喰種を狩る喰種   作:名無しのカビゴン

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どうも、ビートマンです。
大幅に遅れてすいませんでした!
これからはできるだけ早く更新できたらいいなと思っています。


第6喰目 渇望

「ハァッ……ハァッ……!」

 

 真夜中の街角から、男の荒い息遣いが聞こえる。

 

 男の体は血にまみれており、服は破け、左腕がおかしな方向に曲がっている。

 時間が経つごとに男の体は徐々に治癒されているが、負っている傷が重すぎて治癒が追いつかない。

 

 赤黒い(・・・)目をしたその男の表情は、恐怖一色に染まっていた。

 

(なんなんだよ! あのガキ(・・)は!!)

 

 ──そう、この(喰種)をここまで追い詰めているのは、まだ年端もいかない子供だったのだ。

 

 喰種としての血は強くないにしても、彼は大の大人である。

 いくら何でも子供には勝てると思っていたが、それは思い上がりだった。

 

 ──あれは恐ろしい化物だ。

 

「とにかく、見つかるのも時間の問題だ……早くどこか遠くへ──」

 

 

Found you.(見つけた)

 

 

 背後から聞こえた、まだ幼さの残る少年の声。

 男は、驚きで思わず心臓が止まるかと思った。

 

 後ろを振り向く事が、なぜこれほどまでに恐ろしいのか。

 しかし、ここで振り向かないままでいるのはもっと恐ろしい。男は振り向かざるを得なかった。

 

「何で勝手に逃げちゃうかなぁ。マジで困るんだよねー、あんま周りウロチョロされるとさ」

 

 目の前に立っている隻眼(・・)の少年は、困ったように笑っている。

 決して威圧しているようには見えないが、男にとっては、目の前の少年が何よりも恐ろしかった。

 男は怯えた目で、少年を見る。

 

「な……何だよお前っ! 何で俺を狙うんだよ!!」

 

「え〜? それ答えなきゃいけないの?」

 

 少年はあからさまに面倒くさそうな顔をする。

 はぁ、とため息をつき、一瞬で表情を──冷たいものへと変える。

 

 

「……(ちから)だよ」

 

 

 少年は、無表情に揺るぎない信念を滲ませる。

 男はその少年の言葉に目を見開く。

 

「“勝てば官軍負ければ賊軍”って、知ってるかな? どれだけ崇高な理念を掲げても、力が無ければ何の意味もないんだ。それがこの腐った世界の本質だろ? そいつがどんなに悪党だったとしても、力があれば生き残る。Might makes right.(力こそが正義さ)Understand(分かるかな)?」

 

 少年は自分なりの理論を話す。

 並べている言葉は、どれも子供が言っているとは思えないものばかりだ。

 だが、なぜか目の前の少年がその言葉を言っても、不思議と違和感が無い。

 

Without strength,you can't protect anything(力がなければ何も守れないんだよ)……let alone yourself(自分の身さえもね).」

 

 もはやどこでそんな流暢な英語を覚えたのか、なんて疑問は湧いてこない。

 男は少年にいいように言われ、下唇を噛む。

 しかし少年の言う通り、今の自分は少年にされるがままになっている。

 無力な自分が情けなくなった。

 だが、情けなくなっている暇など、今の俺にはない。

 

 

 ズズズズズズ……

 

 

 少年は、両肩(・・)の肩甲骨から甲赫を出す。

 形が徐々に作られていき、腕の周りでとぐろを巻いたあと、三本の爪状に分かれた。

 

 まだ小ぶりだが、その形や色のお陰で、何とも禍々しい雰囲気を放っていた。

 三つの先端、刃は鋭く、月明かりに反射して光を放っていた。

 その妖しくも美しい光を見ていると、これでどんな物でも斬れてしまうのではないか、と思えてならない。

 

 しかし、男の意識は既に別の所へ向かっていた。

 それは、目の前の少年が赫子を出現させた、ということ。この時点で、男は少年の意図を完全に理解した。

 いや、理解してしまった(・・・・・・)

