湊港の奏でし軌跡   作:声豚もなか

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 なかなか投稿できずにすみません。中間テストだったものですから……

 前回よりはまともな文章になっているかと思います。


【第一部】聖王国編
騎聖氷姫・馨月凪冴:紅雅龍フランボイア


 荒れ果てた荒野にそびえ立つ真っ黒な城。その門前には、大きな肢体――二頭の黒龍がいた。暗黒の天空の下、荒野全体には兵士や黒龍が倒れ込んでおり、見るからに痛々しい惨劇を想像するのは容易かった。周りには血生臭い臭いが充満しており、鼻が曲がるほど臭いは強い。

 

 その荒野の上空――といってもわずか数メートル程だが、俺――藤浪湊翔、前世名・古川和人は黒龍と戦っていた。剣を振るい、その黒龍を倒し魔術で止めを刺した。剣で止めを刺すのにはあまり信用がわかない。刺すだけでは息絶える龍が少ないからだ。

 魔術も俺がすぐ転生し使えるようになったわけではない。同等に剣術もだ。それなりの訓練を積んで俺はここにいる。俺がここまでになったのは、恩人たちの協力あってのこと。といっても、目の前の戦場を見ればそんなこと考えている場合では無いのだが。

目の前には新しく黒龍が着陸したところだった。よそ見していると命がいくつあっても足りないのだ。

 

 「よそ見しないで、目の前の敵に集中しなさい湊翔!死んでも知らないわよっ!」

 

 案の定、相棒にも怒られてしまった。

 

 彼女の容姿を見て、まず一番に目に留まるのはその真っ赤な髪の毛だろう。(彼女から見て)右側の髪を一部分編み、他は下ろしているという髪型だ。戦闘に支障が出ないのかと問いただしたいほどに、服も豪華である。俺と同じ騎士団長特注品の軍服に身を包み、騎士団のマークが入ったマントを羽織っている。下級兵士は茶色のマントだが、団長は何故かマントの色を二種類から選ぶことができる。種類には真っ赤なものと、赤に白が混じった柄がある。因みに俺は後者で、彼女は前者だ。彼女は赤い物が大好きで、身の回りのものは赤いものが多い。

 

 おっと、若干話がずれてしまった。

 

 彼女は俺と同じ騎士団の総班特攻隊隊長、兼副騎士団団長で名家の長女様とやらである。まったく、軽トラに轢かれて死んだ俺とは格が違うぜ。

 普段はうちの国の姫の護衛なんかもやってる。姫とは昔からの仲良しだったらしい。

 

 彼女――涼雅奏深は黒龍に向かって真っ赤な剣を振り回している。奏深のことを女だと思って勝負をすれば、すぐにやられることだろう。女だからといって、決して弱いわけではない。真っ赤なマントを翻し、髪を揺らしながら戦う姿は男の俺も見惚れ、惹かれる要素が大量にあった。

 

 

  ~~☆☆~~

 

 

「はぁ……こんなもんかよ」

 

 あれからかれこれ一時間弱、龍狩りをしていた俺たちはある程度片付いたので一度戦場から離れて休息をとっていた。持ってきていた食材で簡単な料理を作り、食べた後に戦場近くの場所に移動し寝れる場所を作っていたのだが……。周りの木がかなり重く、俺は疲れ切っていた。ぐったりと寝床に横になっていると、突然奏深が顔を覗き込んできた。俺は驚いて、不安定な寝床から転げ落ちてしまった。

 

 「いだっ!……あぁ、んだよ奏深……」

 

 打った頭に手を当てながら起き上がると、更に近くに奏深の顔があった。ジトー、とこちらを見ている。

 

 「いつまで寝てるのよ、そろそろ戻るわよ」

 

 どうやらもう準備をしていたらしく、俺の荷物もまとめてくれたようだ。せっかく作った寝床を手放すのは惜しかったが、荷物を抱えて奏深の後を追った。

 

 

 歩くこと一時間程。俺と奏深は無事に戦場へとたどり着いた。途中で敵に会うことも無く、無傷でここまで歩いてこれたことはかなりよかった。森を抜けて草原を通り荒れ野に着くと俺は言葉を失った。それは俺だけではなく、奏深も同じだった。

 

 「…………なっ」

 

 戦場では息絶えた騎士や龍の姿が消えていた。地面には痛々しい血の跡が残っているだけだった。俺たちがここから離れた時間はおよそ十時間程だ。十時間で片づけるには多かったし、第一片づけたところで死体はどこへやったのか。一番の疑問は、誰がこのような手間のかかることをしたのかだった。

 

 「い、一体誰がこんなことを……」

 

 どうやら考えていることは同じだった。とにかく城へ向かうしか何か得られそうなものはなく、俺たちは血の臭いを嫌というほど身で感じ、城へと再び歩みを進めた。

 

 門前にたどり着くと、重い扉が目の前にそびえ立っていた。俺はその重い扉を力一杯押してみるがびくともしない。数分程扉と格闘すると、上の方から魔法と思われる小さな氷が落ちてきた。

 

 「っ!な、なに……冷たっ……!」

 

 首に氷が入り込んだようで、奏深は首を動物のようにぶるぶる振っていた。俺は上を見上げた瞬間、黒い影が俺の方に向かって来た。咄嗟に俺は奏深を庇い押し倒す。状況が理解できていない奏深は身体をばたばたと動かしている。着地したことを確認し、恐る恐る目を開けると、そこにはこの城の城主であり女王の騎士――馨月凪冴が不敵な笑みを浮かべ、剣を抜いた状態で立っていた。

 

 馨月凪冴。

 

 俺たちが所属する騎士団の領とは反対側のこの領にある真っ黒な城の城主であり王女の女性だ。年齢は俺らの姫様より少し年上なくらいだろうか。美人で人気があるらしい。『騎聖氷姫』という異名で呼ばれ、紅雅龍フランボイアという龍を操り、自分も氷系の魔法を得意とする立派な騎士である。凪冴とフランボイアの存在はかなり有名で、勝てるものはごく一部だと言われている。

 

 「久しぶりだな湊翔、奏深」

 

 笑みを浮かべたまま、俺たちにそっと近づいてくる。剣を抜いているため油断はできない。俺は極力目立たないようにそっと剣に手をかけた。すると、柄を掴んだ手が急に凍り、俺は身動きが取れなくなってしまった。

 

 「きゃあっ!」

 

 奏深も足を凍らせられてしまい、俺たちは完全に身動きが取れず氷が溶けるのを待つほかなかった。

 

 その後のことはよく覚えていない。眠らされて何かをされたことは分かっているのだが、俺と奏深が目を覚ますと、何故だか自分の城の部屋のベットに寝かされていたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




 少しでも暇つぶしになれば幸いです。

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