マイ「艦これ」「みほ3ん」(第3部)前半コラボ   作:しろっこ

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謎の雷雲を目前にした機内では司令と技術参謀が対立していた。そして彼女は拳銃を取り出す。


EX回:第36話(改2)<反抗>

 

「司令、私たちのこと、忘れないで……」

(一緒に帰るんだ!)

 

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マイ「艦これ」「みほちん」(第3部)

 EX回:第36話(改2)<反抗>

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「機長! まだ突入するな!」

私は咄嗟(とっさ)に叫ぶ。

 

技術参謀は私の言葉を疑った。

「何を言っている司令! 帰還できるチャンスだぞ」

 

それは無視して私は言った。

「機長、直ぐに海まで下りろっ」

 

機長は驚いたような顔で命令を受ける。

「りょ、了解。機種下げます」

 

何かを言いかけた参謀を塞ぐように私は操縦席の後ろに立つ。

 

 二式大艇は暗雲の中に突入する。激しい雨が機体に叩きつけていた。遠くから雷鳴も聞えてくる。ガタガタと揺れる機体の各部がギシギシと軋(きし)む。

 

「ぽいぃ」

夕立がキョロキョロしながら不安そうな声を出す。

 

本来ならば雨雲に突入するのは危険だが、私は敢えて降下させた。もう一刻の猶予も無いのだ。

 

「雲を出ます」

副長の報告と同時に急に視界が開けた。周囲は灰色の海面と薄っすらとしたモヤで満ちていた。

 

 私は胸ポケットに手をやる。案の定、あの双眼鏡も返していなかったが……反省する間もなく取り出して窓から海面を見下ろした。

 

揺れる波間に艦娘たちが見える。

何人かが、こちらを確認しているが手は振らずに敬礼をしていた。

 

『司令、私たちのこと、忘れないで……』

そんな声が聞こえたような気がした。

 

明らかに彼女たちは、この時代に残る覚悟を決めているのだ。

(絶対に忘れるものか!)

 

敵の勢力は弱まったが風雨が激しい。機体は大きく艦娘たちの上空を旋回し続けている。

 

技術参謀がイラつくように話しかけてきた。

「司令、さっきも見ただろう。最後のチャンスだ。すぐに上昇して、あの雷雲へ突入しろ。もはや彼女らを回収する時間は無いぞ!」

 

彼女は念押しして諭すように言うが私にそんなことは、どうでも良かった。

(絶対に皆、一緒に帰るんだ!)

 

「機長!」

大声を出した私に機長は、ビクっとした。

 

「直ぐ着水だ。艦娘たちを回収する!」

 

私の命令に技術参謀は反論した。

「おぃ、気は確かか? これを逃したら、次はいつになるか分からないんだぞ!」

 

私は無視して続けた。

「急げ! 機長!」

 

技術参謀も負けてはいない。

「司令っ、聞えないのか? これは私の命令だ。すぐに回収は中止、機体を雷雲へ向かわせろ!」

 

明らかに彼女もイラついている。だが私は他の艦娘たちに回収の準備をさせていた。

 

 ついに頭にきた技術参謀は、懐から拳銃を取り出した。周りの艦娘たちが悲鳴を上げる。

「司令、これは技術参謀としての命令だ。言うことを聞かないなら、お前の権限をこの場で剥奪する」

 

無表情で銃を構える技術参謀。凍りつく艦娘たち。私はそれでも無視して作業を継続させようとする。

 

「残念だな……」

そう言いつつ技術参謀は引き金を引く……と思った瞬間だった。

 

「えい!」

機長の掛け声と同時に発動機が唸り機体が急上昇する。

 

「なにっ?」

「敵襲か?」

参謀と私は慌てて近くのパイプにつかまる。

 

ほぼ垂直に近い傾き……こんな曲芸飛行みたいなマネをして大丈夫なのか?

 

「だぁっ!」

傾いた状態で前の方から寛代が、いきなり技術参謀に飛びかかった。

 

「なっ!」

驚く参謀と寛代は二人揃って機体後部まで吹っ飛ばされる。鈍い音を立てて拳銃も飛んで逃げた。

 

「ぽいっ!」

金髪を振り乱した夕立が拳銃に飛び付く。一瞬、パン○が見えたが、もはやそれどころではない。

 

一連の動きを確認した機長が機体を戻す。水平飛行と同時に参謀は寛代を引き剥がしにかかる。

「クッ、離れろ!」

「いやっ」

 

間髪を入れず金剛が飛びかかった。

「yhaaa!」

「やめろっ」

 

それまで様子を見ていた青葉さんと夕張さんも加勢する。

「ごめんなさい!」

「お前たちまで!」

 

艦娘同士とはいえ多勢に無勢だ。あっと言う間に技術参謀は取り押さえられてしまった。

 

「悪しからず!」

夕張さんが簡易ロープで手際よく参謀を縛った。

 

私は感心した。

「さすが工廠班、上手に縛るものだな」

 

この言葉に彼女は笑った。

「伊達に工廠付きやってる訳じゃありませんから」

 

「お前らっ! こんなことをして、ただで済むと思うなよ!」

参謀はスゴイ剣幕で怒鳴っている。

 

(おお、怖い)

私以下、艦娘たちもチョッと引いた。

 

だが祥高さんが、なだめる。

「お姉ちゃん、落ち着いて……」

 

(『お姉ちゃん』なのか)

その呼称は意外だった。さすが姉妹だ。

 

すると、みるみる技術参謀の顔が真っ赤になっていく。

「だ、だまれ、うるさい!」

 

なるほど……その呼び方を人前で披露して欲しくないようだ。

 

「ひょっとして参謀の弱点見つけたかも」

青葉さんが私の背後で呟く。

 

そんな彼女の怒りと対照的に外の気象状況は落ち着いて来たようだ。

敵の残存部隊は、既に逃げ出している。今が艦娘たちを回収するチャンスだ。

 

私は改めて言った。

「機長、着水を」

 

「了解です」

親指を立てて命令を受けた機長と副長。やたら嬉しそうなだな……あ。

 

ふと悟った。

「さっきのはやはりワザとやったか、機長」

 

私の表情を見た彼は言った。

「寛代ちゃんがね……」

 

そう言って二人は笑っている。

 

「なるほど」

そういうことだったか。

 

縛られている技術参謀(母親)の横では寛代も親指を立ててポーズを決めていた。

 

カメラを手に青葉さんが構えている。

「はい、チーズ」

 

「やめろって……」

技術参謀、超ぉ真っ赤ですが、やや脱力気味かも。

 

(元々美形だし参謀も、ちょっと可愛いかも)

 

「しかし青葉さん、やることが大胆過ぎるよ!」

真っ正面からフラッシュ焚いて……。

 

「でもこの写真、鎮守府の御守りになるかも知れません」

彼女はファインダーを覗きながら言う。

 

「ヤメロ! 青葉……」

半ば諦(あきら)めたように呟く参謀。

 

当然、この状況で青葉さんが撮影を止めるはずが無かった。

 





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※これは「艦これ」の二次創作です。
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PS:「みほ3ん」とは
「美保鎮守府:第三部」の略称です。


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