誰ガ為ノ救済 Fate/XILLIA2   作:真理P

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次の世界へと旅立つべく英霊として消滅したエミヤは、到達した世界でルドガーという名前の男になっていた。
とは言え英霊としての回路は機能しており、困惑の中ルドガーの兄と自称していたユリウスに話を聞くことにしたのであった。


第1章 「始まり」

「フライパンは…あるようだな」

 

何が何だか分からないが今私はルドガーウィルクルスニクなる人物らしい。話からすると今日は何処ぞの会社への実力試験があるという話だが…。この世界についてもっと情報を得る必要がありそうだ。…少なくともここは私の知る世界では無い。それだけは確かだ。蒸気によって発展したこの街は、多くのものを蒸気機関で補っている。中世期ヨーロッパか何を連想させるも時代はそれとは程遠いほど発展しており、現代により近い。

 

「しかし、トマト入りオムレツか。和食の方が得意ではあるが、これもまた挑戦か」

 

そんなことよりも料理の味を確かめることに集中する辺り、楽観的な見方をしているような気がしているのは気のせいだと思いたい。

 

「さて、出来たな。ユリウス殿。朝食の支度が出来たぞ」

 

そう呼びかける。ユリウスと呼ばれた男は困惑した表情で

 

「本当にルドガーかお前…?いや、変な問いかけで悪いが」

 

「気にする事は無いだろう?では、食べてみてくれ。味は悪くないと思うぞ」

 

「お前の腕を疑ったりはしないさ。どれ…。…!」

 

ユリウスがそれを食べた瞬間に凍りつくように停止した。不味くした覚えはないが味付けが合わなかったのか。

 

「…口に合わなかったか。すまない」

 

「…とんでもない………。なんだこの美味さは…!今までのも美味しかったがこれはまた別格…蕩けるようだ…!」

 

予想はいい方向に裏切ったようだ。少し満足気にしながらも自分の分の料理を口にする。うむ、いい感じだ。

 

「今日も元気が出そうだよ。ありがとうルドガー。それじゃあ先に試験会場に行ってくる。遅れず来るんだぞ」

 

「あいわかった。それではまた後で」

 

彼が部屋を後にする。片付けをしなければ。何かを忘れた気がするが特別気にする事でもないだろう。

 

「そういえば…この世界について何も聞いてなかったな」

 

大問題だった。

 

「ルドガー、準備はいいな」

 

「あぁ、いつでも構わない」

 

「それじゃあ…試験。開始だ」

 

目の前には今回用意された敵、この世界では魔物と呼ばれる存在。ただの鳥にしか見えないがアックスピークという比較的弱いが害を為す存在らしい。今回の入社試験合格はその放たれた魔物を倒すという条件らしい。…なんとも実力主義(物理)な会社だろうか。性にはあっているがな。

 

投影開始(トレースオン)

 

干将莫耶を呼び出し、アックスピークに斬りつける

 

筈だったのだが。

なんともまぁ実力差を感じ取ったのか。瞬く間に逃げていった。こういう場合はどうすればいいのか悩むものの、奥に進むことにした。

 

「全く、いくら英霊とは言えここまで弱い連中だとどうしようもないな」

 

そうぼやきつつ先に進んでいく。勿論何匹か襲いかかっては来たが、一振りで塵芥と化したわけでどうもこちらが一方的でいい気はしない。しばらく討伐した後、これで大丈夫だろうと戻る道。

 

女性の悲鳴が聞こえた。

 

霊体化出来ないが為にそこまで速くはならないが英霊として君臨した以上速さは人間のそれを遥かに凌駕する。彼は数秒ともならない速さで女性の元へ駆けつけた。

 

「助け…!」

 

その速さは助けを求めた女性もが驚愕するほどの速さ。目に捉えられるか否かのレベルだろう。

女性に襲いかかろうとしていたのはキメラに似た獣の魔物だった。大きさはそこそこあるが、敵になるほどの脅威ではないと感じた。

 

「なるほど、これが試験の一環か」

 

そう呟いた瞬間、女性の隣で吠えていた獣の魔物は一瞬にしてその生命活動を終えた。大きな音を立てて倒れていく。魔物を余所目にしながら、女性のもとへ歩いていく。

 

