黒子のバスケ~ヒーロー~   作:k-son

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感性は人それぞれ

1回戦を勝利し、勢いに乗った誠凛。

 

続く2回戦、3回戦も勢いのまま撃破していた。

 

黒子と英雄を温存したまま。

 

その間はというと、

 

 

 

「暇だね~。」

 

「そうですね。なにも起きなかったら、このまま決まりでしょう。」

 

全く出番の無いまま、3回戦の第4クォーターを開始していた。

 

「う。ウクライナ。」

 

「なんですか、急に?」

 

「にわとり。」

 

「理由も無しにしりとり始めないでください。」

 

「いやいや。不思議としりとり成立してるよ?」

 

英雄が馬鹿なことをしていると、

 

「余計なことしてないで、試合に集中しなさい!」

 

怒られた、黒子を巻き込んで。

 

「いいかげん出してよ~。それに見てよ!テツなんか試合に出れないから、ずっとうずうずしてるし。はい、『し』。」

 

「もうええわ!」

 

「別に、単にうずうずしてるだけです。」

 

「なにその言い訳...。」

 

結局そのまま、何事も無く100点ゲームで誠凛が勝利した。

 

黒子は温存させる為、というのは分かるが、英雄は自分が試合に出ていないことの理由を尋ねると。

 

「何かみんなの調子が良くって忘れてたわ。」

 

と、一蹴。

 

 

 

 

4回戦。

 

 

 

黒子と火神は、相手チームと知り合いのようだった。ただ、相手の腰がかなり引けていた。

勝利の意欲が全く感じられなかった。

この試合は、黒子が試合に出ていたが、英雄の出番は第4クォーターのラスト2分だけだった。

 

「くっそ!なんでだ~!!」

 

2試合分の鬱憤を晴らそうと、ゾーンディフェンスは使わずコートを駆け巡っていた。が、気合が入りすぎて試合に関係ないことを叫び、ファールをもらっていた。

 

「あの馬鹿...。」

 

その情けない姿にリコは頭を抱える。

 

 

 

 

試合後...。

 

 

「何恥かいてんのよ!」

 

「いや~。面目ない...。つい。」

 

正座で説教を受けていた。

 

 

「それにしても、順調っすね。このまま決勝リーグに行けちゃうんじゃないですか?」

 

「「「はぁ~。」」」

 

福田の言葉に2年は一斉にため息をつく。

 

「東京の三大王者、秀徳・正邦・泉真館。毎年必ずこの3校が全国に行っている。そして予選トーナメント決勝に来るのは間違いなく、『キセキの世代』緑間真太郎が加入した秀徳高校だ。」

 

日向が東京地区の現状を説明した。

 

「三大王者ね...。」

 

火神が俯きながら、三大王者の実力について考えていた。

 

「あの~、そろそろ正座解いていいですか?足の感覚が無くなってきたんですけど...。」

 

「駄・目♪」

 

英雄が足をプルプルしていると、会場がざわめきだした。

 

 

 

オレンジのジャージ集団が会場に入る。

 

「まあ、実際に見るのが速いわね。今年は特に凄いらしいから...。」

 

『秀徳ー!!秀徳ー!!』

 

会場の応援と共に現れた、三大王者・秀徳高校。

 

 

 

火神がベンチから飛び出し緑間のところへ行き、何をするかと思えば、緑間の掌に自分の名前を書いていた。

 

「先輩達のリベンジの相手には、きっちり名前を覚えてもらわねーとな!」

 

緑間に挑発をするが、

 

「ずいぶん無謀なことを言うのだな。」

 

「なに!?」

 

「てか先輩達から何も聞いてねーの?去年、三大王者に全ての試合でトリプルスコアで負けてんだぜ?」

 

秀徳・高尾が口を挟む。1年はその言葉で不安気に2年達を見る。

 

「表面上の薄っぺらい情報だとそうなっちゃうね。」

 

英雄が誠凛1年に声をかける。

 

「彼我の差は圧倒的なのだよ。歴史は繰り返されるだけ...。」

 

