頑張って更新じゃー!
ママ達が出立して数日。
わたしはここ最近日常化しているデスクワークを黙々とこなしていた。
もみじお姉ちゃんと最近は装備を変えて同行している
ディーネお姉ちゃんが持ち帰えるトカゲ達やオーク達の情報やシャルティアと一緒に行動しているエリザお姉ちゃんが武技の情報ついでに持ち帰る社会情勢など次々と上がってくる報告書を必要、不必要、わたしでは判断できないものと取捨選別し、纏めてナザリックいるアルベドとデミウルゴス宛に情報共有の為に報告書を送る。
また向こうから届けられる報告書に目を通してママに上奏する報告書を纏める。
「あの・・・キャサリン様」
無言で筆を走らせているとわたしの近衛の長である夜叉姫に声を掛けられた。
「ん~?どしたの~?」
筆を走らせたまま気の抜けた返事をしていると夜叉姫は私に飲み物を差し出しながら恐る恐る口を開く。
「そろそろ休憩をとられてはいかがでしょうか。ここ数日不眠不休ですので」
「いや、余裕だし。わたしがやらないと仕事が貯まっちゃうじゃない」
「あ、あの・・・守護者の姫様方からもキャサリン様を休ませるようにと言われまして」
「お姉ちゃん達から?もうお姉ちゃん達も過保護なんだから。わたしがこの程度で疲れるわけないのにね~」
「さもないとリィリィ様とクロア様が寝かし付けに来ると・・・」
「まさかの物理!?」
それ寝かし付けるじゃなくて昏倒させるだよね?
「仕方ないなぁ~」
椅子でストレッチをしながら小さく苦笑いを浮かべる。さて、休憩の前に軽く身体を動かそうか。最近は書類仕事ばっかりだったから。少し鈍ってるかもしれない。
セブンスチャイルドの妹達と鬼ごっこでもしてこようかな?多分瀕死になるけどまぁ、ダークマリア部隊のお姉ちゃん達がいるから大丈夫でしょ。
「アルーシャちゃん達にお姉ちゃんが一緒に遊ぼってって伝えてきてくれる?場所は第一階層ね」
「え?・・・正気ですか?」
「いや、云いたい事は分かるけど」
どう頑張ってもわたしがオモチャにされる未来しか見えないもんねぇ。
「たまには構ってあげないと。それにわたしも運動不足だし」
「・・・ケリュケイナ様にもお声をお掛けしてきます。どうか御武運を」
死地に向かう主に向ける眼差しをするシモベを送り出した後。ヤンチャな妹達と遊ぶ為に普段のゴスロリから対決戦仕様の神楽服に着替えて、宝剣アグニとルドラ、宝弓インドラに万鏡八咫鏡を装備。
更にはアクセサリーとして雷神の鼓と天女の羽衣、自動迎撃に霊鳥ヤタガラス。
即死した際に発動する蘇生アイテムと各種ポーションに護符。
これだけ準備してもあの子達の誰にも敵わないんだからほんと末恐ろしい妹だよねぇ。
まぁ、それだから次期七姉妹、次期女王なんだろうけど。
全力で遊べる相手が互いしかいないってのはやっぱりさみしいだろうし。
姉としてめいいっぱい遊んであげたい。
長女達も普段は本気で相手したら死んじゃうから!?なんて言ってるけど。
なんだかんだであの子達が気兼ねなく遊べるように自分達もわたしのように“マジ”で準備して遊んであげるのだ。
あ、流石に封印系や略奪、魅了、洗脳といったあの子達が持ってるユニークスキルは禁止させてるよ?
とまぁ、準備ができたので第一階層に行こうとしたとき遠見の鏡が目に入った。
「あ、そういえばそろそろママ達がエ・ランテルに着いた頃かな?」
ンフィーレアは今回の依頼が終わったら直ぐカルネ村に移住する準備を始めると言っていた。
どれ、ついでだし様子をみて、手が欲しそうだったら私の配下を送ってやろうかな?
