篠ノ之家の猫はIS搭乗者(全話修正中)   作:たいお

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第43話 その瞳に映る者

 1人の少女は、朧な夢を見た。

 

 そこは少女にとって見覚えの無い光景であった。

 自分が住んでいた軍部内の施設とも、任務以外では滅多に足を運ばないドイツ首都の市街地でも無い場所。賑やかな都市部から離れ、徐々にビルの数が少なくなっている郊外の一道。まったく記憶に覚えの無い、未知の場所。

 

 その中で彼女は、1つの光景を見る。

 

 胸部から血を流している黒い猫。

 それを抱き抱えて、必死にその猫の名を呼ぶ1人の少女。

 周りに人は誰も居ない。張り裂けんばかりに発す彼女の声は、曇天より振る大粒の雨の中に掻き消えていく。そんな彼女の手から、猫のものと思わしき真っ赤な血が無情にも流れ落ちていって。

 

 夢を見ている少女は、その2つの存在に見覚えがあった。

 彼女たちは―――。

 

 

 

 

 

 瞬く間の白光が収まった時、少女の眼には新たな夢の姿が映し出される。

 

 木造の広い武道場の中に在る、2つの人姿。

 顔面部が格子型に組まれた頭巾状の防具に胸部から腹部・腋下にかけての保護具等を身体に施したその姿。少女の知識が、それは日本武道の1つである剣道で用いられる物であるということを引き出す。

 

 1人は竹刀を持ったままその場に佇んでおり、もう1人はその前で竹刀を手放して倒れている。まるで勝者と敗者の光景のようであると少女は思った。

 少女は倒れている者の防具の隙間から、涙が見えた気がした。

 

 そして勝者だと思われるもう1人の方を見てみると……まったく同じ物が、防具の奥で流れ落ちていた。

 

 

 

 

 

◇   ◇

 

「……ここ、は……?」

 

 おや、目が覚めたようだね。

 ベッドで横たわっている銀髪の女の子―――ラウラちゃんの意識が戻った事が分かった私は、彼女に声を掛ける。

 

≪ここは学園の医務室だよ≫

 

 彼女のベッドの傍に置かれてた椅子に乗っている私の声に反応し、ラウラちゃんは私の方を向く。

 いつもはつんけんした態度で目つきも鋭い子だが、今は激動の後の寝起きだからか眼力はいつもより弱弱しい。睨んでいるというよりは、寝覚めでぼんやりとした目を凝らそうとしているように私は感じた。

 

「……貴様は、テオとやら……だったか」

≪そうだよ。取り敢えず、眠る前に何があったのかは覚えているかい?≫

「…………」

 

 ラウラちゃんは私の言葉を聞き、思い返すそぶりを示し始める。

 十数秒の沈黙の後、彼女はポツリとその口を重々しく開いた。

 

「私は……タッグトーナメントで、織斑 一夏たちと戦っていた……しかし、その最中に見たことの無い表示が、突然目の前に現れて…………」

 

 そこで彼女は口を噤む。どうやらそこまでが彼女の記憶が存在している場所らしい。

 

 私は今回の事件の子細をラウラちゃんに話し始める。

 

 先ず今回の騒動の中心となった存在は、各国で開発・研究・使用が禁止とされている【VTシステム】である。これの内容についてはラウラちゃんも理解してくれていたようなので、私はすぐに話を進める。このシステムがどうやらラウラちゃんのIS【シュヴァルツェア・レーゲン】の機能部に隠すようにインストールされていたらしく、試合中にそれが発現してしまったのだ。本来であればVTシステムはある程度の条件を事前に設定してから、それらを満たして発動されるものなのだが、今回は予兆も無く起こってしまっている。その原因についても、既に詳細を把握済みである。

 

 デュノア社の名代として今トーナメントに来席した、シャル・ガールの義母―――マリーヌ・デュノアがVTシステムを強制的に発動させる機械を忍び持っていたようで、それを使って起動させたのだ。彼女はその後すぐにIS学園から逃亡しようとしていたが、私が千冬嬢に頼んでおいた、彼女への警戒網を担当する先生たちがそこで到着し、逃亡前に彼女を取り押さえることに成功したらしい。取り押さえる、と言ってもその時は彼女も逃げる気力を失っていたらしいけれど。

