湊港の奏でし軌跡   作:声豚もなか

4 / 7
 長くかけたので良かったです。

 突然ですがタイトル変えました。読みは「そうこうのかなでしきせき」です。ポエムっぽくて笑えますね。


突然の来訪者

 俺が城の自室で目を覚ますと、隣にはこの城の姫がすやすやと寝息を立てていた。普段は人に無暗に寝顔を晒したりしないやつなのだが、安心されているのだろうか。だが俺も男である。それはそれで困ったものだ。

 

 上体を起こすとその反動か姫を目を覚ましてしまった。いつものことだが、寝起きなので不機嫌そうである。姫は目を擦りながら大きく伸びをして俺のことをジッとみつめてきた。

 

 「な、なんだよ柚姫……」

 

 煌月柚姫――『イズべウルフ国領トイライナ・シルヴァナル城 トイライナ王室第17期王女 王位継承順位第2位』というようなお方である。

 

 まぁ簡単に言えばこの城の王女で、王位が継承される順番が2番目というだけである。腹違いの姉がいるようだが、現在は失踪中らしい。

 

 俺が寝ぼけているためよく分からないが、柚姫はピンクと白のやけに裾が長いドレスを着ているようだ。あんなの着てよく転ばないよな。

 

 俺が柚姫にそう問いかけると、柚姫はプイっとそっぽを向いてしまった。俺が何かしただろうか。行動の読めない柚姫をよそに俺は再び寝ようとベットに横になった。

 

 すると柚姫は驚いた顔をして、俺の腕を強く引いた。

 

 「な、なんでまた寝るのっ!」

 

 「な、なんでって眠いんだからいいだろ」

 

 会話のドッチボールが続き、諦めたのか柚姫は王宮へと引き返して行った。

 

 『十分に寝たら、正装に着替えて王宮に来てね』

 

 と、一言残して……。

 

 ~~☆☆~~

 

 

 それから数時間寝た後、俺は軍服に身を包んで王宮へと向かった。部屋を出ると、俺と同じく正装に身を包み帽子を被って帯剣している奏深が壁に寄り掛かって帽子のつばを弄っていた。なぜ帯剣しているのかはわからないが、とにかく準備万端である。

 

 まったく、帽子を指で回している俺とは大違いだぜ。

 

 「遅い。一体いつまで寝てるのよ」

 

 どうやらかなり長時間待っていたようで、奏深様はお怒りのようだった。

 

 軽く謝るとフンと鼻を鳴らし、とっとと歩いて行ってしまった。しっかり者の奏深のことだ、早々に準備をしていたのだろう。俺とは違い目もばっちり開いており、欠伸一つしない。尊敬に値するレベルだ。

 

 王宮に入り、螺旋階段を上り王室前までたどり着くと、奏深にネクタイをグッと上にあげられた。首が締まってしまうほどに。

 

 「かはっ……!な、なにすんだよ……」

 

 「服装くらいしっかりしなさいよ」

 

 そう言ってクルリと方向を変えて、奏深は王室へのドアへ手をかけた。

 

 

 奏深が重いドアを開けると、ギィィ――と鈍い音がしてドアが開いた。中に入ると、王座には柚姫が先程とは違う純白のドレスを身に纏い足を組み座っていた。近寄ると、柚姫はよいしょ、と立ち上がって王室の奥にある柚姫の部屋へと案内してくれた。

 

 「失礼致します…………なっ」

 

 「失礼しまーす、って……はぁ?」

 

 俺と奏深が部屋に入るとそこには何故か凪冴が革張りのソファに座っていた。柚姫の自室は華やかなものが多いのだが、雰囲気に馴染めない様子もなくまるで自室のようにくつろいでいた。

 ティーカップを持ちながら凪冴は俺たちを見て、不敵に微笑んできた。俺は寝起きと言うこともあり、あまり現状を理解できていなかった。奏深を見ると俺と同様であったため、奏深にも何も伝えられていなかったことが分かった。

 

 「その後の調子はどうかな?私がここに運んであげたんだぞ」

 

 「……なぁ柚姫。俺いまいち現状が分かんないんだが……なんで凪冴がいんだよ」

 

 思考が全く追いつかない俺は、柚姫にそう問いかけた。続いて奏深も俺と同じことが知りたかったのか、『私からもお願いします』と頼んでいた。

 こほん、と柚姫が咳払いをすると凪冴の隣に腰かけ離し始めた。

 

