マイ「艦これ」「みほ3ん」(第3部)前半コラボ   作:しろっこ

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無事に対岸の桟橋に到着した司令たち。そこに金剛がいきなり飛びついてきて慌てたのだが……。


EX回:第72話(改1.3)<傷心>

 

「もう……怖かったヨ」

 

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マイ「艦これ」「みほちん」(第3部)

 EX回:第72話(改1.3)<傷心>

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 やがてブルネイ海軍の内火艇は対岸の桟橋に接岸した。

 

『司令官、到着しました!』

『ご苦労……助かったよ』

ブルネイ司令と船内スタッフは恐らく、そんな会話をしている。

 

 船内と桟橋ではブルネイ軍人たちが慌ただしく接岸作業を進める。

 

だが先の戦闘では、こちらの岸にも着弾したのだろう。各所から煙が立ち上り焦げ臭いが鼻をつく。

 

「行こう」

「あぁ」

一瞬、ボーッとしていた私は彼に促され我に返る。反射的に日向たちを見ると頷いた彼女。直ぐに他の艦娘たちに目配せをした。

 

直ぐに艦娘たちが船内の中央に集まる。さっと点呼した日向が報告をした。

「司令、異常ありません」

「よし」

 

 やがて内火艇は接岸する。ブルネイ軍人たちが敬礼する中を私たちも敬礼し船を下りた。他の艦娘たちも続く。

 

「hey! 司令ぇ!」

おや? ……と思う間もなく、いきなり金剛が抱きついて来た。

 

「うわ!」

驚いて声を上げた。

 

(しまった!)

……と思ったが、後の祭りだ。味方ながらコイツも油断ならない。

 

さすが高速戦艦だ。人間である私が相手だから多少は手加減したのだろうけど。勢い余って危うく桟橋から二人で川へダイブするところだった。

 

「きゃああああ!」

両手を頬に当て、素っ頓狂(すっとんきょう)な悲鳴を上げる比叡。うるさい奴め。

 

 毎度のことながら日向や祥高さんは、呆気にとられて声も出ないようだ。

 

「ちゃあんす!」

とか言いながら青葉さんの容赦ない連写も始まる。フラッシュがまぶしい。

 

「お、おい!」

「だいじょうぶ、大丈夫」

「その、お前の安全圏は何処までだよ?」

ボヤく私。いくら艦娘とはいえ公の場で指揮官とイチャつく場面では、まるで示しがつかないぞ。

 

「もう……怖かったヨ」

その声にハッとした。しがみ付いてきた金剛は私の胸で泣いていた。そんな彼女自身もまた焦げ臭さと潮の香りに包まれていた。

 

(あ……そうか)

彼女の状況を理解した私は、自分だけが戦う普通の海戦とは違うことを再度、認識した。

 

特に今回は要人を背負っての不慣れな渡河作戦。いくら百戦錬磨の金剛でも、その不安や葛藤は大きかったのだ。

おまけに今回は彼女の目前で犠牲者も出ていた。

 

 両手が塞がった上の要心同行では下手に敵の注目を浴びるのは、ご法度だ。そんな状態で目前で起きる事態にも手だしすら出来ない。その歯がゆさと悔しさは如何ばかりだろうか?

 

 性格的に金剛にとって、ジッと耐えながらの作戦行動は拷問に近いだろう。それを越えた彼女を無下(むげ)に突き放すわけにもいかないか。

 

 だが私たちは軍人だ。規律は大切。実際、周りのブルネイの兵士たちは驚いているし、他の艦娘やブルネイ司令も苦笑していた。

 

「本当に、ご苦労だった……な?」

私は金剛の顔を覗き込むようにして彼女の両腕に手を沿えると、ゆっくりと引き離した。

 

「もう、良いだろう?」

「うっうっ……」

いつもは気丈に見える金剛の、こんな姿は初めて見る。やはり、この娘も根本的には普通の女の子だなと思う。

 

「おい」

「はい!」

私はそのまま、私たちの後ろで待ち構えていた比叡に声を掛けた。嬉々とした彼女、待ってました! ……とばかりに手を伸ばした。

 

 少しは抵抗するかと思ったけと金剛は、割と大人しく比叡にしがみ付いた。

 

(それならさぁ、最初っから比叡に行けっての)

私は内心、ボヤいた。

 

 直ぐにブルネイの比叡2号も来た。ダブル比叡が一緒に慰めていた。まあ比叡が二人居れば金剛の心の傷も早く癒えることだろう。

 

「報告します」

寛代や祥高さんから情報を受けていた日向はキビキビと敬礼をする。お前はマイペースだな。

 

私とブルネイ司令の前に立った彼女に私は頷いた。

 

日向は口を開いて淡々と報告する。

「渡河作戦中、ブルネイ鎮守府所属の龍田2号が比叡2号を庇って被弾。また、その後の敵の直接攻撃により負傷」

 

最初は落ち着いていたが彼女の目は次第にチラチラとブルネイの伊勢を見始めた。それが気になるのだろう。声の調子が不安定になった。

 

それでも平静を装った日向は報告を続ける。

「龍田2号は……轟沈は免れましたが大破状態。上陸後に直ぐブルネイ秘書官と共に鎮守府へ搬送されました。……以上です」

 

私も敬礼をした。

「分かった、ご苦労」

 

報告が終わると同時に日向は伊勢のもとへ駆け寄った。一人で立ち尽くしていた伊勢だったが近寄った日向にしがみ付くと泣き始めた。それまで何か押さえていたものが一気に噴出するようだった。

さすがの青葉さんも、その姿は写真には収めなかった。

 

そりゃ撮らなくても良いけど。

(私の場合は撮るのか?)

 

ただ苦笑するしかない。

 

「すぐに戻ろう」

ブルネイ司令が、あの運転手に合図しながら言った。

 

「リョーカイね。すぐ車、持って来るヨ」

変な敬礼をして彼も応えると重そうな体でドタドタと走って行く。

 

 私は翻(ひるがえ)って艦娘たちに指示を出した。

「我々も直ぐに鎮守府へ戻る」

『はい!』

 

続けて私の横に居たブルネイ司令が付け加える。

「今回は不慣れな中、皆よく頑張ってくれた。現地司令として心から礼を言う。ありがとう」

 

『……』

彼の言葉に皆の心には様々な想いが去来したことだろう。

 

ブルネイ司令は続けた。

「夕食は戻ってから鎮守府食堂に準備させる。以上だ」

 

『了解!』

艦娘たちは一斉に敬礼した。お腹も空いたが今はただ、落ち着きたかった。

 

 直ぐに、その場に来たときと同じトラックがやってきた。

「お待たせ!」

 

窓から運転手さんが手を振る。こんな状況でも彼の行動には何かホッとさせられる。

 

軽く点呼をして艦娘たちは荷台側へ、私たちは運転席側に乗り込んだ。

 

「出します!」

軽快な発動機の音とともにトラックは走り出す。

 

 川を振り返ると水上集落では、まだ火の手が上がり続けている。こちらの岸にも焦げ臭い匂いが満ちていた。

 

戦争とは言え、本当にブルネイの人たちには申し訳ない気持で一杯になった。

 

 

以下魔除け

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※これは「艦これ」の二次創作です。
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PS:「みほ3ん」とは
「美保鎮守府:第三部」の略称です。

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