 

 

 ──コイツは、間違いなく俺を殺す気だ。

 

 

「悪いけど、あんたには俺が強くなるための犠牲になってもらう。悪いな」

 

「なッ!? い、嫌だ! ちょっと待ってくれッ!! 俺はまだ死にたくない!! 頼むから命だけは助け──」

 

 

Silence(黙ってろ).」

 

 

 

 ──スパァン

 

 

 

 少年は男の命乞いに耳を貸さず、右腕の甲赫を一閃した。

 男が最後に見たのは、路傍の石を見るような少年の目と──首から上が無くなっている自分の体だった。

 

 

 

 

 

 

────────────────

 

 

 

 

 

 

 龍哉Side

 

 父さんの肉を喰らって過去との決別をしてから、しばらく時間が経った。

 

 父さんのRc細胞は俺の体の一部となり、俺の喰種としての力を確実に強めていた。

 

 間違いなく自分の体が強くなっている事を確信している俺は、それからというもの、夜な夜な外に出ては芳村さんに内緒で“共食い”をしている。

 

 喰種の肉は不味く、決して食えたものじゃない。

 が、俺はこの喰種としての血が強まる感覚(・・・・・・・・・・・・・)を得たとき、自分が誰にも負けない力を手に入れるにはこれしか無いと思った。

 

 “共食い”を続ければ、俺は大切な人を守る力を身に付ける事が出来る。

 躊躇なんてものは無い。

 俺はこれからも、俺の為に同族(喰種)を喰らう。

 

 芳村さんは恐らく、俺が秘密で“共食い”をしている事に気づいているだろう。

 体に喰種の血を纏わせて帰ってくるのだ、当然同じ喰種である芳村さんは気づくだろう。

 

 しかし芳村さんは、俺があれからどれだけ力を求めていたか、そしてどれだけ無力な自分を恨んだか……それを知っている。

 だからこそ、敢えて知らないふりをしているのだ。

 

 でも、“喰種を喰いまくって強くなりたい”なんて言えるわけないしなぁ。

 こればっかりは仕方ない。

 

「……タツヤ? どうしたの?」

 

「……ん? ああ、何でもないよ、母さん」

 

 俺は今、母さんと買い物をしに来ており、その帰りだ。

 母さんは最近、ようやく精神的に安定してきて、外出も出来るようになった。

 

 しかし、父さんを連想させるような物を見せると、精神状態が一気に崩れてしまうかもしれない、と医者には言われた。

 だから、普段の生活にも細心の注意を払っている。

 

「今日の料理はどうしようかしら……」

 

「俺はいつも通り焼肉(・・)だな」

 

 無論、焼肉とは牛肉や豚肉ではなく、人肉だ。

 母さんはただの人間だけど、俺は喰種だから、食事のメニューはどうしても違うものになる。

 

 結局同じ時間に食べてるから、あまり関係ないけどね。

 つい数ヶ月前までは、食事という家族団欒の場に父さんがいないことに気づいて、その度に泣き出すから本当に大変だった。

 最近やっと落ち着いて来たところだ。

 

「さ、早く帰るわよ」

 

「うん!」

 

 母さんがようやく、昔のような優しい母さんに戻ってくれた。

 俺はそれが本当に嬉しくて、これ以上無いほどに上機嫌だった。

 

 

 だからだろう。

 

 俺はこの時──後ろから迫る気配に気づかなかったのだ。

 

 

 

 

 

「おお、随分べっぴんな人間がいるじゃねェか。ん? あのガキは……へぇ、珍しいな。少し混ざってやがる(・・・・・・・)。まァ所詮ガキだ、このSレート喰種の“黒鷹”サマの敵じゃねェぜ……よし! コクリアのクソ不味いメシにはいい加減飽きた。今日のご馳走は──あの女だ」

 




はい、次回戦闘回です。

更新が遅れてすいませんでした!
こんなダメ小説なんか見てる人ほとんどいないでしょうが、そのほとんどの方、どうかこれからも宜しくお願いします!
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