マイ「艦これ」「みほ3ん」(第3部)前半コラボ   作:しろっこ

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提督は技術参謀の熱い思いを聞くにつれ、自分の足りなさ、不甲斐なさを感じるのだった。


「みほ3ん」EX回:第86話<福音>

「それは・・・とても光栄なことです」

 

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「艦これ」的「みほ3ん」

 EX回:第86話<福音>

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<<GR:技術参謀の想い>>

 

技術参謀は言う。

「軍部はリコンによる艦娘の障害と言う事実を隠したがっている。もっとも、実例は数えるほどしかないから、まださほど軍部内での影響は少ないといえるが」

 

それは、あまりにも深刻な内容だったので誰も何もいえなかった。

 

彼女はグラスの底を眺めながら続ける。

「ただ、この事実を悪用して軍部の法律を改正しさらに艦娘の追い出しを図る勢力が居ることも事実だ・・・中央はな、そんな連中ばかりだぞ」

 

ああ、まさに本物の魑魅魍魎(ちみもうりょう)の世界なんだ。

 

そこで私は気になったことを聞いてみた。

「あの・・・以前美保に来た青年将校は、お仲間なんですか?」

 

技術参謀は少し明るい顔になった。

「ああ。数少ない、いわば同志だな」

 

「なるほど・・・」

やはり中央で生き残るのも大変なんだろう。権力闘争とか、あるんだろうだな。

 

「だからこそ・・・」

技術参謀は声を強めた。

 

「艦娘量産化の完成度が高まれば、こういう悲劇は二度と繰り返さなくても済むんだ」

 

『・・・』

全員無言だった。国家機密ではないとは言うものの艦娘に関わる者たちにとっては国家機密に匹敵するような内容だった。気のせいか五月雨は少し震えているようにも見えた。

 

そんな彼女を見た技術参謀は優しく声をかけた。

「恐れることはない五月雨よ。お前たちの事を心配し支えようとする者ばかりだよ、ここは」

 

五月雨はちょっと安心したようだ。

「はい・・・」

 

私はまた口を挟んだ。

「しかしレシピを入手した今では艦娘建造のことはもう何も心配することも無いと思いますが」

 

ところが技術参謀は急に険しい顔になった。

「お前はやっぱりバカ者か?・・・今後のことではない。試作型として作られたこの娘たちのことを案じているのだ!」

 

「あ・・・」

私は思わず五月雨を見つめた。彼女はちょっと悲しそうな表情をしていた。本当に私って配慮が足りないよな。自分でもバカ者だと思う。心なしか他の艦娘たちが呆れているようにも感じられた。反省。

 

<<GR:キー(鍵)>>

 

技術参謀は続ける。

「ただ私が五月雨に注目するのは試作型でありながら安定していること。ここに何かまた別の鍵があるように思えるのだ・・・」

 

技術参謀はそう言いつつテーブルの上のつまみに手を伸ばした。それを合図のように他のメンバーも次々と手を伸ばし始める。赤城さん一応、遠慮していたんだね・・・。

 

ようやく食べ物にありつけた赤城さん気が緩んだのか話し始める、

「ではもちろんその鍵が分かれば試作型だけではない。深海棲艦にも対抗策か根本的な解決策が見出されるかもしれないのですね」

 

「ああそうだ」

答えた技術参謀の言葉に一同は目を見張った。それはあまりにも壮大なビジョンであるがすべてが解決できる、まさに"福音"のような内容でもあった。

 

ここで今度は急に五月雨が話し始めた。

「私が・・・鍵ですか?」

 

彼女の反応に一瞬意外な顔をしていた技術参謀だったが、すぐに言葉を返した。

「そうだ。それが分かればいま残されている"試作型"の艦娘たちをひょっとしたらもっと延命させることも出来るかもしれない」

 

五月雨は応える。

「そうですか・・・私が何かのお役に立てればいいのですが・・・すみません自分ではなぜ安定して居るのかまでは分かりません」

 

技術参謀は微笑んだ。

「そういう姿勢はありがたいよ五月雨。でも私が言っていることは別に強制でも何でもない。それに正直お前が直ぐに分かる話ではないだろう。いいさ、いま分かる範囲で・・・」

 

そのやり取りを見ながら、ひょっとしたら五月雨のこの純粋さ。そして他人にひたすら仕えようとする謙虚な姿勢が良いのかな?とも思えた。

 

それはまさに彼女の艦名の如く。初夏の五月雨のように静かにそして断続的に降り続けるような長い雨。"長い"・・・これが何かを象徴しているのかな?まあ、おバカな私が悩んでも解決できるものでもないか・・・。

 

「実はな、この美保の提督はな、お前のことがとってもお気に入りみたいなんだぞ」

突然笑いつつ、からかうように技術参謀が突っ込んでくる。

 

「え?・・・いやそんな・・・」

私は意外な突っ込みにどぎまぎして思わず否定。反射的に斜め向かいの日向を見た。ひょっとしたら彼女が気分を害するかなあ~って・・・でも日向はまったく気にしていない。あれまアちょっと残念な気分。

 

赤城さんもニコニコしている。もっとも彼女の場合は話の内容よりもおつまみを食べられることのほうが嬉しいかな?

 

「それは・・・とても光栄なことです」

五月雨はちょっとお顔を赤らめて下を向いてしまった。いやそんな大げさだよ。私は大した男ではないから。逆に私のほうが赤面したいくらい恥ずかしかった。技術参謀も人が悪いよな~あんな言い方をするなんて。

 

改めて日向を見ると彼女は意外にも嬉しそうな顔をしてこっちをチラ見していた。彼女もなんとなく余裕というか以前とは性格が変わったのかな?

いやお互いにいろんな局面を通過して人間性に幅ができるのかな?とも思えるのだった。

 

<<GR:お開き>>

 

その後は適当につまみながら差し障りの無い会話が続いた。

 

結局、赤城さんから提供されたおつまみや飲料は全部平らげた。でも赤城さんも一人で食べるよりは全員で喋りながら食べるほうが美味しいと少しは感じてくれただろう。ずっとニコニコしていたし。

 

最後はあまり延長することも無くその日のうちにこの不思議な"集会"は、お開きとなった。明日の演習もあるし司令に無許可で長時間、五月雨を留め続けても問題だからね。

 

全員を廊下で見送ったあと私は改めてGR(ゲストルーム)の中を見た。そういえば今夜の私はいったいどこで寝るんだっけ?

 

ちょっと確認して直ぐに分かった。この部屋だけは二部屋続きなのだ。隣に寝室や浴室トイレがある。あれ?謎の和室付きコーナーもあるぞ。そういえば前回は一晩中喋って気がついたらソファで寝てたからなあ。

 

私は隣で軽くシャワーを浴びてから着替えてベットに入った。本当に久しぶりにまともに寝られると思った。

 

明日も頑張らなきゃ・・・おやすみなさい。

 




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※これは「艦これ」の二次創作です。
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サイトも遅々と整備中~(^_^;)
http://www13.plala.or.jp/shosen/
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PS:「みほ3ん」とは
「美保鎮守府:第三部」の略称です。

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