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支配者二人が玉座の間を離れて十数分後。配下達は己の持ち場に戻り、現在この場にいるのは守護者だけ。
「アレガモモンガサマノイモウトギミ。アニノモモンガサマトハマタチガッタソンザイカンダッタ」
第五階層守護者コキュートス。蟲王である彼は腕を組ながら先ほどの光景を思い出している。
「そう、ですね。御名前を明かされた際の覇気もすごいですけどその後のおかあさんみたいな雰囲気が一番印象に残ってます」
第六階層守護者。弟のマーレ・ベロ・フィオーレは頬を僅かに染めうっとりとした表情だ。
「モモンガ様に似て優しそうだったわよね。あー、不敬だと分かってるけどゆっくりお話ししてみたいなぁ」
私、アウラ・ベラ・フィオーラもムササビ様の女性としての在り方に憧れを抱いていた。
強く、優しい。そんなあのお方が女性としての在り方なのかもしれない。
「アウラ。物思いに耽るのもいいが、先ずは彼女達と親睦を深めるのが先ではないのかね?」
第七階層守護者デミウルゴスが三人の女性を連れてやってくる。
一人は鎧をボンテージのようなビキニアーマーを身に纏ったハルピュイア。現在は肩からバスローブを掛けて肌をできるだけ隠しており、僅かに頬が赤い。もしかして恥ずかしいの?
もう一人は見た目はあたしより若い幼女。死者の匂いと口から僅かに覗く牙からヴァンパイアだろう。あたしみたいに男装しているけどデカイ。服の上からでもわかるデカさ。あれCかDはあるよね?容姿とミスマッチなはずなのになんで違和感ないの?え、それ本物?
最後に守護者統轄であるゴスロリ少女。コイツはヤバい。何がヤバいかって、全く勝てるイメージがわかない。金髪のツインテールを揺らしながら歩く彼女の前髪から僅かに見える角から種族は鬼だというのは分かるけど肌で感じる強さは彼女をただの鬼ではないと告げている。武人であるコキュートスも僅かながら警戒していた。
「はじめまして~。地獄の万魔殿、守護者統轄のキャサリンです~。こっちが第五階層守護者のピューレお姉ちゃんで、こっちが三階層守護者のエリザお姉ちゃんです」
「ピューレだ。よろしく」
「えりざです。これでもキャサリンよりお姉ちゃんですよ?」
三人の自己紹介の後に私とマーレとコキュートスも自己紹介をして詳しい話をする前に親睦を深める為にアタシが進行になって話をすすめる。
「ムササビ様ってなんか強くて優しい雰囲気で理想の女性って感じよね」
「うん、おかあさん、本当にやさしいよ?今はいそがしいからむりだけど毎日お話ししてくれるし、誕生日にはドレスをくれるんだ」
「え?ムササビ様からドレスを頂くの?」
「アタシ達は創造主を母親だと教えられてるんだ。だけど私達は七姉妹全員親だと思ってるし、七姉妹はアタシ達全員を娘として扱ってくれてた。当然ドレスは毎年七着もらってたな」
「いい御母様ですね」
デミウルゴスが染々と頷く。
あたしはちょっと羨ましく感じてしまった。ぶくぶく茶釜様に創造していただいて守護者となり様々なモノを頂いた。もちろんドレスといった華やかなものもあるし、着ぐるみなんてものもある。ただ、ぶくぶく茶釜様が御隠れになってそういった事がなくなったからちょっとだけ羨ましかったのだ。
「まぁ、機会があったらアタシが義母さんに頼んでやるよ」
「へ?な、はにいってんのピューレ!?」
「ピューレ嬢、それはいささか不敬では?」
あたしはピューレの突然の申し出に耳を疑った。ピューレがムササビ様に頼む、ねだるという行為はあたし達でいう至高の方々にモノをねだるということ。
あたし達にとって不敬極まりない行為にデミウルゴスも同意する。
「娘のおねだりだぞ?不敬なもんか」
「それにママの趣味は裁縫だし、アウラちゃんみたいな娘のドレスなら喜んで作ってくれると思うよ?けど、お裁縫してるところ見たことないんだよねぇ。七女忠の天宮お姉ちゃんなら見たことあるんだろうけど」
ピューレとキャサリンの間でトントン拍子に進んでいくあたしのドレス制作計画。といってもつくるのはムササビ様だけど。
一度走り出したら止まらないと言わんばかりにお願いするタイミング、おねだりの際に持参する貢ぎ物などを二人は楽しそうに話している。
「よかったねお姉ちゃん。ボクもお姉ちゃんのドレス見てみたいな?」
「もう、からかわないでよマーレ。ほんとに恐れ多いんだからっ、てかウチの守護者と統轄はなにしてんのよ!!」
このままではあたしはデミウルゴスとマーレに弄られてしまう。そう思った私はこの場に集まっていないシャルティアとアルベドを探す。
ちなみに二人は直ぐに見つかった。
二人は謁見の際と全く同じ場所、同じ姿勢のままでその場にいた。とりあえずキャサリン達三人をマーレとコキュートスに任せてアタシとデミウルゴスはまずシャルティアに歩み寄った。
「シャルティア、アンタもさっさと来なさいよ!これから一緒にやってく仲なんだからもっと親睦を深めないといけないのはアンタでもわかるでしょ!?」
「い、いや。すこし、あとすこしだけ待ってほしいでありんす」
「なにかあったのかね?」
どことなしに様子がおかしいシャルティアにあたし達は首を傾げる。というかどこかデジャブ。
