残念だったなトリックだよ……。
<ウワァァァァァァ……
ご迷惑おかけしてすいません。
ちょっとレポートの山に追われてました。
フエンタウンに戻ってきた俺、レイさん、アスナさん、謎の少年は、とりあえずポケモンセンターにてポケモンを回復させていた。
「いやー、最後の技凄かったね!さすが最強のドラゴンとまで言われてるカイリューだったよ!」
「いや、それほどでも」
「いやいや謙遜することないよ!ジム戦の時に戦うのが楽しみだなぁ!」
あれ?何故かジム戦でカイリューを使う流れに?
というかさっきからレイさんの姿が見当たらないのだが、どこに行ったのだろうか?
「ん?あぁレイなら少年に事情聴取しに奥の方に行ったよ」
あぁ、アクア団とマグマ団と俺たちが着く前から戦っていたから一応という事か?
というか、あの少年……状況から考えて原作主人公だよな?
マツブサが"いんせき"を持っていた事から考えてもこの世界はオメガルビーを主軸にしているようだ。
時系列がわかったのは非常にありがたい。
旅をしていたらグラードンが復活してて巻き込まれましたなんて事になったら嫌だからな。
「うーん、そうだ!ロンリ君温泉入りに行かない?」
「温泉ですか?」
「うん!ずっと火山に居たから汗流さないと!」
そこの暖簾の奥から行けるからね!と言って女湯の方に去っていったアスナさんを見送って男湯の方へ歩いて行くと、ポケセンの奥の方から男が近づいてきた。
「君がロンリ君……だよね?」
「えぇ、確かに俺はロンリですけど、あなたは?」
「あぁ、自己紹介が先だったね。僕はデボンコーポレーションの一研究員のリョウだ」
あぁ、なんか覚えがあると思ったらポケセン前でウロウロしてたりしてた白衣の人か。
「"いんせき"をマグマ団の連中から取り返すのを手伝ってくれたんだろう?感謝してもしたりないよ」
「良いんですよ、俺は何もしてませんから」
「いやいや謙遜することは無い。君のカイリューが相手のポケモンを吹き飛ばしたって聞いたよ」
なんか微妙に盛られている気がするが、強く思われる事にデメリットは無いので取り敢えず黙っておく。
「そうだ!君にはお礼にこれを上げよう」
「これは?」
男……リョウさんが手渡してきたのは、少し大きめの丸い石だ。
「さっきマグマ団を探し回ってる時に拾った石でね?ちゃんと鑑定してないからわからないけれど、凄いエネルギーを秘めていそうなんだ」
「へー」
お礼にとそこら辺で拾った石を渡してくるとは、中々に失礼な人だな。
まぁ折角なので貰っておくが。
「あぁ、邪魔をしてしまったね。ここの温泉は本当に良い場所だから疲れなんてすぐ吹き飛ぶよ」
「そんなにですか」
「あぁ、温泉自体は他の町にもあるけれどここのは一味違うんだよね。やっぱり火山が関係しているのかな?」
「他の町にもあるんですか?」
「あるよ?ここから近い場所だと……ってもうこんな時間か!じゃあまた会おう!」
言うが早いか声をかける暇も無く走り去ってしまった。
リョウさん、なんか忙しい人だったな。
改めて温泉に向かうと、アスナさんが言った通り結構広い作りのようだ。
脱衣所でも余裕で30人近く入れるのではないかという程の大きさだ。
ゲームではイベントも特に無いし狭いしで結構寂しい場所だったような記憶があるが、空いているロッカーを探すのに少し時間がかかるくらいには人が入っているようだ。
改めてロッカーに服を入れてふと気づく。
タオル持ってねぇ……。
仕方ないのでもう一度服を着て外に向かうと、丁度レイさんも奥から出てきた。
「あ、ロンリ君。温泉はどうだった?」
「あぁ、タオルが無くて入れませんでした」
「あら、それは残念ね」
「えぇとても、ところであの子はどうしたんですか?」
「ユウキ君なら早速ジムに行ったわよ」
「え?アスナさん入浴中ですけど」
「えぇ?タイミング悪いわね。仕方ないからちょっとアスナ連れてくるから待っててくれる?」
「分かりました。どっちにしろ俺だけじゃジムの場所分かりませんし」
もし入浴していたらアスナさん達がジムに行ったのわから無いままここに置き去りだったし、運が良かった。
___えぇ!?まだシャワー浴び始めたばっかりなんだけど!?
___いいから来なさい!私的な理由でジムの挑戦者待たせるなんてリーダー失格よ!
そんなやり取りが奥の方から聞こえること5分、ようやく出てきたアスナさんはドライヤーで髪を乾かす時間すら貰えなかったらしく湿って重くなった髪を鬱陶しそうにかき上げながら現れた。
「せっかちなんだから……」
「あなたがマイペースすぎるのよ」
ポケモンセンターの外へ出て行く二人を急いで追いかける。
外は相変わらずサウナの様に蒸し暑い。
昨日赤くなった部分の肌がピリピリと痛みを発する。
「あぁ、声かけ忘れてたわロンリ君ごめんね」
「いえ、気にしないでください」
と、1分もしないうちにジムへとたどり着いた。
幸運なことにユウキはまだジム前に立っていた。
アスナさんがユウキに走り寄って共にジムへと入っていく。
「うん、間に合った様でよかったわ」
「そうですね」
「ロンリ君の番はユウキ君の後でしょうね」
と、成り行きでジム戦をさせられそうだが、アスナさんやレイさんもじけん解決直後で疲れているだろうし、二人が明日に向けて休む為に俺もこの後直ぐにジム戦をしたほうがよさそうだ。
自動ドアを潜りジムに入ると、丁度ユウキとアスナさんがフィールドに立ったところだった。
ゲームだとリーダーの前に何人か戦わなければならなかったのだが、ここでは違うのだろうか?
