篠ノ之家の猫はIS搭乗者(全話修正中)   作:たいお

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モールでショッピング!

 週末の日曜日。

 雲一つない快晴が空に示されており、早朝の天気予報でも終日晴れだと予報士が告げていた。空のずっと向こうにすら雲が浮かんでいない事を見る限り、今日の予報は当たりの様である。

 ともあれ、晴れてくれるのは非常に嬉しい。何せ今日は以前ラウラちゃんと約束していた買い物の日なのだ。

 

 駅前のスペースにて、今日のメンバーが集まっている。

 私、箒ちゃん、シャル・ガール、ラウラちゃんの計4名だ。

 

「うーん、いい天気だね」

「絶好の外出日和、という奴だな」

「……随分と周囲から注目されているな」

「まぁ、IS学園の制服を着てたら仕方ないと思うけどね」

 

 苦笑気味にそう言うシャル・ガールの言う通り、此処にいるメンバーは全員IS学園の制服を着用している。

 箒ちゃんやシャル・ガールは当然私服を持っているのだが、生憎ラウラちゃんだけがその手の服を持っていない。そんな彼女を差し置いて、自分たちだけ私服を着てラウラちゃんにだけ制服の格好をさせるのは流石に心許ないという事で、制服でお揃いにする事になったのだ。

 IS学園は今や各地の有名校をも上回るほどの知名度とブランド性を得ている。一度制服で街に赴けば、モデルにも引けを取らない位に視線を集めてしまうほどである。……尤も、この子たちが注目を浴びているのは制服以外の理由もあると思うけれどね。

 

「ねぇあの子たち……すっごく可愛くない?」

「可愛い。銀髪の子ペロペロしたい」

「っべーわ。マジっべーわ」

「ところであの子たちを見てくれ、あの子たちをどう思う?」

「すごく……美少女です……」

 

 道往く人たちが箒ちゃん達の方を見ながら小声で呟きを漏らしていく。殆どの人たちがこの子たちの容貌に見惚れたような印象を感じる。

 

 今回街に買い物に来た目的は2つ。

 来週から始まる臨海学校に向けての準備と、ラウラちゃんの私服の調達である。

 前者については、以前話したと思うが宿泊に必要となる物や1日目の自由時間で着用する水着の購入が主な目的である。特に箒ちゃんやシャル・ガールは一夏少年を見惚れさせるための勝負水着を選定しなくてはならないので、中々に重要な場面だ。

 シャル・ガールは一夏少年に水着を選んで欲しいと発言していたが、ルームメイトのラウラちゃんの服選びも捨てがたいという事で、水着は当日にお披露目しようという話で落ち着いた。

 

「ラウラの私服かぁ……どんなのが似合うかな?」

 

 というかこの子、このメンバーの中で一番ラウラちゃんの服選びにノリノリである。

 

 私たち一行は会話を織り交ぜながら移動し、本日の目的地であるショッピングモール『レゾナンス』へと赴く。

 駅と併合して建てられているこの場所は電車、バスなどの交通機関の中心として各市からアクセス可能で、衣料品に食料品にレジャー、嗜好品等々ほぼ全てのジャンルの店舗が存在している、言わば万能施設だ。その日の買い物がこの場所で終了してしまうラインナップで、市民曰く『ここに欲しいもの無ければ諦めなヨ』とかなんとか。

 また、基本的にお店というのはペットの連れ込みは禁止されている事が多いのだが、ここは一部のエリア以外は飼い主同伴を条件としながらも私のような猫でも入ってオーケーなのだそうだ。私だけ買い物に仲間外れにされるなんて、泣けるものね。

 

 私たちがまず最初に訪れたのは、2階にあるレディース専門店。カジュアル系やガーリー系のファッションブランドを中心に置いた衣料店で、若い女性層から大きな支持を得ているチェーン店らしい。値段も学生のお小遣いで届くレベルの服が充実しているため、この系列の店で私服を買っているIS学園の子も多いのだとか。

 ちなみにこの情報はシャル・ガールがクラスメイトの子から教えてもらったものである。私は今までこの子たちくらいの年頃の女の子と交流する機会が無かったし、ラウラちゃんは言わずもがな。箒ちゃんも常に流行に乗っかれているとは言い難い和人で、シャル・ガールは日本に来て日が浅い為に土地勘がまだ身に着いていない。今思うと、この辺りに詳しい子を誘うべきだったんじゃ……。

 

 一同は店の中に足を入れると、早速とばかりに行動を開始する。

 