 「えーとね、凪冴がここにいるのは貴方たちを戦場から運んだからよ。敵だけど、一応お礼を言っておきなさいね。運んでからはずっと城にいたわ。なんか話したいことがあるって来たらしいんだけど、湊翔が目を覚まさなかったから離せなかったのよ。まったく、奏深はすぐ起きたっていうのにね」

 

 俺がずっと目を覚まさなかったって、一体俺はどのくらい寝てたんだよ。凍らされて身動きが取れなくなってからの記憶も無いし……。一度自室で目を覚ましたのは覚えてるんだけど、俺はその時に何かを飲まされて寝ちまったんだよな多分。実際目を覚ました時には誰か女がいた気がするんだ。強い薬だったのかは知らないが、柚姫が言うことを聞いている分には相当寝ていたらしいしな。

 

 俺が一人で物思いに浸っていると、横に座っていた奏深から脇腹をつつかれた。いつまで考えてんのよ。ということらしい。最近妙に奏深が冷たい気がするのは気のせいだろうか。

 

 「あー、えっと……俺は一体どのくらい寝てたんだ?」

 

 俺が思ったことをそのまま質問すると、呆れたように奏深が口を開いた。

 

 「……覚えていないのね。はぁ……丸二日よ。私は凪冴さんの睡眠魔術で半日は寝ていたみたいだけど。……でもよく考えてみれば、同じ魔術のはずなのに湊翔だけ丸二日も寝ているなんて不自然じゃない?まるで、誰かに強力な睡眠薬でも飲まされたみたい……」

 

 流石としか言いようのない奏深の推理力に俺は言葉を失ってしまった。奏深がそういうと、柚姫は俺に確認を求めてきた。

 

 「薬……湊翔は何かを飲まされたような記憶はあるの?」

 

 「あるにはある。一度俺は目を覚ましたんだけど、すぐ何かを飲まされてまた眠っちまったんだ。俺の記憶だと、確か女だった気がするんだけどな……」

 

 俺が覚えていることをすべて話すと、凪冴が口を開いた。

 

 「薬か……私たち以外に入れるものがいるとすれば、メイドくらいか?」

 

 凪冴が柚姫にそう問いかけると、柚姫は首を縦に振った。どうやら凪冴の指摘は正しいらしい。

 

 「そうね……ある程度のメイドならば入ることはできるけれど……もうこんな犯人探しはやめにしましょう!それで、凪冴の話って一体なんなの?湊翔たちが起きるまで話をしなかったってことは、大事な用件なんでしょう?」

 

 それを聞くと、凪冴は服の胸ポケットから白い封筒を取り出した。ちなみに今の凪冴の服装は黒の軍服である。腰にやたらと物騒なものをつけるようになっているので、実戦用らしい。戦場で着ていたものとは違うようだ。

 

 封筒の表には『To;Nagisa Kouduki』と書いてある。これは凪冴に宛てられた手紙のようだ。まず、凪冴が封筒の裏面――つまり、差出人の名前が書かれた部分を柚姫だけに見せる。それを見ると柚姫は顔を歪めて苦い声を漏らした。

 

 「こ、この名前って……」

 

 凪冴が重い表情で頷く。俺と奏深にも見えるように凪冴が向けた。そこには何故か漢字で『From;馨月凪斗』と書かれていた。俺は『馨月』という苗字と、凪冴と同じ『凪』という字に目が行ったのだが、前の二人と同様、奏深も重い表情をしていた。

 

 「これって、あの馨月凪斗ですか……?」

 

 奏深がそう凪冴に問いかけた。凪冴は特に反応するわけでもなく、ただ淡々と一言告げただけだった。

 

 「そうだ。……三年前、フロンド城をフランボイアの業火で焼き尽くした張本人。そして……私の実の父親だ」

 

 重みのある言葉に、俺は動揺を隠せなかった。

 

 その事件を知らないからではない。妙に重みのあるその凪冴の言葉になんともいえない恐怖や悪寒を薄々感じたからだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




 設定だけは思いつくので、ある程度連載が進んだらサイドストーリーも作ろうかななどと考えている今日この頃です。

 中間テストは学年21、クラス2でした。まぁまぁですね。

 最近はネタ帳にプロフィールばっかり書いているので、まったく授業に身が入りません(笑)。

 最近のマイブームは某○rip○ideを聞きながら執筆に励むことです。あ、もちろん今も聞いてますよ。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。