「レイさん、このジムのトレーナーってアスナさんだけなんですか?」
「いえ、いつもは弟子達が挑戦者の実力を測ってからリーダーが相手をするんだけど、今回の場合ロンリ君もユウキ君も実力は分かってるから。最初からアスナが相手するみたいね」
「それは手間が省けてラッキーでした」
「アスナも疲れてるからさっさと終わらせたいんじゃないかしら?」
と、弟子の一人と思われる男性が旗を持ってフィールド脇に立った。
___では挑戦者ユウキとジムリーダー アスナの試合を始めます!使用ポケモンは一匹。また、道具の使用は禁止とします。では、始め!
___行きなさい!マグマッグ!
___頼んだ!ヌマクロー!
あ、水・地面タイプのヌマクローだされてアスナさんが凄い面倒くさそうな顔してる。
まぁ、ユウキのお手並み拝見と行こうかな。
ユウキ視点
「頼んだ!ヌマクロー!」
事前にここは炎タイプのジムであることは分かっている。
オダマキ博士から貰ったミズゴロウ、その進化体であるヌマクローは水・地面タイプなので相性的には完全に勝っている。
あ、アスナさんが凄い顔してる。
なんとなく罪悪感が襲ってくるが、これは真剣勝負なのだ。
「ええい!先手必勝!いわおとしよ!」
「マッドショットで撃ち落とせ!」
相性的に不利なので先手を取って奇襲してきたが、落ちてくる岩を冷静にヌマクローが泥で撃ち落していく。
あたりには弾かれた岩がまばらに散らばった。
「お返しだ!ヌマクロー、みずでっぽう!」
「岩を使って隠れて!」
ヌマクローが口から水を打ち出してマグマッグを狙うがあたりに散らばった岩に隠れることでマグマッグは姿を隠して回避していく。
しまった、その為の岩だったのか。
こちらからマグマッグの姿は見えない。
だが、攻撃する瞬間は姿を表すはずだ。
と、右の岩の裏から岩が飛んでくる。
「そこか!追えヌマクロー!」
ヌマクローが岩の向こうへ飛んで行くが、すぐにこちら側に帰ってくる。
どうしたのだろうか……まさかマグマッグは別の場所にいるのか?
と、今度は左の岩の裏からマグマッグが飛び出してくる。
「スモッグ!」
直ぐにヌマクローに対して口から黒い息を吐きかけるとまた岩の後ろへと戻っていく。
「こっちも隠れろ!」
このままでは一方的に攻撃されてしまうと判断し、こちらも岩を利用することにする。
しばらく偶に岩が飛んでくる睨み合いが続くが、マグマッグは一向に姿を現さない。
ただ、ヌマクローの様子が先ほどからおかしい。
何もしていないのにまるで体力を奪われているかのように大量の汗をかいている。
理由はわからないがこのままだとマズイ。
「短期決戦で行くぞ!高く飛んでマグマッグを見つけてマッドショット!」
指示に従ってヌマクローは全力で空へ跳躍する。
右から岩が飛んでくるが、それを無視してヌマクローは左へ走り出す。
岩が右から来たので右に行けと指示しそうになるが、走り出したということはヌマクローはマグマッグを右側で発見したということだ。
ここはヌマクローを信じよう。
数瞬の後、ヌマクローのマッドショットで飛ばされたであろうマグマッグが場外に押し出された。
「この勝負、挑戦者の勝利!」
そう審判が言い切った後でヌマクローは地面に倒れた。
「ヌマクロー!」
走り寄ってヌマクローをボールに戻し、勝てた事に安心していると、観客席の方から拍手が飛んできた。
ロンリ視点
「上手い」
思わずそう呟いてしまった。
最初に"いわおとし"を相手にも聞こえるように大声で叫んで指示。
有利なフィールドを作り出すと同時に相手に、その後も"いわおとし"を使っていると思い込ませた。
だが、実際は自身とは別の位置から"げんしのちから"によって岩を飛ばしていた。
ユウキはそうと気付かずに隙を見せてまんまと"スモッグ"を受けてしまった。
運悪く"どく"状態になってしまっていたのが遠目に分かった。
多分、アスナさんの作戦は最初から"どく"で倒す事だったのだろう
だからこそ"道具の使用不可"を条件として付けた。
ユウキが最後にどくが更に回るデメリットを抱えた博打に出なければ負けていたのはユウキだろう。
と、ユウキのヌマクローが倒れてボールで回収した所で、ユウキに向けて拍手を送る。
次は俺の番なので下に降りてユウキと対面する。
「君は?」
「俺の名前はロンリ。いいバトルだった。最後の博打はすごかったよ」
「いや、結局は運だった。もっと強くならなきゃな。あ、俺はユウキだ」
ユウキはそれだけ告げるとジムの外に走って行ってしまった。
ヌマクローが心配なのだろう。
「さぁ次はロンリ君ね!隣のフィールドでやるわよ!」
「対戦よろしくお願いする以外ありえないwww!」
できるだけ余裕を見せる様に、少しおちゃらけたように笑いながらボールを投げた。
久しぶりの更新だぜ。
そのまま主人公のバトルも書こうと思ってましたけど長くなりそうなので次回にします!
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