誤字修正しました。
報告感謝です。 >(ΦωΦ)さん
HK01船団が香港を出航してから2日目。
2列縦隊の14隻の商船を、前後左右に配した扶桑とリベリオンの9隻の護衛艦隊が囲んでいる。
船団はそれまで沿岸部の基地航空隊の援護を受けられるよう大陸近海に航路を取っていた。しかしそれも
しかも
「発見できるということは、対応もできるということだ。どのみちこれを越えなければ輸送作戦は成り立たん。船団は速度最大!各艦警戒を厳にせよ。トゥーランからの迎えの護衛機をなるべく早く飛ばしてもらうよう依頼するのだ」
船団は予定航路を突っ切ることになった。
そしてトンキン湾口へ入って100kmほどに船団が差し掛かった頃。
船団左翼先頭にいたリベリオンのラッデロウ級護衛駆逐艦マクナルティーが、リベリオン製のQBFソナーで水中に不審なものを見つけた。
「こちらマクナルティー。前方2時方向の水中に不審物を探知。これより接近、確認する」
≪こちら護衛船団司令部、了解。
指示を受け、マクナルティーと同じく船団前方で右翼を警戒していた
マクナルティーは探知付近に急行すると速度を落としてソナーの感度を上げ、アクティブソナーで探査を再開した。
「コンタクト! 方位前方5度、距離1100ヤード」
「よし! 詳細解析急げ!」
マクナルティーから探信音が範囲を狭めて発射される。
「目標深度195フィート。速度10ノット!」
「結構速いな。よし、ネウロイと判断し攻撃する! 取り舵、敵の後方に回り込む。爆雷投射用意!
マクナルティーは左からぐるりと回ってネウロイの後方から接近した。
「まもなくネウロイ直上!」
「ソナー停止! 爆雷投射始め!」
マクナルティーの両舷に4基ずつ並んだK砲と言われる爆雷投射機がボンボンと煙を上げ、斜め上に向かってドラム缶のような形をした爆雷を飛ばした。左右両舷に落下した爆雷は毎秒2mほどの速度で沈降していく。ネウロイより速い速度でその上を通過したマクナルティーの後方で、予定深度に到達した爆雷が爆発し、海上に水柱を上げた。
マクナルティーの後方からその後を追うようについて来た
「どうだ、やったか?」
「……おかしいです、見当たりません。……いや、います! ……左、342度、深度80m、に感あり!」
「くそっ、左に旋回しつつ潜って逃げたってことか?」
「本艦が攻撃を引き継ぐ! 進路342、爆雷投下用意!」
敵の真上を通過しながら爆雷を投下散布するこの攻撃法は、爆発からソナーを保護するため攻撃時にソナーを停止するので、肝心の攻撃中は敵を捉えていない。直前の探知情報を基に“この辺にいるはず”という辺りにばら撒くことになる。
「爆雷投下!」
ドラム缶型爆雷の沈降速度は毎秒約2m。深度80mに到達するまでには40秒かかることになる。この時間は敵から見れば回避行動によってその場から離れる時間を稼げることになるため、沈降速度は速ければ速いほどいい。しかしドラム缶型の爆雷はゆらゆらと揺れながら沈むため、必ずしも同じ速度では沈んでくれなかった。しかもソナーはスクリューが出す雑音のせいで艦の後方を聴音することができず、攻撃艦は敵直上通過後も後方にいるはずの敵の状態を知ることができなかった。こういうとき離れたところにいるマクナルティーが探知すればよいのだが、自艦が攻撃してから探知態勢に入る前に
「どうだ」
「破片などの浮遊物もまだ確認できず、戦果不明」
「マクナルティーは?」
「ソナー探査開始するも、現在敵影ロストとのこと」
「くそっ!」
戦闘海域から離れ、マクナルティーと
魚雷攻撃だ! 潜水型ネウロイの魚雷攻撃!
絶句しているのも束の間、
ものの10分ほどの間に左列の7隻の商船のうち5隻が黒煙を上げて停止、もしくは止まりそうなほどに速度を落としていた。停止した商船からは救命ボートが下ろされ、早くも乗組員が退船を始めている。
一方、最初に船団前方でネウロイを発見して攻撃に向かったマクナルティーと
ネウロイは浮上すると、その2隻を確認する。ネウロイの体の前方上部にコブのように膨らんでいるところにある一つ目のようなものが、まるで獲物を捉えてほくそえんでいるように赤く輝いた。
その時、
「本艦後方、170度、水上に感あり! 距離、1600m!」
艦橋にいた者が一斉にその方向を見たとき、真っ先に目に入ったのは白い雷跡だった。その魚雷は
ズドーンという命中音とともに破片が飛散し、
「2番砲、3番砲、奴を砲撃しろ! 25mm機銃も射撃せよ!」
艦長が冷静に反撃を指示する。
反撃を受けたネウロイはすぐに水中へと姿を没したが、まだ浅いうちに砲弾が着弾し損傷を与えたらしく、白い金属片が飛び散るのが見えた。
「やったぞ!」
「続いて爆雷戦用意! ソナー、奴を捉えろ。取り舵!」
しかし四式水中聴音機が真っ先に捉えたのは、
「魚雷! 本艦に向かってきます!!」
ネウロイを追撃しようと
「左翼駆逐艦
「マクナルティー、
「船団左列貨物船3隻沈没、2隻大破停止! 海防艦
旗艦の
「ネウロイは?!」
「
「……」
船団の商船は右列の7隻のみとなっていた。その右側にリベリオンのエドサル級護衛駆逐艦2隻、船団の後方に扶桑の若竹型2等駆逐艦が1隻。左側にいた残りの貨物船と護衛艦は全て後方に置いていかれ、残存船団の左側はまったくのがら空きである。確認されたネウロイは2隻だが、いずれも沈められていない。マクナルティーと
「被害が拡大する前に撤退した方が……」
苦渋の決断が下された。
「やむを得ん……。
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複数の潜水型ネウロイに待ち伏せのような襲撃を受けたのは、HK01船団だけではなかった。SG01船団もほぼ同じような状況で、同じような大損害を受けたのだ。
SG01船団の最初の直掩につき、元気に進んでいくところを見届けたシィーニーは、シンガポール海峡にぼろぼろになって帰ってきた船を迎えにいくという、心痛む任務をこなしてきたところだった。
しょんぼりと滑走路に降り立ったシィーニーと迎えの整備兵達に、あまり落胆もしていなければ覇気に溢れる様子もない、いつも通りのバーン大尉がやってきた。
「明日、一番損害のひどい扶桑の海防艦と旗艦が戻ってくる。明日1400、軍曹はこれの護衛のため出撃するように」
「はーい……」
元気なく返事をした。
そこに
「着陸機あります。滑走路空けてください」
と声がかかった。
見上げると、かなりの機数の大型機が着陸進路についているのが見えた。
対潜水艦戦のノウハウを持ってない人達の闘いというのを想像してみました。
この船団の特によくなかったところは、連係プレーがないことと、陣形、で考えてます。
次回は、前に予告しておりました、シィーニーちゃんに届けられるというまたまた新しいストライカーが登場します。