「そんなことは無いと思います。やってみないと分からない。」

 

緑間の言葉に待ったをかける黒子。

 

「黒子...。やはり貴様は気に食わん。」

 

「いや~。キミが黒子?気にすんなよ、あいつツンデレだから。ホントは超気にしてんだぜ。ん?」

 

高尾が黒子に絡む。

 

「テツ~かっこいいぞ~。もっと言い返してやれ~」

 

「なぜに正座?」

 

正座中の英雄が声を張るが、その光景は無駄にシュールだった。

 

 

「じゃあ上で、観戦するわよ。」

 

コートから観客席に移動しようとする。

 

「ちょ!ちょっと待って!!足が...。」

 

長時間正座だった為、立てもしない英雄。

 

「何してんの!さっさとする!」

 

容赦無しに放置するリコ。

 

「マジで!?俺、そんな重罪!?誰か手伝って!本当に立てないんだって!」

 

「火神君お願い。」

 

「っち。しょうがねえな...。」

 

「ヒュー。火神君ってばかっこいい!」

 

「うるせえな。さっさと立て!」

 

無理やり立たそうするが、

 

「今、足にさわったアカンて!っちょっと聞いてる?」

 

火神は無視。

 

「マジでマジでマジで!」

 

結果、足に血が回るまで引きずられていた。

 

 

 

 

 

秀徳 対 錦佳

 

 

軽々と得点を重ねていく秀徳。

秀徳・大坪がインサイドで圧倒している。

 

「去年はアイツ1人でも手ごわかったんだけどな。」

 

日向がぼやく。

 

「去年までは、インサイドが強くて、アウトサイドが普通って感じだったんだけど。」

 

錦佳はインサイドを固めて失点を抑えようとするが、

 

緑間の超高弾道3Pが決まり相手に追い討ちをかける。

 

 

「前にも言いましたが、フォームを崩されなければ100%決めます。」

 

「「「....!」」」

 

皆が緑間の実力に絶句している中、

 

「ふぁ~あ。」

 

「英雄何だらけてんの!」

 

英雄がつまらなそうに、手すりに首を掛けていた。

 

「どうしたんですか?」

 

黒子も心配そうにみつめる。

 

「つまんねぇ~。」

 

「は?」

 

「お前、こんなプレー見てその反応はねえだろ。」

 

英雄の態度にメンバーは困惑する。

 

「確かにすげぇけど、心に響かない。シュートが決まろうが、全然どきどきしない...。」

 

「こいつ...。」

 

日向達は、呆れていた。

 

「...英雄君。僕はたまにキミを凄いと思います。」

 

黒子が、英雄に感想を言う。

 

「偶になんだ...。」

 

 

試合は、秀徳の圧倒的な勝利で終わった。

 

 

 

 

 

 

「え?もう一試合あんの?まじで?」

 

火神は完全に忘れていたが、実は今日2試合あるのだ。

確認の為、トーナメント表を確認する。そこで、最終日に三大王者、正邦・秀徳との2連戦が発覚した。

 

この境地に、むしろ闘志をもやす誠凛だった。

 

「よっしゃ!テンション上がってきた!練習してくるわ!」

 

「するな!休めよ!バスケ馬鹿か!?バスケ馬鹿神か!?」

 

 

なんだかんだで、火神と英雄の扱いは同列だった。

 

 

「17時からの試合は、英雄に任せるわ。」

 

「らじゃ~。」

 

「他のみんなは、様子見ながら交代させていくから。不味いと思ったら直ぐに言って。」

 

「了解。」

 

 

 

 

 

対 白稜高校

 

 

「さぁて、初スタメンですよ~。」

 

「今日は泣かねぇのか?」

 

「ほじくり返すなよ~馬鹿ガミ~。」

 

「んだと!お前に言われると余計腹立つ!」

 

試合直前にケンカを始める2人。

 

「うるさい!今日、2試合目なんだから無駄な体力使うな!」

 

 

 

 

