湊港の奏でし軌跡   作:声豚もなか

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 ハイペースをいつまで続けられるかな?


現実;未来

 「あれからどうですか?無事に騎士団の団長さんをしているようですが」

 

 「やっぱお前全部知ってんじゃねぇかよ」

 

 俺が未来に案内された場所は、白の世界の奥の部屋だった。そこは何故か白くなく、普通の部屋だった。その部屋に入ると未来は服装が変わり、現実のような私服へと変わっていた。俺は困惑したが、ここはどうやら特別な部屋らしい。

 

 紅茶を出してくれたので、談笑しつつ混界での体験を未来に話すと全部知っていた。まぁ監視しているのだろう。ただ未来は俺に楽しいかとか、そんなことしか聞いてこない。

 

 「なぁ、俺からも一つ聞いていいか?」

 

 俺は一度カップを置き、未来に向き直った。未来は俺の真面目な雰囲気を察した様で、俺の方を向いてくれた。

 

 「なんでしょう?」

 

 「現実って一体どうなってるんだ?里香はまだアイツと……?」

 

 あまり聞きたくなかったが、やはり気になってしまう。俺は全てを受け止める覚悟でそう未来に問いかけた。

 

 「……混界で湊翔さんが暮らした年数は二年。それを現実と重ね合わせると里香さんは智輝さんに強姦被害に遭われて、性奴隷のように生活しています」

 

 あまりの酷さに俺は言葉を失った。性奴隷……里香が?アイツと?嘘だろ?

 

 「彼女はそのまま被害を受け続けますが、必死に耐え抜きます。そして智輝さんには天罰が下り、薬に手を出した彼は大学三年のときに逮捕されます。彼女が25になったときに彼氏ができます。安心してください、誠実な方です。二人は四年の交際を経て結婚。二年後には男の子にも恵まれますよ」

 

 「そうか……里香は幸せになるんだな。……でも」

 

 俺のことは覚えているのだろうか。最大の疑問はこれだった。

 

 「でも……?」

 

 「里香は俺のこと覚えてんのか?」

 

 俺が未来に問いかけると、未来はふざけたような態度で俺にこう言った。

 

 「まだ里香さんのこと引きずってるんですか?……いい加減に忘れたらどうなんですか?どうやったってもう現実に転生することは出来ないんですよ?それなのにいつまでも里香、里香って……」

 

 バカにされたような簡単な挑発に乗ってしまった俺は、未来に向かって声を荒げた。

 

 「そんなことっ!……そんなこと、俺が一番分かってんだよっ……もう忘れなきゃいけないことくらい……でもっ……二年経った今でも忘れられないんだ、里香のことが……」

 

 悔しさと、自分の不甲斐なさで俺の目からは涙が零れた。

 

 

 

 「悪かった。急に怒鳴ったりして……」

 

 「大丈夫ですよ。私も少し言い過ぎました。こちらでも出来ることを探してみます。湊翔さんが混界で暮らしているのは、将来の為ですからね」

 

 意味の解らない言葉ばかりで未来が何を言っているか分からないが、混界での生活は無駄にはならないということらしい。

 

 「おっと、少し喋りすぎました……ではさよなら。またいつか会いましょう」

 

 ほかにも聞きたいことはあったのだが、俺は混界へと戻されてしまった。

 

 

 目を覚ますと、話し合いの翌日だったため本当に夢のなかだったということが分かった。




 もう疲れた。
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