そう思って鏡を起動させた。
「さーて、ンフィーレアはどこか。あ、ここか・・・え?」
ンフィーを追って鏡を操作し見つけた先にあったのは血にまみれた一室の光景。
伯父様達と同行していた人間の冒険者達は血溜まりに沈み、魔導詠唱者は部屋の隅で震えている。
ンフィーレアは見知らぬ老人に担がれていた。
「ちょ、なに!?どういうこと!?」
鏡詰め寄り声をあげる。
は?何が起こってる。
なんであの冒険者が殺されてる。
なんでンフィーレアが拐われそうになってる。
「護衛は!?護衛はなにしてんの!?」
叫ぶわたしを他所に見知らぬ老人とは別にもう一人戦士と思われる人間の女が部屋の隅で震えている魔導詠唱者に歩み寄っていく。
「おいバカ!そいつはママが!!」
叫びは虚しく執務室に響き渡り、ンフィーレアは二人に連れ去られた。
死体のみとなった部屋に事の次第を見届けたであろうシモベが姿を現すと用は済んだとばかりに再び姿を消した。
わたしはただ呆然とそれを見ているだけだった。
配下をンフィーレアに付けて数日後。血相を変えたキャサリンが第四階層にいる私のところにやってきた。
告げられたのはンフィーレアの誘拐。
私は頭の中が真っ白になった。
ンフィーレアが拐われる際に義母達と行動していた人間達も殺された。
私の配下はその光景をただ見ていて事が済んだらその場から姿を消したらしい。
その話しを私はただ呆然と聞いていた。
が、その時のその配下が私の背後に現れてご報告がありますと告げてきた。
刹那。
私はその配下を粉々まで切り裂いていた。
それは無意識の行動だった。
第四階層『暗黒教会』。暗闇に包まれた教会に断末魔が響き渡る。
キャサリンに止められたがもう遅い。
我に帰った私は顔を真っ青にしながらキャサリンに告げた。
「わ、ワタシガ、お、オかぁさんにちょ、くせつハナスカら。鏡でそのバショ、ミセテ。キャサリンは、ンフィーレア。サガシテ。速ク!」
普段見せない私の様子にキャサリンも顔を青くして頷くと直ぐに彼女の執務室へと向かい。
遠見の鏡で場所を確認すると《転移門/ゲート》を開き現場へ跳んだ。
私が《転移門/ゲート》を潜った先には4体の死体があった。
その死体は義母達と行動を共にした冒険者。
彼らは私に反応したのかゆっくりと起き上がると襲い掛かってきた。
「・・・・ゴメンナサイ」
一言そう呟き腰に提げている漆黒の剣の一振りに達はて首を断ち切る。
彼らは伯父様の名声を高める為に今後重宝される予定だった。
彼らは未だ情報の少ない私達に情報をもたらす存在だった。
彼らは結果論ではあるが妹の想い人の護衛であった。
まだまだ利用価値はあった。
その対価として彼らも名声を高められたはず。
なのに私の不手際で死なせてしまった。
大事な妹の想い人に被害が出てしまった。
頭に血があがって配下を勝手に殺してしまった。
万魔の女王達の娘として、姉の一人としてあり得ない失態。
このようなバカ娘など義母の娘として相応しくない。
義母に誠心誠意謝罪し命を絶たなければいけない。
あぁ、もしかしたら勘当されるかも。
せめて死ぬなら娘として死にたかった。
私は床に両膝をつき、義母が入ってくるであろう扉にむけてゆっくりと頭を下げた。
「は?ンフィーレアが拐われた?」
義妹の前で土下座して頭を下げているエケラは冷たい声を掛けられてビクリと体を震わせる。
「モウシワケ、アリマセン。ワタシ、フテギワ・・・デス」
リィジー・バレアレがいるにも関わらず姿を見せているエケラ。
何事かと聞けばンフィーレア君が拐われた。
そのそれを聞いた義妹の口からは冷たい声が出ていた。
「エンリノ、オモイビトヘノヒガイヲトメレマセンデシタ。オジサマノ、コマヲ、シナセテ
シマイマシタ。カッテニハイカヲコロシマシタ」
