マイ「艦これ」「みほ3ん」(第3部)前半コラボ 作:しろっこ
「お気に障るようでしたら取ってしまいましょうか?」
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「艦これ」的「みほ3ん」
EX回:第107話<会見会場へ>
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<<GR:司令部の意向>>
連合艦隊司令部が、”開かれた海軍”を目指すのは理解できるとしよう。謎のファンクラブも、時代の要求と思えば仕方がない。
ただ、現在のブルネイは、まだ艦娘も試作段階で、まともな艦隊が編成されているわけではない。そういう状況下での演習のプレスへの公開だ。
私は半分、好奇心から五月雨に聞いただけだった。ただ内心では、ブルネイ側は、あいつ一人だけで記者会見するのかな?と思っていた。だから五月雨が言葉に詰まっているのが、不思議にも思えた。
……とはいえ、もう時間もないし、五月雨を問い詰めるつもりもない。私は、言葉を続けた。
「あ、別にいいよ。そんなに重要なことでもないし」
「……」
黙っている五月雨が、ちょっと気になる。だが、そのとき、ドアをノックする音が聞こえた。きっと祥高さんだな。
「はい、今行く」
私はそう答えるとスマン、切るからねと言って内線を切った。すぐに自分の制帽をつかんで、入り口の扉へ向かった。
<<GR:艦娘の階級>>
「司令、私です」
その声を聞く間もなく私はドアを開けた。やはり祥高さんだった。あれ?軍服が違う?彼女が着ていたのは、青っぽい制服に階級章。
「あ、これは取りあえず持って来ていた礼服です。まさか、本当に使うとは思いませんでした」
彼女は、自分の制服を見ながら答えた。実は私も今まで、まったく意識していなかったのだが彼女は私と同じ階級だったんだ。まあ、提督代理が務まるんだから当たり前か。
あまり上下関係が、うるさくない艦娘部隊だが、こういう公式の場に出るときには改めて普段、何気なく接していた相手の艦娘が、実は凄い階級だったという言うこともあるわけだ。これは今後、艦娘部隊内での一つの弊害になるかも知れないなあ~。気をつけよう。
そして驚くのは、彼女の胸に光っている数々の勲章と戦歴だ。別に疑っては居ないが、さっき彼女が食堂で話していた”魔女”というのは、まったくウソやハッタリではなかったのだ。
こういうタイトルへの執着や対抗意識はないけど、さすがに”艦娘”と肩を並べるとなれば、男性の私としては、ちょっと焦る。
私だって、十数年も海軍に居るから多少の勲章や参戦章くらいは持っている。でも私と彼女では見れば見るほど、数とレベルが、あまりにも違いすぎた。いや普通の人はワカラナイだろうけど、関係者が見れば明らかに、彼女が”ただ者ではない”ことが分かる。祥高さんって、普段は大人しいし、そんなに強そうに見えないんだけど……こんなスゴイ彼女を隣に並べては、ハッキリいって立つ瀬がない私だった。
そんな私の焦りを感じたのか、彼女は言った。
「あの~、そんなに大したことはないですし、もし、お気に障るようでしたら全部、取ってしまいましょうか?」
私は慌てて首を振った。そんな失礼なことは出来ないって。
「いやいやいや、そんなことをする必要は全く無い。そのままで行こう」
我ながら、恥ずかしいくらいの狼狽振りだが。
<<本館:記者会見会場へ>>
私と祥高さんは、並んで廊下を歩き始めた。私は彼女に聞いた。
「美保の艦娘たちは、各自準備を進めているのかな?」
「はい、そのようです。あ……」
言いかけて、突然祥高さんは、言葉を濁した。何となく、言いにくそうな目で私を見上げている。
「良いよ、遠慮なく言ってくれ」
もう彼女と付き合う以上は、サプライズの連続だろうが何だろうが、慣れるしかない。私も男だ、司令官だ。腹をくくるぜ。
そんな私の決意を見たのか、彼女も続けた。
「青葉さんはプレスの一員として、記者会見席のほうへ座ります」
「あ……、まあ、当然そうだよな」
知った人が向い側に居るとはねえ~。やり難いけど……もういいよ。納得するよ。私は苦笑した。まったく連合艦隊司令部も、トンでもない事をしてくれるよな~。やれやれ。
会見場は、本館のホールに臨時に設けられるようだ。近づくに連れて、廊下も人が多くなり、がやがやとした、賑やかな雰囲気になってきた。マスコミ関係者、カメラマン、取材記者、軍人、ブルネイの人や日本人、その他の外国人、多種多様な人たちで満ちている。
向こうから、ブルネイ司令が声をかけてきた。
「おう!美保、早くしろ!始まるぞ」
「ああ、済まない」
私は、声を上げた。彼は、五月雨を伴っていたが……彼女も、いつもと違う軍服を着ていた。私はそれを見て、一瞬で状況を悟った。
なるほど、彼女が臨時的に、ブルネイ司令の”秘書艦”を”演じる”わけだ。五月雨が言い難そうだったのは、こういう訳だ。
さっきの私と同じような、気後れするような気持ちを彼女は味わっているのだろう。
彼の傍には、五月雨だけでなく、いかめしい顔をした日本の高官も居た。他にも、政府関係者らしい要人たちも取り巻いていた。いよいよ、始まるんだな。さすがに私も緊張してきた。
こうなると、今までその戦歴などを見せ付けられる感じもしていた傍らの祥高さんが逆に、”敵陣の中の同志”という感覚に変わってくるから不思議だ。やはり友軍というのは、戦地(敵地)でこそ、あり難い者なのだなと、改めて実感させられた。
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※これは「艦これ」の二次創作です。
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サイトも遅々と整備中~(^_^;)
http://www13.plala.or.jp/shosen/
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PS:「みほ3ん」とは
「美保鎮守府:第三部」の略称です。