「無事だったかね?いや、聞くまでもないだろうな」

 

彼が女性に近付いた刹那に首元に突きつけられそうになったナイフは、いつの間にか彼の上で踊っていた。まるで曲芸師の様に回し、女性にそっと返した。

 

「…!」

 

「殺す気はないにしても行動に起こす気がバレバレだ。もっと上手く偽装すべきだと思うがね」

 

「…さて、君は誰かな?」

 

「ルドガー、そこまでだ」

 

ユリウスが現れる。渋い顔をしており、まさかと言わんばかりの表情だ。

 

「彼女はこの会社のスタッフだ。今回の試験でスパイ役を演じてもらっていたんだ。まさか気付くとはな…」

 

「なるほど、殺気が無かったわけだ。それで、合格か。失格か?」

 

「恐らくだが、合格だろう。私も口添えしておこう」

 

「そうか」

 

「だがルドガー、その力は一体なんだ。今までそんなことなんて…いや…何でもない」

 

「………」

 

とりあえず会社に合格した以上、やることは決まっている。

 

まずは情報を__________

耳鳴りがする

 

心臓が肋骨を大きく速く叩く

 

そこにはユリウスが居た

 

頭痛がする

 

彼と対峙して何度も剣戟を鳴らす

 

頭痛が大きくなっていく

 

『お前に出来るのか!選択が…破壊が!答えろ!ルドガーウィルクルスニク!』

 

次第にその意識は激しい痛みと共に消えていった____

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ル………。…ドガー。…ルドガー。起きろ」

 

ようやく覚醒したようだ。英霊が意識を閉じるなどあり得ないことではあるが、何か夢を見た様な気がする。それも、昔帯びた血生臭い何かを。

 

「…おはよう。どのくらい寝ていたんだ?」

 

「あの後1日だ。心配したぞ全く。やっぱり寝不足だったんだな」

 

寝不足…サーヴァントがか…いや。霊体化出来ない以上英霊とは違う存在になっているのか。そうすると、無理はあまりきかなさそうだ。参ったな…。

 

「そうだな…それで、試験は」

 

「不合格に決まってるだろ。自分の体調管理も出来ない奴に。うちの会社が務まるわけがない」

 

「そうか…」

 

残念だが仕方あるまい。仕事中に居眠りする様な人間。

私でもお断りの電話を入れるだろう。

 

「なぁルドガー」

 

「お前はこの仕事には向いてないと思うんだ。俺は常々心配でな。別の仕事を考えてみないか?」

 

「…それも考えてみる。助言は受け止めておくさ」

 

「そうか…事務職もあるから、いつでも聞いてくれ」

 

かなりホッとした様にしてユリウスはその場から去る。

前にひょっこりと顔を出して機嫌良さそうに聞いてくる。

 

「今日は俺が料理を作ろう。何か欲しいものはないか?」

 

少し考えた後、こう答える。

 

「マーボーカレー」

 

「朝からか…」

 

ユリウスはツボに入ったみたいで爆笑している。何故か頭の中に選択肢が出たのでは、仕方あるまいて。マーボーカレー、食べたことはないが如何なる味だろうか。

料理を作っている身としては興味がわいた。まさかそのままというわけでもあるまい。楽しみだ。

 

「出かけてくる」

 

「何を怒っているんだルドガー、マーボーカレーだぞ?」

 

そのままだった。この世界にはサイダー飯とやらもあるそうだ。製作者には料理というものについて叩き込む必要があると年甲斐もなく憤怒に満ちていた。

情報を得る為にも外に出よう。いや何、料理屋に殴り込むつもりなど毛頭無いさ、少しはあるかもしれないが。

 

そうしてルドガーウィルクルスニクなる人物は情報を得る為一旦外を出たのであった。

 




はい、という訳でここまでです。ちまちま書くって言っといて全然書かねえのはおかしいよなぁ!?いざテイルズで書こうとすると思い出すの結構大変なんだってはっきりわかんだね。

次回は電車編まで書こうと思うゾ。よろしくナス!
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