オーバーロード ー 死の女王 ー   作:溶き卵

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遅くなりました


ちょっとずつ

「なぁ、よもぎおねぇ!コレすごない!? めっちゃええ香りするんよ!!」

 

「あぁ、分かったからこれ以上お香を混ぜんな!さっきからごちゃまぜでなにがなんだか判んなくなってんだよ!」

 

 目の前でわたしヴィヴィと同じ階層守護者補佐であるケリュケイナが同じく守護者補佐であり姉のよもぎに絡んではしゃいでいる。

 視線を右にずらせば砂丘の上で末の妹達に弄ばれ宙を舞う馬。

 左にずらせば石で造られた四角錘の巨大構造物を背景にし優雅に各々冷たい飲み物で寛ぐ姉達。

 《地獄の万魔殿/ヘル・オブ・パンデモニウム》の第二階層《灼熱流砂》。

 長女の一人、獄炎の大蛇であるもみじが守護する階層で照り付ける太陽と幾つかの巨大構造物が存在し、あとは一面砂漠という空間。

 侵入者は容赦なく沈むことのない太陽と熱せられた大地と大気に体力を奪われ、安定しない足場での戦闘を余儀なくされる。

 空を飛べは突如砂嵐が襲いかかり、地上ではバジリスクやパラライズナーガ、スコーピオーネが絶え間無く攻め立て。

 セブンスチャイルドを除く我ら姉妹でも一番力が強く硬い物理特化であるインフェルノナーガのもみじが行く手を阻む。

 

 そんな普通の生物なら近付きたくもない階層だがそんな地獄にもオアシスがある。

 この階層にある巨大構造物の一つである三角錘、ピラミッドは3つあるが内一つは次の階層へのルート。

一つは姉の寝室。一際小さい最後の一つは末のアルーシャの為の物。頂上に寝台が安直されていて義母の曰くマヤ(?)のピラミッドに近い形だそう。

 マヤとはなにか解らないがその麓にはこの階層唯一のオアシスがある。

 このオアシスだけは外とは違い大分涼しく。木の日陰もあって冷たい湧き水でできた泉もあり比較的過ごしやすい。

 まぁ、それでもだいぶ暑い訳で。

 

「ウエンディ。またアツくなってきたよー」

 

「そんなに暑いならネムやディーネ御姉様達に混ざって泳いできたらどうですか!?ちょうどいい気温にするというのは貴女が思ってるより大変なのですよ!?私(わたくし)先程からMPポーションの飲み過ぎでお腹タプタプなのですが!?あぁ、貴女達はもう少し側に寄りなさい!雪女の貴女達は私から離れてしまえば死んでしまいますよ!」

 

 ンフィーレア君の顔合わせを終えた後、ウエンディの広域スキルで更に涼しくしてもらって現在、わたしことヴィヴィもこのオアシスで夕飯の予定で準備が整うまでお茶してます。

 

「え、いいの?アタシも混ざりたかったのよねぇ」

 

「グリジェンヌはこんな所で脱ごうとしないでくださいまし!セネラもお止めに‥‥エケラ?貴女何処へ?」

 

「混ザリタイカラ影デ着替エテクル」

 

「もう、勝手にしてください‥‥」

 

 なんで最上階層ではなくこの階層にいるのかというと叔父様のような身内兼最上位の方なら近衛、親衛隊も交えての歓待をするけどンフィーレア君は現在叔父様のお弟子さん扱い。わざわざ皆を集めて持て成していては此方が下ということになってしまう。なのでお義母さんが帰ってくるのに合わせて遊びにくるついでに弟子となったンフィーレア君を叔父様が紹介するという手順を踏んでいる。あ、あと姉リィリィのウエンディに対する罰もあります。

 過酷な環境の為まだ第一と最上階以外の階層に行った事のないエンリとネムを連れて行ってあげるという建前を付けたその罰は万魔殿で一二を争う環境であるこの階層において二人やディーネお義姉ちゃんみたいな存在が快適に過ごせるようにするというもの。

 いやぁ、リィリィお姉ちゃんも鬼だねぇ。最上位の氷妖精でもこの階層は地獄でしょ。本来ならえげつない勢いでHPが減るところをケリュケイナが掛けた持続回復魔法やバフで抑えて合間に回復してもらってる状態で広域スキルの凍土化の出力を抑えて常時発動。椅子に座って気丈に振る舞ってるけど足がスライムみたいにプルプルしてる。妹達もそうだけど給侍してくれてる自分の親衛隊のことも守るために必死に気温を保ってる。