誠凛スターター

PG伊月

SG日向

SF小金井

PF火神

C 英雄

 

 

 

「とゆーか英雄っセンターできんの?」

 

ベンチの土田が今更な質問をする。

 

「そういえば、本来のポジションってどこなんですか?」

 

黒子も興味ありげに便乗する。

 

「英雄には、そんなのないわ。」

 

「「「え?」」」

 

リコの返答に声を合わせて聞き返す。

 

「昔は...いや、なんでもない。英雄の順応性が単純に高いのよ。どんな突発的な状況でも着いていける。あ、これ英雄のスペック③ね。それにちゃんと練習もしてきたわ。要はオールラウンダーってこと。」

 

「とゆーか、その『英雄のスペック』ってまだあるの?」

 

「伊達に、『相田スポーツジム』のモルモット...じゃない。で、鍛えられてきた訳じゃないわよ!」

 

「「「...。」」」

 

不思議と英雄の好感度?が上昇した。本人の知らない内に...。

 

 

 

 

コートでは、1-3-1ゾーンが機能して順調な立ち上がりをしていた。

相手はそこそこの実力を持っていたが、高い跳躍を誇る火神、軟体動物・英雄、両名のインサイドを支配された。

 

「火神~。疲れたら交代してもいいよ~。」

 

相手センターのシュートコースを塞ぎ、シュートを落とさせる。

 

「うるせぇ!!」

 

火神は文句を言いながらリバウンドを奪う。

 

「火神!獲ったら前出せ!速攻だ!!」

 

伊月の一喝で、速攻が繋がり得点を追加する。

 

「プレーは凄いんだけど...。」

 

小金井は肩をすかす。

 

「お前ら、やかましいわ。だぁほ。」

 

日向に諌められる。

 

「「うぃーす。」」

 

 

 

相手のファールからのプレー。

 

伊月が小金井のスクリーンを利用して日向にパス。日向はそのままシュートに跳び、ブロックを引き付け英雄にパス。英雄はディフェンスを背負いながら、背中越しに走りこんでいる火神めがけて、片手のバウンドパス。火神はドンピシャのパスを受け、ワンハンドダンク。

 

「ナイッシュ火神~。」

 

英雄はハイタッチを求める。

 

「...っち。お前はなんか腹立つが、プレーは認めてやる。」

 

 

 

バッチン!!!

 

 

第2クォーター終了 54-21

 

 

 

後半に入り、メンバーの交代。

 

PG英雄

SG

SF小金井

PF土田

C水戸部

空きに黒子

 

 

ディフェンスをマンツーに変更し、試合再開。

 

 

白稜は、誠凛の交代に困惑する。調子のいい状態を態々崩すのか、もしくは舐められているのか。なぜ、先程までセンターしていた男がガードをしているのか。

その余裕を崩してやろうと、英雄に対してスティールを使用をした。

 

英雄は、レッグスルー1発で抜いた。あまりにも前傾でボールを獲りに来ていたからだ。

そのままドライブで侵入し、ヘルプの裏を突き、ノーマークの土田にパス。ゴール下からのシュートで確実に決めた。

 

白稜の攻撃は、黒子にパスカットされて再度誠凛の攻撃。

直ぐに走り出していた、英雄目がけて黒子のロングパス。英雄のアリウープが決まる。

 

 

白稜は完全にペースに巻き込まれていた。後半のシステム変更に惑わされて、英雄の長身PGに目を引かれ、黒子のミスディレクションに対応できないでいた。

 

誠凛はその後も交代を繰り返しながら、英雄以外のメンバーの疲労を計っていた。最初にゾーンで言ったのは、後半に伊月・日向を抜いた状態でピンチになっても、コートに戻せる体力を確保する為だった。

問題なく、時間は過ぎ、

 

 

111-59 で誠凛がまたもや100点ゲームで勝利した。

 

 

 

「いつにも増して食べますね。」

 

いつもの学校生活。

 

「むしろ、よくそれで足りんな?」

 

只今、昼食中

 

