自分が何者なのかを探し続けている少年、扇寺東耶。彼が、偉人たちが輪廻返りした老若男女と出会った時、彼の人生は大きく変わる…!

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リィンカーネーションの眼魂

僕には『誰にも負けない』才能は持っていない。

勉強、運動、運命力、それらを競う分野は数知れずあるが、そのどれにも『誰にも負けない』と言える才能は、僕は持ち合わせていない。

そのどれも、ある程度の実力を身に着けるには至るのだが、それは同時に『誰にも負けない』才能を有する存在との、先を行く者達との差をまざまざと見せつけられ、結果として叶わないと痛感させられる。

そう、僕には『誰にも負けない』『ナンバーワン』になれる才能は持っていない。

だが僕には『誰も持っていない』才能がある。

有史以来誰もが知る事すら無かった分野、誰もがその在り様を見つける事が出来なかった分野の才能を、僕は有していた。

僕は『ナンバーワン』にはなれないけど『オンリーワン』になれる才能を有していたんだ。

だけど何故、僕はこの才能を有する事が出来たのか、それは正直言って分からない。

運命、その言葉でカタを付けたらどうだとか言われそうだが、それは僕自身が納得出来ない、納得出来ない理由づけは理由づけじゃない。

何故、僕にこの才能があるのか。

何故、僕はこの才能を、生まれた時から『知っている』のか。

何故、僕はこの才能の活かし方を、生まれた時から『決められた』のか。

何故、何故、何故…

僕はずっと、その答えを探している。

 

僕は、『オレ』は一体何者なんだ?

 

------------

 

「お前、行って来たの?その、前世占い屋にか?」

「ああ。其処から俺がどんな才能があるのか分かるかも知れないだろ?」

 

やれやれ、下らないな。

自分にどんな才能があるのか、それを見出すきっかけは人それぞれではあれど、そんな具体的な理由づけの無い占いで見出せる才能など、たかだか知れている。

 

「それで、俺の前世はなんと、

 

ヨーロッパ王宮の庭師!」

「なんじゃそりゃ!微妙だな!」

「只の庭師じゃねぇぞ、ヨーロッパ王宮のだぞ!」

 

ほら見ろ、規模、信憑性、どれも中途半端な結果じゃないか。

自分探しは大いに結構な事だが、如何にも本気じゃ無いそれは、世間話のネタとして軽々と扱える程度のそれは無益と言うしかない。

そんな姿勢では自分に眠る才能など、一生かかっても見つけられない。

そう、一生かかっても『持つ者』になれは(ガラッ)しない…

 

「は、灰都さんだ!」

「おい、道を開けろ!」

「久しぶりに見た…」

 

そんな世間話に花を咲かせていた級友達だったが、其処に鳴ったドアを開ける音、それを引き起こした者の姿を見た途端に騒めき出し、その者に道を開けて行く。

その者、銀髪の日本人離れした顔付き、普段着の上にパーカーという明らかに高校生が登校する為のそれじゃない服装、そして荷物は『竹刀』の入った袋だけ、という学校という存在に対して真っ向からケンカを売っている出で立ちの(そして、僕こと扇寺(せんじ)東耶(とうや)の隣にある自分の席に着いた途端に眠りこける)彼女の名は灰都(はいと)=ルオ=ブフェット。

彼女は『持つ者』だ。

持っている竹刀袋から分かった人も多いだろうが、彼女はこの高校に剣道部の特待生として入学した。

だが入学してから直ぐに、その剣道部は廃部となってしまう。

何故か、これはあくまで噂に過ぎないが、彼女が持つ実力が余りにも高いが故に他の部員の心が折られ続々と退部してしまい、部として存続不可能な状態に追い込んでしまったからだと言われている。

またその噂には続きがあり、剣道連盟から大会参加の自粛を要請されているとか、今の驚き様からも分かる通り偶にしか学校に来ていないが、それは武者修行の為に全国行脚していて道場破りを繰り返しているからだとか、密命を受けて日々辻斬りに及んでいるからだとか、とにかく色々だ。

根も葉もない荒唐無稽な噂話だらけだが、こんな噂が出る程に彼女は剣道における才能に秀でているという事だろう、そう、凡人がどんなに努力してもたどり着けない域に達した『天才』と呼ばれる程に。

そんな『天才』であるが故、こんな不良丸出しな出で立ちで登校しても大した咎は受けない「なんだ?随分と熱い視線を当ててくるじゃないか」のだろ、う?