 ほんとはわたしもなにかやってあげたいけどリィリィお姉ちゃんに手を出すなって釘を刺されてるんだよねぇ。ていうか他人に掛けれるような補助魔法持ってないし。ケリュケイナもそれを解ってるのかよもぎお姉ちゃんに絡みなからチラチラと気にしている。

 

 テーブルに突っ伏した彼女に大丈夫ですか姫様!?と離れて控えていた親衛隊兼専属侍女の雪女達を横目に我関せずと自分の親衛隊を引き連れてエケラとグリジェンヌの二人は着替える為に離れていった。っていうかネムってばお風呂入ったばっかりでしょうに。

 

「ねぇ、セネラはエンリとンフィーレア君のことどう思う?」

 

 グリジェンヌはLOVE&デスお義母さんの娘で守護者補佐。スキュラの彼女は魔物化したらおっかないけど人化している今の姿は茶髪おっとりしたお姉さん。例の如くLOVE&デスお義母さんの娘なのでかなり際どい服を着てるんだけどそれハイレグの水着にしか見えないだけどなぁ。

 セネラとエケラはそれぞれ昼の幼女お義母さんと夜幼女お義母さんの娘。

 エケラが黒髪に白のビキニアーマーであることに対してセネラが白髪に黒のビキニアーマー。

 容姿もそっくりで双子ではないのに双子にしか見えない二人。見分けるポイントは色とエケラがちょっとつり目でセネラがちょっとタレ目って所かな?

 その片割れであるセネラにンフィーレア君についてよもぎお義姉ちゃんに聞こえないように頬杖をつきながら小さく聞いてみた。

 

「んー?あたしはエンリがー泣いちゃわないならそれでいいよー?あの子は私達よりずっと長く一緒に居たんでしょー?離れ離れにしたら泣いちゃうと思うなー。」

 

「だよねぇ。わたし達がそうだったのになんでリィリィお姉ちゃんは気付かないんだろ」

 

「ていうかー、リィリィねぇの妹のヴィヴィがこっち側なんてねー」

 

「そっちって言うよりリィリィお姉ちゃん寄りの中立かな?わたしだってエンリ達が盗られるのは嫌だよ?けど、お母さん達みたいに戦いに出たりしないし好きなときに会える。それに仙女じゃないからエンリはわたし達より時間が限られているんだからせめて結婚ぐらいはさせてやりたいじゃん」

 

 お母さんは聖夜の大虐殺の最にはユグドラシルと大都市に蔓延る恋人達に嫉妬したから殺ったって言ってたけどギブ・ミーお義母さんの恋愛相談には良く乗ってたから恋愛には理解があるのは明らかだ。

 わたしがハッキリとリィリィお姉ちゃん側に付いていなかったのは多分お母さんの嫉妬の境界線を知ってたからだと思う。

 恋人達は羨ましい嫉妬する。

 けど恋愛に必死な人達にはいろいろお節介をやく。

 基本的にわたしは最上階層に居たからそんなお母さんからいろいろ聞けたんだろう。

 ほんとお母さんがいたら今頃リィリィお姉ちゃん頭冷やさせられてると思うよ。

 

「まーねー。結婚して落ち着いたらまた一緒に過ごせるのにねー。なんだったら三人に仙女と仙人になってもらってもいいのにねー」

 

「失礼します姉様方」

 

 そこへやってきたエンリ。

 傍らに連れている魔導術士の装備を着て身なりを整えたンフィーレア君の手には銀色のトレーがありその上にはンフィーレア君が作ったと思われるポーションと叔父様から貰ったと思われるMPポーションの小瓶。

 ウエンディも近く二人の気配を察していたのかいつの間にか姿勢を正して優雅にティーカップに注がれているMPポーションに口を付けている。

 

「おう、エンリ。どうした?兄貴達とはもう良いのか?」

 

「はい。姉様方を差し置いて私ばかり申し訳ありません」

 

「そんな気にせんでええで?ウチ等は姉なんやから妹ちゃんに先に譲ったるんは当たり前やさかい。あ、ンフィくんコレおおきにな。めっちゃええ香りやわぁ」

 

