銀魂単編小説   作:Gintoku

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これで終わりです。


酒呑童子vs侍と夜兎 終章

酒呑童子vs侍と夜兎 終章

 

そして眼の前に立つ酒呑童子。

全員汗を垂らす。

 

瞬時に動く酒呑童子は、彼等4人の背後に現れる。

全員の首を一瞬で攫おうとする酒呑童子の剣が大きく振るわれる。

神威がその剣を傘で受け止め「見えてないとでも?」と口走ると、もう片方の手の手刀で剣を折ろうとする。

だが神威の手が届くより先に、酒呑童子の蹴りが神威の腹へ直撃する。

「っが」と神威は血を吐き出し吹き飛ぶ。その時酒呑童子の首を狙う剣が一振り。

それを振るう土方、酒呑童子は上半身を後ろへ曲げ簡単にかわす。

前へ戻そうとすると、沖田が酒呑童子の身体にしがみ付き動きを封じる。

 

飛び上がり、銀時は酒呑童子の胸へ向けて木刀の鋒を向かわせる。

酒呑童子は左足の筋肉に全力の力を込め、その鋒を受け止める。

だが、鋒のほんのわずかな部分が食い込み血が滲み出る。

銀時は瞬息で右手に持つ刀を酒呑童子の顔面へ向かわせる。

獲った。銀時はそう確信した。その刀は酒呑童子の顔に突き刺さる。皆が勝ったと確信した。

だがその淡い希望が砕かれるかのように、酒呑童子は銀時の刀の刀身の3割近くを噛んで受け止め、それを食い砕く。

 

銀時も驚愕する。朧戦で同様の事を銀時もやったが、酒呑童子はそのまま飲み込んだのだ。

そしてしがみ付く沖田の力を超え、バッと上半身を戻し、額を銀時の顔面へ激突させる。

頭部の右側から血が噴き出しながら銀時は地面へ落ちる。

酒呑童子は土方を蹴り飛ばし、沖田を振り払おうとすると、沖田は瞬時に後退し、酒呑童子へ向けて連続で斬撃を繰り出す。

その刀身を親指と中指の間に挟み、沖田の剣は動かなくなる。

そのまま沖田の腹を蹴ると沖田は吹き飛び、岩場に激突する。

 

立てない4人を見渡す酒呑童子。「女がいなくなって確かに強さに変化は出たが......緩い......こんな程度でよく私に楯突いたものだ」とあざ笑うかのように口走る。

土方は頭から血がながれ顔に何本も血の線が通っている。

神威も2、3本程度だが、胸骨にヒビが入っている。

沖田も土方と同様。

銀時は頭の右側に酒呑童子の額を食らったため、深い傷ができかなり血を流し、顔の右半分が血線や血だらけになっている。

 

4人は再び立ち上がる。息を切らす4人。酒呑童子は彼らを見渡す。「まだ立つか」とあざ笑う。

4人は連帯して酒呑童子を囲い、四方から同時に剣や傘を酒呑童子へ振るう。

右側にいる沖田の剣を右手で鷲掴み、正面にいる土方の剣を右足の平で受け止め、裏にいる神威の傘を左手の剣で受け止め、左側にいる銀時の二刀を左腕の肘で受け止める。

 

全員力を込めても受け止められた剣は全く微動にしない。

そのまま酒呑童子は笑みを浮かべ、身体をとんでもない力で回転させ4人を振り払う。

そしてとんでもない速さで酒呑童子は銀時へ突進し右手の刀を銀時へ振るう。左から右へ振るう酒呑童子に対し、銀時も左から右へ右手の剣を振るう。

剣同士は衝突し、互いに右へ振り終えた刀。

だが粉々になった刃は舞い、銀時の刀が折れていた。そして右脇腹が斬られ血を吐く銀時は舌打ちする。だが痛みに耐えそのまま左手の木刀の鋒を酒呑童子の顔面へ向かわせる。

 

酒呑童子もその速さをかわしきれずに、その剣は酒呑童子の仮面を砕く。更に頬骨に傷が付き血が舞う中、酒呑童子は左手で銀時の顔面を鷲掴み、猛烈なスピードで銀時の背後にある岩場に銀時を激突させる試みをする。

だが銀時も戦場を支配した白夜叉。右手の持つ折れた刀を酒呑童子に顔面を掴まれた腕に突き刺す。

 