 

 そして、彼女の逃亡の手引きという名目でこの学園に侵入していた、【亡国機業】に所属する桃髪の美少女―――名は不明。

 彼女の関係者であるマリーヌ・デュノアが現在警察署に連行されている最中のため、彼女に関する詳しい内容はマリーヌ・デュノアからの証言を聞き取り終えた後になる。ただ、現場に来た先生たちが彼女たちの電話の内容を傍目で聞いた様子では、どうやら桃髪のお嬢さんは最初からマリーヌ・デュノアを切り捨てるつもりだったようである。

 で、私は脱出を目論むお嬢さんと対峙して、彼女の身柄を取り押さえることを目論んだのだけれど……恥ずかしながら、逃げられてしまった。

 お嬢さんは『隔離結界(イゾレーション・エリア)』という見たことも無いアイテムで私をバリアの中に封じ込めた後、そのまま私を置いて逃亡してしまったのだ。その際、彼女は監視カメラに自分の姿を映さない方法を取りつつ逃げていったのだが……この辺りの話は一先ず置いておくことにしようか。ちなみに私を閉じ込めていたバリアは10分程度で解除された。

 

 肝心のVTシステムについても、箒ちゃんと一夏少年とシャル・ガールの3人が頑張って解決してくれたらしい。鎮圧部隊として駆り出された先生たちが倒された後、彼女たちを救助しながら3人で協力してVTシステムに立ち向かい、見事討ち果たしてみせたそうだ。ラウラちゃんもこうして助けられ、1人も死者が出ない結果となった。

 今回の事件は重要機密事項として取り扱われることとなり、VTシステムに関しては機体の故障として生徒のお嬢ちゃんたちに伝えられる手筈となっている。

 

 事態を収拾してくれた3人をとても誇らしく思う反面、私はなんの役にも立てなかったことが悔やまれる。対応は遅い、犯人は取り逃がす、桃髪のお嬢さんが【亡国機業】の者である事と所持しているISの情報の一部しか得られていない。

 ……まったく、私がこんな体たらくでは若い子たちに示しがつかないね、ホント。

 

 と、最後は私の愚痴になってしまったけれど……この中から彼女に伝えても問題ない点だけ説明してあげた。正確に示すとVTシステムの件、マリーヌ・デュノアの件、箒ちゃん達の活躍の件である。

 

 私からの説明を聞き終えたラウラちゃんは、私に向けていた顔を逸らして天上へと仰向いた。天井を見つめるその表情は、まるでずっと先を見据えているかのような遠いものに感じられた。

 

「……私は、いいように支配されていたということか」

≪……≫

「情けない話だ……強者と張っていた私は呆気なくVTシステムに呑み込まれ、今まで格下に見ていた織斑 一夏や篠ノ之 箒は私を覆いしあの力を打ち破ってみせた……」

 

 ギュッ、と。シーツの端が一部内側に引き寄せられる。恐らくラウラちゃんがベッドの中でシーツを強く握ったからだろう。

 

「私が誇っていた力は、所詮は虚飾に過ぎなかったのか……?教官の為に心血を注いだこれまでの日々は、無意味だったのか……?」

 

 言葉が後になるにつれて震えを帯びていく。いつも淡々と発言を行っていた彼女が聞かせてくる、感情の籠った声が私の耳に届いてくる。

 そしてラウラちゃんは、一筋の涙を零した。

 

「私は……こんな無様な私は……どこに在れば良いというのだ……?」

 

 私は以前、千冬嬢からラウラちゃんの過去がどのようなものだったのか聞いたことがある。詳しくはまだ教えてもらっていないが、ラウラちゃんが嘗てドイツにて【超界の瞳(ヴォーダン・オージェ)】の手術の影響で地位を転落し、その後に来た千冬嬢の指導によって再び返り咲いたらしい。

 私はラウラちゃんのことをよく知らない。ただ、この場にて1つだけ分かることと言えば……ラウラちゃんにとって力とは、自分の居場所を得るために必要な物でもあったということ。軍人という身であるならば、それはまさしく必要に迫られた考えなのだろうね。

