義兄を取り戻す為に私は守護者を引き連れて森の中を歩く。
《第一階層守護者:クロア》
ドSな戦法を好んだギブ・ミーさんの娘。
蝶をモチーフとした昆虫種の蟲女王。
状態異常系統と鞭による攻撃を主とする。
《第二階層守護者:もみじ》
私、ムササビの娘。
火系統魔法、各種物理攻撃系統に特化したインフェルノナーガ
《第三階層守護者:エリザ》
七姉妹でもトリッキーな戦闘を得意とした双子の昼の幼女、夜の幼女の娘。
親に似てトリッキーながらも攻守共にバランスの取れた吸血鬼の幼女。
《第四階層守護者:リィリィ》
七姉妹最強の魔法詠唱者、がんばるヤンデレの愛娘。
親の使う魔法の八割を伝承した精霊種。
得意系統は呪殺。
《第五階層守護者:ピューレ》
七姉妹最年長、オーオバーの娘。
遠距離及び召喚した魔獣使役による攻撃を得意とするハルピュイア。
《第六階層守護者》
LOVE&デスの娘。
海竜種の為陸上での活動は彼女の寿命を縮めるので不参加。
《守護者統括:キャサリン》
七姉妹全員の手によって産まれた娘。
守護者最強の鬼神。大虐殺を好む趣向ながら思慮の深い少女。
どうやって育成したかは七姉妹でも思い出せないチート。
《セブンスチャイルド》
七人の赤ん坊。
七姉妹最強の切り札。
愛する娘達を引き連れて私は義兄さんを助ける為に動く。
本当なら全軍連れて行きたかったけど万魔殿の守りがなくなってしまうので泣く泣く他の子達は残してきた。
しかし、義兄さん達は1500の敵を撃退したこともあるという伝説を作ったギルド。そのギルドを占拠した敵は強大だ。もしかしたら義兄さんはもう既に殺されているかもしれない。
いや、そんな筈はない。私の義兄さんはアインズ・ウール・ゴウンのギルドマスターなのだ。支配者なのだ。
きっと今でも諦めずに必死の抵抗を続けている筈だ。
私達じゃ大した戦力にもならないかもしれないけど。いないよりはマシなはず。
「ねぇ、もみじ。本当に伯父様のギルドはお袋様の言う通り占拠されちゃてるのかしら?」
「クロア、母様の事を疑ってるのですか?ピューレがお連れになったセバス様が平原に一人でいた事がなによりの証拠。きっと今伯父様は母様の助けを待っている筈です!」
「まぁ、わたしはおかあさまに従うよ。もしほんとうにオジサマがピンチならたいへんだしね」
「エリザ、普通はセバス、さんに、確認をとるべき」
「だよなぁ。セブンスチャイルドも危機感なく眠ってるし。ベルなんて寝惚けてアタシの羽食べようとしてるし」
「はいベルちゃん、ピューレお姉ちゃんの羽食べちゃだめですよ~。私はエリザお姉ちゃんの意見に賛成かな。それにもしかしたら戦えるかもしれないし」
後ろでは娘達が何かを話しているが私は気にも止めずに歩みを進める。
この先、森を抜けた先、草原にあるナザリック地下大墳墓に義兄さんはいる。
『待ってて、いま助けに行くから』
そう、この森を抜けた先にーーーー
よう。ム、サ、サ、ビぃ・・・
“魔王”が待っていた。
ーーーーーーーーーーーー
「それでお前はナザリックが占拠されたと思って守護者ほぼ全員をつれてここまで来たと・・・」
「ハイ。おっしゃるとおりです」
現在私は一人、正座させられてます。
目の前にいるのはナザリック地下大墳墓の統治者にしてギルド、アインズ・ウール・ゴウンのギルドマスター。
アバター“ムササビ”の兄で。
私、“鈴木沙織”の義理の兄だ。
義兄さんはセバスの帰りがあまりにも遅いので配下である隠密、偵察に長けたエイトエッジアサシンを派遣。
そして見つけたのは私達。自分達の上司に匹敵する配下を引き連れて真っ直ぐナザリックを目指す私を見て至急上司に報告。
その上司から義兄さんに報告が上がって。特徴を聞いた義兄さんは直ぐに私だと断定。昔から暴走しだした私は何も聞こえなくなると知っているので直接《転移門》で出向いてきたそうです。
「モモンガ様、このアンデットは一体」
「後で紹介するが私の妹だ。アルベド、今はエイトエッジアサシンに周囲の探索をさせろ。この愚妹の姿を見た者がいるかもしれん。もしいたならば捕らえよ」
「へ?い、いも?か、畏まりました」
現在せめての情けとして娘達には席を外してもらっており、今この場には私と義兄さんと義兄さんの配下であるアルベドとよばれるサキュバスのみ。
けど、私には分かる。木々の木陰から私を見ている娘達がいる。
おろおろと戸惑っているもみじがいる。
恍惚な表情で私を見ているクロアがいる。流石ドSの娘。
ちなみにピューレにはセバスを義兄さんに返す為、万魔殿に飛んでもらってます。
