マイ「艦これ」「みほ3ん」(第3部)前半コラボ   作:しろっこ

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会見会場に金剛たちが入って来ると、会場はざわついた。そして金剛は変な英語で喋りだす。


「みほ3ん」EX回:第109話<金剛暴走>

『金剛でぇす。皆さんとお会いできて嬉しいでぇす』

 

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「艦これ」的「みほ3ん」

 EX回:第109話<金剛暴走>

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<<記者会見:金剛暴走>>

 

羽黒が廊下側のドアを開け、手招きして入ってきたのは、まさに今見た映像に映っていた金剛本人だった。そして比叡は、二人である。

 

会場は、もっとざわついた。盛んにシャッターが切られ、テレビカメラもすべて注目している。あのシナの記者も、目を丸くしている。そういえば青葉さんに聞いたが、このシナと言う国では密かに艦娘のような兵器製造を目論んでいるらしい。この記者もその情報は持っているだろう。だが、我々海軍ですら、ようやく量産化の目処が立ったんだ。シナの記者の驚くさまを見れば、彼らの開発段階が、まったくお話にならないレベルだということが伺える。

 

少し会場が落ち着いてきたところで、作戦参謀が金剛に目配せをした。すると金剛と比叡たちは、演壇のそばまで歩み寄る。会場は一瞬のうちに、静まり返った。羽黒がマイクを持ってきた。それを受け取った金剛は、軽く礼をする。なぜかスポットライトが当たる。頭のアンテナが、キラキラと反射して、まさに王冠だな。

 

やがて彼女は流暢な英語で喋りだした。

『金剛でぇす。皆さんとお会いできて嬉しいでぇす』

 

……なんだよ、その語尾の変なのは。帰国子女だから英語力は当然あるとしても、日本に着てから変な癖まで身についてしまったようだな。容姿端麗、戦闘能力もピカイチなのに、その喋り方で損をしているよ、金剛は。

 

彼女の後ろで見ている作戦参謀も、ちょっと呆れたような顔をしている。羽黒は、一人で勝手にオロオロしている。だが二人の比叡は、まったく気にせず、むしろ胸を張って誇らしげにしている。漫才か?

 

テレビカメラが中継しているが、これって、日本にも流れるんだろうな~。まあ彼女の変な英語は、中継を見ている日本人には分らないだろうから良いとしても、”日本海軍代表”みたいな映像だからな。欧米人には苦笑されるだろう。

 

……と、いろいろ考えている間にも、金剛は好きなことを喋りまくっている。放っておくと、歌いだしそうだ。さすがに暴走状態になってきたので、作戦参謀が強引にカットインして、中断させている。やっぱり漫才になっている。

 

『シット』

やはり、恨めしそうな目で作戦参謀を睨んでいる金剛。おい!公的な場で、その態度は止めろって……手遅れだけど。

 

ただ幸か不幸か、記者たちは金剛の不遜な態度はまったく気にせず、とにかく質問したがっている。盛んに挙手をしているが、作戦参謀は言った。

『申し訳ないが時間がありません。彼女たちについては、演習現場で、その実際の姿を見ることで、ご了承下さい』

 

だが、記者たちは収まりそうもない。恐らく金剛よりも、その隣に居る二人の比叡が気になるだろう。同じ艦娘が二人居るということは、察しの良い者なら直ぐ気付くはずだ。量産化の目処が立っていると。特に、シナの記者は、意地でも質問をしようと必死だ。

 

<<記者会見:クールダウン>>

 

不穏な空気が漂いそうになったとき、後ろから笑い声が聞こえた。会場は一瞬のうちに静まり返った。あの"王宮男性"だった。

『皆さん、あのように申しております。時間も御座いません。ここは私の顔に免じて、堪えてやって下さい』

 

会場は、一気にクールダウンした。その場の空気を一気に抑える力。それでいて、威圧感はない。さすがである。

 

やがて司会者がいったん閉会を宣言する。司会者は、最後に短い質問でしたら、お受けしますと伝える。先程のような勢いは無かったが、多少手が上がった。

 

そこで司会者が指名したのは、他でもない、青葉さんだった。周りの記者たちは彼女が艦娘だとは、思わないだろう。今日の彼女は、いつものラフな格好ではなく、カッターシャツにネクタイと言ういかにも記者風のスタイルだったから。

 

以前の彼女だったら、この場で質問に立つと聞いたら私も焦ったことだろう。だが、今の私には、不思議と彼女に対する信頼感があった。なぜだろうか?

 

祥高さんも言っていた、心の距離。本当にそういうものがあるのか知らないが、あの浜辺での彼女との交流の時間が、大きかったように思えた。

 

そして、立ち上がった彼女は、意外にも英語で喋りだした。

『日本から参りました、ジャパン・ネイビープレスの青葉と申します。美保鎮守府の提督に質問です。防人としてこのたびの演習に参加されての抱負と言いますか、感想をお願いします』 

 

<<記者会見:美保鎮守府から一言>>

 

指名されて、羽黒が私のところへマイクを持ってきた。実は、私自身、青葉さんに質問されても、あまり驚かなかった。何となく、来るような予感はしていたから。

 

マイクを受け取って立ち上がった私は、下手くそな英語で答えた。

『今回、演習に参加するために日本から参りました、美保鎮守府司令です。実は、今回参加するに当たって、様々な困難やトラブルがありました。でも、何とか今日と言う日を迎えることが出来て、良かったと思います。この演習は、たくさんの人たち、ブルネイや日本の人たち、そして何よりも、艦娘たちの努力によって支えられています。単なる軍事演習とは思わないで、彼女たちの心意気、気持ちを少しでも感じて、汲んでいただければ幸いです。関係各位、そして、この場に参加している皆様にも、心からお礼を申し上げます。ありがとう御座いました』

 

あれ?なぜこんなに舌が回るんだ?一言のつもりだったのに……自分で不思議に思えた。

 

頭を下げている時間は一瞬だったと思うが、私には凄く永く感じられた。そして、頭を上げると同時に、拍手が起こった。先陣を切ったのはやはり、あの"王宮男性"だった。隣のSPも、あのブルネイの美人秘書官も。

いや、金剛や比叡、祥高さんやブルネイ司令までも、全員が拍手をしている。会場の記者たち、シナの記者までもが拍手している。ちょっと恥ずかしくなった。やがて、記者たちは次々と起立して、全員が拍手をしてくれた。

 

よく分からないが、とにかく丸く収まったに違いないだろう。ホッとした。

 




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※これは「艦これ」の二次創作です。
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サイトも遅々と整備中~(^_^;)
http://www13.plala.or.jp/shosen/
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PS:「みほ3ん」とは
「美保鎮守府:第三部」の略称です。

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