マイ「艦これ」「みほ3ん」(第3部)前半コラボ   作:しろっこ

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秘書艦の”妹”と出会って、驚く提督。それは彼がよく知った艦娘だった。その”お付き”の女性もまた艦娘だったが……。


「みほ3ん」EX回:第104話<作戦参謀、再び>

「あの、とても……誠実な御方だと思います」

 

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「艦これ」的「みほ3ん」

 EX回:第104話<作戦参謀、再び>

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「司令、妹です」

祥高さんが指し示した先に立っていたのは、本省の”あの”作戦参謀だった。

 

<<食堂:作戦参謀再び>>

 

「し、失礼ながら……」

私は、あまりにも衝撃的な事実に少々混乱気味だった。その”妹”が作戦参謀だったことも驚きだが、それ以上に驚いたことがあった。

 

「お前も、私が”男”だと思い込んでいただろう」

(そう、それです!)

 

「ふっ」

そう言いながら作戦参謀は空いた席を引いた。すぐに、お付きの艦娘だろうか?大人しそうな艦娘が椅子を支えた。ショルダーバックを空いた席に置いて作戦参謀は着席した。すぐに”彼女”はメガネを指先で持ち上げてから話し始めた。

 

「別に男と思われても構わん。ほぼ百パーセントの男どもは私を艦娘どころか”女”とも思わんからな」

いや、その雰囲気、声音(こわね)、話し方、すべて男だよ。

 

私の独白を無視するかのように、彼女はお付きの艦娘に指示する。

「私は珈琲で良い。お前も好きなものを頼め」

 

「ハッ」

敬礼をしてカウンターのほうへ向かう艦娘。どこかで見たことがあるな。私の目線に気付いたのだろう。作戦参謀は言った。

「あの艦娘か?あれは羽黒だ。よく気のつく良い艦娘なんだがな……」

 

羽黒か。以前居た艦隊で見たな。作戦参謀が言うとおり確か重巡でありながら、ものすごい気が弱い艦娘だった。

当時の私ですら心配に思ったものだ。だが、ここに居るということは、まだ無事だったわけか。

 

「頭の良い娘だからな。参謀として育てている」

制服組の艦娘は、まだ居たんだな。

 

<<食堂:姉妹>>

 

作戦参謀は、祥高さんに言った。

「久しぶりだな姉さん」

 

あれ?さっきは”祥高”だったのに、今度は”姉さん”?私の表情にづいた作戦参謀は言った。

「相変わらずの”ばか者”だな、お前は。表では私のほうが階級が上だから呼び捨てにするが、ここでは姉妹だ。そのくらい悟れ」

 

いや、その話し方、技術参謀そっくりなんですけど。そういえば技術参謀と作戦参謀は、どっちともメガネかけている。真ん中の祥高さんだけが視力が良いんだな。

 

「そうだな。姉貴は技術屋、私は作戦屋だからな。いつでも大海原に出られる姉さんとは違って視力は落ちるよ」

なるほど……もう、独白を読まれるのは慣れてしまった私。

 

「これでも最近、視力が落ちてるのよ」

ちょっと新鮮。祥高さんのタメ口。……そうか、艦娘とはいえ姉妹だもんな。兄弟が居ない私には、ちょっとうらやましい。

 

すると作戦参謀、突然私のほうを向いて言った。

「お前のその気持ちは、ちょっと悲しいな」

 

「はぁ?」

思わず声が出た。

 

「艦娘を単なる兵士としか見ていないのか?お前は相変わらずだな~」

その言葉で、鈍い私も悟った。

 

「いえ、私ごときがそんな……」

私は思わず否定してしまった。だが作戦参謀は、急に優しい表情をした。ドキッとした。

 

「いい加減、悟って欲しいよ。お前には……もっと、前に出ろ」

そう呟くように言った彼女だった。

 

<<食堂:羽黒と私>>

 

やがて戻ってきた羽黒が珈琲を机に置くと、作戦参謀はいきなり彼女の手を掴んだ。

「……!」

 

当然、羽黒は驚いた表情で固まっている。作戦参謀は今度はいきなり私の手を掴んだ。そして、そのまま強引に羽黒と私を握手させたのだった。

「え……」

 

「あの……」

羽黒は立ったまま真っ赤になってしまった。いや、それは私も同じかもしれない。そういえば、艦娘と握手なんてほとんどしていないな。

 

すまし顔で作戦参謀は言った。

「羽黒、この男は美保鎮守府の司令だ。どう思う?」

 

「えっ……」

 

突然握手させられて、そのうえ感想を求められて羽黒も大変だなと思った。彼女は恥ずかしそうに小声で答えた。

「あの、とても……誠実な御方だと思います」

 

「まぁな。それだけでは、まだダメなんだがな」

そう言いながら作戦参謀は両手を離した。私と羽黒はなぜか、しばらく握手したままだった……が、やがてお互いに”ハッ”として、その手を引っ込めた。

 

可哀想に羽黒は、さっきよりも真っ赤になって、その場に立ちすくんでいる。私もそうだが、この艦娘も男性と握手なんて、ほとんどしないのだろう。

 

「座りなさい、羽黒」

作戦参謀が指示する。

 

「……はい」

真っ赤になったまま、空いた席にゆっくりと座った羽黒。着席した後もずっと、うつむいている。

 

「この娘は、お前と違ってとても敏感でな。いや敏感過ぎるのかも知れん。だから私は前線から退かせた。この敏感さが、もっと良い方向で開花すれば良いんだが……」

意味ありげなことを呟く作戦参謀だった。そんな彼女が見上げる窓の外には、真っ青な青空と緑の椰子の葉がきれいなコントラストを見せていた。それは鈍感な私と敏感な羽黒の姿を象徴しているようにも感じられた。いや、美保ならば祥高さんと私になるのかな。

 

ふと見ると、祥高さんと作戦参謀は、穏やかな表情をしていた。不思議な感覚だった。

 




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※これは「艦これ」の二次創作です。
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サイトも遅々と整備中~(^_^;)
http://www13.plala.or.jp/shosen/
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PS:「みほ3ん」とは
「美保鎮守府:第三部」の略称です。

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