化物になりたい少女の話。
言っておきますが、連載する気は皆無です。
まどか☆マギカは一切見たことがありませんので、なんか適当だなーとか、そういうのは本当にすみません。
今ハーメルンでの連載用とブログの連載と小説家になろうの一次創作を書き溜めているところなんですが、息抜きにこれを書きました。
なんていうか、楽しんでいただければ幸いでございます。
二月17日:誤字を発見いたしましたのでしゅうせいしました
「は?」
感情のないはずのインキュベーターは、信じられないといった声で目の前の少女に返した。
「だから、契約でしょ?
魔法少女になって、魔女を倒すんでしょ?
そりゃあもう触手でろでろ巨大な魔法少女になって、魔女を圧倒する。
そんなこと考えた人っていなかったの?」
インキュベーターには、感情がない。
彼らの社会において、感情とはごく稀な病気のようなものだ。
そんな彼らにとっての“仕事”が、宇宙の熱的死を回避すること。
そのために、人間の感情の中でも特に強大な、第二次性徴期の少女が幸福から絶望に転じた際の感情エネルギーを採取し、そのエネルギーを宇宙に還元することで宇宙の寿命をのばすことである、
願いを叶えるという奇跡をエサに、契約で魔法少女という”卵”を造った後、彼女たちが絶望し、魔女へと”孵る”ときに発生する爆発的なエネルギーを回収し宇宙に還元するまでが、彼らの真の仕事なのである。
「で、できるんだよね?
願いを叶えてくれるんだろ?」
「できないことはないよ。
でも、そんな願いを言ってくる人間は今までいなかった」
目の前の少女は、心底嬉しそうに自分を化物にしろと言ってきた。
不可能ではない。それに、魔法少女になった時点で彼女は立派な化物だ。
生物として必要な機能が失われるわけではないけど、ソウルジェムがある限り、彼女たちは死なない。
言うなればアンデッドの様なものなのだ。
それを、目の前の少女は見た目も化物にしろという。
これまでの知識からして、少女は最低限容姿に気を配るものではなかっただろうか。
確か、それを願いにした魔法少女もいた。
「でも、それでいいのかい?
見た目も化物になるということは、君は人間には戻れない。
この願いは常に適用されるからね」
「いいんだよそんな気にしなくても。
第一お前、事務的って感じがするんだよ。
感情ねーのか営業マン?」
確かに感情はないが、営業マンとは何のことだろうか。
しかし、彼女に異論がないと言うならばいいのだろう。
インキュベーターは契約に取り掛かる。
「じゃあ、はじめるよ。
準備はいいかい?
「いつでも来な」
笹垣黒の生涯は、平和そのものであった。
とても温厚で寛大な両親、祖父母。
数人ではあるが仲のいい友達。
成績は中くらい、体育もちょっと人より出来るくらい。
週末の笑点と、夕方のアニメとドラマが楽しみなごく普通の女子中学生。
それが笹垣黒であった。
しかし、その日常に、彼女は退屈していたのだ。
両親は大好きだし、祖父母も大好き。
友達と遊ぶ時間は楽しいし、大喜利は毎回面白い。
それでも、彼女はどこかこの日常から抜け出したいと思っていた。
ちょっとだけ学校をサボってみたりもしてみた。
パソコンでお子様が見てはいけない動画を見てみたりもしてみた。
漫画や小説を買い込んで、その日のうちに読破したりもしてみた。
端的に言えば、ちょっとだけ、人と外れたようなことがしたかったのだ。
だが、その欲求は満たされなかった。
学校をサボるのはみんな結構やってたし、R-18動画どころか、某密林でそっち系のゲームをわんさか買っている人もいた。
漫画や小説を買い込んでも、周りの人達は全て読んでいた。
ただ、ちょっとだけ人と外れたことがしたかった彼女の欲求は膨れ上がる。
普段は表に出さないように、心の奥深くに封じ込めて。
「人を殺してみようかな」
そう思ってナイフを買ってみた。
その日のうちに殺人事件が起きたニュースを見て、その果物ナイフは彼女のりんご向き用myナイフと化した。
「物を盗んでみようかな」
そう思って入ったスーパーで万引き犯を捕まえて、警察に金一封をもらった。
「タバコを吸ってみようかな」
「お酒を飲んでみようかな」
「爆弾を作ってみようかな」
やれることはやってみた。
でも、それでも彼女は満足しなかった。
そして今、彼女は人とは外れたことを見つけたのだった。
「僕と契約して、魔法少女になって欲しいんだ!」
契約は成功した。
彼女は、化物になっていた。
「……予想外に強い魔力をもっていたんだね」
『なんのことだインキュベーター?』
「自分の姿をよく見るといい」
言われて近くのビルの窓を覗く。
顔はいつもの自分のようであることははっきりした。
いつものように気だるげで、黒い髪をまとめるだけの髪型。
可愛らしい顔立ちであると、クラスでも結構な評判の彼女の顔。
しかし、体はいつもの彼女とはまるで違っていたのだ。
まず、腕。
触手を何本も束ね、腕を形どっている。
普段の彼女の腕の二倍もの大きさである。
足は、まるで大きなトカゲのような巨大な足。
ウロコに覆われ、万物を切り裂かんと輝く爪。
それが、足の膝あたりまで侵食している。
身体。
腹には大きな口が牙をむきだし、背中には大きな黒い翼膜を月光に照らし出した翼が。
腰のあたりにはもう一対の双翼が飛び立つのを待っているかのごとく開いていた。
「すげぇ……!」
最後に、もう一度顔を見る。
よく見ると、瞳が真紅に染まっていた。
白目だったところは漆黒に。
そして頭には羊のような双角が生えていた。
「く、クククククク……!!」
「?」
「アンタ、最高だ……!