 

 だからこそ自分の持っている力が敢え無く屈された今回の事件は、彼女にとって堪える内容となったのだろう。先程の彼女の吐露は、そんな自分が弱く見えてしまったがために過去の落失を思い出し……といった所だろうか。

 

 だけど、嘆く必要など在りはしない。

 私はラウラちゃんに言葉を掛ける。

 

≪ラウラちゃん、身体は動かせそうかな?≫

「……身体?多少は痛むが……動けないという程でも、無い」

 

 私は彼女の言葉を聞いて、ニヤリと笑んでみせる。

 

≪それならちょっと、私に付き合ってみないかな?≫

 

 

 

――――――――――

 

「……どこまで連れて行くつもりだ?」

≪もうすぐで着くよ……ほら、ここだ≫

 

 身体に掛かる痛みの所為でいつもより遅い歩みとなっているラウラちゃんのペースに合わせて、私は学園内を進んでいった。

 保健室を出て廊下を歩き、部活動棟に入って中を行く。

 私がラウラちゃんを連れて到着した場所は、剣道部が練習で使用している剣道場である。

 

 私の後ろをついていたラウラちゃんも入り口前の表示板と内装をそれぞれ一瞥して、ここがどういう場所なのかを理解したようである。

 

「剣道場……ここに何かあるのか?」

≪うん、あの2人が此処で手合わせをするって言っててね……おっ、いたいた≫

 

 剣道場の中を覗き込んでみると、私が探していた子たちの姿があった。

 

「うおっ!?」

 

 女の子の声とは程遠い驚声を発しながら、相手の剣技によって後ろに引き飛ばされる1人の人物。この学園に於いて女の子の声じゃない人物となると、私と轡木殿以外ではただ1人。

 飛ばされた方の子は、尻餅をついてからそのまま床に座り込んだ状態で、着込んでいる剣道着の面のみを取り外す。面を外したその中には端正な顔立ちをした男の子の顔が。

 つまり、たった今やられていたのは一夏少年だ。

 

「ふぅ……前に試合した時よりも腕を上げたんじゃないか?箒」

「入学してからも鍛錬を怠っていないからな。そういうお前も……うん、まぁ、アレだ。入学当初よりは多少腕前が戻っていると思うぞ」

 

 一夏少年を倒してみせた子は、そう言いながら少年と同様に面を外す。一夏少年が既に名前を言ってしまったけれど、彼の相手をしていたのは箒ちゃんであった。

 

「おいおい、そこはせめて俺と同じで『お前も腕を上げたな』っていうとこだろ」

「いや、剣道の腕前に関してはどう考えても昔の方が出来上がっているからな……」

「何それ、今の俺は小学4年生の頃の俺より弱いって感じの流れ?まさかそんな……」

「……う、うむ」

「その微妙なリアクションは何!?」

 

 久しぶりに少年のツッコミを聞いた気がするけれど、やっぱりあの子は弄られ役が様になってるね。箒ちゃんもボケを言ったつもりではない筈なのに律儀にツッコミをしてくれる辺り、少年の芸人気質が垣間見えるよ。

 

「っていうか箒って二刀流なんて出来たのかよ。あの時の技見て初めて知ったぞ、俺」

「剣道では二刀流などしないから披露目の機会が無かったのもあるが、もし一夏が真似をして……型を崩してしまったら千冬さんに申し訳が無かったからな。我が家に伝わる篠ノ之流に二刀流の剣術もある以上、会得するのが引き継ぐ者の役目だろう?」

 

 そう言って箒ちゃんは、頭に巻いた白無地の手拭いを直し始める。

 ちなみに箒ちゃんの言葉を訂正しておくと、子供の頃の箒ちゃんが2刀流の事を一夏少年に隠していた本当の理由は別にあり、一時期一夏少年をライバル視していたあの子が自分だけの剣技を身に付けていたいから……というものである。微笑ましい。

 

