椚ヶ丘中学校は学園祭の真っ只中。
E組は出し物を終わり成功をクラスの全員で祝っていた。
そんな中ただ一人、イライラしている赤羽業がいた。
業をイライラさせているのは......。
今回のカル渚妄想記は秋ということで学園祭にしました。
原作の学園祭とは違います。
またカルマにたいして少し偏見的かもしれません。
その辺りを了承した上でお読みいただければ幸いです。
初めてのカルマだけの視点となっております。
よろしくお願いいたします。
いつも通り後日、ピクシブにも投稿予定です。
今日は
「よっ!ナギデレラおつかれ〜」
「ナギデレラ写真撮ろうよ」
「渚〜!ちょっとこっちきてきて!」
......気にくわない。
渚くんは
俺とは違って優しくてノリの良い性格。それが渚くんをクラスの中心にしているのも知ってる。
なのに、なのに、なのにっ!
あ〜!イライラする。
一年の時から同じクラスでお昼ご飯は一緒に食べる。帰りだって一緒。休みの日にはよく遊んでる。
俺は! お前らが知らない渚くんを俺は沢山知っている!
でも、でも、でもっ!
も〜!気にくわない。
俺の渚くんとあんなに近づいて、写真まで撮ってる。
渚くんの笑顔は俺だけの物なのに。渚くんもあんなに沢山の笑顔をバラまくことないじゃないか。
だいたい渚くんは『いい人』過ぎる。誰にでも優しくて、嫌なことを嫌と言えないところあるし。
だから今回だって女装してシンデレラをやったんだ。ほんとは嫌なくせにさ。
でもそれが渚くんの良いところなのも分かるよ。分かってるけど......。
はぁ〜。もう学園祭の出し物終わったんだから
俺とだけ写真を撮ったりすれば良いじゃんかよ。
ほんとは今すぐにでもあいつらから俺の渚くんを引き離して靴履いて外に出て二人だけになりたい。手を握りたい。抱きしめたい。
でも今日は......
「カルマくんほんとに平気?僕がみんなと仲良くしても怒らない?」
「うん!へいきへいき〜。今日だけだしみんなと楽しみなよ」
「ほんと!?ありがとうカルマくん!」
「ちょっ!そんな抱きつかなくても。てか渚くん、ここ学校だよ?」
「あっ!!!ご、ごめん」
って、約束しちゃったからな〜。
渚くんの前だとつい、
渚くん....俺、全然平気じゃないよ。早くこっちに来てーー
「カルマ....くん?寝ちゃったの?」
求めていた声がすぐそこから聞こえた。
「渚くん!?」
俺はうつぶせていた顔をすぐに上げてその声の元を確認した。
「わっ!ビックリした〜。....あ、カルマくん目のところ腕の跡がついて真っ赤だよ!」
「えっ?あ、ずっと机の上で寝てたからかな」
渚くん。座ってる俺に目線合わせて話すとか....反則すぎるっつーの。
天使のような渚くんに真正面から見つめられてさっきまでのイライラはどこかに消えた。
「渚くん!もういいの?」
「うん!待たせてごめんね!そうだ!学校見てまわーー」
「渚ー!一緒にどっか行かね〜?」
ッチ、また現れた。ほんと友達多すぎるんだよ。
「えっ?あっ!ご!ごめん!僕、今からカルマくんと見回る約束したんだ」
「なら一緒に行こうぜー!」
「えっ....。でもーー」
こうやって渚くんが目線を下にして言葉を選んでる時は、嫌って『言いたい時』。
嫌なら嫌って言えばいいのに....ほんと、焦れったいな〜。
だからこういう時は俺が、渚くんの口になってあげる。
「悪いけど俺、渚くんと二人だけで帰るからさ。他あたってくれる?」
「そ、そうか。分かった。じゃ、またな」
よし、やっと二人きりだ。
「カルマくん、ありがとう」
「別にいつものことじゃん」
俺からしたら「ありがとう」をすんなり言える方が不思議。
「カルマくん....あのさ」
「ん?」
渚くんはまた言葉を選び始めた。
ん〜。なんだろう....。多分だけどーー
「カルマくん、ほんとに帰っちゃうの?」
やっぱりね。
そんな間接的に言わないで「一緒に学校見回ろ!」
って言えば良いのに。俺が怒るとでも思ってんのかな〜。
だいたいさっきのは渚くんと二人きりになるための嘘に決まってんじゃん。
俺から視線を逸らして、怯えてるウサギみたいに返事を待っちゃって....
