東方霊眼魂   作:壁画(笑)

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プラネット眼魔さんほんとすこ。


第29話 「協力!空への挑戦!」

 

ゴーストがゴエモン魂に変身した翌日、零の家には、大梅友長に憑依した坂本龍馬が来ており、妖夢の作ったご飯を食べていた。

友長と友長の父親の和解をさせて、”薩長同盟”を成立させなければならない。そうは思っている零だったが、そうさせない原因があった。

”牙裂魔”。外の世界で零を殺した裂魔であり、零が幻想郷でライダーとして戦う原因となった裂魔でもある。

さらに、零と祐が束になって、やっと互角。という程の強さを持っているのだ。零は今まで戦ってきた裂魔とは一味違うような気がしていた。

 

「行けばいいんじゃない?」

 

「え?」

 

薩長同盟と牙裂魔、どっちを優先すればいいのか。と零が悩んでいると、隣から鈴仙が声をかけてきた。

 

「だから、薩長同盟の事は私達に任せて、アンタは自分の敵を取ればいいのよ」

 

しかし……。と反論しようとする零だったが、鈴仙が指で妖夢と七騎を示す。

零が鈴仙に示された通り、二人を見ると、サムズアップして、行ってこい。と目で訴えていた。

 

「……ありがとう。じゃあ七騎君!俺の分も頼むよ!」

 

「ええっ!?俺っスか!?」

 

「うん。友長君の目的を何とか果たしてあげて!」

 

そこまで言って、零は家を飛び出して行く。その後ろ姿を見守っていた鈴仙は七騎に視線を合わせる。

 

「さて……行って来なさい七騎」

 

「お、押忍!頑張るっス!」

 

「うむ、儂の憑依している此奴の夢を叶えんとのぉ!」

 

「零さんの分も頑張ってくださいね!」

 

龍馬の意思から友長の意思に変わると、七騎は友長の手を取って、家を飛び出し友長の家へと急ぐ。

離れていても心が繋がっている。とはこの事を言うのだろうか。彼らにはとても強い一体感があった。

 

 

 

===== 七騎 side =====

 

 

 

昨日、アニキは自分を殺した張本人に会ったらしい。それもかなりの実力者だと言う話だ。

この幻想郷で、まともに裂魔と戦える事が出来るのは、アニキと祐さんぐらいだが、その二人が力を合わせて戦っても互角らしい。

戦える事の出来ない俺でも、せめてアニキの助けになりたい。俺がアニキの代わりに薩長同盟を成立させるんだ。

 

しかし、薩長同盟を成立させるためには、友長と友長の親父さんの対立を何とかしなければならない。

前を歩いている友長に、どうして対立してしまっているのか。その事を聞く事にする。

 

「友長、何で親父さんと喧嘩してるんスか?」

 

「あの大きく青い空に行く為には、果てしない努力と大勢の人との協力が必要なんだ……そう教えてくれたのは父さんだったんだよ。あの頃は良かったなぁ……」

 

俺の質問を聞いた友長は、一瞬動きを止め、そこに座ろうか。と、適当な所にあった椅子に座り、まずは自分の夢について軽く語った。

友長の顔は、昔を思い出し、あの頃は良かったと思い出に浸っていた。だが、その顔には、少しだけ悲しみが見えていた。

 

「何か……あったんスか……?」

 

「………兄さんが死んじゃったんだ……」

 

突然放たれた驚愕の真実。自分の友達からも知らされていなかった真実に、俺は目を見開き、立ち上がる。

そんな大事な事なんで俺に言わなかったんだ。という言葉が口から出そうになるが、友長の性格を思い出した俺は、その言葉を飲み込んだ。

 

大梅友長という人間は、他人の気持ちを理解し、そして助けようとする心優しい人間である。

さらに、まるで女と見間違うような仕草の数々が可愛く、寺子屋でも屈指の人気を誇っていた。今もその仕草は抜けていないようだ。

その一方で、他人に迷惑をかけたくない。という人間でもある。どんな事も自分だけで解決しようとしていたのだ。

だからこそ、友長は言えなかったのだ。「自分の兄が死んだ」という事を周りの人が知ってしまうと、迷惑をかけてしまうかもしれない。と思ったのだろう。

コイツは、友長は苦しんでいたのかもしれない。自分の兄が死んだという事を、周りに話さず、自分一人で背負っていたのだから。

 