か細く、涙声で自分の失態を告げる姪の姿を見て思考がゆっくりと回転し出したのを感じた。
「イマスコシ。ジカンヲクダサイ。ンフィーレアヲキュウシツシマス」
そしてそのあと潔く自害します。
そう言った直後。義妹とヴィーことピオーネはエケラを抱き締めた。
「そんなこと言わないで。貴女が死んで私が喜ぶと思う?」
「親愛なるエケラが死んでは親愛なるお母様だけではなく私達皆が悲しむのですよ!?」
「デモ・・・ワタシ、ウアァァ」
「大丈夫・・・大丈夫」
義妹が胸に顔を埋めて泣く姪の頭を撫でながら泣きそうな声で慰めているのを横目に俺はリィジー・バレアレを廊下に連れ出す。
「リィジー・バレアレ。お前の孫は連れ去られた。私の姪が護衛を付けていたようだが。付けた護衛が思考能力に偏りがあるシモベ故本来の目的を遂行していなかったようだ」
「連れ去られた?孫に護衛?なんの話しじゃ。それにあの娘はなんじゃ?」
「話しは長くなるがお前の孫は私の弟子となり、妹の養女となったエンリ・エモットの想い人。あの娘はエンリの義理の姉だ」
俺は簡潔ながら説明した。
自分達は人間ではなく、異世界から来た存在で。
カルネ村が襲われ親をなくした万魔の女王の養女となった姪のこと。
その姪の為にンフィーレアを弟子という身内に組み込んだこと。
リィジー・バレアレが求める真なるポーションは今ここの技術では作れないがそれに類似するポーションの作成をンフィーレアの課題として命じていることなどだ。
「本来はお前にはこの事を明かすつもりはなかった。我々の情報を可能な限り広めたくはなかったからな」
「なるほど。ワシを殺してはエンリの嬢ちゃんの反感を買いかねないからの」
「これより私はンフィーレアを奪還しに動く。その後にンフィーレアには劣化しないポーションの研究のためカルネ村に移住してもらうことになる」
「・・・孫を助けてくれるのじゃな?」
「私の弟子だからな」
「そなた達のことは他言せぬ。必ず墓までもっていく。今後はそなた達に組し、ワシにできることがあればなんでもしよう。じゃから・・・」
リィジー・バレアレはその場に膝を付くとエケラのように深く頭を下げた。
「どうか孫を助けてくだされ」
「交渉成立だ」
「・・・ンフィーレアノ、オバアサマ」
視線を後ろに向ければ目を腫らしたエケラが義妹と共にいた。
「ゴメンナサイ。ンフィーレアヲ、守ッテアゲラレナカッタ」
「お話しは聞きましたよ。お嬢さんはお姫様なんですねぇ。あらあらこんなに目を腫らせて。せっかくの別嬪さんが台無しですわい」
リィジー・バレアレは小さく笑顔を作りながらエケラの瞼にポケットから取り出した塗り薬を優しく塗ってあげた。
「ババア特性の薬ですじゃ。半刻もすれば別嬪さんにもとどおりじゃよ」
「・・・ナンデ?」
「こんな可愛らしいお嬢さんに当たるほど落ちぶれてはおりませんよ。護衛を付けていただいてたそうで。孫に気を使ってくれてありがとうございます」
「デモ、守レテナイ」
「悪いのはお姫様じゃのうて、拐った奴らじゃて。それにたった今、モモン殿が助けてくださると言ってくださった。ならば安心ですじゃ」
嘘だ。今にも心配で押し潰されそうなのにエケラの為に無理をして笑顔を作って彼女を慰めている。
「ワタシモ手伝ウ。絶対ニツレテカエル。ダカラ待ッテテ」
「ならばババアは御言葉に甘えさせてもらいますよ。孫をどうかよろしくお願いいたします」
力強く頷くエケラにリィジー・バレアレはゆっくりと頭を下げた。
『義兄さん。キャサリンから連絡がきた。ンフィーレアは墓地にいる』
『・・・』
『義兄さん?』
『あぁ、直ぐに向かうぞ』
リィジー・バレアレと別れ俺は墓地へと足を向けた。
次も今月中に更新したいなー
今後もよろしくお願いします❗