マイ「艦これ」「みほ3ん」(第3部)前半コラボ   作:しろっこ

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海外での量産型艦娘との初戦。しかし司令は様々な不安が過(よぎ)るのだった。


EX回:第51話(改2)<不安な初陣>

 

「美保の艦娘との小手調べだな」

 

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マイ「艦これ」「みほちん」(第3部)

 EX回:第51話(改2)<不安な初陣>

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 五月雨に案内されてた私たちはブルネイの埠頭に到着した。

 

 周りよりも少し高くなるように組まれた、ひな壇の上にはテントと折りたたみの椅子や机が設置されている。

今はちょうど無線担当が音声の調整をしていた。当然ここの機械類は各々の機器が太い有線でつながっている「現代」のものだ。

私は、ふと未来のブルネイを連想した。

 

するとカメラ片手に青葉さんが近寄ってきて言った。

「やっぱり『あっち』の方がスッキリですねぇ」

【挿絵表示】

 

 

私は彼女を振り返って笑った。

「ああ、技術革新というものは凄いな」

 

……『未来』と口にしないところは、さすが従軍記者だ。

 

 友軍とはいえ、ここ軍隊内だ。下手なことは口に出来ない。

私たちの核心を真綿に包んだような会話に、寛代は不思議そうな顔をしていた。

 

 私は正面の海を見た。

多少、雲は出ているが天候は晴れ。風がちょっとあるが演習に支障はないだろう。

 

 私たちがひな壇の脇まで来るとブルネイは既に端の席に座って資料を見ていた。

 

彼は私たちを確認すると直ぐに立ち上がった。

「おお、来たか。……どうぞ、こちらへ」

 

ブルネイは私より祥高さんたちを手招きした。

 

「秘書艦……艦娘だよ」

私はワザとムッとした表情で言った。

 

「分かってるよ。でもレディだからな」

彼は笑った。

 

「失礼します」

祥高さんは彼に出された椅子に座る。

 

彼は学生の頃から女性には優しかった。

(お前らしいな)

 

 本来なら彼のように女性の扱いが上手な指揮官が美保鎮守府のような艦娘部隊を率いるべきではないだろうか?

ふと、そんなことを思った。

 

すると後ろから小突かれた。見るとやっぱり寛代だ。

「……」

 

「分かってるよ」

そうは言ったものの私自身、何か分かったわけではない。

だがこの艦娘に無言で見詰められると、つい背筋を伸ばしたくなるンだ。

 

(この子も将来は秘書艦のようになるに違いない)

私は苦笑した。

 

 青葉さんがカメラを抱えてブルネイに確認する。

「あのぉ、私は従軍記者ですが、差し支えない範囲で撮影は可能でしょうか」

 

「ああ、構わないよ」

彼は当たり前のような顔で応えた。

 

「もっとも記者さんの期待する良い写真が撮れるか……分かりませんけど」

 

その台詞に思わず私は突っ込んだ。

「なんだ、思わせぶりなことを」

 

「……」

彼は肩をすくめただけだった。

 

「では私は動くので椅子は良いです」

そう言いながら青葉さんはバッグを下ろして撮影の準備を始める。

 

 私は祥高さんの隣……ブルネイの直ぐ横の椅子に座った。

指揮官である私たちと秘書艦が一列に座り、その前に寛代を始め、他の艦娘たちが座った。

 

ブルネイは時計を見た。

「そろそろだな」

 

彼は無線担当を見る。

すると雑音に混じって無線機が艦娘たちの声を拾い始めた。

「GO!」

 

『行きます』

 

「ぽいぃ」

 

「行くでぇ」

 

聞きなれた声と初めて聞く声も混じる。

(相手の艦娘だろうか?)

 

寛代を始め、祥高さんも耳を傾けるような素振りを見せて反応している。

そうか彼女たちは美保鎮守府の艦娘たちの無線は拾えるんだよな。

 

ブルネイが言う。

「俺たちの艦娘は今までの『不完全レシピ』だ。おまけに、まともな艦娘相手の実戦は初陣」

 

「え?」

思わず聞き返した。

 

「まぁ……最初はとりあえず美保の艦娘との小手調べだな」

 

「そうか……」

ブルネイも不安そうだが私も不安だ。

 

何しろ私たちは未来の「演習」の敗北の記憶も新しい。その状況下でブルネイの試作量産型の艦娘たちを相手にするわけだ。

技術参謀やブルネイが盛んに量産型艦娘には問題があるようなことを繰り返す。

 

もっとも手練(てだれ)の艦娘と素人の艦娘を同時期に相手に出来るのは貴重な経験だ。

これは美保にとって良いことか……。

 

「美保鎮守府にとって……」

そう呟きながら技術参謀を連想した。

 

そういえばこの演習を企画したのは彼女だ……タイムスリップは偶然だとしても、こういう状況は彼女が仕組んだのだろうか?

 

(まさか……)

ふと隣の祥高さんを見たが彼女は無線を傍受しているらしく、ジッと水平線を見ていた。

 

やがて秘書艦の視線の先……遠くの海上に艦娘たちの航行する姿が見えた。

 

 ほどなくして埠頭に、吹雪に案内された技術参謀と補助の夕張さん、ブルネイ側の技師もやってきた。

技術参謀と技師は各々、無線機に近い前列に着席した。何か会話をしながら彼らは双眼鏡を取り出している。

 

「わぁ」

歓声を上げたのはブルネイの吹雪だ。

 

案内係であることを一瞬忘れてワクワクするような表情で演習を眺めている。

そんな感じは、まさに「吹雪」だ。だが彼女も量産型だ。

 

「……」

何気なく隣のブルネイを見ると彼は海上ではなく吹雪を見詰めている。

 

なぜか不安そうな視線を送っているのが気になる。

(私の考え過ぎだろうか……)

 

 




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※これは「艦これ」の二次創作です。
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PS:「みほ3ん」とは
「美保鎮守府:第三部」の略称です。

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