「では、ラウラの服を選んでいくとしようか」

「ねぇラウラ、ラウラはどんな服が好み?気になる物とかある?」

「好み、と言われてもな……」

 

 シャル・ガールから話を振られ、口元に手を当てながら悩むラウラちゃん。これまでずっと軍人として過ごしてきたこの子にとっては中々に難しい質問なのかもしれないが、やはり本人の意見というのも大事だからね。

 

「ふむ……下はこういったのが好ましいな」

 

 そう言ってラウラちゃんは近くにあった黒のデニムジーンズを手に取る。

 

「上は……あれがまだマシだな」

 

 指を指すその先には、春物の売れ残りセールとして出されている厚めの上着が多数置かれていた。ザッと見る限りでは大人の女性が着るようなスマートなジャケット類が主となっている。

 ヒラヒラ系の服を選ぼうとしなかった辺り、ラウラちゃんらしいというか何と言うか……。

 

「異議あり!!」

 

 突然、シャル・ガールが挙手をしながら名乗り上げてきた。裁判かな?

 

「ラウラのチョイスが明らかに保守に回っています、なので此処は普段では着ないであろうスカートを穿くべきだと思います!むしろ穿こうラウラ!」

「あ、あんなヒラヒラした物をか!?わ、私はそういった物よりも軍服と着心地が似通っている装束の方が――」

「異議あり!!」

「うぇっ!?」

 

 ラウラちゃんの反論を問答無用で押しのけるシャル・ガール。凄い強引術を見た。

 

「ラウラは小っちゃくて可愛いんだから、大人の女性が着るような服よりもこんな感じの可愛い服を着た方が良いよ、絶対!」

「わ、私は可愛くなど……お姉ちゃんからも何か言ってやってくれ!」

「ん、私か?」

 

 いきなり話題を振られ、箒ちゃんは小首を傾げながら返答する。

 

「いいのではないか?私もラウラには可愛い服が似合うと思うが」

「お、お姉ちゃんまで……ならばパパっ、パパなら私を助けて――」

≪あぁ、私もラウラちゃんの可愛い姿を見て見たいから≫

「うぅ……八方塞がりではないか」

 

 味方してくれる人がおらず、ガックリと大きく項垂れるラウラちゃん。最近は私たち以外にも色んな子たちと交流し始めている影響か、軍人とはかけ離れた柔らかいリアクションが少しずつ現れるようになっている。言葉遣いは相変わらずお堅い雰囲気が残っているが。

 

「まぁ折角の機会だ、自分に合った服を色々と試着されてみるといい。案外スカートの方が好みになるかもしれんぞ?」

「お姉ちゃん、せめて試着『してみる』と言ってくれ。それでは私が着せ替えされるようではないか」

「「えっ?」」

「……えっ?」

 

 3人の間でほんの僅かな静寂が訪れる。私も空気を呼んで一緒に静かになる。

 

「だってラウラ、放っておいたらさっきみたいな大人向けの服ばっかり選ぶでしょ?そうなるくらいなら僕たちでラウラに似合う服を選んであげようかなって」

「ひ、否定し切れない……」

≪まぁラウラちゃんの好みもちゃんと聞いたし、それも視野に入れて服を選んでいくよ。可愛い系の服がメインになるのはどの道避けられないけど≫

「好みを答えた意味が無いではないか!?」

「どうせなら店員の意見も取り入れた方が良いだろう。本業の者のセンスは信用できるからな」

「お姉ちゃんは行動が早いのでは!?」

「店員さん、この子に似合う服を何着か見繕って下さい!」

「オッケェイ、わが命に代えても」

「……なんか鬱陶しいんだが」

 

 この後メチャクチャ着せ替えされた。ラウラちゃんが。

 

 

 

―――――――――――――――――――――

 

「これで、寮の中で着る物と外出の時に着る物で何着か調達できたね」

≪これで一夏少年もラウラちゃんの裸を見て驚かずに済むだろうね≫

「まったく、あの程度で騒ぐとは情けない。裸体を見た、見られたで死ぬ訳では無いだろうに」

「可愛いと言われたら照れるのに、裸を見られても何とも思わないのは致命的なのでは……」

 

 そういう意味でも特殊なんだろうね、この子は。

 

 という訳で、ラウラちゃんの着せ替えタイムという名の服選びは終了。洗濯の都合も考慮して纏めて複数着購入したのと、箒ちゃんやシャル・ガールが個人的に買った服によって買い物袋は厚めに膨らんでいる。やはり女の子はオシャレに抜かりないね。

