マイ「艦これ」「みほ3ん」(第3部)前半コラボ   作:しろっこ

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女性秘書官はブルネイの国情を話しながらも艦娘たちに理解を示してくれた。だが……。


EX回:第65話(改1.5)<深海棲艦の目的>

 

『いや、済まないの。ワシも反省じゃ』

 

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マイ「艦これ」「みほちん」(第3部)

 EX回:第65話(改1.5)<深海棲艦の目的>

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 ニコニコして立ち上がった女性秘書官は美人だった。彼女は言う。

『国務長官付きの秘書室長です。艦娘の皆さんが軍人だという認識はありますから安心して下さい』

 

単なる美人だけでなく非常に聡明で優しい語り口だ。英語でも良く分かる。

 

(なるほど天は二物を与えるんだな)

私は妙に感心した。

 

『私たちは貴方たちを責めているのではないわ。でも分かって頂戴。いま世界中が物流の分断で困っているの』

青葉は英語が分かるらしく、しきりに頷いている。他は金剛姉妹が要所要所で通訳をして一斉送信しているらしい。

 

『貴方たちだけに重責を負わせるのは酷だということは分かる人には分かるわ。でも世界には現実的に逼迫(ひっぱく)している問題がある。その焦る気持ちは、もう軍隊でも警察でも押さえ切れないから』

 

(……やはり国務長官付きともなると現実問題との擦り合わせだよな)

 

彼女は続ける。

『食料やエネルギー問題は死活問題だから、それは国家の存亡にも、かかわって来るの。軍事力に匹敵する重要な事柄だから理屈だけではもう、どうしようもない。政府にも止められない。国民の誰もが誰も命がけなのよ』

一同沈黙。ただ艦娘たちの、すすり泣きだけが聞こえる。艦娘たちに語りかける秘書室長が聡明で優しいだけに背後の深刻さが、なおさら身に滲みるのだろう。

 

(そうだ。今、世界が大変なことは誰も分かっている。艦娘だって感情があるから伝わるハズだ)

 

『……ごめんなさい。でも貴方たちの叫びを聞いて、よく分かりました。お互い言い難い事情もあるわ』

 

そこで彼女は微笑んだ。

『でも頑張って頂戴。貴女たち艦娘の気持ちを世界に訴え続けることも立派な使命なのよ』

 

赤城さんは泣きはらした顔を上げ何かにハッとした表情になった。それは隣に居た日向や他の艦娘たちも同様だった。

 

『はい……頑張ります』

意外にも片言の英語……蚊の鳴くような、それでいて決意のこもった彼女だった。

 

『良かったわ』

女性秘書官はニッコリすると着席した。美人には負ける。

 

(ああ、この場に技術参謀が居ればなあ……)

彼女は元艦娘で人間とケッコンまでしていて艦娘の代弁者としては最適だ。

 

(あ、ここに愛娘の寛代が居るじゃん)

そう気づいた私は彼女を見る。

 

(あれ?)

寝ている。だめか。

 

『ハッハッハ』

ビックリした。あの『王宮男性』か。

 

『いや、済まないの。ワシも反省じゃ』

恥ずかしそうに反省の弁を述べた彼。

 

でも悔い改めているのは彼だけでなく軍も警察関係者も同様に見えた。

 

(あれ?)

龍田さんも、ついに感涙か? ……後ろ向いて誤魔化しても分かるぞ。

 

『ただ、分からないのは……』

今度はブルネイ軍の武官だ。

 

『そもそも、あの深海棲艦の目的は何かね?』

この質問は誰もが抱える疑問だろう。

 

彼らは基本的に海上でのみ行動する。もちろん先日の境港の地上戦のように戦車など上陸作戦が可能な兵器も備えていることは分かっているが、まだ積極的に何処かを占領するという報告は聞いたことが無い。

 

そう思っていたらブルネイ提督が言う。

『その問題は唯一、敵との地上戦を経験し深海棲艦とも直接やり取りした経験をお持ちの美保鎮守府の司令に、お話いただきましょう』

 

『はい』

私はチョット焦った。

(こっちに振るのか?)

 

……だが考えれば当然か。

 

私が美保鎮守府に着任する際の敵の攻撃は特筆すべきものだ。実際、あれから鎮守府には関係各所から調査や視察依頼が相次いだ。

一時期、受付担当の大淀さんも手一杯になったくらいだ。

 

結局、海軍省のお達しで、以後すべての問い合わせは却下された。それからは平穏な日々が続いていたのだ。

 

私はポロシャツのまま立ち上がった。

『簡易な格好で大変失礼します』

 

一瞬注目が集まる。やはり半分呆れたような眼差しだが……仕方ない。私も腹を括った。

『正直、奴等の目的は我々にもハッキリしません。ただ私が直接、あいつらから聞いた限りでは、連中は公的な物への敵愾心(てきがいしん)……恐らく疎外感から来る既存国家体制への恨みのがあるようです』

 

一同は『ほおっ』と言う感嘆の声を上げた。私への見方が少し変化したようだった。

 

ちょっと間を置いた私。

『彼らには階級も組織も無いといってましたが……それでいて組織的な攻撃も仕掛けてきますから一種のテロ組織と見ることも出来ます』

 

『なるほど』

軍関係らしき男性が頷く。

 

私は続けた。

『あまり考えたくありませんが沈没した艦船や一部の艦娘が、その無念の思いから深海棲艦に変化するという説もあります』

 

『そうか……声明も何も出さないからなあ。厄介な連中だ』

警察関係の担当者が呟く。

 

そのとき外が急に騒がしくなった。次の瞬間バリバリという銃撃の音。

 

「機銃?」

……恐らくあの巡視艇だと思う。

 

「戦闘が行われている気配だぞ」

ブルネイ提督も立ち上がったが直ぐに頭を下げた。直後に遠くから爆破音と水柱が立つようなザバッと言う音と地響きが伝わってくる。

 

『噂をすれば陰、深海棲艦の連中か!』

誰かが叫んだ。同時に警察と軍の関係者は直ぐに銃を持って入口と窓へ向かう。

『王宮男性』は伏せて横のイケメンSPが彼を庇いながら拳銃を抜いて辺りをうかがう。

 

女性秘書官も身をかがめ、緊急の無線機で何処かに連絡をしながらベルトのホルスターから短銃を取り出していた。

 

私は直ぐに艦娘たちに命令を出した。

「警戒態勢! 接近戦が可能な者は抜刀せよ」

 

日向や伊勢、龍田さんが抜刀した次の瞬間、室内の電灯がすべて消えた。

 

「ひぇっ」

(誰の叫びか直ぐに分かるな比叡)

 

同時に屋外の各所から何度も爆破音が響いてくる。

 

私は間近に緊迫した敵意を感じた。

「これは……連中本気だぞ」

 

 

 

 

以下魔除け

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※これは「艦これ」の二次創作です。
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PS:「みほ3ん」とは
「美保鎮守府:第三部」の略称です。


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