 

「失礼。灰都さんの登校が珍しかったモノで。今日はどうして、学校に?」

 

おや、思わず向けた視線に直ぐ気付かれたみたいだ、彼女に突っ込まれた僕は、その答えを素直に返す。

 

「暇つぶしにな。今日は夜まで自由だって、ノイマンが言っていたから」

「ノイマン?」

「ああ、友達みたいなモンだ。あ、そうだ!折角だしたまった課題とかプリント移させてくんない?」

 

何が折角だし、かどうかは分からないが、丁度彼女が空けていた分の課題が残っているし、断る理由は無いか。

 

「ええ、構いませんよ」

「やりぃ!言ってみるモンだな」

 

彼女の要求に応じる事を伝えつつ、その分の課題を探し出し、彼女に渡しておく。

それにしても、夜まで自由、か。

案外、噂話の1つである辻斬りの話は間違いでは無かったりするのだろうな。

尤も実際に生命を切り殺したりはしないのだろう(ジー…)け、ど…?

 

「何か?」

「んやーなにもー?」

「そうですか」

 

何か視線の様な物を隣から感じたので聞いてみたが、特に訳も無かったらしい。

それにしても、彼女は『芯』という物を持っている、普段は天真爛漫を通り越して素行不良に過ぎながらも、いざと言う時は瞬時に『剣士の顔』となる、それが故に目前の道に視界が向いているのだろう。

自分が何者か、それを熟知した様な顔だ。

僕も、そんな顔をする時が来るのだろうか…?

 

------------

 

「あいや待たれい、なんつって」

「灰…

灰都さん!?なんでそんな所に立っているんですか!?」

 

学校での授業が終わり、教科書片手に塾への道を歩んでいた所、さっき聞いたばかりの声が聞こえたので振り向こうとしたら、其処にいたのは橋の手すり部分に立っていた灰都さん、その姿に思わず声を荒げてしまった。

手に持っているプリントの束からして、どうやら課題を終えたのかも知れない、随分と早いな。

 

「コピー終わったから、返しに来たぞ」

「わざわざすいません。別に急ぎの物でも無いので、明日でも…」

 

どうやらコピーしただけだったみたいなので、原本を受け取りつつも、明日で良いと言おうとしたが、

 

「な、なんです!?」

 

目の前に突然、彼女の顔のアップが見えたのでびっくりしてしまった。

そんな僕の様子にも意に介す事無く僕の顔を見つめ続けている彼女はふと、

 

「んー、気になっていたんだよ、その目。何か遠い所見ている様に薄くしか開けていないし、眉間も何時も寄っている様にしわが出来ているし。勉強好きには見えないけど、なんでそんなに頑張ってんの?」

 

そう聞いて来た。

確かに、僕は根っからの勉強好きと言う訳では無い、では何故、教科書片手に塾への道を進んでいるのかと言うと、

 

「こう言うと、笑われるかも知れませんが…

探しているんです、自分が一体何者なのかを。そして現状、これが最後の砦という訳です」

「?」

「ヴァイオリンに、ピアノ、フルート、油絵、ダンス、華道、囲碁、将棋、チェス、空手、柔道、合気、銃剣、クレー射撃、居合…

恥ずかしながら剣道もありましたね。今までやって来た、やらされて来た習い事です」

「な、なんと!?メチャ多いな、というか一息でよく言えたな!」

「家にお金はありましたから」

 

そう、彼女が言う通り、僕は『自分探し』の為に数々の習い事に取り組んで来た、しかし、

 

「大半は長続きしませんでしたし、残りも一応必要だからと続けているだけですけどね」

「そうか?私が見るに結構のめり込むタイプだと思うけどな」

 

そうだろうか?

 

「何と言いましょうか…

どれも始めた途端に『何か違う』『これじゃない』と確信してしまうんです。ある程度やればモノにはなるんですが、どれもこれも追及しようとは思えないんです。それで『これ以上は無駄』と諦めてしまう…

痛感してしまうんです、自分の飽きっぽさに、知り得ない『自分』の根深さに。貴方の様な自分が『分かる』者に、『分からない』者の感覚など、理解出来ないのでしょうけど」

 

そう、自嘲するように訳を打ち明けた。

実際、どの習い事でもそんな調子で、どうしても必要だからという理由づけが無ければ、もういいやと止めてしまうのが常だった、いや、その続けている奴もまた惰性でやっているだけなのだが。

だけど彼女は、

 

「そーか?