これで僕は、日常から外れた。
僕の厨二的な妄想も実現したってわけだ……」
笑いが止まらない。
彼女は今、人間ではなくなったのだ。
しかし、これでは家に帰ることもできないことも事実。
「家は必要なんだよな。
それに、お母さんとお父さんとは今は離れたくないし。
それに何より、そろそろ晩御飯だ」
「おいおい、何を言ってるんだい?
君は今化物なんだよ?
君を受け入れてくれるわけがないじゃないか」
そう言うと、黒は笑った。
本当に楽しそうに笑った。
「僕の考えた化物は、自分の姿を自由に変えられるんだよ。
だから、自分の姿位変えられねーで何がバケモンだって話だ」
バキバキと音が鳴ると、彼女の巨大になっていた3mの体は縮んでいき、元の少女の姿に戻った。
化物になっていたような跡も何も、一切ない。
服も元に戻っていた。
しかも、ソウルジェムもない。
「ソウルジェムがないけど、君はどうしたんだい?」
「もちろん僕の体の中に決まってんだろ。
丁度心臓のど真ん中に食い込んでるぜ?」
そういうと、胸がぐぱぁと開き、その中心に煌々と輝く漆黒のソウルジェム。
そのソウルジェムがどくどくと動く心臓と一体化している姿が確認できた。
「……君は……一体なんなんだ?」
「おいおい、もう忘れたのかよ。
お前がしてくれたんだろ?
“バケモノ”に」
魔女は結界に現れる。
それぞれが己の結界を持ち、その中で使い魔を持って人を喰らい、成長する。
その魔女を、一人の異形が貪っていた。
「ごくんっ……!」
全身漆黒。
黒翼、双角、触手。
それが笹垣黒であることは、彼女の友人にも区別がつかないだろう。
明らかに異質で、奇妙で、それでいて美しく醜いその姿には、彼女の面影は無かった。
「ふぅ……グリーフシード、いただき」
魔女を倒すとグリーフシードというものが出てくる。
そのグリーフシードは、魔力を使って汚れたソウルジェムを清める効果が有り、それをすることで魔力を回復させることができるのだという。
「誰がそんなこと信じるかよ。
こいつぁ……人だ」
黒は気付いていた。
魔女の正体が、かつては自分と同じ魔法少女であったものであることに。
同じ異形として、気付いてしまうのだ。
彼女達の願い。彼女達の絶望。彼女達の心。
それが魔女であり、グリーフシード。
ソウルジェムと、魔法少女の成れの果て。
「確かに魔力回復はできるが、僕は特に必要ねえしな……」
漆黒のソウルジェムの持ち主である彼女は、元より汚れている。
魔法少女というよりは、意思を持つ魔女。
それが今の彼女だった。
彼女自身が魔法であり、技。
その挙動一つ一つに魔力を使う。
そして魔力を失ったとき、彼女の意識は消え、すべてを喰らい尽くす完全な怪物と化す。
一度だけ、その状況になってしまったことがあるのだが、その時は山の中だからよかった。
その周辺の生物が
その状況から数時間で意識は戻ったが、気がついたら焼け野原になっている光景を見て、思わず身震いしたほどだ。
「さてと、いただきます」
グリーフシードを口に放り込むと、噛み砕く。
それと同時に流れ込む記憶。
彼女の能力、
彼女が食したものの記憶が、脳内に流れ込んでくるのである。
それによって、彼女は自分が倒した魔法少女たちの記憶を受け継ぎ、それを自らの経験にしている。
そして、彼女たちの分まで、自分が殺した少女達の分まで生きる。
それが彼女のせめてもの供養であった。
不器用な彼女にできる、最大限の供養。
「ん?」
ふと、匂った。
くんと匂いを嗅ぐと、わずかながら魔力の残り香が漂っている。
魔法少女がいたのだろうか?
