マイ「艦これ」「みほ3ん」(第3部)前半コラボ 作:しろっこ
『海軍による昼食を、ご準備いたします』
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「艦これ」的「みほ3ん」
EX回:第127話<いったん休憩>
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<<演習:午前の部・終了>>
既に金剛や扶桑さん、山城さんたちは砲撃を停止している。青葉さんのハンディカメラが金剛さんを映す。彼女は誇らしげにブイサインをしている……って、おい!思いっきりカメラ目線じゃないか?やめろ、恥ずかしい!
その後ろからは、ちょっと不服そうな山城さんの視線が痛い。
数分も経つと徐々に、中州の岩礁があった辺りの視界が晴れてきた。モニター画面では最初、埠頭からの望遠カメラによる映像だったが、明らかに岩場は原形をとどめていない。若干ぼやけているその映像を見ても、攻撃の凄まじさを物語っている。
続いて岩礁の正面から回り込んだ青葉さんからの中継映像が来た。当然、2台の車両はおろか、それが停まっていた小さな砂浜まで消失している。
その映像を見て、多くの武官たちは驚嘆の声を上げた。金剛、扶桑姉妹という、今となっては若干旧いタイプの艦娘ではあるが、それでも、戦艦の威力を感じざるを得ない。
それ以上に、通常の艦船よりも圧倒的に小さな艦娘という存在が、どれだけの威力を発揮するか、この演習だけを見ても実感できるだろう。
改めて私は、良くもまあ~山城さんの艦砲射撃の中を生き延びたものだと思ってしまった。戦艦娘の直撃弾を受ければ敵の戦闘機など、ひとたまりも無いわけだ。
やがて作戦参謀が前に立って説明を始める。メガネがキラリと光る。
『午前中には、他の演習も計画しておりましたが、残念ながら時間切れとなりました。もうお昼となりますので午前中の演習はこれにて、いったん終了いたします』
会場からは脱力感と同時に、もっと見たいという残念な想いが混じった雰囲気で溢れた。
『オブザーバーである長官が退室されます。全員、敬礼!』
作戦参謀の案内で、室内の全員が立ち上がり、退室しようとする”王宮男性”に向けて、敬礼をする。彼もまた私たちに向かって敬礼を返してくれた。そして軽く手を上げながら、SP男性と秘書官を伴って退室した。
いろいろあったが、これで午前の部は終了か。
<<演習:午後の予定>>
すぐに、演台に羽黒さんが上がる。
『これからのスケジュールをご案内します。午後の演習は、14時からを予定しております。それまでの間は、休憩時間となります。こちらで休まれても結構ですし、この建物の横の広場では、ささやかですが日本海軍による昼食をご準備いたします。また、いったん埠頭から町へ出られても構いません。簡単な周辺地図もご準備していますので、ご希望の方は私かスタッフまでお声をおかけください。お預かりした銃器類は、いったんお返ししますので随時、受付横へお立ち寄りください。午後は、もうお預かりすることはありませんので、よろしくお願いします。返却の際には、お渡ししたタグとIDカードのご提示を、お願いします。休憩中の緊急連絡先は、次の周波数まで……』
たどたどしいが長い内容を、ちゃんと英語を喋っているぞ。感心だ。作戦参謀に鍛えられているんだろうな。
すぐにブルネイ司令が五月雨と共にやってきた。
「すまんが、俺は次官やブルネイ側と会食せにゃならん。お前は、こっちに残って適当に応対してくれないか?」
ちょっと驚く私。
「適当って、私でも良いのか?」
「当たり前だ。お前、美保鎮守府の司令だろ?それに、あの演説で、相当顔が売れたから大丈夫だよ。あれ、世界に中継されたらしいぞ。町を歩いたらサインせがまれるかもな!」
そういう問題ではないだろう、とも思ったが、応対については司令と言う立場上、当然の義務だ。
「分かった。精一杯やるよ」
彼は祥高さんを見ながら続ける。
「いざとなったら、そちらには百戦錬磨の立派な秘書艦だって居るわけだ。貴重な”戦力”だぞ。もう少し、大切にしてやれ!」
「そうだな……」
私も祥高さんを振り返ったが、彼女はちょっと恥ずかしそうな顔をした。”戦力”とは、うまく言ったものだ。確かに彼女が居れば、実際の戦闘でなくても心強い。
「頼んだぞ。じゃ、行こうか」
彼は横に居た五月雨に声をかけて、退出して行った。
未来の演習のイメージが強くて、現代でも同じようなものかと思っていたが、やはり現代のブルネイは違った。ここでは未来と違って、まだ基盤整備もこれから。まさに発展途上だから、それなりの苦労と覚悟も必要だ。ちょっとボンヤリしすぎていた自らを反省した。
「司令、行かれますか?」
祥高さんが確認してくる。
「そうだね。下に降りようか」
「はい」
「そうだ、あのブルネイの漣と電にも声をかけよう」
「はい、では私が呼んで来ます」
「頼む」
駆逐艦娘たちのところへ向かう祥高さんを見ながら、ふと思った。
今までは私も新人司令で、何も分からずに彼女には押される一方だった。しかし、そもそも司令と秘書艦こそ一致協力すべきだ。それが艦娘を中心とした鎮守府の在り方なのだ。
この瞬間からでも、私から一歩前へ出る努力をしていくべきだな。それが美保鎮守府や海軍のために、そしてこの国とわが国の未来へつながっていくのだ。
「連れてきました、行きましょうか」
祥高さんが、漣と電を伴って、戻ってきた。
「ああ、行こうか」
そのとき、漣が私に敬礼した。
「司令、お昼からもよろしくお願いいたします」
まだ早いよ、と言いかけて私は思い直した。そして彼女に返礼した。
「よろしくな、漣」
「は、はい!」
ちょっと不意を突かれたような漣と、その姿を見て慌てて、一緒に敬礼する電。
「よ、よろしくなのです!」
その姿は、とても可愛らしかった。祥高さんも、いや、その周囲に居た全員が微笑んだ。周りを笑顔にしてくれる不思議な力。これもまた艦娘たちの魅力だと思えるのだ。
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★「艦これ」的「みほ3ん」EX回はここで完結します。★
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理由:
1)少々長期化して、執筆者も管理しにくい。
2)本来はコラボで開始し設定も継続しているが、前面に共演の場が出てくる機会が少なくなった。
このため、いちど区切りを入れることにします。
すぐに後編としての「艦これ」的「みほ5ん」を始めます。タイトルは変更する予定ですが、物語はまったく同じです。
よろしくお願いいたします。
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※これは「艦これ」の二次創作です。
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サイトも遅々と整備中~(^_^;)
http://www13.plala.or.jp/shosen/
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PS:「みほ3ん」とは
「美保鎮守府:第三部」の略称です。