なんとか更新。
皆さんの期待から外れてたらごめんなさい!!
「クロア御姉様は反対なさらないのですか?」
クロア御姉様の言葉を聞いて私は思わず質問した。
「なんで?」
「だってクロア御姉様・・・」
クロア御姉様も姉妹を溺愛する姉の一人。
私が恋心を持つこと自体反対すると思っていた。
それがどうだ。今、彼女の表情は柔らかく、とても怒っているようには見えない。
むしろ楽しそうに私の話を待っている節がある。
「そうねぇ。強いていうなら私の夢もお嫁さんだからかしら?」
クスクス笑いながら自分の夢を教えてくれた彼女を私は呆然と見つめる。
そんな私に姉は一枚の絵を見せてくれた。
小さい頃に見た画家が描くような絵を遥かに凌ぐ鮮明な絵。
そこに描かれているのは紅いマントを羽織った純銀の騎士。
照れ臭そうに頭を掻いているその騎士の隣にいるのは純白のドレスが美しい女性。
顔はヴェールで分からないが口許は笑っており、とても幸せそうな気持ちが伝わった。
「私のお袋様よ」
「・・・この方がギブ・ミー義母様」
絵を食い入るように見る。この女性が地獄の七姉妹最強と謳われたティターニア。
御母様が特に慕っていたというギブ・ミー義母様。
今は玉座に居られない義母の姿を見れて感激していると今度は男性の方を指差した。
「それでこっちの純銀の騎士の名前はたっち・みー。伯父様のギルドのギルドメンバーでもある私の父。お袋様の幼なじみでライバルがなかなか多いらしくてね。結婚するまでそれはもう苦労したそうよ?」
ケラケラ笑いながら自分の母親の苦労話をまるで武勇伝のように語る姉。
幼い頃からアタックしているのになかなか気付いてくれない。
意を決してお風呂に突撃したこともあるけどヘタレて逃げられた。
デートの約束を取り付ければもれなく他の女が付いてくる。
聖なる夜という神聖な夜に待ち合わせをしていたら用事ができたと言われたこともあったらしい。
「最初はそんな男なんて殺してしまえばいいのにって思ってたけどね。想いが通じた時のお袋様の顔を見て考えが変わったわ」
とても嬉しそうで、とても幸せそう。
その時の母はとても綺麗だった。
「あぁ、人を好きになるってこんなに素敵なことなんだなって思ったわ。その心は誰でもない、その人だけのもの。そして私もそんなそれが欲しいと思った」
だから私は貴女を応援するの。
妹にそんな暖かい想いを持って欲しいから。
幸せになってほしいから。
そう言って頭を撫でてくれた。
「まぁ、私は親父様ぐらい強い男としか結婚するつもりはないけどね」
「でも他の御姉様達は・・・」
「そうなのよねぇ。ほんとにあの子達、妹は人形じゃないのに、恋愛ぐらい喜んで応援できないのかしら?」
まぁ、大丈夫よと言って姉は立ち上がる。
ケラケラと笑ってはいるがその姿はとても頼もしく。
「妹が困っているなら助けるのが当たり前。私に任せなさい」
心強かった。
ーーーーーーーーーーー
「気分が優れないようだが大丈夫か?」
翌日再びカルネ村に向けて出発した私達。
位置的に昼前には辿り着けるぐらいの所で私は隣を歩く義兄さんに声を掛けられた。
あぁ、やっぱり気付かれた。
昨日から悩みだして、夜には一人離れた場所でブツブツと何かを呟き、今も心此処にあらずの状態。
気付かれないはずがないとは分かっていたがそれでもできるだけ義兄さんに気付かれないようにしようとしていたけど
義兄さんは気付いてしまう。
「大丈夫。ちょっと考え事してるだけだから」
私が悩んでいるのは娘について。
いずれ相談するつもりでいたが自分の解答がまだ出ていないから適当にはぐらかすと
『・・・俺には相談できないことか?話を聞いてやることぐらいはできると思うんだが』
《伝言/メッセージ》を繋げてきた。
心配そうに聞いてくる義兄に内心苦笑する。
もう、義兄さんったら。
私が義兄からそんな風に心配されたら弱いの分かってて聞いてるでしょ?
はぁ、話せばいいんでしょ?