そう思って首をかしげると、彼女の腕が急に爆発した。
「うおおおおおぉぉぉぉぉぉっ!!!!?」
突然に、彼女は爆発した。
彼女の腕の触手の何本かがちぎれ、切り口からは血がぼたぼたと流れ落ちる。
彼女とて動物である。
痛みを感じることもあれば、泣くこともある。
あまりの激痛に彼女は吠えた。
地獄の底から聞こえてくるような、殺気のこもった咆哮であった。
「(一体どこから……っ!)」
地面に落ちた触手は彼女の周囲の地面からから元の腕に戻ると、傷などなかったかのようにぴったりとくっついた。
そして、少し荒々しく周囲にある草を摘み取り、口に放り、“覗き喰い”を発動した。
「むぐ……(草も見ていない……僕を狙ったやつは何だ……?僕と同じ化物か?魔女ではないとは思うが……)」
先ほど匂った魔力は以前に嗅いだ魔法少女らしきものとどこか似ていた。
魔女はこんなにすっきりした魔力の匂いではないし、魔女はもっとねっとりとした湿った匂いである。
「僕の目に止まらずに、それも至近距離まで爆発を持ってくる……草に記憶がないのにも関わらず足跡と土……」
推測する。
次の一撃が来る前になんとしても正体を見破らなければ、流石に痛い。
考えろ、考えろ。
「(空間移動系能力者……?
いや、それでは足跡の説明ができない……ならば……)」
考えた結果、一つの答えが彼女の頭をよぎる。
「時間操作……か?」
結論づけると、先程から感じていた視線に恐怖が混じり始めた。
どうやらあっていたらしい。
「視線ってことはだ……僕を見ていられる距離に安心しているってことか……甘いぜ」
ため息をつく。
せっかくいい能力を持っているのに、それではダメだ。
「
口を開け、舌を出す。
舌に書かれた“影”の文字が光ると、その文字から、次々に黒い影が飛び出して、彼女の周囲に跪いた。
「行け」
影は次々に散っていった。
「はぁっ……はぁっ……!」
暁美ほむらは逃げている。
得体の知れない何かから。
魔女かと思っていたら、それはとんだ勘違いで。
言葉を話し、自分の能力を見破る、異形。
いや、怪物。
「ここで死ぬわけには行かない……っ!」
時間を止めて、走った。
時間を止めている間は、少しは安心できるとおもったからだ。
だがしかし、彼女は気づいていなかった。
彼女の影に何匹もの影が入り込んでいることに。
「ここまで逃げれば……大丈夫かしら?」
息を切らせながら、能力を解除する。
彼女は時を操る以外に能力を持たない。
それゆえに、彼女が頼るのは圧縮収納が可能な盾に収納してある大量の兵器のみ。
魔法と名のつくものを攻撃に使うことは何一つできない。
「はぁ……はぁ……」
まだ足が震えている。
恐怖が拭えない。
魔女ではなく、人間でもない。
もっと別な何かだった。
自分の持っている兵器の中で、足止め用に食らわせたC4爆弾の攻撃も、すぐに再生してしまった。
「一体あれは……」
今までの周回で、あんなものは見たことがなかった。
完全なイレギュラー。
「おいおい、あれ呼ばわりとはヒデーこといってくれるじゃねぇか」
「!?」
後ろを振り向くと、一人の少女が目を閉じて佇んでいる。
だが、その少女に僅かに感じた魔力が、彼女を警戒させた。
黒髪を乱雑にまとめた、端正な顔立ちをした自分と同じくらいの少女。
その少女が、そっと目を開ける。
「泣けるぜ」
「……あ……」
その瞳は、あの異形と同じ眼で彼女を見据えていた。
「僕は笹垣黒。化物だ。
お前は?」
「あ……暁美ほむら……」
汗を垂らしながら暁美ほむらは黒の質問に答える。
黒の眼はすでに人間のそれへと変化していたが、それでも見てしまったほむらにとって、それは恐怖以外の何者でもなかったであろう。
「ど、どうしてここに……?」
「ん?あぁ、僕の能力
その影は僕と少しだけリンクしていて、そいつがいるところに僕はどこからでも入り込むことができる。
それは、お前が時を止めていても同じ。
“影蟲”はお前の影に入り込み、そしてお前と共にあった。
時間停止なんて関係なくね」
すると、月明かりに照らされていたほむらの影から影が二三出てきた。
どちらも人の形を成してはいるが、どれも人のシルエットといった感じだった。
その影たちはバラバラになって黒の舌に戻っていった。
「まぁ、仲良くしようぜ魔法少女。
僕も多少違うとはいえ、魔法少女の一人だったりするんだからな」
「魔法少女……って……あ、あなたが!?」
「おいおい、悲しいぜ。
僕は年増に見られてたのか?
