マイ「艦これ」「みほ3ん」(第3部)前半コラボ   作:しろっこ

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外洋に出た司令たちは敵の急襲を受ける。必死に応戦し撃退するが、それは嵐の前触れに過ぎなかった。


EX回:第32話(改2)<艦娘の舞台>

「艦娘は常に戦いの舞台に立つものだ」

 

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マイ「艦これ」「みほちん」(第3部)

 EX回:第32話(改2)<艦娘の舞台>

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 幾度となく繰り返される爆破音と、すれ違う敵機。その度に機体は左右に傾き激しく振動する。

 

「前っぽい!」

後ろから夕立が髪を振り乱して叫ぶ。戦闘中はゲロゲロやらないんだな。

 

「承知!」

中央の銃座で構えていた日向が敵機を追いかける。直ぐに激しい爆発音。当然の如く一撃必殺だ。瞬く間に火ダルマとなった敵機は長い黒煙の尾を引きながら空中分解して海へ落ちていく。

 

「やったわぁ」

反対側の龍田さんも、いつの間にか既に一機、落としたらしい。空にはもう一筋の黒煙の帯が海へと向かっていた。

 

艦娘たちの活躍の前に相手も警戒し始めて距離を取る。

 

少し様子を窺(うかが)って攻撃の勢いが緩んだと思ったら寛代が言った。

「逃げるよ」

 

「そうだな」

残った敵機は何かの指示を受けたのだろう。一斉に反転して逃げ去っていく。

 

それを見ながら技術参謀が呟いた。

「こんな外洋に妙だな」

 

「は?」

私は相変わらず呆けている。

 

すると青葉さんが指を立てて解説する。

「最初の敵は武装がほとんど無い偵察機でしたけど。次に攻撃してきた戦闘機はどれも脚(航続距離)が短いんです」

【挿絵表示】

 

 

「なるほど、そりゃ確かに変だ」

 

参謀は腕を組む。

「どこかに敵の機動部隊が居るに違いない……厄介だな」

 

機長が叫ぶ。

「この高度では索敵されやすく危険です! 念のため海面まで高度を下げましょうか」

 

「あぁ、そうしてくれ」

私は応える。機長は警戒しながら高度を下げる。

 

「用心しろ、海上には敵の艦隊が居る可能性が高い」

技術参謀が叫ぶ。

 

副操縦士は双眼鏡を、また祥高さんや寛代は索敵を始めている。

 

私は言った。

「参謀は戦術も詳しそうですね」

「当たり前だ。戦術を知らずに開発など出来るか?」

「ごもっともで」

 

用心しながら機体を海面まで下げたが幸い海上に敵の艦隊は居ないようだ。

 

少し落ち着いた機内では次の攻撃に備えて態勢を立て直す。各銃座は交代し弾倉の補充や機銃の点検を始める。

 

「やはり手ぶらでは帰れないか」

参謀は意味深なことを言う。

 

「各員、警戒を続けよ」

私は命令した。

 

キレイな青空を見上げながら参謀はブツブツ言う。

「早く、あの嵐でも起きてくれれば良いのだが」

 

幸か不幸か今日は穏やかな天候だった。

 

「司令……最悪、このまま未来の日本まで帰るか?」

参謀は窓の外を見ながら冗談とも本気とも取れない台詞を吐く。

 

「うーん、何ともいえません」

私は苦笑しか出来なかった。

 

「ふん」

技術参謀は、ため息混じりの吐息と共に暑苦しい白衣を脱いだ。

 

そのまま彼女は座席に座ると交代した夕立を見ながら話し始めた。

「夕立は地上戦でも、なかなか優秀らしいな。境港市での戦闘の話、聞いたぞ」

「ぽい?」

「センスみたいなものだろう……今後もお前とは、いろいろやり取りしたいものだ」

 

意外にも技術参謀に褒められた夕立は、ちょっと恥ずかしそうな顔をした。 

 

顎(あご)に手をやって思案する参謀は言った。

「敵はブルネイの鎮守府を常に監視しているようだな。我々のように護衛も付けずに単独で飛ぶ機体なら、敵が見て要人が乗っていると考えても、おかしくはない」

 

私は応える。

「では……護衛を付けるべきだった?」

 

技術参謀は私を見ると肩をすくめた。

「それも良し悪しだ。逆に目立つからな。単なる連絡便や索敵任務程度に思わせたほうが無難だ」

 

そして彼女は笑った。

「だいたい我々は別の時代から来ているんだぞ。護衛も一緒に帰るのか?」

 

「はあ、そうでした」

私も笑った。

 

そのとき寛代が、何かを呟く。祥高さんが近寄って話をしている。

 

技術参謀も立ち上がると二人に近づいた。

「何か見えるか?」

「……空母、前方。複数」

 

寛代の返事に参謀は苦い顔をした。

「チッ……よりによって空母か。この位置では迂回も無理だ」

 

祥高さんも言う。

「逃げ切れない可能性もあります」

 

そのとき、機長が叫んだ。

「低気圧が接近、天候が急変しつつあります」

「なに?」

 

「気圧が下がっています」

比叡が言う。そうか戦艦の彼女は自前の気圧計を持っているのだろう。

 

赤城さんは操縦席から見える前方の空を指さした。

「前方に白い大きな雲の塊が見えます」

「南の海の積乱雲か……まずい感じだな」

 

私が言うと参謀も受ける。

「敵の機動部隊に悪天候か……悪いことは重なるものだな」

 

「それは、いつものことネ!」

突然、金剛がアッケラカンと言い放つ。なぜかその言葉に機内の全員が笑った。

 

日向も言う。

「そうだな、艦娘は常に戦いの舞台に立つものだ」

 

「フフ……確かに。それが兵士というものだ」

参謀もニタリと笑った。

 

彼女たちの言葉には妙に重みがあった。

そう、艦娘たちは常に戦いの場に実を置かざるを得ない宿命なのだ。

 

 




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※これは「艦これ」の二次創作です。
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PS:「みほ3ん」とは
「美保鎮守府:第三部」の略称です。

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