場面が変わり、二人の少女達がひっしになって走っていた。二人の見た目的に姉妹なのだろう、何かに追われているかのか恐怖に震えながら森の中を走っていた。
二人のことを追っているのは鎧を身に着けた何処かの騎士だった。やがて少女達は騎士に追いつかれ恐怖によって動けなくなってしまった。
「チッ、ちょこまかと逃げやがって観念して殺されな」
そういうとまず騎士は二人の内幼い妹と思われる方に向かって剣を少女達に振りかざした。
「やめて!!」
しかし、騎士が剣を振るった瞬間、姉と思われる少女が妹を抱きしめ庇い、背中で騎士の剣を受けたのである。幸いにも庇ったことで剣の軌道がずれたのか即死にはいたらなかったが誰がどうみても重症と思われる傷を姉は負ってしまう。
「うぅ・・・!!」
「お姉ちゃん!!」
妹は涙を流しながら姉にしがみつき、心の中で必死に助けを祈った。
《お願いします!誰か私達を、お姉ちゃんを助けて!》
そして騎士が再び剣を少女達に振りかざそうとしたその時である。
少女達と騎士にすぐ近くの空間が歪みだし黒い闇を感じさせる空間が出現する。そしてその中から何かが出てこようとしていた。
「転移門(ゲート)」
男の声がその中から響いたかと思うと、そこから見ただけでも神器級と呼ばれそうな程豪華なマントや上着、装飾品を身につけ、奇妙な仮面を被った魔法使いにも見える男が現れた。
「心臓掌握<グラスブ・ハート>」
モモンガは相手の強さの確認もかねて1~10位階あるところの9位階の自分が得意とする死霊系魔法を唱えた。この呪文を選んだ理由は即死魔法であり例え耐えたとしても朦朧状態に出来る為である。
呪文が発動した瞬間、騎士の身体の中から破裂音が聞こえ騎士はその場で倒れ即死した。
騎士が死んだことでモモンガの警戒レベルは少し下がった。何故なら最初の一撃でどうにもならなければ少女達をつれて撤退しようと考えていたからだ。
「化・・化け物・・!!!」
先程殺した騎士の後ろから別の騎士が恐怖で身体を震わして倒れこんでいた。前の騎士が簡単に殺されたのを目撃し逃げ出そうとしたのだが腰が砕けて座り込んでしまったのだろう。
「女子供は追い回せるのに、毛色が変わった相手は無理か?」
モモンガがそう言った瞬間、座りこんでいた騎士の足元から人間なのか動物なのかアンデットなのか分からない、全てが混ざり合い見ているだけで気持ちが悪くなるような穴が現れ、騎士の身体はその穴に引きずりこまれようとしていた。
混沌の穴<カオス・ホール>
「な・・なんだこれは・・・!!ひっ!た・・たすけて・・・」
騎士の言葉も虚しく、騎士はそのまま引きずり込まれ、変わりに中からこれまた謎の仮面を被った20代くらいの人間の青年が現れた。そうこちらはタケである。モモンガと違い普段の姿は人間とそう変わらないので、一応仮面とオーラを抑える指輪のマジックアイテムをつけて出てきていた、服装は一応戦闘用執事服のデータを着ている。
《モモンガさん遅れてすみません、少し様子を伺っていました》
《いや大丈夫ですよ、良いタイミングでした、しかし何故仮面を?キメラのタケさんなら容姿はある程度自由に変えられるので付ける必要はなかったのでは?》
《うーん・・なんかしてた方がかっこいいかな?なんて。ほら・・・情報が漏れても嫌ですし・・》
《・・・・・確実に前者だよねタケ君》
《・・・う・・・・はい・・・ごめんなさい》
《いやいや別に怒ってないから大丈夫だよ、気にしないでね》
時々にモモンガがタメ口で話すのはタケを面倒見がいのある弟のようだと感じてるからなのだろうか?