「兄さんは父さんと一緒にロケット開発計画に参加してたんだ。けど、父さんと兄さんはちょっとした事で喧嘩しちゃって……その日、兄さんは人里の外に出てしまって……」

 

「妖怪に襲われて死亡……というわけっスか……」

 

「それ以来、父さんはロケット開発に関わらなくなって…僕は父さんにロケット開発計画に戻って欲しいんだ……父さんと一緒にロケットを開発させるのは僕と兄さんの夢だから」

 

言い切った友長の顔は、今まで見た以上に暗く、まるで諦めているかのようだった。

友長のこれほどまでに暗い顔見たことがない。それに、こんな顔コイツに似合わない。

気づいたら、俺の口からは一つの言葉が出てきていた。

 

 

「薩来さんに会いに行くッスよ」

 

 

 

===== 零 side =====

 

 

 

自信満々で、牙裂魔を探して自分自身の敵をとる。と言って家を出てきたものの、全く心当たりがない。

さて、これから何をするべきか。と考える。やはり人里の外に出て探すべきか、新しく出来た団子屋で一休みするか……明らかに後者はない。

だが人里の外は広すぎて場所を特定出来ない。むやみやたらに空を飛んで探すのは霊力の無駄にもなる。

こんな時にユルセンがいれば探してくれるのになぁ。と思ったが、昨日ユルセンを振り回したせいで今日気分が悪くなっているそうだ。何やってんだアイツ。

 

ゆっくりと人里の大通りを歩いていると、七騎君と話している友長君が見えた。あの二人が話しているところを見ていると、友長君が女の子に見えるのは何故だろうか。

七騎君が友長君を説得しているようにも見えたし、俺は薩来さんと交渉にでも行こうかな。と思い、俺は大梅家へと走っていった。

 

「折角だし、最近身に付けたあの技でも使ってみるかな……」

 

 

 

===== 祐 side =====

 

 

 

永遠亭の病室内、俺は愛すべき妹、カナミが入院している病室に入る。

赤と青の半分半分の服を着た医者が言うには、かなり回復していて、もう少しで退院出来る所まで来ているらしい。

カナミは俺に気づき、布団から起き上がった。

 

「お兄ちゃん。来てくれたの?」

 

「ああ。もう少しで退院出来るそうだな」

 

俺は、持ってきたみかんの皮を剥いていると、こっちを見るカナミの視線に気づいた。一体どうしたんだ。とカナミに問う。

 

「お兄ちゃん……零さん達を助けなくていいの?」

 

「……俺には関係ないよ」

 

アイツは一人で何とか出来る。何故ならば、アイツはとっくに俺を追い越しているのだから。だが、それが言い訳の理由になるわけではない。

ふとカナミの方を見ると、口を押さえてクスクスと笑っていた。何がおかしいと言うんだ。

 

「嘘ついちゃだめだよ。昔からお兄ちゃん正義感強かったもんね」

 

「俺はそんなに出来た人間ではないよ…それに、お前が……」

 

「私のことはいいから。もうちょっとで退院出来るって聞いたでしょ? だから……」

 

「……分かった。行ってくるよ、カナミ」

 

カナミの言いたい事は分かった。自分のことを心配せずに、零達を助けてあげてくれ。と言っているのだ。

妹の願いを聞くのが兄の役目だ。俺はカナミのいる病室を後にして、人里の方へとマシンフーディを走らせた。

人里へ行くには迷いの竹林を抜けなければならないが、俺は極度の方向音痴であるため道が全くわからない。行きは妹愛で何とかなったが帰りはどうなる事やら。

 

 

 

===== 三人称 side =====

 

 

 

七騎は何とか友長を説得し、友長の家である鍛冶屋に着いた七騎と友長だったが、鍵を持っている友長は一向に鍛冶屋の中に入ろうとしない。

今日で友長の家を見るのは二回目だった七騎だが、寺子屋に通っていた時には友長の家には一度も来たことが無かった。

何か秘密でもあったのだろうか。と七騎が考えていると、友長がやっと口を開いた。その口から出てきた言葉は七騎の望んでいた言葉ではなかったが。

 

「やっぱり……会っても無駄だよ……」

 

「なぁに諦めてんスか!」

 

もう一度説得を試みようとする七騎と、もう無理だと諦めている友長。

その二人が口論をしていると、そこに”あの幽霊”が近づいてきた。

 