「大したモノでなく申し訳ありません」

 

「ンフィーレア。万魔の姫の一人であるケリュケイナが賛辞を送っているのです。素直に頂戴なさい。現に貴女の作品はとても良く出来ています。私達にとってお香や香水などは戦闘時における補助の道具としての認識しかありませんでした。それを純粋に香りだけを楽しむということも出来ると教えたのは貴方です。それを誇りなさい。統括のキャサリンも何だかんだで喜んでいましたよ」

 

「は、ハイ!ありがとうございます!!」

 

 勢い良く頭を下げたンフィーレア君を見ながらニヨニヨと口元を歪ませているウエンディに良かったねと想い人に微笑み掛ける妹と面白くないような表情でブスッとしているよもぎお義姉ちゃん。

 わたしとセネラ、ケリュケイナは互いに視線を合わせるとヤレヤレと肩を竦めて話題を変えてやることにした。

 

「それでー?そのポーションはどうしたのかなー?片方はMPポーションだけどー、もう片方はー?」

 

「初めて見る色のポーションだな」

 

 セネラが聞けばエンリは目を輝かせて青いポーションを手に取った。

 

「聞いてくださいセネラ姉様、よもぎお姉様!これはンフィーが作ったポーションなんですけど叔父様の鑑定で出来て一月程度なら第二位階の回復魔法の効能が持続されると太鼓判を押してくださったんです。姉様達からすれば第二位階程度かもしれませんが巷では第二位階でもかなりの効能として取引されます。普通の薬師ではせいぜい二週間が限度であとは劣化していくのですがンフィーはその倍!更に叔父様はンフィーにリーフお姉様やリースお姉様達のような生産職の方々の製法とはまた別のンフィー達薬師の製法での劣化しないポーションの精製の研究をお命じになられました。これは緊急時のポーション確保の為だそうでそのような大任をンフィーに任されでくださったんです!」

 

「お、おう。それはすげぇな」

 

 一息にンフィーレア君押しを薦める妹にその勢いにたじたじとなる姉。

 それにしても叔父様がそんな大任をンフィーレア君に任せるということは本当に緊急時。両陣営にあるポーションの材料が底を尽きかけた時ことの事を考えているのだろう。

 姉のリーフとリースも報告に上がってるンフィーレア君達薬師が使う薬草のリストと現物を見てまだポーションに使う素材が見つかってないと言ってたし、独自に精製するにも魔法による精製以外したことがないのでまだ着手前段階で止まっている。

 

「そうか。んで?どれくらいで完成する目星がついてんだ?」

 

「以前まではお店もありましたしお金を貯めるのを最優先にしていましたがコレからはカルネ村に居を移すので研究を重点的に出来るようになります。僕の意地に賭けて遅くても一年以内には必ず仕上げます」

 

「へぇ、大きく出たな。まぁ、今までガチで研究してなくてコレだからまぁそれくらいだろ。魔法に対して職人技で挑むんだ無理だけはすんなよ」

 

「はい。頑張ります!」

 

 ほな、倒れたらウチを呼んでな!と言うケリュケイナにお前は派遣組の介護があんだろとツッコミを入れた姉は話しはそれだけか?とンフィーレア君に聞いたら。

 

「あ、いえ。このポーションウエンディ様にと思いまして」

 

「は?」

 

「んー?」

 

「はい?」

 

「へ?」

 

「ほえ?」

 

 順番によもぎお義姉ちゃん、セネラ、ケリュケイナ、わたしと声を上げ。最後にウエンディが呆けた声を出した。

 

「えっと、今この場所が僕達でも問題なく居れるのがウエンディ様のおかげだと云うことをクロア様にお聞きしまして」

 

「ウエンディ姉様にお礼と気休め程度ですがよろしかったらと思いまして差し入れをお持ちしました!あ、此方のポーションは事情を話しましたら御母様から許可を頂いてリィリィ御姉様が用意してくださいました」

 

 多分そのポーションをンフィーレア君が渡す時リィリィお姉ちゃんの表情かなり歪んでたと思うなー。まぁ私達に分かる程度だけど。

 善意での申し出に本当のことを言えなかったんだろうね。この階層でのお茶会がウエンディへの罰だなんて。

 

