月明かりの綺麗な運命の夜。扉が乱雑に蹴り破られた土蔵、呼び出された俺が初めてみるものは眼前に迫り来る呪いの槍。常人ならば反応出来ずに死ぬだろうその一撃を頭に浮かんだ感覚のもとに直ぐさま打ち払う。
咄嗟に後方へと飛び退いていく全身青タイツ。おそらく先ほどの刺突が防がれるとは思っていなかったのだろう。戦場に訪れた束の間の休息、待っていたとばかりに事前に決めていた言葉を投げかける。
「問おう、貴方が私のマスターか。」
俺は言いたかったセリフをようやく言えたことに感動していた。しかしながら、こうも思うのだ。
───どうしてこうなったのだろうか、と。
◇◇◇
突然だが俺は転生者である。生憎と前世の記憶とやらは曖昧だがそんな俺にも二つだけ明確に覚えていることがある。
一つ目は白髪のジジイ...いや、神様と出会ったことだ。もっとも当時は完全に夢だと思っていた。だから神様から「何か望みはないのか」と聞かれたとき、欠伸混じりで適当にこう答えた。
「じゃあ、俺を王にしてくれ。」
この一言が全てを決定付けたのだろう。今になって思う、確かにあれは神様だったのだと。
二つ目は"Fate"という創作物についてだ。
───聖杯戦争
その内容は万能の願望器とされる聖杯を求めて、かつての英雄である使い魔"サーヴァント"を召喚して殺しあう魔術師たちの話というものだ。基本的にサーヴァントはそれぞれの得意分野に合わせて七つのクラスに振り分けられていて、真名がバレることのリスクをクラス名で呼び合うことで減らすらしい。この他にも様々な知識があるが、いわゆる原作知識というやつを俺は持っている。
◇◇◇
神様との問答を終えると何故か丘の上に突っ立っていた。目の前には岩に突き刺さったやけに装飾が綺麗で魅力的な剣。その輝きは俺の目を捉えて離さず、まるで引き込まれるかのように見えた。隣には古臭いローブを深く被り、目元を隠した怪しげな男。怪しい男は俺に語りかけてくる。
「それを手にする前に、きちんと考えたほうがいい。それを手にしたが最後、君は人間ではなくなるよ。」
───そういう大事なことはもっと早く言って欲しい。
男が忠告をしたときには既に、装飾の綺麗な剣、"
「ああ、辛い道を選んだんだね。でも奇跡には代償が必要だ。アーサー王よ。君は一番大切なものを引き換えにすることになる。」
男は一瞬だけ呆けた顔をすると、実に楽しそうな顔でそう告げる。その顔からは新しい玩具を見つけた子供のような、残酷な無邪気さが感じ取れた。
背筋に走る悪寒に身を震わせながらも、手元にある剣を確認すると、ふと気付いた。綺麗に磨かれた刀身に今世の俺の姿が映っていたのだ。白い肌に金色の瞳、手触りの良さそうなプラチナプロンドの髪。その姿は絶世の美女と言っても差し支えない。しかしながら何か物足りないと思えば、何よりも特徴的なものがない。そう、彼女のトレードマークともいうべき
選定の剣、怪しげな男───おそらくはマーリン、アーサー王、そして女性であること。ここまでくれば嫌でも分かる。俺はどうやら"Fate"の世界のアルトリア・ペンドラゴンに憑依(?)転生したらしい。
確かに王にしてくれとは言った。だから百歩譲ってアルトリアになるのはいいだろう。
───でもなんでオルタなんだ。
真名:アルトリア・ペンドラゴン(?)
クラス:セイバー
マスター:衛宮 士郎
属性:混沌・善
筋力:B
耐久:C
敏捷:C
魔力:B
幸運:E
宝具:A+
クラス別能力
対魔力:A
騎乗:C
直感:A
魔力放出:A
カリスマ:EX
宝具
風王結界(インビジブル・エア)
ランク:C
種別:対人宝具
レンジ:1〜2
最大捕捉:1人
彼女の剣を覆う、風で出来た第二の鞘。厳密には宝具というより魔術に該当する。
幾重にも重なる空気の層が屈折率を変えることで覆った物を透明化させ、不可視の剣へと変える。敵は間合いを把握できないため、白兵戦では非常に有効。
ただし、あくまで視覚にうったえる効果であるため、幻覚耐性や「心眼(偽)」などのスキルを持つ相手には効果が薄い。
透明化は副次的な役割であり、その本質は彼女の余りにも有名すぎる剣を隠すためのもの。
風で覆う対象は剣に限らず、オートバイに纏わせて速力をアップさせたり、ビルをも覆う風の防御壁にしたりもしている(必要がなかったためか、透明化までは行われなかった)。
また、纏わせた風を解放することで破壊力を伴った暴風として撃ち出す「風王鉄槌(ストライク・エア)」という技ともなる。ただし、一度解放すると再び風を集束させるのに多少時間を要するため、連発はできない。
勝利すべき黄金の剣(カリバーン)
ランク:A+
種別:対人宝具
由来:少女だったアーサーが石から抜いた選定の剣。
彼女が引き抜き、王となった選定の剣。これを引き抜いた時点で彼女は老化と成長が止まっている。
対人宝具の「対人」とは敵ではなく剣の所有者、つまり選定対象に向けられたもの。所持者である彼女が最初から王として完成された存在であったため、その威力は聖剣に相応しいものである。
権力の象徴であり、華美な装飾が施された式典用の剣で、武器としての精度は「約束された勝利の剣」と比べ劣る。真名を解放すれば「約束された勝利の剣」と同規模の火力を発揮できるが、刀身はセイバーの魔力に耐えられず崩壊してしまう。
備考:王として完成された存在として生み出されたために"勝利すべき黄金の剣"を失うフラグが立たなかった。そのため"約束された勝利の剣"と"全て遠き理想郷"を手に入れるイベントが起きず参戦する羽目に。