「ヘイヘーイ、困ってるね汝?」

 

「あ、アニキ!?牙裂魔はどうしたんスか!」

 

「ちょっとね……じゃあ、俺が薩来さんと会ってくるよ」

 

そう、零である。彼も鍛冶屋を目指していたが、丁度そこに七騎と友長がいたのだ。

薩来と会う。と言った零だったが、玄関には鍵が掛かっているのに、どうやって入るというのだ。と二人は疑問に思っていた。

しかし、次の瞬間、零の姿が消えた。いきなりの出来事に、二人は驚きを隠せずにいた。

 

「あ、アニキぃ!?どこに行ったんスか!?」

 

「え!?えぇ!?零さんが消えたっ!?」

 

「実は霊体化してるだけなんだよねぇ……って聞こえてないか。じゃ、あとは任せろーバリバリ!」

 

零は幽霊とはいえど、今までずっと”実体化”している為、モノに触れることが出来る。

しかし、最近零が身につけた技”霊体化”はモノを全て”すり抜ける”ことが出来るようになる技である。ちなみに幽霊でしか出来ない技である。

零がこの技の名前を「インビジブル・ジツ」と考えていた事は完全に余談である。

 

霊体化した零が鍛冶屋の中に入る。薩来を探そうとするが、作業場に薩来はいない。

一体どこにいるのか。と探していると、物音のしている部屋があり、扉が開いていた。

だが零は扉から入らない。インビジブル・ジツ……霊体化は壁すらもすり抜けるのだ。ジッサイ凄い。

物音のしている部屋には薩来がいて、一つの写真を手に取っていた。おそらく鴉天狗が現像したものだと思われるが、そこには薩来と友長、そして友長の兄と思われる人物が写っていた。

 

「……あの頃が一番良かったのかもしれないな…俺と__……お前がいた時が……」

 

少し聞こえない箇所があったが、写真を見ている薩来は、とても寂しそうな顔をしていた。

 

「__はお前の意志を次いで頑張ってるぞ……俺も協力してやりたいよ……」

 

「だったら!」

 

「ッ!?どこから入ってきた!」

 

薩来の言葉を聞いて、零は思わず霊体化を解いてしまう。

 

「そんな事は良いんですよ!貴方の息子が協力を求めてるんだよ!助けて上げろよ!」

 

「息子……か……俺は辛いんだよ…もう一度、大切なものをなくしたくたいんだよ……帰ってくれ……帰ってくれ!」

 

急に立ち上がった薩来は悲痛な表情をして、自分の部屋から零を追い出した。

扉を閉められてしまった零は、仕方ない。と鍛冶屋の前に戻っていった。

 

 

 

===== 祐 side =====

 

 

 

迷いの竹林、マシンフーディを走らせている俺は、まだ迷っていた。

やはり方向音痴というのは辛いものである。自分がどこにいるかも分からない。

妹紅がここら辺にいると思ったが案の定いない。さて、案内役もいないしどうすればいいのか。

 

「……………む?」

 

道中、気になるものを発見した。雑魚の裂魔の大群である。その大群が一斉に一つの場所へと行っていたのだ。

何かおかしい。と思い、マシンフーディを止めて、バレないように裂魔達を追跡する。

物陰にかくれながら尾行していると、裂魔達は一つの奇妙な岩のような物に近づいていった。

一体何をしているのか。まだ距離があるため、裂魔達が何をしているかが分からなかった。もう少し近づこうとするが、物音でバレてしまった。

俺に近づいてくる裂魔達。この状況を切り抜けようと、ゴーストドライバーを出現させ、スペクター眼魂をセットし変身する。

 

「……変身!」

 

【カイガン!スペクター!】【レディゴー!覚悟!ドキ!ドキ!ゴースト!】

 

「ふっ!はあっ!」

 

己の拳で裂魔達を撃退していくが、雑魚どもは次々と俺に襲ってくる。例の黒い虫のように、一体いたら数十体はいると考えた方がいいのだろうか。

ここは広範囲攻撃で一掃しようと、ツタンカーメン眼魂をゴーストドライバーにセットする。スペクターゴーストが霧散して、トランジェント体となった俺にツタンカーメンゴーストが憑依する。

 

【カイガン!ツタンカーメン!】【ピラミッドは三角!王家の資格!】

 