「まぁ、本当ですか?私は貴女達の姉として、叔父様、お義兄様達がお過ごしになりやすいように当然の事をしているのですよ?」

 

「いえ、それでもお礼ぐらいはさせてください!」

 

 にこやかに謙遜する姉にポーションを手にキラキラと目を輝かせてお礼を言いながら迫る妹。

 仕方ない子ですね。とまだティーカップに半分残っているMPポーションを一気に飲み込んで空になったそれを妹に差し出す。

 それに気を良くした彼女はお注ぎしますね!と“HP”ポーション を注いでいく。

 この時のウエンディは悟りを開いたような表情だった。

 あぁ、ンフィーレア君のポーションの回復量はウエンディにとって気休めにもならないんだろなぁ。そして今欲しいのはMPポーションなんだろなぁ。

 注いでもらったポーションを一息で飲み干し、今度はMP ポーションを注いでもらってる姉妹の胃袋のキャパシティを心配しつつ。わたしも泳ごうかなと思い立ち自分の親衛隊であるハイエルフ達に自分の水着を取りに行くように頼んでいると。

 

「おー・・・・・・」

 

 いつの間にかウエンディの目の前に小さな女の子がいた。七つあるフサフサとした尻尾をゆらゆらと揺らしながら姉の持つティーカップを見つめている彼女。

 

「あら、マロン。ルーキたちとはもうよろしいのですか?」

 

 地獄の七姉妹最強戦力の一人。夜の幼女が産んだ強欲の大妖怪マロン。

 髪止めで狐耳の様に結われた狐色の髪とちょっとだけ生えている獣のお髭が可愛らしい私たちの妹は先程までルーキ達と馬をオモチャにして遊んでいたはずだが先に此方に離脱してきたようだ。

 

「ネェ!」

 

「ご、ご歓談中失礼します!申し訳ございませんウェンディ様!マロン様、ウェンディ様方はご歓談中でございます。そのように割り込んでしまっては!」

 

「構わねえよ。公式の場じゃねぇんだ。妹のやんちゃぐらい見逃してやれ」

 

「大丈夫ですよ。貴女達も妹のお世話大義です」

 

 そんな妹を追いかけて走ってきたのは二人の獣人。

 巫女服に身を包んだその二人はそれぞれ猫と犬の獣人でぶっちゃけ云えばレベルだけなら私達守護者補佐より高かったりする(二人とも神獣の獣人)。

 彼女達はマロンの親衛隊候補。

 最近は馬に面倒を見させていたのだがあまりのやんちゃ具合に憐れに思った私が義母さんに進言してあげた。

 親衛隊候補の二人を困らせるマロンのやんちゃに気にしてないという二人。ペコペコと頭を下げてハラハラとした表情のまま他の親衛隊達の列へと加わる様子を見て今度妹達にもう少し自分の親衛隊達を省みてやれと云おうかなと思ってしまう。

 ちなみに万魔殿で一番大変な護衛対象はやんちゃな末の妹六人で一番楽なのは末の眠り姫である。

 

「ネェネェ!」

 

「?マロンちゃんこれがほしいの?」

 

 エンリに向けて満面の笑みで手を伸ばすマロン。

 あちゃー、これはマロンの悪い癖欲しがりが出てきたな。

 HPポーションの空き瓶を渡すエンリ。

 受け取った彼女は笑顔でそれを上下にふったり傾けたりしているとあることに気付いたようで次第に涙目となっていった。

 

「・・・・ネェ、ない?」

 

「え?あ、ごめんねマロンちゃん。ンフィーが持ってきてくれてたのこれだけなの。そうだ!明日!明日持ってきてあげるから!ね?」

 

 そうは言ってあげているがマロンは今欲しいようでネェ、ネェ、と姉に向けて懇願している。

 これは流石に私やよもぎ義姉さんにセネラとケリュケイナもよろしくないと思ったので優しく注意しつつ別の事で注意を引こうとするが思ったよりも頑固にグズっている。

 エンリもほんとは取りに行ってやりたいがもう少しで夕食だし叔父様達がいるのに外出するのはよろしくないのだ。

 

「あ、それじゃマロン様。こういった物でしたら直ぐにできますよ?」

 

「んふぃ?」

 

「お気に召すかはわかりませんが一度その小瓶をお借りしてもいいですか?」

 

「あい」

 