 

≪さて、それじゃあ次は皆の水着を買いに……おや?≫

 

 次の売り場へ向かうために視線を前に向け直そうとした私であったが、その時見覚えのある姿を目撃する。

 

「テオ、どうかしたのか?」

≪あの子たち……もしかしなくてもセシリア嬢と鈴子ちゃんじゃないかな≫

 

 金髪ロングヘアーの女の子と茶髪ツインテールの女の子、そしてそれぞれカスタマイズが施されているIS学園の制服を着用。その姿はどう見ても知り合いの子たちのものである。

 何故彼女たちが学園外で制服を着て歩いているのか気になる所ではあるが、それ以外にも怪訝に思う個所がある。現在どちらもまるで何かから隠れているかのような位置取りで柱の陰に立っており、傍目から見たらストーキングをしているみたいで中々に怪しい光景となっている。

 

「む、確かにあの2人のようだが……あれは何をやっているのだ?」

「何かを観察してるようにも見えるけど……」

「追跡任務でも行っているのか?それにしては随分と稚拙な隠密性だが」

≪手厳しい≫

 

 あのままでは警備員から職務質問される未来がスタンバイしているので、私たちは彼女たちに声を掛ける事にした。

 

≪やあ2人とも。こんな所で何をしてるんだい?≫

「「キャッ!?」」

 

 途端、2人は肩をビクンと激しく震え上がらせて此方へ振り返って来た。

 

「テ、テオおじさま!?急に驚かさないでくださいまし!」

≪はっはっは、済まないね。見るからに怪しい風体になっている2人を見て放置するのはアレかと思って≫

「べ、別に怪しい事なんてないわよ!……っていうか箒たちまで揃って一緒に来てるのね。何で全員制服なのよ?」

「お前たちが言えた格好ではないだろう……」

「僕たちはラウラが私服を持ってなかったから合わせてるんだよ。そういう2人はどうして制服?」

「まさか、お前たちも私服が無いのか?」

「あるわよ!ボストンバック1つに収まる程度には!」

「鈴さん、それはそれで少ないと思うのですが……とにかく皆さん、あれを見てくださいな」

 

 セシリア姫が指を指す方へと、私たち4名は同時に顔を向ける。

 彼女が示したのは私たちが向かおうとしていた女性用水着コーナーで、店内にはこれまた見知った人物の姿があった。

 

≪一夏少年と千冬嬢じゃないか≫

 

 IS学園名物、織斑姉弟である。

 一夏少年の方は白いTシャツに薄手の黒いベスト、ジーパンと夏らしい爽やかイケメンな恰好で、その姿を見たシャル・ガールはほんのり頬を赤らめながら感嘆の息を漏らし、箒ちゃんは『あいつの私服姿は小学生の頃ばかりが印象に残っていたからな……あいつも成長したな』としみじみした様子で思い出に耽っている。ラウラちゃんとシャル・ガールが私の娘宣言をしてからというもの、箒ちゃんに姉御肌と精神的余裕が増加しつつあるのは私の気のせいではない筈。

 一方の千冬嬢は、夏場のプライベートだというのにいつも通りのスーツ姿。店内は冷房がかかっているから暑くないとは言え、もう少し着崩した格好でもバチは当たらないと思う。というか嬢も私服を着よう。

 

「一夏が千冬さんと山田先生の2人と一緒に学園を出ていったのを見ちゃって、気になって付けて来たのよ」

「鈴さんとわたくしは代表候補生としての用事が入っていたから……というのは皆さんご存知でしたわよね」

「うん。2人も今日の買い物に誘おうとしたんだけど、それで断ってたもんね」

「はい。それでわたくし達は学園に入るために朝から制服を着ていましたの。休日とは言え普段着で学校に入るのは禁止されていますから」

「で、学校に向かう途中で一夏たちの姿が見えたから、このままの格好で追いかけたってワケ。一々着替えてたら見失っちゃうでしょ」

 

 なるほど、そういう理由だったのか。

 確かにあの一夏少年が休日に教師2人と外出するというのは気になっても仕方がない事態だ。少年が制服でないという事は、IS学園とは無関係な私事である可能性が高い事を暗に示しているわけだからね。

 まぁ、唐変朴が具現化したような存在である一夏少年の事だから色の付いた話であるとは到底思えない。寧ろそっち方面だったら大問題だよ、千冬嬢にしろ真耶ちゃんにしろ。

 