『・・・あのさ?もしもなんだけど』
《伝言/メッセージ》を用いて言葉を選びながらゆっくりと言葉にする。
まだ確証はない事案。
もしもの場合を想定して兄に問いかけた。
『もしパンドラズ・アクターが彼女連れてきたらどうする?』
『アイツ彼女できたの!?』
『あ、ごめん間違えた』
うん、あの子に彼女ができたらマジで会ってみたい。
そして全力で仲良くなりたい。
じゃなくて
『私が彼氏を連れてきたらどうする?』
『・・・エンリか』
『義兄さん気付くの早すぎ』
『ただ単に情報を繋げただけだ。なるほどンフィーレア・バレアレがエンリの言っていた薬師か』
『うん』
ンフィーレア君がエンリの幼なじみだということ。
二人が幼い頃に結婚を約束した間柄だということ。
エンリが覚えている覚えていないにしろ互いに思っている可能性があるなど私が知っている情報を全て渡した。
その上で私は悩んでいる。
私は二人を応援したい。
ムササビは娘を渡したくない。
娘達もきっとそう思っている。
だけどエンリに悲しい想いをさせたくない。
娘達に嫌われる覚悟は私にはあるが
ムササビは娘達に嫌われたくない。
自分を蝕んでいる矛盾した思考を話した。
『私はどうしたらいいのかな?』
『・・・・』
今までの話を聞いて義兄さんは少し沈黙する。
多分私の状況を自分に置き換えて自分ならどうするのか考えているのだろう。
『先ずは全員で話し合え、お前が呼び掛ければ直ぐにでも全員帰ってくるだろ?そこで話し合って納得できる答えを出せ。一人で考えるな。お前は母親で、お前達は家族なんだから』
『うん』
『お前達なら大丈夫だ。ほら笑顔でいろ。モココ達が不安そうに見てるぞ』
視線を上げれば馬車の荷台でモココが。
直ぐ側ではピオーネが心配そうに此方を見ていた。
はぁ、この子達に心配させちゃうなんて駄目なお母さんだなぁ。
自分の不甲斐なさに苦笑しつつもおいでと手招きしてあげる。
恐る恐る近付いてきた二人。
『おかあさん・・・』
『親愛なる御母様・・・』
『・・・二人ともカルネ村に着いたら家に先に帰ってて?大事な話があるから。あとキャサリンに皆一度帰ってくるようにって言っておいて』
『うん。わかった』
『そうだ。今晩は皆でご飯食べましょ?お母さんちょっとさみしくなっちゃったから皆の顔見たいな』
うん、今考えるのは止めよう。
万魔殿に帰って、皆でご飯食べて、落ち着いてから一緒に考えよう。
義兄さんの言う通り、それがきっと正しいから。
ーーーーーーーーー
「分かりましたモモンさん!」
カルネ村までもう少しといった所で漆黒の剣のメンバーであるニニャの嬉しそうな声が響く。
実は昨晩、ちょっとした出来事があって俺達のグループと彼らのグループはギクシャクとしていた。
いや、俺が大人げない返事をしてしまったからと云うべきだろう。
その為今後彼等と良好な関係を維持する為に俺から話を振ってなんとか蟠りを緩和させた所だ。
「さて、そろそろカルネ村ですけど・・」
そして、予定通り昼前に懐かしきカルネ村に到着というところで依頼主であるンフィーレア・バレアレが口を閉ざした。
前髪に隠れた彼の視線は遠くに見える質素な村へと向けられていた。
漆黒の剣のメンバーがどうしたのかと尋ねたら村の回りにできているがっちりした木造の防御壁は以前は存在してなかったという。
様々な憶測が飛び交う中、どうするのか決めかねていた彼等に俺はナーベに偵察に行かせると提案し、それを受けた彼女は不可視化を行って飛行魔法で偵察に向かった。
『・・・アレはエンリの指示か?』
『みたいだね。マジックアイテムで呼んだゴブリンを指揮して作ったみたいだよ。今、キャサリンから確認が取れた』
そういえば先日、小鬼将軍の角笛を壊してしまったとキャサリンから密かに謝られたのを思い出して小さく苦笑する。
どうやらあの子はあの子で上手くやっているようだ。
そんなことを思っているとナーベが帰ってきて特に野盗等に襲われた様子はないと報告を受けた後、再び村に向けて出発。
漆黒の剣の面々が此方を見ていない隙をついてナーベが此方に近付いてエンリとネムが村の入り口付近で俺達を出迎えてくれていると伝えてきた。
あと、近くにゴブリンが隠れていたがそいつらはエンリづてで俺達が味方だと周知してもらったらしい。
それを聞いた義妹はパアァっと笑顔になり、足取りが軽くなる
全く、現金な母親だな。
「あら、冒険者の方々ですか?ようこそカルネ村へ。遠路はるばるご苦労様です」
「こんにちはー!」
カルネ村に着いた俺達を報告通り、出迎えてくれたのは我が姪ッ子ことエンリとネム。
笑顔を浮かべる二人の後ろにはエンリの近衛である夜叉姫が跪いて頭を下げているが不可視化しているようで漆黒の剣の面々は気付いていない。
俺の後ろで義妹と娘達が小さく手を振っているのを他所にンフィーレア・バレアレがエンリに駆け寄った。
「エンリ!」
「ンフィーレア!久しぶりね!」
この時の後ろにいる親子の表情は言うまでもない。
ーーーーーーーーーーー
私は万魔殿の最上階層にある玉座の間にいた。
両隣にはリーフとリースが楽器を携えて立って、後では地宮がルーキを抱いている。
目の前では
「五女ウェンディがお聞きします!エンリの交際が認められぬ訳を!!」
私の妹、蒼いミニスカウエディングドレスを着た妖精種であるウェンディがもみじに食って掛かっていた。
理由はもちろんエンリの交際を認めさせるため。
大分感情が高ぶっているのだろう。
氷属性が主体である妹の周りは冷気が漂い、足元は凍りついている。迂闊に近づくと耐性のない輩なら瞬く間に氷ってしまいかねないだろう。
「ウェンディ、姉は妹であるエンリの身を案じているのです」
だが妹の目の前の姉には意味を成さない。
冷気を上回る熱気でそれを無に還し、まるで窘めるように妹へ優しく言い聞かせている。
「もみじ姉様のそれはただ己の欲望を押し付けているだけではございませんか!!」
だが、それぐらいで引き下がる妹ではない。
私の姉妹は相手がクズでなければ恋愛は本人の自由だと思っている。
それも産みの親であるお袋様からそう育てられたから。
交際し、結婚すれば私達とふれ合う時間が減ってしまうのも確かだがその子の人生。
決して私達のわがままで無駄にしてはいけない。
それを分かっているからこそ、ウェンディももみじに食って掛かるのだ。
だけど・・・
「ウェンディ・・妹でも、もみじは姉。口の・・、聞き方」
「リィリィ姉様、今この場は礼儀作法の教育の場ではございません!」
「ウェンディもう一度しかいわない・・・口の、聞き方」
「ヒッ!?」
リィリィに睨まれてウェンディが顔を青くし私の後ろに逃げ込んできた。
はぁ、この子の豆腐メンタルはなんとかならないかしら?
