里を捨てた少年   作:落ち葉崩し

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第32話 里の長、里の民、里の忍

家に入ると風影を含めた4人がテーブルを囲んでいる。

 

「遅かったじゃないか、陽光、マツリもよく来たね。こっちに座りなさい」

 

風影に促され、席に座る2人。

 

「夜中から緊急の会談を行っていた。そして陽光、お前のことを全て話してきた。そして上層部はお前の処遇については私に一任してくれた。今までお前達があげた功績、そして普段からの人間性になんら問題はなく、砂の里のことを思っていることをみながわかっていた。だからこれからもすなのさとに好きなだけいるといいと決断が下された」

 

そういうと陽光の肩を後ろから叩く。

 

「お前は俺たちが守るって言っただろ?お前は俺の息子だ。血の繋がりなんて関係ないって言っただろ?」

 

そう言うと頭をくしゃっと撫でた。

 

「ありがとう、父ちゃん」

 

この時ナルトは初めて風影を父と呼ぶ。

 

「明日、砂漠の門にすべての民を集める。そこでお前のこと、木の葉のこと、そして昨日の事件についても全部話す。そして民に納得してもらえるよう私も全力を尽くす。だからお前らもそのために私に力を貸してくれ」

 

それに頷くと陽光はまわりを見渡しつぶやく。

 

「ありがとう、みんな」

 

その言葉にみんなはうなずき微笑む。

 

そしてこの日、明日のためにみんなで話し合うのだった。

 

 

・・・・・・・・・・・・

 

 

朝の放送で里の民、里の忍達は門の前に集まり時を待つ。

 

その時風影が姿を見せる。皆が風影の言葉を待つ。

 

「皆も少しは耳にしたかもしれないが、昨日我が息子、陽光が木の葉の忍と諍いを起こした。そしてその経緯、そして陽光の真実を民に聞いて欲しい。

 

 

風影の話を聞いた民の反応は驚愕、それとともに動揺を

見せる。

 

人柱力といえば我愛羅と同じであり、今でこそ里の忍として認められているが3〜4年前までは疎まれ、蔑まれ、嫌われている存在だったのだから。

 

「私からのお願いだ。陽光を、私の家族を認めてはもらえないだろうか。私は我愛羅を含め人柱力も人であり里の宝だと考えている。だから私は今までも、そしてこれからも砂の里の忍として、そして家族として守りたいと考えている。そしてこれからは里の民を守る存在として陽光の成長を願う。その陽光をこれからも里の民として歓迎し、その存在を認めてやってはもらえないだろうか?これまでたくさん傷ついてきた陽光を、私は見捨てることは出来ない」

 

風影は地に膝をつき頭を下げる。

 

「たのむ」

 

風影の隣では我愛羅、テマリ、カンクロウそして陽光も同じように頭を下げる。

 

観衆は静まり返る。

 

民は今までの陽光のと生活を振り返る。

 

『おばぁさん、重そうだな、俺が運ぶから案内してくれってばよ』『おはよう、今日も元気に学校行ってこいよ!』『おばちゃん、いつもの!大盛りで!』『おっちゃん、またなんかあったら手伝うからいつでもいうってばよ!』『泣いてちゃダメだぞ、ほら、これやるから食べて元気出せよ!』

 

民は見ていた。陽光のいつも優しい笑みを、誰かのために働く姿を。みんなを笑顔にする、その明るさを。

 

そしてその沈黙を破る者が現れる。

 

「頭を上げてくれ、風影様!」

 

観衆の中の1人が声を上げると、周りにそれは伝染する。

 

「そうだ、頭を上げてくれ」「みんなも、そんなに頭を下げることはない!」

 

そんな声が門の前に広がる。

 

そこに上忍の1人が前に出る。

 

「確かに俺たちは昔我愛羅の殺害を何度も実行しようとした。我々は間違っていた、そんなことをもう繰り返しはしません」

 

もう1人、民が一歩前に出る。

 

「私たちは、この2年半の間彼の姿をほぼ毎日見ていました。誰にでも優しく、礼儀正しい姿を。いつも頑張る姿を。いつも笑顔の彼を見続けてきたんだ」

 

「陽光は私たちの仲間です」

 

上忍が言うと民もそれに賛同する。

 

その声に陽光は頭を上げ周りを見渡す。皆が自分を認める世界、それはナルトが求めた世界。自分を受け入れてくれる世界。そんな眩しい世界が目の前にあった。

 

瞳からは涙が溢れる。もうそれを止めることは出来ない。

 

陽光の周りに子供たちが集まってくる。

 

「にいちゃん、泣かないで!」「いつも言ってたでしょ?笑えって」「だから陽光にいちゃんは笑ってて」「私たちも笑うから!」

 

陽光の前には笑顔の花が咲き乱れる。涙で景色がぼやけて見えるがナルトにはしっかりと見えていた。子供達の笑顔が。そしてナルトは涙を流しながら笑顔を見せる。

 

大人たちも周りに集まる。

 

「陽光、今まで頑張ってきたの知ってるからな!俺たちはお前の味方だ!」「またご飯食べにいらっしゃい、うんと美味しく作ってあげる」「だからあんたは笑ってなさい、この子たちにいつも教えてたんでしょう?」「お前はこの里の仲間だ」

 

 

風影達は遠目からその景色を見ていた。そしてそれは1時間以上続いたのだった。

 

 

 

落ち着きを取り戻した民の前で風影は礼を告げる。

 

「ありがとう、本当にありがとう」

 

と。

 

皆の前で次は立ったまま頭を下げる。

 

そして皆が帰ったあと、テマリ、カンクロウ、我愛羅はすべての家に礼を言って回ったという。

 

そしてこの日を境に陽光がマスクとカラコンをすることはなくなった。

 

そしてこの日より木の葉では九尾の話をするものはいなくなったという。

 

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