 

私達は似ていると思うけど」

 

またも僕の顔を覗き込みながら、そう返して来た。

僕と彼女が似ている?そんな馬鹿な事が…

 

「失礼。塾の時間がありますので、話はまたの機会に…」

「塾?」

「ええ。今日は駅前の塾の方に」

「駅前…」

 

話を切り上げようと、塾へ向かう旨を伝えた時だった。

 

「夜、遅いのか?」

「?ええ、恐らくは…

それが何か?」

「うんにゃ、ただキレイだろうなと思って」

「何がです?」

「今夜は、良い満月になりそうだからさ」

 

そう、彼女が言い残したのは。

今夜は良い満月?確かに月齢からして今日は満月の日だが…

何だろう、何やら嫌な予感がする、『アレ』の様な予感が…

 

------------

 

28万人余りいる今回の、全国模試の受験者の中で91位、か。

やれやれ、やはり全国1位のハードルは高いか。

元々は自分探しの為、知識や学力を身に着ければプラスになるのではないか、という安直な発想で愚直に取り組んで来た勉強、1位など狙っていた訳では無かったとは言え、それでも結果を突きつけられると途端に、悔しいという想いがこみ上げて来る。

やはり僕には『ナンバーワン』になれる才能は無いのかも知れない、兄の様な、兄を越えられる様な才能は…

けれど、それがどうした。

確かに僕には『誰にも負けない』と言える、『ナンバーワン』になれる才能は無い、兄を越えられる様な才能は無いのかも知れない。

だが僕には、『誰も持っていない』と言える、『オンリーワン』になれる才能がある。

その才能に向き合い、活かす事こそ、僕がやるべき事、僕に出来る事、僕にしか出来ない事だ。

その為にも、僕が一体何者なのかを早く見つけなければならない…

そうだろう、『オレ』。

 

「それにしても、灰都さんが言っていた通りだ。

 

 

 

今夜は、良い満月になりそうだ」

『アーイ!バッチリミナー!バッチリミナー!』

「変身!」

『開眼!オレ!レッツゴー!覚悟!ゴ・ゴ・ゴ・ゴースト!』

「さて(ブォォォォォォォォォン!)、行くぞ!」

 

------------

 

「誰ですが貴方、邪魔をしないで頂けますか?」

「生憎、俺はお前の様にか弱い存在を甚振るゲスが何よりも嫌いなんだよ!」

『灰都、一体何が起こっている?私の予測演算とは全く違う展開の様だが』

「ははは、都市伝説は現実の物だったって事さ」

『都市伝説だと?』

「ああ。この街に伝わる『正義のゴーストライダー』の都市伝説さ」

 

そう、電話の向こうの存在に呟く灰都、彼女の眼には、

 

身体から『花弁』を散らし、口から血肉を吐き出し、刃物を振りかざす壮年の男性と、黒地にオレンジの線状の模様が入ったライダースーツに、黒とオレンジのパーカーを羽織、同じく黒とオレンジのフルフェイスのヘルメットを被った、幽霊を思わせる姿の青年が、文字通りの殺し合いを繰り広げていた。

尤も戦況は、刃物を持った壮年の男性が、丸腰である青年に圧倒されているという展開ではあったが。

壮年の男性は灰都と、電話越しの存在が追っていた存在、一方の青年、それは…

 

「その耳障りな正義気取り、まさか、『正義のゴーストライダー』が本当に存在していたとは…!」

 

『正義のゴーストライダー』という都市伝説で知られている戦士、仮面ライダーゴーストであった!

 

自分という存在が何かを探し続ける少年、扇寺東耶と、偉人が輪廻返りして舞い降りた老若男女達、そして魂の力で巨悪と戦う仮面騎士が邂逅する時、世界は、新たなる運命をたどる…!




仮面ライダーゴーストを見た時、ふとこのコラボを書きたくなり、書いてみました。
まだゴースト側の全貌が殆ど明らかになっていない状態なのでこの形で終わらせています。
続きは…
要望が多かったらやろうかな…?

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