いつも私の補佐というのをちゃんと自覚して強く出るのはいいけど、すぐ逃げてくるんだもの。
二人のレベルはそれぞれ、100と90。
たった10レベル。
されど10レベル。
ユグドラシルにおいて100レベルと90レベルの差は天と地に等しい。
加えてリィリィは魔導最強と名高いがんばるヤンデレ様の愛娘。その魔導を受け継いだ彼女は全姉妹の中でもキャサリンに続く実力者。
そんな姉に睨まれたらウェンディの豆腐メンタルじゃどうしようもないわね。
今だって生まれたての小鹿のように脚がガクガクしてる。
無理もないといえば無理もないがもう少し頑張ってくれないだろうか?
まぁ、そこは追々ね。
「ウェンディ。怖いなら下がってなさい」
「リィリィ。妹にそのような殺気を向けてはいけません。ウェンディは豆腐メンタルなんですから。ここは寛大な心でーーー」
「義母様がいない時のもみじ姉様に云われたくありません!!」
「あ゛?」
「ヒィッ!?」
だから止めなさいって。
内心溜め息をつきながら周囲を見渡す。
現在私達は二分して討論を繰り返している。
今この階層にいるのはもみじだけではない。
私、クロアを筆頭するギブ・ミーの一族から初め
ムササビの一族。
がんばるヤンデレ。
夜の幼女。
昼の幼女。
LOVE&デス。
オーオバー。
キャサリン。
お袋様に同行していたピオーネとモココも戻って来ており、エンリとネム以外、全ての姉妹が勢揃いしていた。
エンリの恋愛を認めるか、否か。
私達は互いに愛し合っている家族だがいくらなんでもこれはあれだ、束縛が過ぎる。
「貴女達、エンリは人形じゃないの。それは分かっているはずでしょ?」
「クロア!貴女は姉として可愛い妹がどこの骨とも分からない男と結ばれるのを良しとするのですか!?」
「そうだよ!私のかわいい妹が取られるなんてイヤ!」
この子達の気持ちも分かる。
短い間ながらも可愛がっていた妹が離れてしまうのが怖いのだ。
私だってそうだ。
だけどここは姉として気丈に振舞い、応援し、祝ってやるべきなのだ。
「エンリは嫁に行くつもりはなくて、相手に婿に来てもらうつもりだそうよ?」
だから私は姉としてこの子達を説得してみせる。
「それに義弟よ?義弟?私達妹はたくさんいても、弟なんて居なかったじゃない。かなり新鮮だと思うわよ?リィリィも想像してみないな。義姉さんと言いながらエンリについて相談してくる義弟。義姉さんである貴女の誕生日をエンリと一緒にお祝いしてくれる義弟君を・・・」
「い、いゃ。うん、エンリについて・・・頼られるのは。うん、吝かでは・・・」
「リィリィお姉ちゃん!?」
大丈夫。長い間この子達と姉妹してるから弱点なんて知り尽くしてる。
「それに大事な事を忘れてるわ」
みんな“チョロい”お姉ちゃんだってね。
新しい妹追加です!
ギブ・ミー様の五女。ウェンディちゃんです!
見た目の年齢は15才ウェーブの掛かったうす水色のショートかっとの女の子です。
種族はギブ・ミー様と同系統である妖精種。
蒼いミニスカウエディングドレスが特徴の豆腐メンタル(へたれ)な妹ちゃん。
設定上、ギブ・ミーの一族ではクロアの補佐ということでレベル90の猛者ですが豆腐メンタル(へたれ)です。