そんなことは考えるのをやめモモンガは少女達に近づく。
「・・・・怪我をしているようだな」
そういうと懐から赤のポーションを突き出す。ユグドラシルでは最初にお世話になる下級治療薬だ。
「飲め」
「の、飲みます!だから妹には!」
「お姉ちゃん!」
今度は妹が姉を抱きしめ泣きながら庇おうとする。
《あれ~・・これじゃあ俺も悪者みたいになっちゃってるんですけど・・・》
このまま飲んでくれなければ姉の方の傷は広がり最悪死んでしまうかもしれない、どうするべきか・・・・
すると、モモンガ達の元に近づいてきたタケが言った。
「大丈夫それはポーションというもので治療薬なんだよ、この方は君を助けようとしているんだよ。」
タケの言葉を聞き姉は赤いポーションを受け取りそれを恐る恐る飲み干した。すると重症と思われていた背中の傷が綺麗に消え痛みも無くなったのである。
「うそ・・・・・あ、ありがとうございます!」
「お姉ちゃんを助けてくれてありがとうございます!!」
姉妹は涙を流しながら感謝する。
「痛みは無くなったな?」
「は、はい」
あの程度の傷ならこれで十分回復できると納得したモモンガは質問をする。
「お前達は魔法をしっているか?」
「は、はい、村に時々来る薬師の友人が魔法を使えます」
「そうか、なら話は早いな。私はマジック・キャスターなのだ」
するとモモンガは彼女達に守りの魔法を唱えた。姉妹の周りに光のドームが作られる。
「生物を通さない守りの魔法をかけてやった、それとこれをくれてやる」
モモンガはみすぼらしい角笛を放り投げた。
「それを吹けば、ゴブリン等の小さなモンスターの軍勢が現れお前の指示にしたがうはずだ、それを使って身を守るが良い」
一通り説明終わると同時にまた黒いゲートが現れそこから2人の女性が現れた。
「準備に時間がかり、申し訳ありませんでした」
「すぐさま、駆けつけることができず、申し訳ありません」
そう言うと黒いクローズド・ヘルムを身につけたアルベドとタケに似たような仮面と執事服を着たリンが頭を下げモモンガとタケの前で跪いていた。
「いや、実にいいタイミングだ二人とも」
《モモンガさんでは、さっきも言った通り僕も外ではモモンガさんの部下ということで対応していきますね》
《・・・分かりました、でもそれはあくまで表向きだけで実際は対等ですからね》
《了解です》
モモンガとタケの立場設定は上司と部下という関係ということを先程決めていた。
「それで・・・モ・・ご主人様、そこにいる下等生物はどうなさるのですか?」
とりあえず、どのような敵が潜んでいるかも分からない状況なのでここにいるメンバーにはまだ名前を伏せておくように伝えてある。
「うむ、傷を負っていたので治療を施したのだ、こいつらに手をだすことはするなよ」
「畏まりました」
「畏まりました」
アルベドとリンは返事をする。
「さて、では残りのやつらを片付けにいくとするか」
「では主様、ここは私にまかせてくれませんか?」
「ふむ、いいだろう」
《なにかあるんですかタケさん》
《はい、召還系スキル使ってみたくて良いですか?》
《それならかまいませんよ、ただし最高でも中位モンスターLVでお願いしますね》
《分かりました》
「混沌の者、召還」
タケがそうつぶやくとタケの足元の影が伸びて、やがてモンスターの形になっていくそこには190m程の黒いマントとシルクハットを被り、両手にはとても切れ味の良さそうな大型のナイフをもったノーフェイスのマネキンモンスターが現れた。
名前は混沌人形<カオス・ドール>、上位キメラ以上が使える召還系スキルで、LV40程のモンスターである。特に能力は無いが、すばやい動きとトリッキーな攻撃不気味な見た目で初見プレイヤーに恐怖を与えることが出来る割と優秀なモンスターである。
「カオス・ドールそこにある死体と同じ姿をした者を殺せ」
「ヒシシシシ・・・」
タケの言葉に頷くと、村に向かっていった。
《多分あれで余裕でしょうね》
《とりあえずは、ですね タケさん我々も村の方に向かいましょう、私がフライの呪文使うので空から見物しましょう》
《はーい、お願いします》
「では、我々も向かうとするか」
「待ってください!あの・・・助けてくださって本当にありがとうございました」
「ありがとうございます」
「気にするな」
「ありがとうございます・・・あの・・お名前は?」
《モモンガさん打ち合わせどおり!決めちゃってください》
《え・・・ええ・・》
やけにタケが機嫌が良かったが、気にせずに口を開く。
「・・・・我が名を知るがいい。我こそはアインズ・ウール・ゴウン」
「はい!アインズ様!そ・・そちらの方のお名前は?」
《ええええ考えてないよー・・モモンガさん助けてー》
《キメラだからキメとかで良いんじゃないですか?》
《・・・まぁモモンガさんがそう言うんなら・・了解です》
「私はキメという」
「はい!キメ様もありがとうございました!」
「構わない」
「さて用は済んだし行くぞフライ!」
4人はモモンガのフライの呪文で浮かび上がると村に向かって動き出した。
現在村に飛行呪文で向かっている途中。
「あとでナザリックのメンバーにも言うが、お前達二人には先に言っておくぞ、私はモモンガから名前を変え、アインズ・ウール・ゴウンと名乗ることにした、私を呼ぶときはアインズと呼ぶがいい、それとタケさんとの関係だがナザリック外では私の次の地位の部下ということにしている、そしてタケのことは外ではキメと呼べ。いいな」
