マイ「艦これ」「みほ3ん」(第3部)前半コラボ 作:しろっこ
「驚くのは、まだ早いよな」
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「艦これ」的「みほ3ん」
EX回:第118話<午前の演習開始>
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<<作戦参謀:開始説明>>
感動的なブルネイの”王宮男性”の演説の後、作戦参謀が前に立つ。
恐らく、この会場のほとんどの参加者は彼女を”男性”だと思っているだろう。いや艦娘たちだって勘違いしているに違いない。私は一人そう思いながら腕を組んで見ていた。
”彼女”は前に立つとOHPを使って解説をする。眼鏡がキラキラ反射している。相変わらずだな、あの眼鏡は。そのOHPの直ぐ脇には羽黒が資料を抱えて座り、解説に合わせてシートを変更していく。
作戦参謀は話し始める。
「帝国海軍作戦参謀です。午前の概要を説明いたします。午前は主に艦隊行動。仮想敵国シナが当ブルネイ周辺地域へ力づくで押してくる場合と、逆にゲリラ戦に出てくる場合を想定いたします。まず午前中は彼らが力で押して来る場合を想定した艦隊行動を行います。特にブルネイ周辺の海岸線。地形的には遠浅海岸や砂浜への敵の上陸作戦を想定します。索敵や戦闘機による攻撃を実施。さらに敵から上陸艇で強襲された場合のピンポイント爆撃及び着弾観測射撃、さらに敵艦船への戦艦による砲撃および上陸した敵への艦砲射撃を実施いたします」
仮想敵国シナなんて、絶対に外部には出せないよな。しかし作戦参謀は相変わらず早口だ。もっとも”王宮男性”の演説が長引いて演習開始予定時刻が15分以上も超過していることもあるのかな。
その早口に合わせて羽黒が必死にOHPシートをチェンジしている。それでも間違うことなく交換しているのは、さすがだ。
会場の参加者たちも必死でメモを取っている。ブルネイ司令も隣で必死にメモっている。私は既にメモは脱落。でも隣の祥高さんがメモ帳にミミズのような字で書きなぐっているから、それで良しとしておこう。
もっとも彼女は音声記録機能も持っていたはずだから、いざとなれば、そこから再生して……甘いかな?
ちょっと横を見ると、ブルネイの五月雨はボーっとしている。一応、彼女も音声ログは録れるだろうけど、それ以前にメモを取るという習慣が、まだ身に付いていないだろう。そもそもこういう場が初めてなんだろう。思わず未来のGR(ゲストルーム)で技術参謀に、機密だと言って散々脅されたことを思い出してしまった。彼女って、不思議とこういう場に同席することが多いんだな。
<<作戦参謀:演習開始>>
作戦参謀が羽黒に何か耳打ちした後、説明を続ける。
「この会場からは直接、演習の模様をご覧いただけます。また前方のスクリーンにはテレビカメラによる中継映像も流します。OHPのスクリーンには作戦概要の図式を表示しておきます」
やがて羽黒がどこかと交信したらしく作戦参謀にOKという合図を送る。
作戦参謀は、言った。
「ではこれより午前の演習を開始いたします。参加艦艇は美保側より旗艦金剛、比叡、赤城、日向。ブルネイ側からは扶桑、山城に加賀、最上、伊勢。また取材艦として青葉、取材補助及び連絡担当、寛代です」
もう艦種は飛ばしての案内だな。寛代は姿を見ないなと思ったら、こんなところに居たんだ。
しかし現在の美保では当然あり得ないが、一般的な鎮守府でも、これだけの大型艦が一気に出撃することはない。一種のデモンストレーションか。
既に数名の武官たちは窓際に立って双眼鏡を覗いている。私は遠慮してモニターに映し出される艦娘たちを見ていた。
やがて艦娘たちが沖合いに展開して動きが止まった。作戦参謀が説明をする。
「まずは偵察機による索敵を行います」
画面は望遠でちょっとボヤけているが、日向と伊勢が合図をして瑞雲を飛ばしている。作戦参謀が補足する。
「彼女たちは航空戦艦ですが偵察機は戦艦の艦娘にも搭載可能です。艦隊編成と作戦内容、総合火力を見ながら選択できます」
既に武官たちは、通常の艦艇と比べて余りにもコンパクトな艦娘の構成に驚いているようだ。ブルネイ司令が話しかけてきた。
「驚くのは、まだ早いよな」
「ああ」
このとき私は、急に艦娘たちが誇らしく思えてきたのだった。
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※これは「艦これ」の二次創作です。
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サイトも遅々と整備中~(^_^;)
http://www13.plala.or.jp/shosen/
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PS:「みほ3ん」とは
「美保鎮守府:第三部」の略称です。