こんな熟女がいるかい?ほむら」
にやっと笑う彼女の笑顔は、どことなくほむらを安心させた。
昼。
見滝原中学校二年のとある教室にて、二人は再び出会った。
「よう、ほむら」
「…………え?」
これは、“化物”と“時間逆行者”の、魔法と絶望、そして怪奇の物語である。
主人公の能力値を晒しておきます。
彼女が望む通り、化物のステータスですのでご注意を。
名前 笹垣 黒 (ささがきくろ)
年齢 14歳♀
身長 147cm~3.5m
体重 42kg~400kg
所属 見滝原中学校二年
家族構成 父、母、祖父母
能力名
常時発動型の能力。
主人公である彼女の願いによって作られたもの。
いたってシンプルな能力で、人ならざる身への変貌。
触手を何本も束ねている腕。
普段の彼女の腕の二倍もの大きさ。
足、大きなトカゲのような巨大な足。
ウロコに覆われた、大きく巨大な爪。
それが、足の膝あたりまで侵食している。
胸には埋め込まれた漆黒のソウルジェムが輝いていて、腹には大きな口が牙をむきだし、背中と腰に黒い翼膜を張ったコウモリの翼のようなものがあり、飛べる。
瞳は真紅。
白目だったところは漆黒。
頭には羊のような双角が生えている。
身長は自由自在に変えることができるが、自分の元の身長以下にすることはできないし、巨大になるにしても上限がある。
触手のリーチはおおよそで8mほど。
触手を鋭利にすることで岩を貫いたり、鉄を切ったりできる。
足の鱗は龍鱗と呼ばれるもので、銃弾などは簡単に弾き返すことができる。
翼での飛行は、高速道路の規定速度までなら出すことができる。
瞳と白目は化物になった時の代償のようなもので、特に能力があるわけではない。
腹の口は、実を言うと光線とか酸性の液体とかいろいろ出せる。
角は雷が出せる。
自分の舌に刻まれた“影”の文字から“影”を生み出し使役することができる。
その影は影に入り込むことができ、その影に彼女はどこからでも入り込むことができる。
戦闘能力は全くと言っていいほど持っておらず、ただ自立して動き、どこかの影に潜り込むだけの存在。
彼女と少しだけリンクしており、彼女の視界の中に“影”たちの視線が映るため、それを見て指揮をすることも可能である。
言わずもがな変身能力。
骨格から何から何まで変えることができる。
主に“名前のない化物”で常に化物になってしまった自分の容姿をそれ以前の人間だった頃の自分に戻すことに使う。
実を言うと、ソウルジェムを体内に取り込んだのはこの能力の応用だったりする。
食したものの記憶を覗き見ることができる。
この能力の服地効果として、岩や鉄、人には食べれないものも食べることができるようになっている。
例えば、とある道のコンクリートの破片を食べたとする。
そのコンクリートがいつここに来たのか、このコンクリートの上を通った人は?雨に何回晒された?
などなど、様々な記憶を瞬時に引っ張り出すことができる能力。
彼女はグリーフシードを喰らうことにより、魔力回復と同時に魔女になる前の魔法少女の記憶を自分の戦闘経験として蓄積している。
漆黒のソウルジェム
元から汚れているソウルジェム。
なぜかは不明だが、ほかの魔法少女とは違い、絶望しようが魔力が切れようが魔女にはならない。
おそらくは完全にデメリットにしかならない願いの代償であると推測される。
同じ魔法少女の汚れを吸い取り、それを自らの魔力に変えることが可能。
魔力が切れるとあたりの生物を手当たり次第に食い散らす怪物となるが、数時間で元に戻る。
心臓とどうかしているため、彼女を殺すには心臓を貫かねばならない。
ステータス
筋力 AAA(トラックを正拳突きで一発スクラップにできる程度)
体力 B+(シャトルランで体力賞もらえる程度)
スピード A(高速道路を走行中の車と並走できる程度)
魔力 EX(途切れたら理性をなくし、周囲を破壊し尽くすが、それだけで魔女になりはしないので無限といってもいい)
幸運 B+(15回買って宝くじで三等が当たるくらい)
耐久 S(すぐに再生するため)
概要
本作の主人公。
名前の由来はぶっちゃけ適当。
というか作者が作るオリキャラは全て名前が適当である。
伸ばしっぱなしの黒髪をまとめて、適当に縛っている。
それなのに髪はさらさらでつやつや。
うらやましい。
好きなテレビ番組は笑点。
至って普通の中学生だったが、キュウべえにより自らの体を化物にしてしまった。
彼女は他人と違うことがしたかっただけと言ってはいるが、完全にキガクルットル。
お前本当に中学生か。
思春期をこじらせすぎた美少女である。