「畏まりました、アインズ様、キメ様」
「畏まりました」
「了解です、アインズさん」
「シシシシシシシシシ」
気味の悪い笑い声と共に、村を襲っていた一人の騎士の胴体が横に真っ二つにされて絶命した。その他にも首を跳ねられて死んだ者、心臓を鎧ごと一突きされ死んだもの等まさに騎士達にとって地獄絵図と化していた。
混沌人形<カオス・ドール>はなんの躊躇いも感情も無く騎士たちを次々に殺していく。 顔が無く、人間ではない動き、気味の悪い笑い声の混沌人形をみて騎士たちのほとんどは殺される側になった恐怖と絶望でその場に力なく座り込んでしまっている。
「た・・たすけて・・・死にたくな・・ぐはぁ・・・」
「助けてください・・・ごめんなさい」
「許してください・・・・・・」
それぞれが最後のあがきで命乞いをする。すると。
「きさまら!あ・・・あの化け物を抑えよ!!」
この重々しい空気のなか割と大きな声を出した者がいた。彼の名はべリュースこの騎士達の隊長である。
「俺はこんな所で死んでいい人間じゃない!お前ら時間を稼げ!俺の盾になるんだぁ!!」
しかし、いくら待っても動く者などいなかった。そうこうしている内に、声に反応したのか混沌人形がベリュースに近づいていく。
「ひぃいいい!!」
「かね、かねをやる!金貨200枚、いや500枚だ!」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
それでも動く者など誰もいなかった。
「シィシシシシシシ」
混沌人形がまるで待ってましたといわんばかりに笑うと、ベリュースの右腕と左脚を大型ナイフで切断した。
「ぎゃああああああああ!!」
ベリュースの絶叫が周囲に響く。ベリュースは苦痛に耐えながらも残っている腕と脚を使い這いずりながら逃げようとした。
しかし混沌人形がそれを逃すはずも無く、今度は腹に向かってナイフを突き立てる。
「ぐふぅうううううう!!」
ベリュースの絶叫はさらに響く。
「たじゅ、たじゅけて・・・くだじゃい・・お願いじます・・なんでもします・・・」
混沌人形はその言葉も無視し何回も腹にナイフを突き刺し、最後のとどめにナイフを強くベリュースの心臓に突き立てた。
「ぐぅふうう・・」
やがてベリュースは力が抜け動かなくなり絶命したことが周りにも感じられた。
その時。
「そこまでだよ混沌人形停止しろ」
落ち着いた若い青年の声が響く、そのとたんさっきまで殺戮を行っていたモンスターがピタリと動きを止めたのである。
助かったのか?そんな期待をしながら生き残った騎士が固まっていると、上空から4人の人が降りてきた、恐らくは飛行呪文を使っていたのだろう。騎士たちは考えた。
すると騎士の中の一人が茂みの中から動き出した、どうやらモンスターを操っている4人の内の一人をしとめれば助かる可能性があるのではないか?と判断したらしい、隠れていた騎士は4人に向かって剣を振りかぶろうとした。・・・・・しかし騎士が振りかぶるよりも早く4人の内の仮面を着けた執事服の女が動いていた。一瞬だった、どこから出したのかも分からないがそこには黒い色をした剣を持っており騎士の身体を両断してしまったのだ。
そんな・・・ありえない、どこぞの貴族にでも使えていそうな女が鎧を身に着けた男の騎士を一撃で両断してしまったのであるから。それにあの黒い剣は彼女の腕の袖から出ているようにも見える。服の中に隠し持っていたとでも言うのか・・・・?
騎士が崩れ落ちた後、ローブを纏った男がしゃべりだした。
「はじめまして、諸君。私はアインズ・ウール・ゴウンという。投稿すれば命は保障しよう。しかしまだ刃向かうか、先程のようなことをしようと・・・・・」
即座に次々と剣が地面に投げ出された。
「ふっ、よほどお疲れの様子だな、しかし、この者達の主人たる私を前に図が高いな」
騎士達は、そのまま跪き、頭を垂れる。
「ふむ。では諸君には生きて帰ってもらう。そして諸君の飼い主に伝えろ」
「この辺りで騒ぎを起こすな!騒ぐなら今度は貴様らの国まで死を伝えに行くとな」
「行け!」
顎で促すと、騎士たちは一目散に走り出していった。
騎士がいなくなったのを確認すると、アインズは優しい口調で村人に話かけた。
「さて、君達はもう安全だ、安心して欲しい」
村長らしき人物が口を開いた。
「あ、あなた様は?・・・・」
「この村が襲われているのが見えてな、助けにきたのだ」
「おおお・・・」
あの後アインズさんは、村長に情報を提供してもらうことで、それを対価とし詳しく話を聞いているみたいだった。僕は見張りという形でリンと村の様子を見ている。アルベドは周囲を警戒しているようだ。
「そういえば、さっきはありがとねリン、騎士から守ってくれて」
「何を言いますかキメ様、私がキメ様を護衛することは当然のこと、感謝など勿体無いお言葉です」
「それでも、私は嬉しかったぞリン」
そういうと、リンの頭を優しく撫でる。リンの髪はとてもサラサラで撫でている僕も心地がよかった。
「うぅぅぅ」
「ん?どうしたリン」
「な、なんでもないです!はい!」
「そ、そうか、ならいいけど」
「うふふ」
よく分からないけど嫌がってないし、まぁいいだろう。
そう自己完結にまたリンのさわり心地の良い髪の毛をなでるのであった。
ガセフさんが来るとこまで行きたかったのですが、力尽きました。
のんびり行きます笑