 マロンから空き瓶を恭しく受け取った彼は懐から小さな小袋を取り出してその中身を少量空き瓶へと入れて次に他の侍女に頼んで水を注いで蓋をする。

 

「はい、完成しました。マロン様まずはこれを振ってみてください」

 

 その小瓶を再びマロンに渡す。

 その際中身が見えないように握らせた彼はにこやかな笑顔でそれを振るように促し、いわれた彼女は首を傾げた後に必死に振る。・・・可愛い。

 

「もういいですよ。もうぞご覧になってください」

 

「・・・・わぁ!」

 

 先程まで涙目だったマロンは途端に満面の笑みで感嘆の声を上げた。

 小瓶がキラキラとした輝きを放っていたのだ。

 正確に言えば小瓶の中の水中を舞うキラキラとした何か。

 この階層の天に輝く太陽の光を受けて色とりどりの輝きを見せるそれに私も思わず見入ってしまった。

 

「どうですか?お気に召しましたか?」

 

「・・・・あい」

 

「それは何よりです」

 

 にこやかな笑顔を浮かべるンフィーレア君と頬を染めてうっとりとそれを眺めるマロン。

 少しして何かに気付いた妹は小瓶とンフィーレア君を交互に見た後に顔を真っ赤にし、自分の顔をモフモフの尻尾で隠して姿を消してしまった。

 

「あれ?怒らせちゃったかな」

 

 たははと苦笑して頭を掻く彼を

 

 

「「「「「・・・・・・」」」」」

 

 私達は戦慄した表情で見つめていた。

 

 え、うそ?マロンが?惚れた?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・貴女達。どういう風の吹き回し」

 

 テーブルに着いて私は小さく溜め息を吐く。

 目の前には私に向かって頭を下げる長女達。

 義兄さん達は離れた三女の娘達のテーブルにお邪魔していて今はいない。

 

「母様。エンリの恋をお認めください。私達長女がンフィーレア・バレアレを将来的なエンリの婿と認め、母様もお認めになれば後の妹達も認めることになります」

 

「私は貴女達が認める理由が聞きたいの。言い方は悪いかもしれないけど貴女達の性格上ンフィーレアは認められるとは思わなかった。特に私の娘のもみじとヤンデレ姉様の娘であるリィリィは特に」

 

「・・・・クロアに、云われた」

 

「ギブ・ミー上母様は恋焦がれた人と結ばれない悲しみをクロアに話していました。上母様は一時期とても追い込まれていたようで荒れていたそうで、このままでは自ら命を絶たんばかりだったそうです」

 

 ちょっとまてなんの話だ?

 姉様が荒れていたのはわかる。

 姉様の想い人はユグドラシルにおけるワールドチャンピオンの一人。己の正義執行(笑)を掲げる聖騎士たっち・みー。

 姉様とはリアルで幼馴染みで長いことアタックしてそのことごとくを無に返してきた猛者。

 たっちさん絡みで私は散々被害を受けてきたからそこは分かる。

 けど自殺まで追い込まれていた?

 むしろストレス発散の為にログインして大量虐殺してきた他のプレイヤーにとっては傍迷惑な女だぞ?

 もしかして一人でプレイヤー軍勢に突貫するのがそう見えたのか?

 

「お袋様。御母様は私に想い人と想いが、親父様と結ばれた時。その喜びを私に伝えてくれました。私はそれがとても美しく見えた。その時の御母様の気持ちをもみじ達に教えたのですわ」

 

 そしてあのときの焦燥しきった母みたいにエンリにはなって欲しくない。

 

「といいますかぁ。お義母さま。ギブ・ミー義母様もそうなのですがなぜお義父様の存在をお隠しになっていたのですか?クロア達だけずるいですぅ」

 

「私達が義兄様から止められていたのよ。義兄様はアインズ・ウール・ゴウン最強の騎士、それもワールドチャンピオンという世界最強の一人。良くも悪くも有名なの。」

 

 ユグドラシル最凶にして最強女性ギルドの一角。

 聖夜の大虐殺を行った罪人達。

 私達のギルドはたくさんのプレイヤーを倒してきたし返り討ちにしてきた。

 だが女性ギルド最強の一角ではあるがユグドラシル最強ではない。

 対するアインズ・ウール・ゴウンは最盛期はランキング9位。ワールドチャンピオンを有する彼らはユグドラシ最強の一角と言っていいだろう。

 