「ムササビ。お前ならもう気づいているだろうがここは私達の知るユグドラシルではない。あの世界での強さの基準は当てはまらぬのだ。もしかしたらただの農民が私達と同等の100レベルかもしれない。この世界の一般兵の強さは私達など簡単に滅ぼせるかもしれないのだ。そんな未知の世界でまず私達のすることは分かるな?」
「はい。本拠地の隠蔽と警戒網、情報伝達網の確立。そして情報収集です」
「よろしい。《地獄の万魔殿》はもとより隠蔽機能が備わっているから問題はない。ムササビの事だ第一階層に第一から第四の守護者、守護者統括を置いて侵入直後から最大火力で迎え討つつもりだったのだろう。それも一つの戦略、及第点だ」
「あ、ありがとうございます」
ポンポンと私の取った行動を当てていく義兄さんに私は内心少し、いやかなり引きつつも評価してくれた彼に一応礼を言う。
「周辺調査は自分が最初に外の安全確認をし、一緒にいたハルピュイアの部隊にやらせたのだろう。機動力、探索能力に優れた者を使うのは基本だな。自分が最初に外に出たのは感心しないが娘を想うお前の性格は分かっているつもりだ。その事には目を閉じよう。NPCと思われるセバスを安全な自分の拠点に招いたのもよくやったといえる。お陰でセバスは五体満足なはずだ」
だが・・・
と、義兄さんが言葉を区切った瞬間、体から絶望のオーラが吹き出した。
「何をどう勘違いすればナザリックが占拠されたとなる!!」
「ご、ごめんなさい!!」
約2年ぶりに義兄さんの雷が落ちた瞬間だった。
「「ふぅ・・・」」
そして同時に鎮静化。
「地獄の七姉妹はお前の大事な家族で彼処で心配そうに見ているのは大事な娘なのだろう?お前が冷静でいなくてどうする?」
「はい、危うく愛する娘達を死地に送るところでした」
「それにナザリックの墓が暴かれることはない。なぜなら私がいるからだ」
そうだ。義兄さんがいるからアインズ・ウール・ゴウンは今まで存在していたんだ。大侵攻の立役者も義兄さんじゃないか。
私は何を疑ってたんだろう。
今までの自分を恥じる自分がいて。同時にその行動を振り返り落ち込む。
そんな私を見て義兄さんは云った。
それはムササビ。お前にも言える事だと。
「死の女王、妖艶の魔窟の主ムササビが健在ならば万魔殿が陥落することはない」
義兄さんの骨となった右手は私の頭を撫でていた。
「改めて、久しぶりだな我が妹よ。美しい死体であったその体が少し白骨化したのは残念だが相変わらず美しいままで私は安心した」
あぁ、こうやって撫でてくれたのは何年ぶりだろうか。
中学生以来だろうか。それとも小学生か。
リアルでは互いに社会人となり隣同士だが別々に暮らして、仕事の都合上、会う機会の殆どがユグドラシルの中だ。
ユグドラシルでは互いにギルドマスターとなり活動するも義兄妹で行動することはあまりなかった。
冒険なんて最初だけ。ある程度強くなったら互いに目指す姿を求めてソロプレイだ。けどもしかしたら・・・・
「兄様こそ、その禍々しきお姿に磨きがかかったようで妹である妾は鼻が高く思います」
もしかしたら昔みたいにまた一緒に冒険できるかな
『義兄さんなに今の!また厨二病発症しちゃった!?』
『沙織も発症してるから!ガッツリ発症しているから!!』
『『・・・プッ』』
アハハハハハハハーーー
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「さて先ずは先程、勝手ながらこの緊急時にナザリックを離れた事を詫びよう」
ナザリック地下大墳墓の玉座の間に集められた者達は騒然としていた。
先程まで私達の主モモンガ様が守護者統括のアルベドを伴ってナザリックの外に出ていたからだ。
彼女からモモンガ様が外に出ていた理由を聞こうとしたがモモンガ様ご本人の口からご説明があると云い理由を話さなかった。
そして今、モモンガ様からの口から説明されるのを待ちつつ視線をすこしだけ横にずらす。
おそらく傍らに控えているあのアンデットの娘が関係しているのは間違いない。そしてその娘の後ろに並ぶ三人の女性も関係者だろう。
「この度私がナザリックを離れたのは彼女達をを迎えに行くためだ。彼女は我々と同じくしてこの世界に飛ばされたのだ」
なんと、私達の他にも同じ境遇の者がいたのか。
「紹介しよう。ギルド“地獄の七姉妹”のギルドマスターこと《地獄の万魔殿》の女王、ムササビ」
私の妹だ。
少し短いですがご勘弁を
一話から続いて修正しました。
7月31日修正しました。