「火神君、黒子君、ちょっと手伝って欲しいから来て。」

 

教室の入り口から、荷物を抱えたリコが現れた。

 

 

 

「なんだかんだで、結構疲れてんですけど...鬼か!」

 

ダンボールに入った荷物を持たされていた。

 

「つか、英雄に頼めばいいじゃん。」

 

「もう無理よ。」

 

「無理?何が?」

 

言葉の意味がわからない。

 

「火神君あれ見てください。」

 

「ん?っげ。」

 

黒子の言う方に目を向ける。視線の先には、両手一杯に荷物を抱え、ショルダーバッグを2つクロスして肩に掛けた英雄の姿がそこにあった。

 

「...リ..コ..姉。肩から...先....感覚...なく...なって...」

 

なんか悲惨だった。

 

 

 

「カントク、あれ大丈夫なのか?つーかカントクは持たないのか?」

 

「気にしない気にしない。乙女に荷物もたすの?」

 

「は?自分で言ってて何も思..イデ!!」

 

リコの拳が火神にめり込む。

 

「いやいや、リコ姉は上手く攻めれば、乙女の顔が出て..ぐぇ。」

 

いつの間にやら復活していた英雄もリコの拳を受ける。

 

「つか、中身なんですか?」

 

話は、ダンボールの中身について

 

「去年と今年の試合のDVD。なんたって王者と2連戦だからね。分析しすぎ、なんてことはないわ。」

 

「ちなみにあっちは?」

 

火神は目線を英雄の荷物に向ける。

 

「あれは、備品....と私物。」

 

いったい何が入っているのだろうか

 

 

 

 

 

放課後、部の全員で正邦の試合を観ることに。

 

 

.......。

 

 

 

「分かってたことだけど、キビシーな。」

 

「スンマセン。凹んできました」

 

伊月・小金井が厳しい感想を言う。

 

「正邦、秀徳と10回やったら9回負けるは、でも1回を今回持ってくればいいのよ。」

 

「そーでもないでしょ~。」

 

リコの言葉を割る英雄。

 

「何?今は構ってあげられるほど余裕無いのよ。」

 

「違うよ。俺から見たら、正邦は6回、秀徳は5回は勝てるって言ってんの!」

 

「「「はぁ?」」」

 

英雄に唖然する一同。

 

「こいつら、古武術の動きすんだろ?」

 

「見ただけでなんで分かるんだ!?」

 

嘗て、敗北させられた相手を調べ上げて、手に入れた情報をあっさり見抜いた英雄に驚愕する日向。

 

「なんでって...こんくらい俺でもできるよ。」

 

「忘れてたわ!こいつ、古流柔術の師範代候補なのよ。」

 

リコは英雄の経歴を思い出し、皆に伝える。

 

「ホント、お前ってネタが尽きないな....。」

 

「お前、何モンだ?」

 

メンバーに奇異の目で見られる。気にせず話を続ける英雄。

 

「そうそう、俺は凄いんだよ~。で、正邦にも突くべき弱点はいくらでもある。たとえば、さっき言ってた凄い1年。こいつもその動きを練習したんだろうけど、たった数ヶ月で習得できるほど甘くない。軽くつつけば綻びが出てくる。それに俺相手に毎日練習してるんですから、正邦ごときの物まねなら突破できますよ。」

 

「この野郎。言い切りやがって...。」

 

日向がははっと笑いながら言う。

バスケ部は感じていた。この男が時折発する、言葉・雰囲気・オーラがなんと頼もしいことか。不思議とできそうな気がすると。

 

「なんでだろうなー。なんとかなりそうな気がしてきた...。」

 

小金井も不安で染まっていた顔が晴れやかになっていた。

 

「そうね。勝つための最善を尽くしましょう。ウチの馬鹿1号がこう言ってる訳だし、その非常識で捻じ曲げてもらいましょ。」

 

「全く褒められてる気がしないのは....何故?」

 

 

 

 

 

「と言うわけで、英雄が正邦の動きをまねするから。火神君が英雄と1 on 1をして。」

 