「さて、どうする一夏。あんな事件の後だから長々と続けるつもりは無いのだろう?」

「そうだな。けど……折角だからもうちょっとだけ頼む」

「ふっ……お前の気が済むまで付き合ってやるとも」

 

 そうして一夏少年は立ち上がり、箒ちゃんも手拭いを巻き直すと、2人は面を被り直して剣道を再開し始めた。

 

「…………」

 

 その光景をジッと見ていたラウラちゃんが、ふと私に対して声を掛けてくる。

 

「あれはどういうことなんだ?」

≪ん?≫

「織斑 一夏の腕前だ。VTシステムに打ち勝ったと聞いていたのに、先程から押されっぱなしではないか」

≪あぁ、成程ね≫

 

 ラウラちゃんの疑問も尤もである。

 一夏少年がVTシステムの剣技に優ったという輝かしい活躍を聞いた後にこの劣勢を見せられては、本当に一夏少年が強いかどうか分からなくなってしまうだろう。

 

≪ぶっちゃけちゃうと、基本的な戦闘能力に関して言えば一夏少年はラウラちゃんよりも下だよ。武術の心得も君の方が実用的な物を習得しているだろうし、ISの知識についても君の方が圧倒的に理解出来ている≫

「ならば何故、奴はVTシステムを破ることが出来た?あれはモンド・グロッソでヴァルキリーの称号を獲得した者のデータを元にして作られた物だ、今の私ですら勝機は非常に薄いというのに……」

 

 私の視界の先では、箒ちゃんから胴を喰らって悶絶している一夏少年の姿がある。

 

 私は悶えている少年を見ながら、ラウラちゃんの言葉に答え出す。

 

≪あの子はね、ここ一番という時に滅法強くなれるんだよ≫

「ここ一番……?」

≪そう。自身にとって大切なものを守ろうと決めた時、あの子は私も驚かされる程の力を発揮するんだよ。まぁ……≫

 

 いつもの彼はまだまだあんな感じだけどね、と箒ちゃんに介抱されながら横腹を痛々しそうに擦る一夏少年を指しながら、私は口を添える。

 例を上げるとするならば、最初にセシリア姫と戦った時の一夏少年はもう一歩の所まで彼女を追い詰めてみせて、無人機襲来の折には敵機の片腕を綺麗に叩き斬ってみせている。どちらも詰めが甘いと言われれば否定出来ないのだが、ISの知識も操縦時間も素人並の彼があれ程の成果を挙げてみせたのは褒めていいと私は思っている。本人に言うと調子に乗るだろうから、私は言わないつもりだけど。パパは甘やかすだけじゃありませんよ?

 

 ラウラちゃんは私の言葉に小さく喉を鳴らしながら、首を僅かに横に動かす。その瞳に移している人物を一夏少年から箒ちゃんに変更した動作なのだろう。

 

「篠ノ之 箒も、奴と同じ特性を持っているのか?だから奴と同様にVTシステムの力を超えたということなのか?」

≪箒ちゃんはね……≫

 

 ほんの少し間を開けつつ、私は箒ちゃんの姿を視界に捉える。一夏少年を完全に防戦一方に持ち込ませ、優位に立ってみせている姿が其処にある。

 

 私はそんな箒ちゃんの姿が、伸び伸びと出来ているように感じられた。嘗ての光景と似通っていて、それでいて大きく違っているその姿を見ていると、私の心も穏やかな感情でいられた。

 

≪自分にとっての『力の在り方』を見つけられたから……かな≫

「……!」

 

 ラウラちゃんの表情が僅かに変化する。

 僅かに目が見開かれたその表情は、まるで探し物の手掛かりを見つけ出したかのような……いや、まさしくその通りの表情、と言うべきだろうね。

 

≪前にも屋上で似たような話をしたけれど、箒ちゃんは昔、私が傍から居なくなったことで家族も友人も近くに居ない1人ぼっちになってしまった時期があったんだ。その境遇に嘆き苦しんだ箒ちゃんは唯一残された剣道に執心し、いつしか日本国内の大会で優勝するする程に強くなってみせた。だけど……≫