ガンガンハンドを召喚し、コブラケータイと合体させてゴーストドライバーのグリットアイに目の紋章の刻まれた部分を近づけてアイコンタクトさせて、ガンガンハンド・鎌モードを振り回し、周囲の敵を一度に攻撃する。

 

【オメガファング!】

 

「はあぁああぁあぁっ!」

 

裂魔達は全て消え、この場には俺とマシンフーディだけが残された。

ゴーストドライバーからツタンカーメン眼魂を取ってカバーを閉めて変身を解除させる。

 

「早く竹林を抜けなければな……」

 

 

 

===== 三人称 side =====

 

 

 

「……ってわけなんだ。七騎君………」

 

「そうっスか……」

 

霊体化を解いて、鍛冶屋の前に戻ってきた零は、七騎に薩来の言っていたことを話した。

 

「どうしてなんスか……二人とも思いは同じの筈なのに……っ」

 

七騎と零が、二人がどうしたら協力出来るか。と、頭を捻って考えている。

しかし、友長は完全に諦めたのか、一言残して、その場から去ろうとしていた。

 

「いいんです……気にしないでください……」

 

友長は鍛冶屋の前から離れようとするが、七騎は友長の手を取り、話しかける。

 

「友長!俺は見てみたいんスよ、友長と薩来さんの努力の結晶が……二人で作ったロケットが!」

 

「っ………でも……」

 

まだ覚悟を決めていない友長は七騎の手を離させようとする。しかし七騎は離されないように強く手を握る。

そんな攻防が背後であったが、零は鍛冶屋の玄関をドンドンと荒々しく叩いた。

扉の向こうからは誰かが歩いてくるような物音がするが、先ほど家の中に侵入した零はこの足音は薩来だろうと分かっていた。

 

「夢に近づきたいなら自分から行かなきゃいけないってよく言うでしょ。だからしっかり薩来さんと話して、夢を叶える努力をしないと」

 

「そうっスね………行こう、友長!」

 

「あ、え、ちょっと!」

 

薩来が玄関を開けた瞬間、薩来は、またお前らか。というような表情をして、扉を閉めようとする。しかし、零は扉を抑え、閉じれないようにした。

七騎は薩来のすぐ傍に友長を移動させて、自分は二人の前に位置するように立つ。

 

「何度も何度も……君達もしつこいな……前から言っているだろう、答えは」

 

薩来の言葉を遮るように、七騎は言葉を放つ。

 

「二人の!……二人の夢は一緒のはずっス!それなのに……どうして夢のために協力出来ないんスか!」

 

「七騎君……気持ちは嬉しいよ…けれど……」

 

「友長のお兄さんは、もう死んでしまっているんスよ!お兄さんと一緒の夢を目指していたのなら!生きてる二人が頑張って……”三人の”夢を果たさなきゃ……っ!」

 

死んでしまっているお兄さんの代わりに、二人が夢を果たさなければ、お兄さんは報われないだろう。そう考えていた七騎は、自分の意見を言いきった。

その言葉を聞いて、薩来は空を見上げてこう呟いた。

 

「アイツは……こんな父親を許してくれるのだろうか……」

 

「……勿論だよ!僕も……兄さんも!お父さんの背中を追っていたのだから!」

 

友長は薩来に向かって手を差し出し、薩来はその手を握る。二人の顔には笑顔が見えていた。この絆は、もう崩れる事は無いだろう。

同時刻、白玉楼にあった一つの魂が、輝きながら天に登っていったという……。

 

 

 

【GHOST・・・『01 MUSASHI』『02 EDISON』『03 ROBIN HOOD』『04 NEWTON』『05 BILLY THE KID』『06 BEETHOVEN』『07 BENKEI』『08 GOEMON』】

 

【SPECTER・・・『11 TUTANKHAMEN』『12 NOBUNAGA』『?』】

 

 

===== 次回予告 =====

 

 

「嫌々言いながらロケット作ってたんスね!」

 

「君には心底失望したよ……!」

 

『夢というモノは、欲望を都合よく言いかえただけだ』

 

「『俺には夢はない。でもな、夢を守る事は出来る』ってな!」

 

【目覚めよ日本!夜明けぜよ!】

 

 

 

《第30話 「自由!革命の風雲児!」》




ライバルポジションの筈なのに全然出てこない牙裂魔さんェ……。
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