≪ところで、代表候補生の用事は放っておいて大丈夫なのかい?≫

「……だ、大丈夫よ、多分」

「本国には別件で少々遅れると連絡を入れてありますので、時間稼ぎ位にはなっているかと」

「それでいいのか代表候補生」

 

 この中で唯一代表候補生じゃない箒ちゃんが、2人をジト目で見つめる。意中の相手が気になるから用事を後回しにするなんて聞いたら、向こうは何と思うやら。

 

≪……おや、真耶ちゃんの姿が見当たらないようだけど≫

「さっきまで一夏たちと一緒にいたんだけどね、急に慌てた様子でどっか行っちゃったのよ」

「多分、あの2人に気を遣ったんだよ思うよ。織斑先生が外出するなんて滅多に無いらしいし、家族水入らずの時間を作ってあげたんじゃないかな」

「会話は上手く聞き取れませんでしたが、雰囲気から察するにシャルロットさんの推測が濃厚だと思いますわ」

「それで、肝心の山田教諭はどこに行ったというのだ?」

「……もしかして、あれではないか?」

 

 箒ちゃんが指で示した光景は、小学生くらいの男の子数人に囲まれた涙目の真耶ちゃんの姿であった。

 

「おねーちゃん、おっぱいでけー!」

「うちの姉ちゃんよりおっぱいでけー!」

「あ、あんまりおっぱいって言わないでくださいぃ……!」

「オオッ、ほんとにでけえな!オオッ、ほんとにでけえな!」

「なんで2回も言ったんですか!?」

 

 …………。

 

≪後で助けてあげるとしようか≫

「助けてあげてもよろしいのでは……」

≪大人の女性ならあれくらいは上手く捌いてみせる筈だからね。ここは真耶ちゃんの手腕に期待しようじゃないか≫

「というよりもお父さん、ちょっと面白がってるよね?」

 

 ……はて、何の事やら。

 

 真耶ちゃんの事は一先ず置いておくことにして、私たち一行は織斑姉弟の方へと向かうことにした。

 一夏少年は私たちが一斉に現れた事に驚いた様子だったが、一方の千冬嬢は全くビックリした様子が無かった。曰く、最初から尾行していたセシリア姫と鈴子ちゃんはもとより途中から合流して覗き見ていた私たちの気配がダダ漏れだったらしい。まぁ気配を殺す場面でも無かったから、あの千冬嬢なら感知して当然だろうね。

 

≪それで千冬嬢、良い水着は見つかったのかい?≫

「あぁ。それで丁度今こいつにどちらが良いか選んでもらおうかと思ってな」

 

 そう言う千冬嬢の手にあるのは、機能性重視が感じられる白い水着と、胸元がメッシュ状にクロスされたセクシー系の黒い水着。どちらも肌の露出度が高くなることが予想されるくらいに水着の布面積が少なめだ。

 

「で、一夏。お前はどっちの水着が良いと思う?」

 

 尋ねられた一夏少年は、それぞれの水着を見比べ始める。最初の辺りはじっくりと黒い水着を見て、それがある程度済むと今度は白い水着の方へと視線を変える。途中から危険視するかのように見ていた黒水着と違い、白い水着には逆に安心したような顔を浮かべている。

 この時点で一夏少年の好みが理解できた。間違いなく少年が良いと思ったのは黒い水着だ。確かに千冬嬢は白よりも黒の方が似合っている印象があるしね。

 

「……白の方で」

「嘘だな」

「嘘ですわね」

「嘘ね」

「嘘だね」

「嘘だ」

「やはり黒い方が良いか」

「なんで皆で否定するんだよ!?」

 

 女性陣が呆れた様子で少年の選択を呆れながらも見抜いてみせた。

 

「どうせ黒の水着だと千冬さんが見知らぬ男に言い寄られるんじゃないかって心配したんでしょ」

「俺の心が100%読めてるとか、お前何時からエスパーに転職したんだよ」

「鈴さんだけではありませんわ。此処にいる人たち皆が一夏さんの考えていたことが分かったと思いますわよ」

「えっ、まさか皆エスパーに!?」

「取り敢えずエスパーからは離れようよ……。僕も最近になって知らされたんだけど、IS学園の放課後では今年になってから男心について学ぶ簡単な講義が不定期で行われてるんだって」

「何だそれ……。っていうか誰が教えてるんだよ」

≪私だよ≫

「テオだったのか……って何やってるんだよ!?」

 

 良いノリツッコミをありがとう少年。暇を持て余していないし神でもないけれど、とても良い流れだった。

 

