湊港の奏でし軌跡   作:声豚もなか

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 とっとと書かないと、考えている結末までたどり着かない(笑)。




零れた涙;凪冴のココロ

「ふぅ……疲れたな」

 

 話し合いを終えて、自室に戻った俺は倒れるようにベットへと向かった。色々なことを知った先程の話し合い。精神的に俺は参っていた。

 

 「……馨月凪斗、か」

 

 ~~☆☆~~

 

 「そっか……湊翔が来た少し前のことだから、湊翔は知らないのよね」

 

 俺が『馨月凪斗』という名前に上手く反応できずにいると、柚姫が気づいたように呟いた。確かに俺は何も知らない。ただ、他人が易々と聞いていい話ではないようだ。

 

 それに察したのか凪冴はフッ、と微笑んで俺に話をしてくれた。だけどその微笑みは自然なものではなく、明らかにつくりものだということが分かった。

 

 

 「三年前、このイズべウルフにはフロンド城という小さな領国があったんだ。そのフロンドは戦争とかもしなくて、平和な国だった。でも事件は起きた。私の実父――馨月凪斗が私のフランボイアを無理矢理服従させて、フロンドの国を一日で焼き払ったんだ。生存者は不明。焼け野原になったフロンドは今は荒野になっているが、この事件の所為で、柚姫のお父様、つまりトイライナの王様は怒りを私の父に覚えたのだ。フロンドとトイライナは仲が良かったからな。……それに、この事件が起きるまでは私の国とも仲が良かった。でも、父の所為でうちの国は悪く言われることしかなくなり……次第に戦争へと繋がったのだ」

 

 思考回路が凪冴の話についていかず、ショートしてしまう。それほど今の話は現実味無く、俺を騙そうとしているような気がしてならなかった。だがそんなはずはない。凪冴の顔は非常に責任を感じているような、そんな顔をしていた。他人で、今事情を知った俺では当然慰めなどできるはずもなく。俺はただ言葉を失うだけだった。

 

 「……そんなに暗くなることはないさ。私もあの人のことはもう父親などと思っていない。私の相棒――フランボイアを無理矢理服従させたあの時のこと。フロンドを我が相棒を利用し焼き払ったこと……今でもはっきりとあの光景は脳裏に焼き付いている」

 

 無理している。明らかに表情が苦しい、悲しい、悔しいと物語っているのが分かる。俺は凪冴を無理矢理立たせると、手を引っ張り部屋からだした。

 

 「ちょ、湊翔!」

 

 「どこに行くのよ!」

 

 二人の声が聞こえたが、俺は構わず凪冴の手を引き凪冴の部屋へと連れて行った。

 

 「……ありがとう」

 

 後ろから凪冴の心から漏れ出た声が聞こえて、俺は少しほっとした。

 

 部屋に入ると凪冴はらしくもなく俺の身体に抱き着いてきた。俺の狙いは一度落ち着かせるためだけだったため、一度は驚いたが相当疲れていたようだった。

 

 「……湊翔、今だけはこうさせてくれ……っ」

 

 「あぁ……」

 

 俺は凪冴の腰をさすると、次第に我慢ならなくなったのか凪冴は声を上げて泣き始めてしまった。ただ俺は声をかけることなどもせずに、ずっと腰をさすっていた。凪冴は少しすると泣き止んで、ベットに倒れ込みすぐに眠りについてしまった。俺は毛布を掛けてやると、凪冴に『柚姫の自室にいる』という書置きを残して部屋を出た。

 

 ~~☆☆~~

 

 柚姫の自室に戻った俺は、柚姫と奏深に今のことを伝えた。

 

 「湊翔にしては、いい心遣いじゃない?」

 

 と、奏深に褒められたが俺にはそれよりも、手紙のことが気になっていた。手紙をジッと見つめていると、柚姫に『湊翔も?』と声をかけられた。

 

 「あぁ。この手紙に何が書いてあるのか。それが気になるな」

 

 「だけど凪冴さんがいない以上、封筒を開けることはできませんよ?」

 

 「だから、凪冴が起きるまで待ってるしかないのよ。……それにしても、凪冴は私たちの前では泣かないで、湊翔の前では泣くのね」

 

 その瞬間、柚姫の部屋が二人のオーラによって凍りついた。あるいは凍りついたのは俺の心かもしれなかったが……。

 

 

 なんとか弁解した俺は、一度自室に戻り倒れ込んだ後シャワーを浴びた。手紙の内容は気になるが、とにかく今は休むことが最優先だ。

 

 そんなことを考えていると、俺はいつの間にか眠りに落ちていた。

 

 

 ~~☆☆~~

 

 

 そして俺は夢の中で、あの【白い世界】へとまた戻ってきていた。

 

 「お久しぶりですね。和人さん……いえ、藤浪湊翔さん」

 

 「久しぶりだな。……未来」

 

未来の姿は二年前と何も変わってはいなかった。いや、刻は経っていないのかもしれない。

 

 




 昼間も投稿したいと考えております。
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