ブシュウ!!!!と血が舞う酒呑童子の力が緩み、銀時はそのまま左手の木刀で酒呑童子の顔を殴り、酒呑童子はそのまま後退する。

顔面を掴まれた所為で銀時の頭からの流血が増える。

 

バランスが崩れた酒呑童子に追い打ちをかける沖田と神威。

神威は全力で酒呑童子の両腕を酒呑童子の後ろに回し、そのまま全力で酒呑童子の両腕を封じる。

そして沖田がそのまま酒呑童子を斬ろうとすると酒呑童子は右手の蹴りを沖田の腹へ衝突させる。

「ガハッ!!!!」と大量の吐血をする沖田は吹き飛び岩場に衝突する。

その衝撃で沖田の剣は空中に舞う。

 

ーーすると酒呑童子の眼を埃が襲う。眼が眩んだ酒呑童子は一瞬戸惑う。振り上げられた酒呑童子の右足を土方の剣が貫き、そのまま剣を地面へ刺し込ませ酒呑童子の右足を封じる。

酒呑童子は自分の両腕と右足を封じる神威と土方をあざ笑い「その軟弱な剣でどこまで粘る」と問う。

 

ーーその問いに答える声が一つ。

「てめェを斬るまで」と言ったその男は、銀時は空中から落ちてきた沖田の剣を右手で受け取り、酒呑童子へ振り下ろす。

酒呑童子は左肩から臍まで深々と斬り裂かれた。ブシュウ!!!!と噴水のように血が舞う。流石の酒呑童子も血を吐き出す。

そのまま神威と土方が後退し、身動きが取れない酒呑童子に銀時は両手に持つ二刀に全力を込め、酒呑童子へ×字に振るい胸を×字に深々と斬り裂かれた酒呑童子はその衝撃で吹き飛び、背後の岩場に激突し瓦礫に埋もれた。

 

「はぁっ、はぁっ、はぁっ、はっ」疲労感の所為か銀時は中腰で立ち息を切らしている。

同様に他の3人も。今度こそ勝った。そう4人は確信した。

神威は土方へ向けて「大丈夫かい?」と問うと土方は苦笑いしながら「てめェら化け物と一緒にすんじゃねェよ......この中じゃ最弱の俺はついていけるか」と零す。

神威は笑みを浮かべ

「最弱?それは勘違いだよ......ここにいる僕らは誰もが"最強"だよ......君(土方)は頭脳において僕らの中では最強......僕は怪力と耐久性で君らの中で最強......あのお巡りさん(沖田)は剣技でこの中で最強......そしてあのお侍さん(銀時)は経験でこの中で最強......あらゆる面で最強の僕等が組んだんだ......負けるはずはない」と語る。

 

それを聞いた土方はいつものタバコを口に咥えて火を付け、表情が柔らかくなり「分かってんじゃねェか」と喋る。

そして瓦礫を退け、血塗れの酒呑童子が立ち上がる。

大粒の血がぼたぼたと地面へ零れ落ち、よろけながら瓦礫から出てくるが、立つ事がままならず跪く。

 

銀時は跪く酒呑童子へ剣の鋒を向けて「さぁどうする......まだ暴れたりねェなら......付き合うぜ大将」と口走る。酒呑童子は血相を変えて「上等」と喋り、バッと飛び瞬息で剣を振るう。銀時もそれを見切り、右手の剣を振り下ろす。

 

互いを背にし、剣を降り終えた双方。勝ったのはどちらか。

全員を息を飲み込み、見ていた。

 

ーー銀時の右手の剣が折れ、刃先が地面へ刺さった。

だが銀時は倒れない。その体制から微動だにしない。

そして酒呑童子の刀の刃が粉々に砕け散り、臍から左肩まで伸びる傷を更に斬られ、より大きく血を噴水の様に飛ばし、酒呑童子は倒れる。

そして微動にせず、酒呑童子の周りの地面は真っ赤な血に染まった。

 

銀時は笑みを浮かべ「これで満足だろ?......バカ大将」と口走り、折れた剣を捨て木刀を腰に収めた。

そして銀時は時光を抱き抱え、その戦場を背にした。

 

2週間後

 

春雨本拠地にて、帝王の座に居座る虚に報告が入る。

酒呑童子が地球で死亡したと。虚は笑みを浮かべ「反撃を開始しましたか......」と口走る。

 

 

ーfinー

 

 


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