「モモンガ様とはまた違った気配とあの優しい雰囲気で下着が少々おかしい事に・・・・」
・・・・・・。
「アンタは見境無しか!?このニセチチビッチ!!」
「ご、ごめん。流石に今回はわたしも反省してる・・・」
「お嬢さん方。此方には気にせずマーレ達との会話を楽しんでくれたまえ」
デミウルゴスに隠して貰いつつあたしは本日二回目のキャラ崩壊した同僚に詰め寄る。
「ムササビ様はモモンガ様の妹様で女性よ!?なに考えてんの!?」
「いや、身体が思わず反応してしまって」
本当にこの死体愛好癖はなにを考えてるのか。確かにムササビ様もアンデットだけとモモンガ様みたいに完全な白骨化したアンデットではない。部分部分が白骨化しており、それすらも美の材料として調和されたお身体を持つ美しいアンデットなのだ。
あたしも見惚れたけどこいつはない。
「早くしなさいよね。しばらくはデミウルゴスが隠してくれてると思うから」
「無論、ナザリック地下大墳墓の守護者にあるまじき醜態。ムササビ様のお嬢様方にお見せするわけにはいきませんからね」
「め、面倒かけりんす」
とりあえずシャルティアはデミウルゴスに任せよう。次にアルベドだ。アイツがなんでその場で固まってるのか分からないけど。
「アルベド。アンタもなにしてーー」
「まさかモモンガ様に妹様がいようとは。万が一ムササビ様に嫌われるようなことがあったら私はモモンガ様と結ばれる事がなくなってしまう。ではどうするか、先ずはモモンガ様の妻にふさわしいように家事炊事の御披露目、次に良好な関係を保てるように早急にご趣味を調査して共通の話題の獲得。次に影ながらお仕事面でのサポート。モモンガ様と同じくしてギルド統轄の肩書きをお持ちなのだからきっとご多忙な筈。最後に御息女である配下達に気に入られるためにお菓子などを持参してのご挨拶。御息女達と仲良くなれれば必然的にムササビ様とも仲良くなれる。そしてそれを乗り越えた先にあるのは私を義姉として迎えてくださるムササビ様に、妻に見初めてくださったモモンガ様。子供の名前はムササビ様に付けていただきましょう。きっと可愛らしい名前になるわ。どんな名前になるかしら?ジェシカ?ジュリアン?ハムスケかしら?どっちにしろ可愛らしい子に育つ筈。・・・ハッ、結婚してもし仲が拗れたらどうなるのかしら。アルベドさん、ここに埃がまだ残ってますよ。申し訳ございませんムササビ様。アルベドさん兄様の法衣が汚れてます。こんな汚れたお召し物で配下の前に立てというのですか!?申し訳ございません!・・・アルベド義姉様私は長く生きました。七姉妹は貴女の娘であるハムスケに譲ります。ムササビ様・・・。アルベド義姉様、ハムスケを支えてください。私の娘達といっしょ、に・・・。ムササビさまぁ!!」
「なんかムササビ様が小姑になってるし!てか何殺してんの!?」
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「こほん。ナザリック地下大墳墓、守護者統轄のアルベドです」
「第一から第三者階層守護者、シャルティア・ブラッドフォールンでありんす」
やっとのことで始まった守護者連盟会議。挨拶をしていなかったアルベドとシャルティアの後に本題が始まる。
「現在ナザリックの周辺は以前あった沼地が草原となっています。そうねセバス」
「はい。半径1キロに、知的生命体の姿は認識できず。存在した小動物も戦闘力が皆無、人工的な明かりもありませんでした」
「こっちも同様ですね~。万魔殿の半径5キロをピューレお姉ちゃんの航空部隊で探索してもらいましたが万魔殿の周囲はただの森。動物の類いは戦闘力皆無の小動物。人工物は無しです」
「あぁ、幸いだったのはナザリックと万魔殿の距離が比較的近かったことぐらいか」
「次に両者ギルドの隠蔽状態ですが」
「万魔殿はもんだいないよ。よっぽどの探索魔法やスキルをつかわれないとわからない透明化のまほうがかかってるから」
「ナザリックは、これからボクがモモンガ様から許可を頂いた隠蔽工作を始めます」
互いに調査の進行度は同じぐらいで、拠点の隠蔽も問題無し。
「次に情報交換や連絡体制ですが。緊急時はモモンガ様とムササビ様、互いに《伝言・メッセージ》でやり取りしていただきます。これは互いに守護者統轄、私とキャサリンから御身に具申することとします」
「了解で~す」
キャサリンが笑顔で手を挙げる。
「じゃ、次は有事の際の連携だねぇ。基本的に互いの陣営になにかあったら可能な限り支援に入る。ウチからだと長距離移動の早い三層から五層の守護者。クロアお姉ちゃん、リィリィお姉ちゃん、ピューレお姉ちゃんの部隊が動くよ」
「軍事関連は私だね。我がナザリックからはシャルティア、アウラ、マーレが動く事にしよう。もちろん三人の機動力、実力は私が保証するよ」
次々と決まっていく議題。連係や連絡方法。その全てを一人でアルベド、デミウルゴスの二人を相手に対等に話すキャサリン。七姉妹側の守護者達は当たり前のような顔をしているがあたし達は正直驚きを隠せないでいた。
強いだけじゃない。頭もキレる。そんな存在があたし達の味方にいる。そう思えるだけで心強かった。
感想、おまちしてます。
一話に続いて修正しました