「最強を落とすにはどうすればいいか分かるかしら?」

 

 私の問いに長女達は首を傾げる。がリィリィはあることに気付いたようで戦慄した表情で私の顔を見た。

 

「分散による各個撃破?わ、わたし達は格好の・・・エサ」

 

 その言葉に他の子達も表情を真っ青にした。

 

「私達が皆シスコンで親バカだなんて有名な話しだったからね。貴女達だけじゃなくて私達も格好のエサになり得たわ。最強も数の暴力には敵わない。義兄様を落とすなら親しい者をエサに誘い出して数で叩く。一番簡単な方法よ。だから私と兄様が兄妹だという情報もほとんど出回ってなかったの」

 

「けど義兄様も貴女達の事を陰ながら可愛がってくれてたわよ?貴女達の持ってる戦乙女を模したドレス。義兄様からの贈り物だから」

 

「「「!?」」」

 

 そんなの聞いてない!?驚愕の表情を浮かべる長女達。たっちさん私達の娘全員分のドレス大変だったでしょうに。わざわざありがとうございます。

 

「その話しは置いといて貴女達の言い分は分かったわ。ンフィーレアは義兄様みたいに相手の身内も気に掛けれる子だと思う。あの子が将来エンリの隣に立てるような男の子になったなら結婚を認めます」

 

 だから貴女達もあの二人の事を見るようになさい。

 

 そう言い残して私は夕食を用意している次女達の所へと様子を見るために転移した。

 あぁ~。また変な嘘ついちゃった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・アレ、お義父さまのプレゼントなんて聞いてない」

 

 私達長女が座るテーブルにはどんよりとした雰囲気が漂う。

 親父様の話題を出したディーネが頭を抱えてテーブルに突っ伏す。

 

「義父様。お顔を見せに来てくださらなかったのは私達を守る為だったのですね」

 

「云わないで。直系の私が一番凹んでるんだから・・・」

 

 親父様の真意に気づいてなかった私の精神的ダメージはなかなかの物。

 娘なのになぜ気付かなかった。

 なぜあのドレスも親父様が贈ってくれたのだと気付かなかった。

 気付く機会はいくらでもあったはずだ。

 お母様があのドレスを私に渡す時いつも以上に笑顔だったし、何度もあのドレスに着替がえさせられてニコニコと眺めていた。

 

「後で、あのドレス・・・着る」

 

「だな。守ってくれてた義父さんの為にも着てあげないとな」

 

 リィリィの言葉にピューレが同意して二人が立ち上がる。そこへもみじが一言呟いた。

 

「母様のあの様子。絶対バレてます・・・・」

 

 その言葉にリィリィとピューレがビクリと肩を震わせた。

 話が大分脱線したが今回長女反対組であるもみじ、リィリィ、ピューレが賛成に回ったのは私が教えてあげた可能性がとても魅力的だったからだ。

 

『もし、エンリが子供を産んだら私達もお母さんになれるかもしれないのよ?』

 

 私達娘は母親を見て育った。

 私達の母親は直系の娘はもちろん姉妹の娘。要するに姪も自分の娘のように扱うし自分の娘として接する。

 故に私達姉妹の誰かに子供が産まれれば必然的に全員の子供となるだろう。

 子供を抱っこできる。

 その魅力的な未来に反対組は即陥落。あまりに欲望に忠実すぎて思わず苦笑したがお袋様はそんな私達の欲望を見抜いていたようだ。

 

 貴女達もあの二人を見るようになさい。

 

 その言葉は私達に反省を促すには充分だった。

 反対組の三人はもちろんだが私もどこかあり得る未来に対する欲がでていた。

 このままでは親が帰って来たときに怒られてしまう。呆れられてしまう。失望されてしまう。

 その事が他の子達の脳裏に過ったのだろう。

 私達は互いに視線を合わせると同意するように頷き会う。

 

「とりあえず先ずは会話をして相手を知ることからはじめましょう」

 

「うん。晩御飯の時にそれとなく話を振ってみるの」

 

 もみじの提案にエリザが同意する。

 が先ずは。

 

 

 

「親父様のドレスに着替えてくるわ」

 

 




後はもう一度守護者補佐が出てくる話を書いて。
次の展開に

遅くてホントにすみません
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