≪別に不思議な事じゃないだろう?IS学園は従来の学校と違って特殊とは言え、そこに通っているのは年頃の思春期の女の子+αなんだ≫

「+αって……あぁ俺たちの事か」

≪そう。だからそういう子たちのために、私が出来る限りの範囲でちょっとしたレクチャーをしてあげてるんだよ。少年、最初の頃に女の子たちが寮で着てるルームウェアが無防備で困ってるって愚痴を零してただろう?あの辺りも講義で教えてあげたのさ、異性には刺激が強すぎるってね≫

「言われてみれば、最近は暑くなってるけど皆安心して見ていられる格好だな。あれってテオのお陰だったのか!」

 

 余程困っていたのだろう、一夏少年から感謝に満ちた視線が送られてくる。

 私は少しだけドヤァ……と顔を自慢げに綻ばせてみせる。

 

≪まぁ、その代わりに一夏少年をモデルにしたレクチャーを時々行わせてもらってるけどね≫

「おい!?」

 

 これも必要な犠牲ってやつだよ、少年。まぁ先程話した件も含めて彼が学園で暮らしやすいように色々と裏で手回しをしてあげているので、強く反対する事も出来ないだろう。束ちゃんのお願いには少年の事も含まれているし、私自身も少年が過ごしやすい環境を臨んでいるしね。

 

「で、テオの教えで一夏の考えはお見通しと……これからは余計な事を考えられんな?一夏」

「……千冬姉、完全に楽しんでるだろ」

「さぁ、どうだかな」

 

 千冬嬢ははぐらかすようにそう言うが、そこには意地の悪い笑みが浮かんでいる。思いっきり楽しんでます、本当にありがとうございました。

 

「さて、私の主用も済んだ事だしお前はそいつらと一緒に買い物を続けていけ」

「あれ?でも千冬姉、今日は臨海学校で必要な物を買って学校に運ぶために俺を呼んだんじゃ……」

「予定変更だ。業者に運送依頼と手続きが生じて面倒だったのだが、面白いものが見れたのでな」

「それって、もしかしなくても俺が遊ばれてた所だろ?」

「ふっ。……さて、山田君と合流しなければな」

「あ、山田先生なら向こうに……」

 

 千冬嬢に伝えるべく、シャル・ガールが先程から真耶ちゃんがいる場所を指で指示した先には……。

 

「おっぱいねーちゃん、学校の先生なの!?」

「これでも学校の先生で……って、その呼び方はやめてください!まるで私の一番の特徴がそれみたいじゃないですかぁ!」

「おっぱいちゃん、ほんとはウチのねーちゃんと同じ大学生なんじゃないの?」

「違いますよ!?というか呼び方がどんどん悪化してますよ!?」

 

 さっきよりも人数が増えた男の子たちに未だ言い負かされている真耶ちゃんの姿があった。

 その後、真耶ちゃんは千冬嬢によって無事に救出されて涙目になりながら感謝の言葉を述べ、彼女に対するリスペクトを更に上げるのであった。

 

 

 

―――続く―――

 




☆おまけ☆

「そういえば俺、テオ達が今日買い物に行く事聞かされてなかったんだけど」
≪ごめん、忘れてた≫
「ひでぇ!?」
≪というのは半分冗談で、昨日は箒ちゃんと一緒にシャル・ガールたちの部屋でお泊りしたから訊きそびれちゃってね。で、今日の朝に聞こうとしてたんだけど、千冬嬢の所に行ったって聞いたから予定があるんだと思って声を掛けなかったんだよ。そういう少年だって、千冬嬢と真耶ちゃんと買い物に来たのなら私たちも誘うものだと思ってたよ≫
「いや、荷物持ち役だって聞かされてたから、下手したら皆の荷物全部持たされるんじゃ?と思ったら寒気がして……。弾も蘭の買った荷物全部持ってやった事があって大変だったって聞いたし」

☆   ☆



・読者様へのお詫びの言葉

この度は何の連絡も無く、一年半近く投稿を怠ってしまい申し訳ございませんでした。
最近になって新しい仕事を始めて、以前の仕事よりも生活リズムが整えやすくなったため、執筆の時間も取りやすくなりました。
筆の遅さも相まって相変わらずの不定期ではあるものの、改めて執筆活動をしていきたいと思います。半年近くも放置しておいて何を今更、と思う方もいらっしゃるかと思いますが、もしよろしければまたこの場末の作品にお付き合いいただければ幸いです。
今後とも『篠ノ之家の猫はIS操縦者』をどうかよろしくお願いいたします。

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