最後の練習を正邦対策に当てることになった。

2年は去年から研究しているが、1年は知らない為、火神・黒子をメインに慣らす。

 

「まあ本家は俺なんで。そこそこいけると思うよ。」

 

「ああ。たのむぜ」

 

正邦のスタイルをまね火神に迫る英雄。

 

「やっぱ、タイミングがとりづらい...。」

 

「試合では隙あらば、数人で囲んでくるから動きを止めたら駄目だよ。」

 

呼び動作がない動きは予測が困難となる。火神も同様にじわじわと追い込まれていく。

 

「火神は考えすぎないで、本能のままいけばいいんだよ。考え過ぎると...こう!」

 

英雄は攻めあぐねた火神のボールを弾いた。

 

「っくっそ。」

 

「はい次はテツね。」

 

「はい。お願いします。」

 

黒子には、スティールせずに動きを抑えにいく。

 

「テツは慣れてくれればそれでいいから。」

 

その後もレギュラー陣を相手にしながら、正邦の特徴を伝えていく英雄。

 

 

 

 

 

2時間後...。

 

オーバーワークを控え、速めに練習は終わった。英雄以外は...。

英雄のスタミナは既に周知のことなので、なにも言われない。

英雄はメンバーが帰っても残り、最後の調整に励んでいた。

 

「そろそろ、鍵しめるわよ。」

 

リコは残り、英雄の練習に付き合っていた。

 

「うい。じゃあラスト!」

 

両手でボールを叩きつけ、高く跳ね上がったボールを空中で掴みひとりアリウープのダンク。

 

 

ガッシャン

 

 

「うーん、いい感じ。」

 

休憩を一切していないのにもかかわらず、1人ご満悦。

 

「汗の処理をしっかりね。それにしてもなんとか間に合ったって感じね。」

 

リコがタオルを投げる。

 

「ありがと。そだね、やっとだよ。ここから、伸ばしていかないと。それに、俺の情報はほとんど漏れてないから、そこを活かしていかないと。」

 

英雄は汗を拭う。

 

「そうね。アンタが来てから約1年、結構長かったわね。足癖が悪くなっていたし。」

 

「足癖って...。まあ否定はしないよ。...リコ姉。」

 

「なに?」

 

「ありがとう。」

 

「はい?」

 

突然の『ありがとう』に?を浮かべるリコ。

 

「俺を引き戻してくれて。戻ってきて良かった。今大声で言える。戻って直ぐに全国レベルの相手とバスケができる、昔を思い出すと幸せだと思う。」

 

床に座り込み、目線を下にして話す。

 

「当たり前じゃない。私を誰だと思ってるのよ。それに、10年以上アンタを鍛えてるのよ。感謝してるなら応えてみせなさい。」

 

「ん。じゃあさ、『私を全国に連れてって』って言ってみて。」

 

いつものへらへらした表情ではなく、真顔で見つめてくる英雄。

 

「なにそれ。どこのドラマ。」

 

「い~じゃん。ほらほら、お願い~。」

 

直ぐに真顔を崩して、頭を下げてくる。

 

「...し..ぜ....つ..て。」

 

リコは抵抗を諦めて、俯きながら言葉にする。

 

「え?聞こえないんだけど?」

 

「しょうがないじゃない!これ結構恥ずかしいのよ!?」

 

「やるんだったら、ちゃんとやろうよ。」

 

「く、英雄に正論言われるとダメージでかいわね。...私を...全国に連れてって。」

 

リコは頬を少し染めながら、ぼそぼそと呟いた。

 

「やっぱ、リコ姉は乙女なんだよね。どうして皆分かんないか...な!」

 

リコの拳が横腹にめり込む。

 

「あんたって奴はぁー!」

 

「今のはほんの冗談だから!ちょっと落ち着いて!」

 

「問答無用ー!」

 

歩けない為、体を転がしながら逃げていく。

 

「連れてく!全国に連れてくから!勘弁して下さい!!つか、明日試合ー!」

 


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