渚くんはほ〜んとイジメたくなるくらい可愛いんだから。
「え?渚くんは帰らないの?もう俺らの出番終わったし帰ろうよ」
ごめんね渚くん。さっきまで退屈だったんだから少しだけ遊ばせてよね。
「....う、うん。そうだよね。じゃ帰ろーー」
「渚くんさ!ほんとにそれで良いの!?」
「えっ!?ど、どういうこと?」
「だから、渚くんはほんとにそれで良いの?本音は違うんじゃないの?」
俺は椅子から立ち上がって渚くんの体を壁に追い込んで、両腕を檻のようにして逃げ道を塞いだ。
そして渚くんの心も、本音に近づけるように追い込んだ。渚くんはビックリしたみたいで、崩れるように教室の床に座った。
渚くん小ちゃいな〜。やっぱ上から見る方が良いや。
さっきみたく俺に目線を合わせてくる渚くんは犬みたいに可愛いけど、少し生意気だよ。
今度は、俺の番。
俺は檻を作ったまましゃがんで渚くんの目線に近づいた。
「ぼ、僕は....」
「ん?僕は?」
渚くん顔真っ赤じゃん。なに照れてんだろ。こういう風に追い込んだのは別に初めてじゃないのに。
「渚くん。本音を言ってみなよ。俺、怒らないから安心して」
「ちょっ、カルマくん!近いよ!」
あ〜渚くんの肌、相変わらず綺麗。息をかけるたびに「ピクピク」して面白い耳。
「早く言わないと耳、食べちゃうよ?」
「えっ!?待ってよ!待って!」
「うん!待つよ」
俺の目を見ないで床なんかを見て、まだ言葉を選んでる。
....でも渚くんの目は苦手っていうかその、ずっとは見てられないからこれはこれで助かるんだけど。
「ーー僕はほんとうは!」
「うん!」
「カルマくんと....」
「俺と?」
「二人きりで学校を見回りたいよ!となりを歩きたい!手をつなぎながら!まわりから見て幸せそうだな!って思われたい!帰りも一緒に帰ってそれからっーー」
「わ、わかった!わかったよ渚くん!大丈夫だよ!伝わったよ」
なっ! なんなんだよ渚くんは! なんで急にこんなに力強い目になってんの!?
そんな目で見つめられてこんなこと言わてたら俺でも恥ずかしいよ。
「へっ!?あっ////....ち!ちがうのカルマくん!いいい、今のはその〜」
「本音でしょ?俺もそう思ってた」
「ーーえ。カルマくんも?」
「うん。俺も渚くんと一緒に手を繋いでまわりに自慢しながら校内をまわりたい」
「あっ!じゃあなんでさっきは『帰るから』って言ったの?」
ほっぺをリスみたいに膨らませて迫ってきてほんと可愛いな〜。
あ、これ少し怒ってるのかな?もっと膨らませたらもっと可愛いんだろうな〜。
「そんなの嘘に決まってるじゃ〜ん。あれは渚くんと二人きりになるために言ったんだよ?あれ〜渚くんまさか信じてたの?」
「ーーカルマくん」
「ん〜?」
あれっ?ほっぺ縮んじゃった。おかしいな....。
俺の予想だと、ほっぺを風船みたいにして『もう!カルマくんのバカァ!』って花の
「僕、帰るから」
「ーーえ?」
渚くんが信じられない本音を言った。
「腕どかして」
「ま!待ってよ!渚くん!怒ってんの?ごめん!ほんとにごめん言いすぎたよ!冗談!全部じょう....ってなに笑ってんの?」
「だぁって。カルマくん焦ってんだもん!帰るなんて嘘に決まってるのにっ」
渚くんは口元を隠して声を出さないように笑っている。
それを見て俺は分かった。
渚くんは口で本音を言うことが苦手だけど、それよりも難しい行動で本音を言うことの方が得意なんだってこと。
渚くんは今、ほんとうに楽しいんだなって分かるくらい体全体で「楽しい」って言ってる。
なんだ....「本音を言ってみてどうだった?」ってちょっと指導しようと思ったけどそんな必要、ないね。
もしかしたら今までも渚くんは体で本音を言ってたのかもしれない。
言葉を選んでたあの仕草も、「嫌だ」って渚くんなりに言ってたんだ。
その
「....カルマくん?ど、どうかした?」
「いや、渚くんは凄いなって思ってさ」
「えっ。凄い?」
「うん。体で本音を言えるんだもん。凄いよ」
「体....で?えっ僕なんか変?」
「も〜そういうことじゃないよ。ちょっとその口は閉じてさ、こうやって会話しよ?」
「んんっ////」
柔らかくて温かい。水みたいにさらさらな唾液。ちっちゃい舌。
うん。こうやって会話できるのは俺だけだ。体では誰とも渚くんと会話させない。
〜終わり!?〜
〜おまけの時間〜
「カルマく〜ん!早く早く!」
「そんなに焦らなくても平気でしょー」
「違うんだよ!あと少しでここのクラスの劇始まっちゃうんだよ!」
「はいはーい」
もー。となりで歩くんじゃなかったのかよ。手を繋ぎながらさ。
小学生みたいにはしゃいじゃって....渚くん、楽しいんだね。
ん?チョコバナナか。
「カルマくん!はーやーくー!」
「渚くん!はいっ!一本あげる!チョコといちごミルク味があるんだけど、渚くんはいちごミルクね!」
「えっあ、ありがとう。これいつ買ったの?」
「今だよ。小腹空いたっしょ?」
「.....うん。どうして分かったの?」
「渚くんのことならなんでも分かるよ?だって俺は渚くんのーー」
「カルマくん早く〜!置いてくよ〜!」
「あっ!待ってよ渚くん!」
〜終わり〜
読んでいただきありがとうございました!
次回もよろしくお願い致します。