「だが……なんだ?」

≪……決勝戦の相手が泣いている姿を見て、箒ちゃんは気付いてしまったんだ。自分が身に付けた剣道による力は、八つ当たりとも言える暴力となってしまっていたことに。それに気づいた箒ちゃんもまた、ショックで涙を流したんだ≫

「……っ、それは……!」

 

 私の話を聞いた直後、ラウラちゃんが突然動揺し始める。

 この子がここまで驚く様子は珍しい

 

「あの夢の光景、なのか?」

≪夢?≫

「……武道場と思われる場所で、お前が言ったような光景が見えた。その前には、お前と思われる黒猫が血を流しながら篠ノ之 箒らしき女に抱かれている雨中の光景が見えたのだ。以前、屋上でお前が言っていた話に通ずるものだったのだが」

 

 ラウラちゃんの発言を聞いた私も、流石にその内容には驚かざるを得なかった。

 彼女が見た夢の内容は、十中八九私たちの身に起こった過去の出来事の光景だ。他人の過去が夢という形で見えることは無いだろうと束ちゃんも言っていたため、ラウラちゃんが私の過去の出来事に関する夢を見たというのはとても稀有な現象であろう。

 ……これもISが何か干渉を起こしたのだろうか?

 

 奇妙な縁が気になる所ではあるけれど、取り敢えず話を進めることにしよう。

 

≪……話を進めようか。自分の力の正体を知ってしまった箒ちゃんは酷く悲しんでいたけれど、その直後に復帰した私があの子と再会して、2人で確りと話し合ったのさ。自分と、自分の持つ力がこの先どう在りたいのかってね≫

「話し合い……?そんなもので安易に決まる事柄なのか?」

≪自分の力が過ちだったことに気付けたのなら、歩みを変えることは簡単さ。後はその道を頑張って進んでいく、それこそが本当の始まりでもあるんだよ≫

「新たな、道……」

 

 ラウラちゃんは私の言葉を聞き、少し顔を俯ける。下を向くその顔の手前に、彼女は己の掌を翳してみせた。

 

「……それは、私にも見つけることが出来るのか?」

≪勿論出来るとも。それと、これは私の予想に過ぎないのだけれど……事件が起こる直前の試合で箒ちゃんと力を合わせようとしていた君の動きを見た感じだと、もう既に新しい道へ足を踏み出しているんじゃないかな?≫

「あっ……!」

 

 事件のショックで記憶から外れていたのかもしれない。ラウラちゃんは当時を思い出して僅かな声を上げた。

 やはりラウラちゃんはあの試合で何かを見つけ出そうとしていたのか。その前の試合で予兆のような言動を見せ、その後の一夏少年たちとの試合での動きが箒ちゃんに協力するそぶりが強かったのはそういうことか。

 

 ともあれ、それを聞いて安心したよ。この様子なら、ラウラちゃんもすぐに歩き直していける筈だ。

 

「……1つ聞きたい。あいつの……篠ノ之 箒にとって、力とは何だ?」

≪ふむ、そうだね……本人から直接聞いてもいいと思うけど、まぁ私の口から言わせてもらうとしようか≫

 

 私はその場で踵を返し、未だに試合を行っている箒ちゃんたちに背を向けながら口を開く。

 

≪『己の信念を果たす為の術』。誰かを守りたい時、役に立ちたい時、一緒に並んで戦いたい時……自分が心に決めたことを貫き通す為に、あの子はこれからも強くなっていくよ。一夏少年たちと一緒に……ね≫

 

 私はそう言い告げると、その場をテクテクと去り出す。その道すがら、私は後ろを振り返ってみる。

 本当はラウラちゃんに戻るかどうかを問おうかと思っていたんだけどね。……あんなに食い入るように箒ちゃんたちの試合を見始めてしまったのなら、聞く意味は無いよね。

 

『何はともあれ、これからは私も存分に手を貸してあげるよ……ラウラちゃん』

 

 私は彼女に聞こえるかどうか分からない声量でそう呟き、その場を再び歩き出す。

 

 

 

―――続く―――

 




 そんな事より、初期に意気込んでたギャグパートが最近全く書けていないのが危惧すべき事態。

ラウラ「くたばれ」
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