからそろそろ開放してね?

 ついでにシャルティアがすんごい形相で見てるから。

 

「クロア、あのケンタウロスは姉様が貴女に付けた親衛隊よ。だから貴女が面倒みなさい」

 

「わかってます。冗談ですよお袋様」

 

 ケラケラと笑いながら離れたクロア。

 エンリはホッと一息。そうよねぉ、ドSが入ったクロアってギブ・ミー姉様とそっくりだから冗談に聞こえないのよねぇ。

 

「エンリ、しりょう系はダメ?」

 

「?・・・しりょうとはなんでしょうエリザ御姉様」

 

 エリザの問いにエンリが首を傾げる。

 まぁ、聞きなれない言葉だものねぇ“死霊”なんて。

 

「かんたんに云うとオバケ」

 

「エス、カナ、テレサ・・・がそれ。普段は、姿を消してる。用があったり、呼べば出てくる」

 

 エリザの回答に続くようにリィリィが答えた。

 うん。死霊系なら看破スキルをもってないと霊体化したら見えないから他の村人が家に来ても大丈夫・・・だけどね。

 

「ごめん。エンリって娘に迎え入れるときもみじ達が脅かしちゃったから多分死霊系は無理」

 

「「・・・・もみじやくたたず」」

 

「何故私だけなんですかねぇ!?」

 

 同じ長女から冷たい眼差しを向けられる我が長女。

 ドSな長女はそんな彼女を恍惚な表情で眺める。うん、なかなかに歪んだ姉妹愛だ。

 

「それでは僭越ながら私から」

 

 そんな中、アルベドが手を上げた。

 

「エンリはモモンガ様から小鬼将軍の角笛をいただいたことによりゴフリンを配下に治めてます。ならば、近衛は鬼族の上位種を一人付ければ近衛としては十分かと」

 

「は、はい。私もお迎えの際に近衛に付けていただいた夜叉姫さんができれば・・・」

 

 アルベドに続いてエンリがおそるおそるといった感じで自分の希望を口にした。

 

「キャサリン、貴女の配下の夜叉姫に空きっていたの?」

 

「うん、一人だけ」

 

「夜叉姫なら姿も消せたね」

 

「村にいるときの、注意事項は、キャサリンがちゃんと教えれば、いい」

 

「それなりに学のあるシモベだしな」

 

 それを聞いて彼女の姉達は夜叉姫をエンリの近衛とするべく算段を立て始めた。

 その光景を見て目を丸くするエンリ。

 私は自分の意見をちゃんと言えた彼女に満足しながら。

 

「はい、お湯をかけるからちゃんと目を閉じててね」

 

「はーい」

 

 ネムにお湯をかけて泡を洗い流すのだった。

 

 

 





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